もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 これで遊園地編は終了です。


四宮かぐやと遊園地(後編)

 

 

 

「そろそろ良い時間ですね」

 

「もう夕方ですもんね~」

 

 あの後、一行は水をテーマにしたアトラクションに乗ったり、シューティングゲームで石上が高得点を出して盛り上がったり、やたらと回転するジェットコースターに乗ったりして『ギャラクシーワールド』を楽しんでいた。

 しかし、楽しい時間と言うものはあっという間に過ぎて行くもので、気づけば空は夕焼けになろうとしていた。かぐやが時計を見てみると、時間は18時を過ぎている。閉園時間まではまだまだあるが、帰るには丁度良い時間だろう。

 

(早坂はああ言っていたけど、果たして本当に藤原さんは観覧車に乗ろうと言うのかしら?)

 

 かぐやは藤原をチラ見して、早坂が言っていた事を思い出していた。早坂は、遊園地にきたら最後は観覧車に乗るものだと言っていた。そして恐らく、藤原は観覧車に乗ろうというだろうとも。

 しかし、かぐやは藤原が本当に観覧車に乗ろうと言うか疑問だった。なんせ予想外の行動をとる藤原である。もしかすると、このままもう家に帰ろうとか言いだす可能性もあるのだ。

 

「それじゃあ最後は観覧車に行きましょう!遊園地の最後と言ったらこれですよね!!」

 

(本当に言った!?)

 

 しかしそんなかぐやの考えは杞憂といわんばかりに、早坂が言った通り藤原が観覧車に乗ろうと提案してきた。早坂は『ほらね?』という顔をした。勿論、かぐやには決して見えないようにだが。

 

「そうだな。最後はやはり観覧車だな。行くか」

 

「よし。じゃあ皆で観覧車に乗って、今日はお開きにするか」

 

「はい!では、行きましょう!」

 

 藤原を先頭に、一行は観覧車へと歩き出した。

 

「早坂、少しいいか?」

 

「ん?どしたし京佳?」

 

 観覧車へ向かう途中、京佳が隣で並んで歩く早坂に周りの人たちに聞こえない様に話しかけてきた。

 

「実はな、観覧車、白銀と一緒のゴンドラに乗りたいから少し手を貸してくれないか?」

 

「え゛」

 

 そして早坂にとって間の悪い頼みごとをしきてのだ。

 

「えーっと…京佳は、白銀会長と一緒に乗りたいの?」

 

「ああ。こんな機会もう無いかもしれないし、最後はどうしても白銀と一緒に乗りたいんだ。頼む」

 

「あー……そのー……」

 

 この場にいる人間はかぐや以外知らないが、早坂はかぐやの従者である。余程の事が無い限り、基本的にはかぐやを優先して動く。

 それゆえ早坂は、京佳の頼みを断るつもりでいたのだが、

 

(どうしよう…上手いごまかし方がわからない…)

 

 断り方がわからず焦りだしていた。そもそもこの場に居るのは、かぐやの従者としても早坂ではなく、藤原や京佳の友達としての早坂だ。普通であれば、そんな友達の頼みをきくべきだろう。

 だが既に『かぐやは白銀と一緒に乗る』という計画を立てている。それを成功させる為にも、京佳の頼みは断らないといけない。しかしその断り方がわからない。

 もしここで、へたに京佳の頼みを断れば、京佳に対して不信感を与えるかもしれない。だが京佳の頼みを聞けば、かぐやに提案した事を反故にすることとなる。

 そんな板挟みの状態で、どうしたものかと早坂が悩んでいるその時、

 

「ここの観覧車は4人乗りですからね~。私達は8人だから丁度2つに分かれますね~」

 

 藤原がパンフレットを読みながら観覧車の事を口にした。

 

「……そうか。4人乗りなのか」

 

「あはは…これじゃあ2人きりは無理だねー京佳」

 

「ああ。だがそれでも何とか白銀と一緒のゴンドラには乗りたいな」

 

 京佳は残念そうにしたが、直ぐに頭を切り変えた。そして早坂は、体のいい言い訳を作ることが出来たため安堵した。

 

(早坂?)

