もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 アニメ1期最終回の花火大会。なるべくオリジナル展開にしたい。どうあっても原作みたいには出来ないし。

 今回はかぐやメイン回です。3話構成の予定。


四宮かぐやと花火大会(1)

 

 

 

 

 

 四宮かぐやは、人生で1度も花火大会に行って花火を見た事が無い。彼女が見る花火というのは、東京の四宮家別邸の自分の部屋から見るものを言う。部屋から見える花火はとても小さく、音もかなり遅れてやってくる。でもかぐやはそれでも大丈夫だった。1人で見る小さな花火でも、綺麗と思えるのだから。

 

「とてもよく似合っていますよ。かぐや様」

 

「ありがとう早坂。ところでこの浴衣、丈が少し短くないかしら?」

 

「最近はこういうのが流行りなんですよ」

 

 だが今日は違う。かぐやは初めて、友人と一緒に花火大会に行くのだ。思えば色んな事があった夏休みだった。遊園地に旅行。去年とは比較にならないくらい楽しい夏休み。そして、その最後を締めくくる花火大会。

 元々旅行に行くはずだった藤原も、態々旅行をキャンセルしてまで来る事になっている。今まで1度も行った事がない花火大会。それを生徒会の友人達と一緒に行ける。かぐやはそれが嬉しくて、そして楽しみで堪らなかった。

 

「その花模様の浴衣であれば、白銀会長も喜ぶと思いますよ」

 

「そ、そうかしら?」

 

「はい。ですので変な事はせず、純粋に楽しんできてください」

 

「変な事って何よ」

 

 1学期のフランスの姉妹校との交流会の準備の買い出しの時に、白銀に『似合う』と言われたものと同じようなデザインの浴衣を着るかぐや。浴衣には桃色の生地に赤い花模様が描かれている。一昨日から早坂と一緒に時間をかけて、真剣に選んだものである。

 

「では、そろそろ出ましょう。直ぐに高橋さんに車を用意させます」

 

「ええ、お願いね早坂」

 

 早坂は同僚であり先輩である、執事の高橋に連絡をしようとした。その間、かぐやは自室で携帯を開いてわくわくしている。部屋から見る小さい花火ではなく、初めて見る事になる大きな花火。それを見れることが楽しみで仕方が無い。

 普通の人からすれば花火くらいで大げさと思うかもしれない。だけど、かぐやにとっては小さい頃からの憧れだった。それがもうすぐ叶う。

 

 

 

 しかし―――

 

「なりません」

 

 そんな簡単な願いすら、かぐやは叶えられない。

 

 

 

 

 

 花火大会会場

 

「あ、会長来ましたね」

 

「会長!こっちですよー!!」

 

 生徒会メンバーで決めた待ち合わせ場所。そこには甚平を着た石上と、ノースリーブのブラウスにスカートとサンダルというラフな格好の藤原がいた。

 

「おう2人とも。旅行以来だな」

 

 そしてそんな2人に何時もの制服姿の白銀が近づく。

 

「いや~でも晴れてよかったですね~。夜だけど快晴じゃないですか~」

 

「だな。夕立がこないか心配はあるが」

 

「大丈夫だと思いますよ。天気アプリでもそういった情報はありませんし」

 

 待ち合わせ場所に集合した3人は他愛の無い会話をする。空には雲一つない。星もよく見える最高の天気だ。これならば、花火も綺麗に見える事ができるだろう。

 

「あとはかぐやさんと京佳さんですね~」

 

「ですね。まぁあの2人なら遅刻するなんて事はないでしょうけど」

 

「そうだな。ま、仮に遅れるとしても連絡のひとつくらいはするだろう」

 

 来ていないのはあと2人。かぐやと京佳である。待ち合わせの時間まであと少し。しかし3人は、2人がどういう人間なのかをよく知っているため、特に慌てずその場で待っていた。

 

「すまない皆。少し遅れた」

 

 と、そんな時3人の後ろから声が聞こえた。

 

「おお、立花か。大丈夫だぞ。まだ待ち合わせの時間まで…」

 

 ”結構ある”と言おうとして、白銀は言葉を詰まらせた。

 

 その原因は京佳の姿にある。

 

 白銀が視界に収めた京佳は、アサガオが描かれている藍色の浴衣を着ており、腰には赤い帯、手には赤い巾着をもっており、足には黒い下駄を履いている。

 

 そんな浴衣姿の京佳は、素直に言ってとても綺麗だった。

 

 普段と何もかも違う姿。そんな京佳に白銀は驚き、思わず言葉を詰まらせたのだ。

 

「わぁ~!京佳さんすっごい綺麗ですよ~!」

 

「おおー浴衣ですかー。いいっすね。似合ってますよ立花先輩」

 

「ふふ、そうか。ありがとう2人共」

 

 京佳の浴衣姿の感想をいう藤原と石上。一方で白銀は京佳の見つめたまま黙って固まっていた。

 

(な、なんだこの気持ちは?なんというか、何だこれは?)

