もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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そして沢山のお気に入り、評価、感想も本当にありがとうございます!
拙い文章ですが、これからもよろしくお願いします。
追記・7月9日 藤原書記のオリ主の呼び方をちゃん付けからさん付けに変えました。


立花京佳による男の特等席

 

 

 

 ある日、白銀と京佳は珍しく2人で生徒会の仕事をしていた。

 副会長であるかぐやと書記は別の仕事があるため今はおらず、会計は用事があると言いさっさと帰っている。

 久しぶりの2人きりの空間。普段の京佳であれば、白銀と会話をしながら仕事をこなすのだが、今日は殆ど喋っていない。

 

 その理由は白銀がひどく眠そうだからである。

 

 放課後に会ってからというもの、ふらふらとしたり、喋りかけても返事が曖昧なものだったり、目の鋭さがいつもの倍くらいだったりと何かと眠そうに見える。京佳は何かあったのかと純粋に心配した。

 

「白銀、大丈夫か?」

 

「あぁ、大丈夫……すまん、実は結構限界がきている…」

 

「何があったんだ?いつもそこまで寝不足ではないだろう?」

 

「実はな…」

 

 白銀の話を纏めるとこうだ。

 昨日、バイトに行っていた白銀だったが、バイトが終わる直前にトラブルが発生した。トラブル事態はバイト先の人が全員で対応することにより何とかなったのだが、その結果白銀の帰宅時間が大幅に遅れてしまったのだ。いつもより遅くに帰宅し、そこから夕食を取り、風呂に入り、勉強をした。

 おかげで就寝したのは夜中の3時を過ぎたころだった。しかもその日の朝には新聞配達のバイトがあったため、結局1時間程しか寝れておらず、ほぼ徹夜だった。そのせいで今日はいつも以上に睡眠不足になっているのだ。

 

「白銀、少し仮眠を取るべきだ」

 

「いや、しかしまだ生徒会の仕事が…」

 

「今日の仕事は大した量じゃない。他のメンバーで十分こなせるさ」

 

 白銀の話を聞いた京佳は流石に仮眠を取るべきだと進言した。白銀は考えた。確かに今日の仕事は大した量じゃない。それに今の状態では、とてもいつもの様に仕事ができるとは思えない。少しくらい皆に頼っても問題は無いだろう。そして決断した。

 

「すまん。じゃあ、1時間だけ寝させてもらう…」

 

「ああ、おやすみ。白銀」

 

 白銀は京佳の言葉に甘え、仮眠を取ることにした。自身が座っていた長椅子の背もたれに身体を預け、瞼を閉じた。

 そして―――

 

「すぴー…すぴー…」

 

僅か1分で白銀は眠りについた。京佳はよほど眠かったのであろうと思い、白銀が寝ている間に作業を進めようと手を動かそうとし、

 

「…………」

 

 その手を止めた。

 この時京佳にある考えが浮かんだのだ。突然閃いたと言ってもいい。もし今考えた事が成功すれば、白銀の意識を自分に向けさせるという事について1歩前進できるのではないか?

 

「…………よし」

 

 京佳はそうやって少し考えた後、閃いた事を実行に移した。

 

 

 

 

 

 

「いやー、結構時間掛かっちゃいましたねー、かぐやさん」

 

「そうですね、予定の時間を大幅に過ぎちゃってますね」

 

 そうかぐやと会話をする女生徒は藤原千花。現生徒会の書記である。

 ゆるふわ系の美少女で、京佳に負けず劣らずの巨乳でもある。そして稀に誰も制御しきれないような事をしでかす、ある意味問題児な生徒だ。

 しかし、かぐやが認めた数少ない友人であり、現生徒会には色々と欠かせない人材である。

 そんな藤原とかぐやは、先程までしていた仕事を終わらせ、生徒会室に向かっていた。

 

「こんにちはですー」

 

「こんにちは」

 

「こんにちは、2人共」

 

 長椅子に座っていた京佳にあいさつをしながらかぐやと藤原は生徒会室に入ってきた。

 

「あれ?京佳さんだけですか?会長は?」

 

 本来ならば既にいるはずの白銀が居ない事に気づいた藤原は京佳にそう質問をした。

 

「白銀ならここにいるぞ」

 

「え?」

 

 京佳は藤原の質問に、指を自分の下方向に向けてそう言って答えた。藤原とかぐやは不思議そうに長椅子へと近づていった。そして、長机が見えるまで視界が開けるとそこには―――

 

「ほわぁ!?なんと!?」

 

「なぁっ!?」

 

 白銀が生徒会室の長椅子に横になり、京佳の膝の上に頭を置いて眠っていた。

 

「た、立花さん…?何をしているんですか…?」

 

「見ての通り、膝枕だ」

 