 

(すみませんかぐや様、確認不足でした…)

 

 一方かぐやは皆に気づかれない様に早坂を睨んだ。因みに、先ほどまでの京佳との会話内容は聞こえていいない。この日早坂は、『確認作業を怠らない』という教訓を思い知った。

 

 

 

 

 

 歩く事数分、かぐや達は観覧車の列に並んでいた。並び順は前から石上、藤原、萌葉、圭、早坂、京佳、白銀、かぐやである。結局かぐやと京佳は、白銀と2人きりで観覧車に乗る事は不可能となったが、一緒のゴンドラに乗る事は成功しそうになっていた。このままいけば、前の4人と後ろの4人で観覧車に乗る事ができるだろう。

 

「でもこれだと、会長も石上くんもまるでハーレムですね~?」

 

「いや、確かに男1人に対して女3人って感じになってますけど、ハーレムって…」

 

「ふふ、石上くん?少しは照れてもいいんですよ?」

 

「知ってますか藤原先輩。女の群れに男を1人放り込むと、その男には人権が無くなるんですよ?」

 

 因みにこの並び順、早坂苦肉の策である。この並びであれば、かぐやと京佳は同時に白銀と一緒のゴンドラに乗る事が出来きる。これならば『友達の頼みを聞いた』と『主人への提案を成功させた』という2つを同時に達成できるからだ。

 後は、ゴンドラの中で自分が色々と話題を振れば尚いいだろう。最も、4人が同じゴンドラに乗る為、当初自分が考えていたロマンチックなイベント等は起きないだろうと早坂は思っていたが。

 

 列に並んで数分後、もう間もなく観覧車に乗れるという時、予想外の出来事が起こった。

 

「ふぐ!?」

 

「ん?どうしたんですか石上くん?」

 

「ふ、藤原先輩すみません!僕、急にお腹が…!」

 

「え?大丈夫ですか?」

 

「いえ!ごめんなさい!ちょっと大丈夫じゃなさそうなのでトイレ行ってきます!!」

 

 突如、石上が腹痛を訴え並んでいた列から出て行き、トイレへと向かったのだ。

 

「お客様、何名様でしょうか?」

 

「あ、今1人いなくなっちゃったので7人です」

 

「では4人と3人の2組に分かれてお乗りください」

 

「わかりました!」

 

 スタッフが藤原に人数を確認し、ゴンドラには4人と3人に分かれる事が決定した。

 

 「ではまず4名様、お乗りください」

 

 「はーい!」

 

 まず、藤原姉妹と圭の3人が乗り込んだ。次は早坂か京佳の番である。この時早坂は、このゴンドラに京佳を乗せようとしていた。

 しかし、

 

「ほら早坂、早く乗るといい」

 

「え!?ちょっと京佳!?」

 

「藤原、早坂の手を引っ張ってくれないか?」

 

「わかりました京佳さん!さぁ早坂さん!早く乗って乗って!」

 

「ええ!?ちょ、ちょっとぉぉ!?」

 

 京佳の背中を押され、藤原に手を引かれて、早坂は藤原たちの乗るゴンドラへと乗る事になったのだ。

 

(よし、これで白銀と一緒のゴンドラに乗れるな)

 

 かぐやと一緒ではあるが、これで白銀と同じゴンドラに乗るという目的は達成できそうだ。京佳は少しだけほくそ笑んだ。

 

「それでは次の3名様、こちらにお乗りください」

 

 スタッフに言われて、観覧車に乗る白銀、かぐや、京佳の3人。そしてスタッフがゴンドラに扉を締め、ゴンドラはゆっくりと上へと上がっていった。因みに席順は、かぐやと京佳が隣同士で、反対側に白銀というものだ。

 

「しかし、観覧車ですか…私、これが初めて何ですよね…」

 

「そうなのか四宮?」

 

「はい、小さい頃からこういう所に遊びに行くことも無かったもので…」

 

「やはり、四宮の家は色々と厳しいんだな」

 

「でも、おかげで今日は本当に楽しかったですよ?誘ってくれてありがとうございますね、立花さん」

 

「俺からも礼を言わせてくれ立花。今日は本当にありがとう。圭ちゃんも凄く楽しんでいた事だし」

 

「どういたしまして、2人共」

 

 ゴンドラの中では会話が弾む3人。と、その時、

 

 ガコンガコン!!

