もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 実は作者、最初はミコちゃんの事あまり好きじゃなりませんでした。あの正義感とかが。

 まぁ今ではすっかりお気に入りなキャラですけどね。


白銀御行と選挙

 

 

 

「皆さんにお願いがあります。今日の選挙、伊井野ミコに徹底的に勝ってほしいんです」

 

「どうしたんだ石上。神妙な顔して」

 

 生徒会選挙の最後の見せ場、応援演説と立候補演説。その開始15分前、石上は神妙な顔つきで元生徒会メンバーの白銀たちにお願いをしていた。

 

「無論私達全員、やるからには徹底的に勝つように動くつもりだが」

 

「事前調査では私達に9割近くの票が集まってますよ?これだったらそこまで心配する必要は無いと思いますが」

 

「伊井野さんには何か隠し玉があるのかしら?」

 

「ありません。今日の選挙はまず間違いなく僕たちが勝つでしょう。それでも、先輩方ならそれ以上の勝ち方が出来るはずです」

 

 京佳、藤原、かぐやがそれぞれ答える。石上に言われるまでもなく、全員徹底的に勝つつもりだ。だが石上は念を押す様に言う。

 

「…何かあるのか?伊井野ミコに」

 

「ええ、まぁ」

 

 そして白銀が石上に問いかける。

 

 

 

 

 

「成程、こういう事か」

 

「はい、これが伊井野ミコが絶対に勝てない理由です」

 

 かぐやによる白銀の応援演説が終わり伊井野の立候補演説となったのだが、その光景は見るも無残と言える。まず声が小さくて聞こえない。次に伊井野の顔は赤く目の焦点が定まっていない。誰の目から見ても緊張しているのは明白だ。そしてそれを見ている体育館に集まった生徒たちは、クスクスと笑っている。

 

「あいつは元々人前で話すのが苦手な奴でした。ですが選挙に負けるたびに酷くなっている。そりゃ笑えますよ。学年成績1位の融通の利かないクソ真面目な優等生がこうも見事に生き恥を晒しているんですから」

 

 石上が白銀に説明している間も、伊井野は小さい声で必死で演説をしようとしている。しかし全くと言っていいほど声は聞こえない。それを見て小さな笑い声がまた聞こえる。

 

「僕だってあいつにはムカついてますし、多少恨みだってあります。でもそれ以上にイラつくんですよ。頑張っている奴が馬鹿にされるのは」

 

 石上は伊井野を笑っている生徒たちを睨みつける。

 

「任せろ。伊井野ミコが恥ずかしくない勝ち方をすればいいんだろ?」

 

 そして白銀は石上の頼みを聞くのだった。

 

 

 

 

 

「全く会長ったら。態々敵に塩を送るなんて。ほっとけば相手は自滅すると言うのに」

 

 かぐやはため息をつく。このまま何もしなければ、勝手に対抗馬である伊井野は自滅する。選挙に勝ちたいのであれば、態々手を貸す必要など無い。

 だが白銀は石上の頼みを聞き、伊井野に最悪の負け方をしないように動く。お人よしにもほどがある。

 

「でも、白銀らしいじゃないか」

 

 かぐやの隣に立っている京佳が言う。

 

「確かに四宮の言う通り、このまま何もしなければ白銀が当選するだろう。だけどああやって、誰かを助けようとするのは実に白銀っぽい。そんな優しい白銀はとても素敵じゃないか?」

 

 実際、白銀はかなり人が良い。こうやって後輩の頼みを聞いて、対抗馬である伊井野に恥をかかせない様にするぐらいには。

 

「ま、否定はしません。会長みたいな人はそうはいませんし。そんな会長だから、私たちも全幅の信頼を寄せていますしね」

 

「そうだな。それに、白銀なら相手に塩を送ったとしても勝つさ」

 

「ええ、そうですね」

 

 かぐやは京佳に同調する。少し前までのかぐやは、白銀が善行をするたびに『何か裏があるんじゃないか?』と疑っていた。しかしそのうち根負けして、白銀のような人もいるものなんだと思う様になった。

 

(そしてそんな会長を、私は好きになったんですよね…)

 

 そしていつしか、かぐやはそんな白銀に惹かれ始めたのだ。

 

(って違いますから!別に私はそういう意味で会長の事を好きではありませんから!ただ人として好きってだけですから!!)

 

 必死で頭を左右に振って否定するかぐや。この四宮家のご令嬢は、いつになったら自分の気持ちに素直になるのだろうか。

 

「突然どうした四宮?」

 

「いえ!何でもありませんよ!?」

 

「いや、でも今」

 

「本当に何でもありません!今は会長に集中しましょう!」

 

「そ、そうだな」

 

 突然かぐやが頭を左右にブンブンと振り出したのを見た京佳が何事かと思い声をかけるがかぐやは何でもないと言う。食い入る様に言うかぐやに何かを感じたのか、京佳はそれ以上の追及をやめて、白銀に集中する事にした。

 

(危ない危ない。危うく立花さんの話術に乗せられてとんでも無い事を口走るところでした…は!?まさかこれは立花さんの策略!?この場で私の気持ちを暴露させて皆の前で恥をかかせようとしているんじゃ!?)