 膝枕

 幼い頃は耳掃除などで親子間で行う出来事だが、成長するにしてそれは恋人同士が行うスキンシップへと変わる。

 彼女にして欲しい事で上位にランクインする出来事でもあり、彼氏は『自分だけの特等席』を味わえる瞬間だ。あらゆる漫画、ドラマでも見る事がある、恋人同士が行う理想のシチュエーション。

 それが膝枕である。

 

「いやそうじゃなくて!どうして会長に膝枕をしているんですか!?」

 

「ああ、そっちか」

 

 京佳は2人に経緯を説明した。白銀がバイトのトラブルのせいで寝不足な事、そのせいで今にも倒れそうだった事、自分が仮眠を進めた事、そし仮眠を取ると決めた白銀が直ぐに眠ってしまった事を。

 

「それで、背もたれに寄りかかったままでは疲れると思ってね。ならば横にしておこうと思い、ついでに膝枕をしてみたんだ」

 

「ついで!?ついででやったんですか!?」

 

 京佳の発言にかぐやは驚愕した。

 この世の中に恋人同士でも無いのについでで膝枕をする女子が居るとは思わなかったからだ。

 

「京佳さん、大胆ですね~」

 

「そうか?膝枕くらい誰でもするだろう?」

 

「いやいやそんな事ないですよー。普通恋人くらいですってー」

 

 『恋人』

 藤原が言ったその言葉がかぐやの心に刺さった。

 

(こんな事するなんて、まるで本当の恋人みたいじゃない!)

 

 かぐやにとって膝枕とは、恋人同士がする行為という認識である。そんな行為を付き合ってもいないのにこうも簡単に行い、そして人前でも平気であり続ける京佳。そして京佳の膝の上で熟睡している白銀。

 そんな2人はまさに恋人の様に見えた。白銀と京佳は恋人同士ではないが、これを第三者が見たらどう思うかは大体想像がつく。

 実際、今の2人は『疲れた彼氏に自分の膝を貸して休ませている彼女』という言葉がよく似合っていた。

 本当の恋人と錯覚する程に。

 

 かぐやは何とかして京佳に膝枕を辞めさせたいと思った。縦え本当の恋人ではなくとも、先ほどから2人が本当の恋人に見えて仕方ないのだ。

 しかしかぐやは―――

 

(膝枕を無理やり辞めさせようなんて、まるで私が嫉妬してるみたいじゃない!!)

 

 何時もの様に、自分の気持ちを頑なに認めないため動けずにいた。

 

 一方白銀に膝枕をしている京佳は少しだけ残念と思っていた。

 その理由は―――

 

(胸が邪魔で白銀の寝顔が見えづらいな…)

 

 自分の身体のせいで折角の寝顔があまり見えないからである。最も、寝顔が見えづらいという事以外は満足であった。なんせ意中の男に膝枕をしているのだ。

 膝枕をしてからというもの、自身の膝の上に白銀の体温を感じ続けているし、かぐやと藤原の2人が来るまでは白銀の寝息をずっと聞く事が出きていた。おかげで疑似恋人体験ができたのだ。とっさに思い付いた事で、結構勇気のいる行動だったが、動いて正解だったと京佳は思った。

 現状、これ以上の幸せは存在しないであろう

 

「それにしても―――」

 

 京佳は幸せ感じている時、かぐやが内心焦っている時、藤原が口を開いた。

 

「会長の寝顔って初めてみましたよー私ー」

 

「ま、まぁ。それは確かに…」

 

 藤原が言った事は最もだった。白銀は授業中に居眠りをするなど絶対に無いし、生徒会室で仮眠を取るというのも今まで誰も見た事が無かったからだ。これ程レアな現象はなかなかお目に掛かる事などない。

 

 故に―――

 

 カシャ

 

 藤原がポケットからスマホを出し、写真を撮るのも仕方無いのかもしれない。

 

「いや藤原さん、何してるんですか?」

 

「いやー、だってレアじゃないですかー。会長の寝顔ですよー?」

 

 そう言って藤原はスマホの画面をかぐやに見せてきた。そこには熟睡している白銀の顔がアップで映っている。かぐやは一瞬その写真に目を奪われたが、直ぐに冷静になった。

 

「藤原さん?写真というものは被写体に一度断りを取って撮るものって知らないんですか?」

 

「えー?かぐやさんは欲しくないんですかー?会長の寝顔ー」

 

 かぐやの正論に藤原は笑顔で答えた。質問に質問で返しているが、それはかぐやを大きく揺さぶっていた。

 

(欲しいに決まっているでしょう!?会長の寝顔よ!?)

 

 かぐやは心の中で叫んだ。白銀の寝顔など、そもそも見る事が希少なのだ。もし、そんな希少な寝顔を写真に収める事ができたら、それはどれだけ嬉しいことなのだろうか。嬉しさのあまり、携帯の待ち受けにするかもしれないし、自宅に帰ったら早坂に頼んでプリンターで印刷をしてもらうかもしれない。しかしプライドの高いかぐやは―――

 

(でも私から会長の寝顔写真が欲しいなんて言える訳ない!!)