 

『!?』

 

 ゴンドラが風で大きく揺れたのだ。

 

「お、思ったより揺れるな…?」

 

「で、ですね…」

 

「だな…」

 

 実際、観覧車というものは結構揺れる。高所恐怖症の人は、あおの高さと自身が乗っているゴンドラが揺れる事が怖くて、観覧車に乗りたがらないものだ。

 そして、特に高所恐怖症でない人も、高い所で自分が乗っている物が揺れると、一定の恐怖を感じる。

 

「あ、あの、これ落ちるなんてことはありませんよね?」

 

「大丈夫だろう、四宮……多分」

 

「多分!?」

 

「落ち着け四宮!観覧車というものは頑丈に作られているものだ!風ぐらいで落ちる事はないさ!」

 

「だが白銀。絶対という事は、無いよな…?」

 

「大丈夫だ立花!俺が保証する!」

 

「……わかった」

 

 かぐやと京佳は、ゴンドラ内部に設置されている手すりを握りながら少しだけ不安を感じていた。そんな2人を落ち着かせる白銀。

 

 ガコン!ガコン!

 

 しかし、そんな事など無意味だと言わんばかりにゴンドラは揺れる。思わず白銀も手すりを力強く握っていた。

 

「会長…?本当に大丈夫ですよねこれ?」

 

「……ダイジョブだ」

 

「白銀…声が震えているぞ?」

 

 3人は恐怖心を押し殺して、ただ固まっていた。最早ロマンチックな雰囲気作りなど無理である。

 

 一方、藤原たちのゴンドラはというと、

 

「あはははは。揺れますねー」

 

「書記ちゃん、怖くないの?」

 

「これくらいなら全然平気ですよー?」

 

「あ、海だ…綺麗…」

 

「圭ちゃん!写真撮ろうよ!海をバックにして!」

 

 普通に楽しんでいた。

 

 

 

 

 

「風、止まったみたいですね…」

 

「ああ、正直肝が冷えたよ」

 

「俺もだ。まさかあんなに揺れるとな…」

 

 ゴンドラが天辺に近づいた頃、すっかり風は収まり、ゴンドラが大きく揺れる事は無くなっていた。白銀達は手すりから手を放して、一息ついていた。

 

「お、ちょうど夕日が綺麗に見えるな」

 

 白銀が外を見ると、空は夕焼けに染まっており、太陽が西に沈みかけている。

 

「これは、綺麗ですね…」

 

「そうだな」

 

 思わずその景色に見とれる3人。すると京佳が、何かを思いついたようにスマホを取り出して、

 

「2人共、折角だから夕焼けを背景にして写真を撮らないか?」

 

 白銀とかぐやに写真を撮ろうと提案をした。

 

「いいじゃないか。俺は賛成だ」

 

「そうですね。ロケーションも最高ですしね」

 

 2人は直ぐに賛成した。

 

「じゃあ白銀、私と四宮の間に来てくれ」

 

「「え?」」

 

「いや、だってそうしないと3人一緒に写れないだろ?」

 

 しかし、京佳の言葉を聞いて固まった。

 

「えっと、俺が2人の間に座ってもいいのか?」

 

「私は問題無いが?」

 

「わ、私も問題ありませんよ?」

 

 白銀の質問に、京佳は素直に、かぐやは少し照れながら答える。

 

「じゃあ、失礼するぞ…?」

 

 白銀はゆっくりと席を立ち、京佳とかぐやが座っている方へと動き出し、静かに2人の間に挟まる様に座った。

 

(あ、なんかこれモテ期がきてるみたいでいいな…)

 

 白銀は束の間のハーレム気分を味わっていた。

 

(か、会長の肩が…!こんなに密着して…!)

 

 そしてかぐやは嬉しさでいっぱいいっぱいになりかけていた。

 

「んじゃ撮るぞー。はい、チー…」

 

 京佳がスマホを構えて写真を撮ろうとした瞬間、

 

 ガタン!

