もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
そして、今回だけ原作かぐや様以外の別作品のキャラが出ます。そのため一応クロスオーバータグ増やしました。
現在、白銀達は施設内に設営された特設会場の上にある解答者席に座っている。その横には、自分たち以外にも決勝戦に進んだ2チームがそれぞれの席に座っており、決勝戦を今か今かと待っているようだ。
『では!先ずは決勝戦に進んだ3チームをご紹介しましょう!』
水着姿の女性司会者が、マイクを手に決勝戦に進んだ3チームを紹介する。
『先ずはAチーム!男の子のほう曰く、愛の力で勝ち上がってきたそうです!いやー!青春してますねー!爆ぜればいいのに!』
「ありがとうございます!誉め言葉です!」
「そうだな。嫉妬は私達には誉め言葉だ」
『ははは!皮肉が通じません!こんちくしょー!』
Aチームは茶髪の男子と銀髪で長髪の女子の2人組だ。司会者の皮肉を軽く流すあたり、色々と訓練されている。因みに銀髪の女子の水着は黒いハイネックビキニである。エロイ。
「頑張りなさいよ2人共ー!」
「く!私が一緒に出たかった…!」
「あの2人が1番優勝の可能性があるから仕方ないのだー」
「『頑張って下さい』『我らが友よ』」
「ふふ、2人とも~。精一杯応援しているからね~」
会場には、Aチームの2人の友達なのか、応援する者たちがいる。しかも全員女子。そのうえ美人揃い。一体彼らはどういう集まりなのだろうか。
『続いてBチーム!優勝賞金が欲しくてここまで来たそうです!正直ですねー!そして賞金を手に入れたら美味しいご飯を食べに行くとか!』
「うっし!明日子さん!頑張ろうぜ!」
「ああ、そうだな。頑張って優勝して今夜は美味しい桜鍋を食べよう。ヒンナだぞ」
「おう!今から楽しみだぜ!」
Bチームは顔や体に沢山の傷がある屈強な男性と、深く青い瞳で黒っぽい長い髪の女子の2人組。言っちゃなんだが、傍から見たら『極道のお嬢とその護衛の組員』にしか見えない。因みにだが、長髪の女子は藍色のモノキニを身に纏っている。かわいい。
「頑張れよ2人共ー!勝ったら今夜は皆で酒飲みながら桜鍋だぞー!」
「いやラッコ鍋の方がよくないか?」
そんなBチームの2人を応援する、坊主頭の男と胸毛が濃ゆい男。恐らく友人だろう。しかし、何ともキャラが濃ゆい男たちである。
『最後にCチーム!ここまできたなら絶対に負けたくないとのこと!イジリがいの無いコメントでしたが頑張って欲しいですね!』
「おい!イジリがいが無いって何だ!」
「やめとけ白銀。ああいうのはムキにならない方が良い」
そして白銀と京佳のCチーム。司会者の突然のダメ出しに抗議する白銀だったが、京佳に言われすぐに落ち着いた。
「会長ー!立花さーん!頑張ってくださーい!」
「応援してますよー。会長ー」
そんな2人を応援する渚と翼。白銀達がクイズ大会に出る事を知った2人は、どうせなら応援しようと思い、こうして会場にいる。
(これ無様な姿晒せないなぁ)
同じ学校に通う学友が見ているのだ。例え優勝できなくても、生徒会長らしくしておかないと、夏休み明けに自分の株が下がっているかもしれない。そう思った白銀は気合を入れ直す。
『では決勝戦に参加するチーム紹介も終えたところで、ルールを説明します!』
白銀にダメ出しをした司会者は、決勝戦のルール説明に入った。
『決勝戦は早押しクイズです!そして最後に最も多くのポイントを持っていたチームが優勝です!答えがわかっても他のチームより早くボタンを押して答えないとダメですからね!因みに不正解をしたらその問題の解答権は消えちゃいます!よく考えて答えて下さい!』
どうやら決勝戦は早押しクイズの様だ。数多くあるクイズ番組でもよくあるやつである。
『では、ルール説明も終わったところで、早速いってみましょう!』
そして、優勝賞金20万円をかけた決勝戦が始まった。
『問題。日露戦争中に当時の日本軍とロシア軍が激戦を繰り広げた旅順攻囲戦。その中でも特に激戦となり、当時の日本軍が11月28日に攻撃を開始した丘陵の名前は?』
ピンポン!