 

 白銀はモヤモヤしていた。浴衣姿の京佳を見てから、白銀の中に何かよくわからない感情があったからだ。

 そしてある結論に至る。

 

(まさか、俺は立花に見蕩れているのか?)

 

 それはすなわち、浴衣姿の京佳に見蕩れていたというもの。浴衣姿の京佳は、本当に美人だ。有名雑誌の表紙を飾れるのではないかと思うほどに。そんな京佳に、白銀が見蕩れるのも無理はない。だって白銀も、男なんだから。

 

「えっと、白銀。黙ってずっと見つめられると流石に恥ずかしいのだが…」

 

「ああ!す、すまん!」

 

 京佳にそう言われ、とっさに顔を反らす白銀。

 

「あれ~?会長~?ひょっとして、京佳さんに見蕩れてましたか~?」

 

 そんな白銀に、藤原がニヤニヤしながら近づく。

 

「べ、別に見蕩れてなどいない!」

 

 藤原の質問を白銀は否定する。美しいものを見て、美しいと思うのは別におかしくは無い。だってそれは普通の感情だ。だけど、恥ずかしい。白銀もまだまだ思春期。素直にそういう事が言えないお年頃である。

 

「……そうか」

 

 そんな白銀の反応を見て、京佳は落ち込んだ。

 

「だがまぁ…」

 

「え?」

 

「凄く、似合っているとは、思ったぞ」

 

「!そうか…!ありがとう、白銀!」

 

 だがすぐに元気になった。

 

(やったやった!白銀に似合っているって言われた!短期の引っ越しのバイトをしてまでお金を頑張って貯めて浴衣を買ったかいがあった!!ほんとに嬉しい!)

 

 というか滅茶苦茶嬉しがっていた。

 1学期の買い出しの時に白銀に言われた事を、かぐやと同じ様に京佳もしっかりと覚えていたのだ。それから時給の良い引っ越しのバイトをして、京佳は浴衣を買うためのお金を貯め、浴衣を購入。

 そして今、意中の男に『似合っている』と言われた。これが嬉しくない訳が無い。思わず、人目も気にせずはしゃぎたい気分になりかける程に。

 

 余談だが、京佳は必至でバイトをしていた時、その頑張り具合を見た引っ越し業者から『君このままうちで正規で働かない?』と言われていた。しかし『まだ学生なので』という理由で丁重にお断りをしている。

 

「あとはかぐやさんだけですね~」

 

「そうですね。まぁまだ時間ありますし、気長に待ちましょう」

 

 こうして4人は、かぐやを待つのだった。

 

 

 

 

 

『最近のかぐやお嬢様の行動は目に余ります。遊園地に旅行、そして今日は花火大会ですか?四宮家の令嬢として、もう少し慎みのある行動をとってください。それに、花火大会には大勢の人が来ます。その中にはロクな教育を受けていない者もいるでしょう。人込みのせいで付き人が目を離した隙にそのような者に絡まれ、もしかぐやお嬢様に万が一の事があった場合、当主様になんと申し述べればいいか』

 

 本家からやってきた執事の言葉を、かぐやはベットに横になりながら頭の中で何度も繰り返す。

 

『花火であれば、この部屋からでも十分に見えます。態々人込みに行く必要などありません。ですので、今日は屋敷から一歩も出ないでください。これは、かぐやお嬢様の為なのです』

 

 何度も何度も繰り返す。

 

(そうよ、仕方が無いもの…)

 

 『仕方が無い』と自分に言い聞かせながら。

 

(あの執事の言う通りよ。人込みは危ないもの。それに今年の夏休みは既に沢山遊びつくしているじゃない。あれだけ遊んでいるんだもの。別に花火大会くらい行けなくたって大丈夫…大丈夫…)

 

 そう何度も自分に言い聞かせる。既に今年の夏休みは沢山遊んでいる。このうえ、更に遊びたいというのは我儘が過ぎるとかぐやは思いこむ事にした。

 

「っ…!」

 

 だが、思わず手に力を入れて、ベットのシーツを掴む。いやなのだ。皆と一緒に花火大会に行けないのが。小さい頃からの夢が叶わないのが。去年までのかぐやであれば、こんな風にはならなかっただろう。別に花火大会に行けなくても、こんな風に落ち込むことなど無かった。

 だが今は違う。知ってしまっているからだ。暖かい人たちを。初めて面倒をみた後輩を。初めて友人になってくれた人を。初めて出来た気になる人を。そして初めて出来た恋敵(ライバル)を。

 

「しらなかったら、よかった…」

 

 昔の様に何も知らなければ、こんなに苦しい思いをする事など無かっただろう。かぐやは泣く寸前まで追い込まれていた。

 

「かぐや様」

 

 そんなかぐやに早坂は話しかける。

 

「もう少しで花火大会が始まりますよ。今からタクシーに乗ればギリギリ間に会うと思います。早く行きましょう?」

 