 

 またも、強風が吹いてゴンドラが大きく揺れたのである。

 

「「っ!?」」

 

(うおぉぉぉぉ!?)

 

 京佳とかぐやはとっさに白銀の腕に抱き着いた。いきなり2人に抱き着かれた白銀は、思わず声を上げそうになってが何とか抑え込んだ。

 

「すまない白銀、急に抱き着いたりして…」

 

「す、すみませんでした会長…」

 

「いや、大丈夫だ…」

 

 京佳とかぐやはそう言うが、白銀から離れようとしはしない。このままでは色々とまずいと思った白銀は、自ら動くとした。

 

「あー、とりあえず、風も止まったみたいだし、俺は元の席に…」

 

 座ろうかと白銀が言おうとした時、かぐやが口を開いた。

 

「もう少し…」

 

「え?」

 

「もう少しだけ、このままでいいですか…?また強風がくるかも…ですし…」

 

 それは、かぐやが精いっぱいの勇気を振り絞って言ったセリフである。そんなかぐやに同調し、京佳も口を開く。

 

「四宮の言う通りだ…またいきなり強風が来て、バランスを崩して怪我でもしたら大変だろう?だから…」

 

 

「「もう少しだけ、このままで…」」

 

 

 かぐやと京佳。全く意図しない形ではあるが初めての共同作戦である。そして、黒髪の美少女のかぐやと、眼帯の美少女の京佳の2人に抱き着かれながらそう言われた白銀は、

 

「そう…だな…もう少しだけ…このままでいるか…」

 

 2人の提案を了承し、その場から動こうとはしなかった。結局写真は撮れなかったが、ゴンドラの中はとても幸せそうな空気があふれている。

 

 夕焼けのせいなのか、3人共顔が紅かった。

 

 

 

 

 

「いやー!楽しかったですねー!」

 

「だねー!本当に楽しかったよー!」

 

「そうだよねー!また遊びにきたいよねー!」

 

 『ギャラクシーワールド』の外。そこには『ギャラクシーワールド』を存分に楽しんだ8人がいた。一行は観覧車を乗り終えた後、トイレに行っていた石上と合流し、園内のお土産店でいくつかのお土産を購入したのち、こうして帰路へとついていた。

 

「会長?何かありました?」

 

 藤原たちが楽しかったと感想を言っている中、石上が白銀の様子が少しおかしい事に気づいていた。何と言うのか、覇気がないのだ。

 

「いや、あれだ。少し疲れただけだ…」

 

「そうですか。まぁ、確かに少し疲れましたよね」

 

 白銀の返答に納得する石上。

 

「かぐやちゃんも楽しかったー?」

 

「ふふふ、ええ。すごく楽しかったですよ」

 

 萌葉の質問に微笑んで答えるかぐや。とっさの出来事ではあったが、最後の最後に素晴らしい思い出が作れたのだ。かぐやの頭の中では、既に先ほどの観覧車の中での出来事が、やや膨張された状態で何回もリピートされている。

 因みに、京佳のことは意図的に記憶から抹消しており、頭の中でリピートしている内容は白銀と2人きりになっている。

 

「あ、もう駅に着いちゃいましたねー」

 

「ほんとだ。じゃあここでお別れだねー圭ちゃん」

 

 そうこうしているうちに駅に着く8人。そして藤原姉妹、かぐや、早坂、石上の5人。白銀兄妹、京佳の3人にそれぞれ分かれ始めた。帰る方向がそれぞれ違うからである。

 

「ん?早坂はどうしてそっちなんだ?来るときは一緒だっただろう?」

 

「実はちょっと用事があってねー。だから四宮さん達と同じ方向なんだー」

 

 嘘である。

 本当はこのまま四宮家別邸に帰るからだ。今朝はかぐやの従者である事がばれないように態々京佳と同じ電車に乗ったが、帰りは別である。途中で降りて、そのまま徒歩で四宮家別邸に帰ればいいだけなのだから。

 

「それじゃあ皆さん!今度は旅行で合いましょう!」

 

「じゃあねー圭ちゃん」

 

「では、失礼しますね。会長」

 

「さよならー京佳」

 