『おーっとBチーム早い!それで答えは!?』
「203高地」
『正解です!Bチーム1点先取!』
「よっしゃあ!」
先ず1点を制したのは、体中に傷のある男のいるBチームだった。
『ではどんどん行きましょう!問題。かつて存在した、エジプト新王国第19王朝のファラオの名前は?』
ピンポン!
『おっと!今度はAチームです!それでは答えを!』
「ラムセス2世。またはラメル2世」
『正解です!Aチームに1点!』
「ふ、これくらい朝飯前というやつだよ」
次に問題を答えて1点を取ったのは、銀髪女子のいるAチーム。
『では次です!問題。空に輝く星座。その中のひとつである射手座は何を狙っている?』
ピンポン!
『今度はCチーム!では答えをどうぞ!』
「さそり座」
『正解です!Cチームに1点!これで並びましたね!いやー、これはもしかするととんでもない接戦になるかもしれません!』
「おっし!」
星座の問題を答えたのは、星座大好きな白銀がいるCチーム。
(しかしこれは本当に、どうなるかわからんな)
不意にそう思う白銀。まだ3問しか出ていないが、今の所全チームが答えている。つまり、全チーム実力派拮抗している可能性があるのだ。今後の問題の内容にもよるが、このままでは本当に接戦になるかもしれない。
(だが、ここまできたんだ。絶対に優勝して20万円を持って帰ってやる!)
何度もいうが、白銀にとって20万円はとてつもない大金だ。20万円もあれば、どれだけ生活が楽になるか。故に目指すは優勝のみ。白銀は再度気合を入れ直し、クイズに挑むのだった。
『問題。アイヌ民族の伝承に登場する小人で、蕗の葉の下の人という意味の名を持つ者の名前は?』
「コロポックル」
『正解!Bチームに1点!』
『問題。人気小説、王冠恋物語シリーズ。その主人公である王子の名前は?』
「カマクル!」
『正解です!Aチームに1点!』
『問題。ドイツ海軍が初めて建造した空母。その艦名は?』
「グラーフ・ツェッペリン」
『Cチーム正解!1点!』
白銀の予期した通り、決勝戦は接戦だった。ひとつのチームが答えたら、次は別のチームが答える。それの繰り返しだ。結果として、全チーム点数が横並びになっている。これでは本当に、どこが優勝するかわからない。
(まずいな、何とかして2問連続で答えないと…)
残り問題数がどうなっているかわからいが、そう多くは無いだろう。ここで一気に2問正解して他と差を付けたい。
『さぁ!ここまで全チーム同点!いやー!まさか本当にこれ程の接戦になるとは思いませんでしたねー!』
女性司会者も白銀と同じ気持ちの様だ。最も、大会的には盛り上がっているので嬉しい所である。
『さて、時間も色々差し迫っているので、次が最後の問題とします!』
(嘘だろ!?もう最後か!?)
そして唐突に次が最終問題という。決勝戦が始まってもうすぐ40分。ここまで接戦になるとは誰も思っておらず、運営は司会者に指示を出していた。施設の利用時間もある為、これはしょうがない。
『それでは、最後の問題。竹取物語において、かぐや姫が求婚された際、求婚してきた者たちに課した自分に持ってくるように言った品物を全て答えて下さい』
(なんだと?)
最後の問題は竹取物語、もっと分かりやすくいうとかぐや姫からの出題だった。物語内において、かぐや姫は5人の男に求婚される。その5人に出したかぐや姫からの無理難題。その無理難題がクリアできたのなら結婚するというもの。その時、かぐや姫が言った無理難題な品物。それが名称が問題の様だ。
(落ち着け…!答えは知っている!確か、仏の御石の鉢、蓬莱の玉の枝、火鼠の皮衣、龍の首の玉、そしてあとは…)
脳をフル回転させ、思い出す白銀。彼とて竹取物語は知っている。古文の授業で習ったし、単純にこの話が好きなのだ。故に答えは知っている。なので脳に刻まれているはずの答えを出そうと必死になっているのだ。
(確か、何かの鳥の貝だったよな?何だっけ?鷹?鴉?雉?)
他のチームの人も、白銀と同じように悩んでいる。
(思い出した!燕だ!燕の子安貝だ!)
そしてついに、白銀は答えを出した。あとは解答ボタンを押して、答えるだけだ。
(よし!これで、20万円は俺のものだぁぁぁぁぁ!!!)