 

 何時もの様に素直になれないでいた。まあ、これに関しては『人が寝ているところを勝手に写真に収めるのはどうなのか?』という道徳的な問題もあるのだが。そんなかぐやの内心など知らない藤原はぐいぐい来た。

 

「かぐやさんも撮りましょうよー」

 

「で、でも……」

 

 藤原の口車に乗りそうになるかぐや。

 

「いいんじゃないか?寝顔を撮るくらい」

 

 そんな藤原に京佳が援護射撃をしてきた。最も、そう言ったのは『寝顔写真。みんなで撮れば怖くない』と言った感じなのだが。京佳はかぐやが写真を撮った後、自分も写真を撮るつもりでいた。その為にも、是非かぐやには白銀の寝顔を写真で撮って貰いたいのだ。

 

「ほらー、京佳さんもこう言ってますしー、バレなきゃ大丈夫ですよー、ね?」

 

「お、お2人がそう言うのであれば…」

 

 かぐやは2人に言いくるめられて携帯を取り出した。これは京佳と藤原が言いうからであって、断じて自分の意志で写真を撮る訳では無いと言い聞かせて。

 そう断じて『秘密裏に撮った会長の寝顔を待ち受けにして、それを携帯を開くたびに見て幸せな気分に浸りたい』訳では無いのである。

 かぐやは自身にそう言い聞かせながらカメラを起動し、白銀の顔にそれを向けた。

 

(あ、会長…意外とまつげ長い…)

 

 白銀の顔をコンマ数秒堪能し、かぐやはシャッターを切った。

 その瞬間―――

 

「四宮…?」

 

「え?」

 

 白銀は目を覚ました。

 

(え?なにこれ?)

 

そして困惑した。

 

(何で四宮が携帯を俺に向けてんの?あと何で四宮と藤原は横になってんの?つかなんか、今すっごく気持ちいいな…なんだこれ?柔らかくて温かくていい匂いして…いやいや、そうじゃない落ち着け。確か俺は立花に仮眠を取る様に言われて、背もたれに寄りかかって目を閉じてそれから…)

 

「おはよう、白銀」

 

 白銀が状況を整理している時、白銀から見て左の方から声をかけられた。その瞬間、白銀は自分の状況を理解した。

 

今自分は、立花に膝枕をされているのだと。

 

「うおぉぉぉぉ!?」

 

 白銀は自身の状況を理解し、勢いよく頭を上げた。そしてその瞬間―――

 

 ポヨン

 

 京佳の胸に頭をぶつけた。白銀の頭にぶつかった京佳の胸は上方向へと揺れた。それはもうすっごく揺れた。たゆんと揺れた。

 

「っつ……す、すまん立花!?大丈夫か!?」

 

「だ、大丈夫だ…少し痛かったが……」

 

 白銀が右手で頭を、京佳は両腕で胸を隠すように押さえた。

 

「わー、中々無いハプニングですねー」

 

 藤原がそう言った瞬間、白銀は顔から火が出そうになった。

 

(いやすっげー恥ずかしい!?立花に膝枕されてただけじゃなく四宮と藤原のそれを見られて!?さらに勢いよく上げた頭が立花の胸に…!?てかこれ大丈夫か!?胸に当たったとかセクハラで訴えられない!?)

 

 何とか自分で舌を思いっきり噛む事により顔には出さない様にしているが、中身は何時も以上に焦っていた。セクハラで訴えられるのでは無いかとヒヤヒヤもしていた。

 一方で京佳は、胸を押さえたまま顔を少し紅潮させた。

 

(当たった…白銀の頭が胸に当たった…)

 

 京佳はかなり攻撃型だが、急な不意打ちには弱かったりする。最も今回のは、女性であれば誰でも恥ずかしがるだろうが。

 

(ちょっと予想外の事はあったが、1歩前進しただろうか…?)

 

 膝枕だけで終わる筈が、思わぬハプニングのおかげで白銀に意識を向けさせることに成功したのではないかと京佳は思った。

 まだまだ白銀を振り向かせるには遠いが、少なくとも1歩前進はしただろうとも思った。

 

(すっごい揺れた…すっごい揺れた…)

 

 そしてかぐやはそれを光を失った眼で見ていた。

 

 

 

 

 

 

 その日の夜 かぐやの部屋

 

「それでかぐや様、どうしたんですか?緊急の相談って」

 

「早坂、高校生でも豊胸手術ってできるのかしら?」

 

「落ち着いてくださいかぐや様。取り合えずその考えに至った経緯を教えてください」

 

 

 

 

 

 




物語を作るのは本当に難しいね。
次回は遅れるかも。艦〇れのイベントあるんで…

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