「じゃ、失礼します。会長、立花先輩」

 

 藤原の言葉と共にホームに上がっていく5人。

 

「んじゃ、俺達も帰るか」

 

「そうだな」

 

「ん」

 

 白銀達も、藤原たちとは別方向のホームに上がっていった。ホームに上がると、直ぐに電車が来た為3人は乗り込んだ。

 

「あの、京佳さん。今日は本当に誘ってくれてありがとうございました」

 

「俺からも礼を言わせてくれ立花。本当にありがとう」

 

「どういたしまして」

 

 京佳にお礼を言う白銀兄妹。普段、遊園地に行く事など無い2人にとって、今日の出来事は本当に楽しかったのだ。

 

「次は四宮の別荘へ旅行に行くが、圭も来るんだよな?」

 

「はい、色々準備しないといけませんけど」

 

「もし必要なものがあったら言ってくれ。買い物なら付き合うよ」

 

「そんな!悪いですよ!ただでさえ京佳さんには色々とお世話になっているのに」

 

「そうだぞ立花。何もそこまでしてもらわなくてもいい」

 

「おにぃうるさい」

 

「何で!?」

 

 会話が弾む3人。今から旅行が楽しみで仕方ないようである。

 

「ん、もう着いたか。じゃあ、私はここで降りるから」

 

 電車に乗って僅か数分。電車は京佳が降りる駅に到着した。京佳はアナウンスを聞いて、電車を降りる準備を始めた。

 

「じゃあ、2人共。またな」

 

「ああ、またな立花」

 

「はい京佳さん。さようなら」

 

 電車の扉が開き、京佳は電車を降り始める。

 

「……白銀」

 

「え?」

 

 しかし降りる直前で、白銀の方へと振り返った。

 

「今日は、私も本当に楽しかったよ。本当に」

 

「え?おおう、そうか」

 

「でも…」

 

「ん?」

 

 

 

「今度は、白銀と2人っきりで行きたいな」

 

 

 

「え?」

 

「じゃあな。2人共」

 

 そんな意味深な事を言うと、京佳は前を向き電車を速足で降りて行った。そして京佳が降りて直ぐに電車の扉が閉まり、電車は再び動き出したのだ。

 

「……どういう意味だ今の?」

 

「は?」

 

「まさか、そういう…?いやいや!落ち着け俺!もし勘違いだったら失礼だろう!」

 

「うっそでしょおにぃ…」

 

 しかし、白銀には言葉そのままの意味で伝わらなかった。そしてそんな兄を見た圭は唖然としている。普通はそのままの意味で伝わるはずなのに、どういう訳か兄かそのままの意味で捉えていないからだ。最も、全く意味が伝わっていない訳では無いようだが。

 

(京佳さん、ほんとに頑張ってください…私は味方ですから…)

 

 圭は心の中で、将来姉になるかもしれない人物へ激励の言葉を送った。

 

 

 

 

 

 おまけ 家に帰宅したかぐやと早坂

 

「それでね、その時にゴンドラが揺れてとっさに会長に抱き着いたのよ」

 

「…」

 

「あれはもう天からの祝福よね。おかげで会長に私を意識させる事は大成功した訳だし?今だったら神様でも何でも信じるわ」

 

「…」

 

「ふふ、これなら次の旅行の時には、会長が私に告白してくる事でしょう。ありがとね早坂。貴方の提案のおかげよ」

 

「…」

 

「ちょっと早坂?何か言ったらどうなのよ?」

 

「だってその話もう7回目なんですよ?いい加減うんざりしてるんですよ」

 

「別にいいでしょ?素敵な話は何回も話したくなるものじゃない」

 

「限度がありますよ。というかかぐや様?立花さんも同じゴンドラに乗ってましたよね?」

 

「何のことかしら?」

 

「えぇ…」

 

 

 

 

 




 圭ちゃんは京佳さんの気持ちを何となくですが察しています。そして去年色々とあった結果、好感度はかなり高めです。

 京佳さんと会長の過去編は必ず書きます。もちろん、京佳さんが眼帯をしている理由も。

 次回は少し幕間的な話を挟んでから旅行編にいく予定です。

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