白銀は自分の勝利を確信し、少し大きく腕を振り上げてボタンを押すのだった。
「……あんなに大きく腕を上げるんじゃ無かった…あとほんの少し早くボタンを押していれば、優勝だったのに…」
「元気を出せ白銀…」
クイズ大会終了後。そこには落ち込んでいる白銀がいた。その隣には京佳いて、落ち込んでいる白銀を励ましている。彼は先ほど行われていたクイズ大会決勝戦で、答える事が出来なかったのだ。
その理由は、自分より早くAチームがボタンを押して解答権を得て、そして答えてしまったからである。結果として、白銀達Cチームは同着2位。そして2位の賞金は、3万円。決して少なくは無い金額だが、20万円と比べると雀の涙である。
(まいったな…ここまで落ち込むとは…)
自分の好きな人が落ち込んでいるのは見たくない。京佳は何とかして白銀を元気づけたかった。
(そうだ。折角プールにきているんだ。何かで遊ぼう。そうすれば白銀も元気になるかもしれない)
ここは『ざぶーん わくわく!』という人気レジャーランド。何もクイズ大会だけがけしか遊べない訳では無い。折角他に遊べるところがあるのだ。ならばそこで、負けてしまったショックを和らげればよい。
「白銀、少しいいか?」
「ん?何だ立花?」
「いや、折角プールにきているんだ。どうせなら、何かひとつくらい遊んでいかないか?」
「ぬ、しかしなぁ…」
「何かで遊んだ方が、気が紛らわせると思うぞ?」
「……そうだな、折角有名なレジャーランドにきているんだし、ひとつくらい遊ぶか」
過ぎた事は仕方ないと思った白銀は、京佳の提案を受け入れた。
「おおぅ、結構高いな…」
「そうだな。でもその分楽しめると思うぞ?」
白銀と京佳は、ウォータースライダーに来ていた。その落差、およそ30メートル。しかも入口から出口まで、曲がったり真っすぐしたりと様々な形となっているので、スリル満点間違いなしだろう。
「ではお客様、こちらの浮き輪に乗ってください」
スタッフに言われ、ウォータースライダーに設置されている、上から見たら数字の8のような形をしている2人乗り用の大きな浮き輪に乗ろうとする2人。
「えっと、立花は前と後ろどっちがいい?」
「私はどっちでもいいぞ?」
「ふむ、ならば俺は後ろでいいか?」
「かまわないよ。なら私は前に乗ろう」
京佳が前に、その後ろに白銀が乗り込む。
「いいですか。左右に設置している取っ手をちゃんと握っていて下さいね」
「わかりました」
スタッフにそう言われると、白銀と京佳は左右にある取っ手を力強く握る。
「それでは、行きます。どうぞ楽しんできてください」
そしてスタッフは、浮き輪を思いっきり後ろから押し出す。そのまま2人が乗った浮き輪はウォータースライダーを流れて行った。
「うぉぉぉぉぉぉ!?」
「ははは、これは凄いな!」
白銀は思わず声を出し、京佳は楽しくて笑う。ウォータースライダーはかなりの速さが出ている。カーブを曲がると、思わず外に投げ出されるんじゃないかと思えてしまう。
素直に言って、かなりスリルがある。
(いや怖ぇ!?これ普通に怖ぇ!?)
というか怖かった。
白銀は初めて経験するウォータースライダーに恐怖を感じている。ジェットコースターの様に、体をしっかりと固定している訳では無い。そのせいで身体が大きく揺れる。その動きが怖いのだ。
(いや!こんなことで怖がってはいけない!耐えろ俺!)
何とか恐怖を抑えて耐える白銀。ここで怖がっていては、生徒会長としての威厳が無くなってしまう。故に何としてでも耐えなければならない。白銀はそう自分に言い聞かせて、恐怖を押し殺した。
そして2人を乗せた浮き輪は、そのまま勢いよくウォータースライダーの出口にあるプールに落ちて行った。
が、ここでちょっとしたアクシデントが起こってしまう。
2人が乗っていた浮き輪が、勢い余ってひっくり返ってしまったのだ。
(もがもがもご!??)
白銀はカナヅチである。自宅の風呂で溺れた経験があるレベルの。そんな白銀にとって、この状況はかなり危険である。
(す、水面!水面に出ないと!!)