 花火大会に行かせるために。

 

「…何を言っているのよ早坂。無理よ」

 

「何が無理なんですか?」

 

「無理なものは無理よ。本家からやってきた使用人が沢山いるのよ?どうやってその使用人の監視を抜けるというの?それにあの執事の言う通りよ。人込みは危ないもの。そもそも花火ならここからでも見えるわ。それで私は十分だもの」

 

 ベットにうつ伏せになったまま、早坂にそう言うかぐや。だが早坂は口を閉じず、かぐやに喋り続けた。

 

「諦めるんですか?」

 

「何を…」

 

「そうやって諦めるんですか?折角私と一緒に浴衣選んで、花火大会を楽しむ方法という授業までして、普段使い慣れていない小銭を使う練習までして、本家の人に言われただけで諦めるんですか?」

 

「諦めていないわ。これは、妥協しているだけよ」

 

「いいえ。それは諦めです。いいんですか?このままでは立花さんは白銀会長と花火大会を楽しみますよ?」

 

「……別にいいわよ、花火大会くらい。遊園地と旅行では私も十分に楽しめたもの」

 

「じゃあ、白銀会長と立花さんが花火大会後に付き合っていても文句は言いませんよね?」

 

「…」

 

「花火大会というのは、告白が成功する確率がかなり高いと私言いましたよね?かぐや様という障害がいなれば、ここぞとばかりに立花さんはもの凄く積極的に白銀会長にアプローチを掛けますよ?そして立花さんが告白をして、白銀会長は押しに負けてそれを受けるかもしれません。そうなれば2人は恋人です。もしそうなっても、かぐや様は文句を言いませんよね?だって参加しないって言ったんですから」

 

「…」

 

「しかも白銀会長は責任感が強いです。1度恋人になってしまえば、そのまま責任を取るという形で数年後には結婚して夫婦になる事だってありえます。そうなれば、かつての学友を結婚式に招待するでしょう。そして永遠の愛を誓う2人をただ見ている事しか出来なくても、かぐや様は一切の文句を言いませんよね?」

 

「…」

 

「まぁ、仮に立花さんが白銀会長に告白をしなくても、生徒会のメンバー4人で花火を見る事にはなるでしょうね。恐らくとても良い思い出になるでしょう。でもかぐや様は、その思い出の中にはいません。それでも構わないんですね?」

 

「じゃあどうしろっていうのよ!!」

 

 早坂のマシンガントークに耐え切れなくなったかぐやが、ベットから勢いよく起き上がる。その目には涙が溜まっていた。

 

「嫌に決まっているでしょ!立花さんが会長と付き合うとかそういう事は関係なしに、私は生徒会の皆で花火大会に行きたかったのよ!でもどうすればいいのよ!本家からいきなり来た使用人が沢山いて、その人たちが屋敷内や出入り口を見張っていているのよ!?どうあっても1人じゃ外に出る事なんで出来ないじゃない!!何か方法があるなら…教えてよ、早坂ぁ…助けてよ、私を…」

 

 最初こそ大声で早坂に怒鳴るかぐやだったが、徐々に声が小さくなっていく。そして最後には、涙を流しながら早坂に助けを請うた。

 

「言えたじゃないですか」

 

「え?」

 

 かぐやの本音を聞いた早坂は、満足そうにそう言った。

 

「助けて欲しい時は素直にそう言って下さい。それができなければ命令して下さい。私はかぐや様の使用人なんですから」

 

「で、でも早坂。いくらなんでも貴方1人に命令しても状況は変わらないんじゃ」

 

「使用人は私だけじゃありませんよ?」

 

 早坂がそう言うと、かぐやの部屋の扉が開く。

 

「高橋…それに志賀…」

 

 そこには別邸の使用人である執事の高橋と、メイドの志賀がいた。

 

「かぐや様、私は長年かぐや様に仕えてきた使用人です。使用人は仕えている主人の願いを聞くもの。どうかご命令を」

 

「私は日が浅い雇われメイドではありますが、それでもかぐや様にはご友人と遊んできて欲しいです。どうか、お願いします」

 

 頭を下げる高橋と志賀。

 

「かぐや様、どうかご命令を」

 

 2人に続いて早坂も頭を下げる。そんな3人を見て、かぐやは命令を下す。

 

「命令よ3人共。私を花火大会に連れて行く算段を今すぐ考えなさい」

 

「「「かしこまりました、かぐや様」」」

 

 こうしてかぐやは四宮家別邸を脱出するべく動き出すのだった。

 

 全ては生徒会の皆と花火大会に行く為に。

 

 

 

 




 早坂以外に協力者が2人いるため、原作より早く別邸脱出を考えるかぐや。

 次回も花火大会。頑張ります。

 感想、評価、意見等をしてくれると嬉しいです。

夏休み中にオリ主である京佳さんメインの水着回を書きたいと思っているんですが、書いてもいいですか?

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