腕を必死にばたつかせて水面に行こうとする白銀。こんなところで人生を終えたくない。というか、ウォータースライダーで遊んで溺れましたなんて恥ずかしくて死んでも死にきれない。
「ぷっはー!!死ぬかと思った!!」
そしてついに、白銀は水面に顔を出して息を吸える事ができたのだ。
「あー、危なかった。こういう事もあるって事を完全に失念していた」
ぼやく白銀。そして周囲を見渡す。
「あれ?立花?」
一緒に乗っていた筈の京佳の姿が無い。もしや自分と同じように溺れているのかと思ったが、周りには気泡が無い。どういう事なのかと白銀が思案している時。
「し、白銀…」
「ん?」
後ろから声をかけられる。振り返ると、そこには顔だけ水面に出している京佳がいた。
「どうした立花?てか、なんか顔赤くないか?まさか熱中症か?」
「ち、違う…!そうじゃない…!」
「?」
京佳の反応に、白銀が頭に疑問符を浮かべる。だが、その理由はすぐに分かった。
「そ、それ…返してくれ…」
「え?それ?」
「その、手に持っているやつだ…」
「手だと?」
京佳に言われて、自分の手を見る白銀。すると、今まで気づかなかったが、白銀の右手に何かが握られていた。それは黒くて長い布であり、紐の様なものもついている。
そしてそれが京佳のビキニだと気づくのに、白銀は10秒以上かけた。
「……え?」
思わず呆気にとられる白銀。そしてもう1度京佳の方を見る。京佳は顔を真っ赤にしており、よくみると両腕で自分の胸を隠している。
つまりこれは、今現在京佳は上半身が生まれたままの姿だという事だ。
因みにどうしてこうなったかというと、先ほど白銀が溺れそうになった時、必死に腕をばたつかせたのが原因である。あの時白銀の右手が、京佳の胸に思いっきり接触。そして指が水着にひっかかり、まるで剥ぎ取るように京佳のビキニを奪ったのだ。
「た、頼む…流石にこのままじゃここから動けない…」
「あ、はい…」
あまりの衝撃に、1周まわって冷静になる白銀。そしてゆっくりと京佳に近づく。
「ま。待ってくれ白銀!頼むから目を閉じてくれ!」
「そ、そうだよな!?すまない!本当にすまない!!」
目を瞑り、京佳に水着を差し出す白銀。それを受け取った京佳は、そのまま水中でビキニを付けたのだった。
そしてその後、なんか気まずい雰囲気の中、2人はそれぞれ更衣室に向かうのだった。
「本当にすまない。立花」
「大丈夫だよ白銀。あれは事故な訳だし」
施設の外。そこには着替えた白銀と京佳がいる。最後のウォータースライダーでの出来事。いくら事故とはいえ、あんなことをしてしまったのだ。白銀はそれに少なくない責任を感じている。最も、京佳はあまり気にしていない様だが。
「いや、あれはダメだ。いくら立花が大丈夫と言ってもあれは俺の中ではダメなんだ」
「いや、しかし」
「頼む。謝るだけじゃ俺が納得できないんだ。だから何かさせてくれ」
しかし、白銀は嫁入り前の友人を辱めたようなものだと思いかなり気にしている。ただ謝るだけじゃ納得ができない。なにか形ある謝罪をしたい。そうしなければ自分を許せない。
「……そうだな。だったらひとついいかな?」
「ああ。何でもとはいかないが、可能な限り何でもしよう」
京佳もそういったものを感じたのか、白銀にひとつお願いをすることにした。
「また、今度でいい。今日みたいに私とデートしてくれないか?」
「え?そんなのでいいのか?」
「ああ。私はそれがいいんだ」
「わかった。立花が良い時でいいから、いつでも言ってくれ」
京佳は白銀と、再びデートの約束を取り付けた。少し卑怯なやり方かもしれないが、京佳にとっても白銀にとってもここが落としどころだろう。
「それじゃあ、帰ろうか」
「そうだな。っとそうだ。帰りに買い物をしないと。もうそろそろ米が切れそうだし」
「なら白銀。またあそこのスーパーに行かないか?」
「あそこか。確かにあそこはいいな。よし、行こう」
その後、白銀と京佳は前に2人でお米を買いに行ったスーパーに再び一緒に買い出しをしに行った。
因みにその日の夜、白銀家の夕飯はトンカツだった。圭はめっちゃ喜んでいた。
水着イベントといったらポロリだよね、という安直な考え。
これにて水着デート、そして夏休み終了。長かった… 次からは2学期に入ります。
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