 

 とんでもない言いがかりである。別に京佳にそんなつもりは無い。

 

 その後の生徒会選挙は白銀と伊井野の討論に発展し、それは30分以上渡り繰り広げられた。

 

 

 

 

 

「僅差だな」

 

「僅差っすね」

 

 投票結果が書かれた掲示板の前では、京佳と石上と白銀がいた。生徒会選挙の結果、白銀は310票。そして伊井野は290票。僅か20票の差で白銀に軍配が上がった。これで生徒会長は白銀に決定。

 しかし、事前調査では9割近い票を集めていたのに、かなりの僅差となっている。これは白銀と伊井野の討論が原因だろう。あの討論で伊井野は自分が言いたい事を全て言えた。

 その結果、伊井野がどれだけ学園の事を考えているかを多くの生徒に伝える事ができ、こうしてかなりの票を集める事ができた。その結果として、これ程の僅差となってしまった。

 

「まぁ、確かに僅差ではあるが勝ちは勝ちだ。これでまた生徒会長として働く事になるな」

 

 済ました顔をしている白銀だが、実はかなり焦っていた。石上の頼みを聞き、伊井野に恥をかかせない様にした事だが、その結果は僅差。下手をすれば負けていた可能性もある。

 

(マジでよかったぁぁぁ!!本当に焦ったぁぁぁぁ!!)

 

 内心、汗ダラダラな白銀。今度からはもうこんな真似しないと決めた。

 

「ところで、四宮はどうしたんだ?」

 

「誰かさんのせいで胃痛起こして倒れたんですよ!私ちょっとかぐやさんを保健室に運んできます!あと会長!2度とこんな無茶な真似しないでください!私も結構焦ったんですから!」

 

「お、おう」

 

 何故か顔色が悪く藤原に背負われているかぐや。そして藤原はかぐやを保健室まで運んで行った。

 

「それはそうと石上、これでいいか?」

 

「ええ。ありがとうございます」

 

 石上の視線の先には、大勢の生徒から励まされている伊井野がいる。その顔は笑顔だ。

 

「そういえば、会計監査を決めないとな」

 

「そうっすね。え?会長?何か考えています?」

 

「ま、ちょっとな」

 

 そう言うと白銀は、伊井野の周りの人達が捌けるのを待った。

 

 

 

「私たちを、生徒会に?」

 

「ああ。まだ生徒会長を目指すつもりなら生徒会で経験を積むべきだと思うんだ。2人さえよければ、是非生徒会に入って欲しい」

 

 伊井野の周りの人たちが捌けたあと、白銀は伊井野たちににある提案をする。それは生徒会への勧誘だった。

 

「あ、私は結構です。元から生徒会に興味ありませんし」

 

「そうなの!?」

 

 しかし大仏はこれを拒否。彼女は元から伊井野を応援したいだけである。特に生徒会に思い入れは無い。

 

「それで、ミコちゃんは?」

 

「えっと、私、生徒会に誘われるの初めてで、あの、少しだけ考えさせてください」

 

「わかった。でもその気があれば、明日生徒会室に来てくれ」

 

 伊井野は小さくうなずく。それを見た白銀は、伊井野は明日、ほぼ間違いなく生徒会室に来ると確信する。

 

「ところで、さっきから後ろの3人がそわそわしてますよ」

 

「は?」

 

 大仏に言われ白銀が後ろを振り向くと、そこには何故かそわそわしている京佳と石上と、かぐやを保健室に運び終えた藤原がいた。

 

「どうした3人共?」

 

「えーっとですね、役職ってどうなるのかなーって?」

 

「ぶっちゃけ不安なんです。僕たちもう選ばれないんじゃないかって」

 

「そうそれ!どうなんですか会長!私たちってもう生徒会に入れないんですか!?」

 

 生徒会の役職は生徒会長の一存で決める。つまり前期に生徒会役員だったとしても、続投できる訳では無いのだ。自分たちがもう選ばれない事ははないだろうと思ってはいる3人だが、万が一がある。

 

(大丈夫…私だってこの1年ちゃんと仕事をしたんだ。特にミスもしていない。でも、私は庶務。1番替えが効く役職だ。もしかすると、私はもう白銀に指名されないんじゃ…?)

 

 特に京佳は不安がってた。庶務はいわば雑用である。かぐやの様に副会長として白銀を支える技量も、石上の様にデータ入力を早く終わらせられる技術もいらない。つまり極端な話、誰でもいいのだ。

 

(どうしよう…そもそも私はこの生徒会選挙期間、特に何もしていない…さっきだって藤原は白銀のことをあまりよく思っていない生徒の近くで待機して教師をそこに誘導した。石上は応援演説中に流れていた映像を制作した。そして四宮は白銀の応援演説をした。それに比べれ私がしたこと言えばビラを刷って貼ったことくらい……あれ?私が1番役にたっていないんじゃ?)

 

 他のメンバーは白銀の役に立とうと色々仕事をした。しかし京佳はあまりそういった事をしていない。せいぜいビラを印刷したり各所に貼ったりしたくらい。そうした事を思い出したせいで、京佳を更なる不安が襲う。

 

(どうしよう…!任命されなかったら白銀に会う機会が劇的に減る!そうなったらもう、白銀家に押しかけ女房をするくらいしか!!いやもういっそ押し倒して既成事実を…!)

 

 遂に最終手段を使う事さえ考え始めた。だがそんな京佳の不安など杞憂に終わる。

 

「何言ってるんだ、藤原書記、石上会計。それに立花庶務も。新生徒会初の仕事だ。体育館の椅子を片しに行くぞ」

 

「は、はい!」

 

「うす」

 

「!…ああ、了解だ」

 

 白銀は前生徒会役員を変えるつもりなどこれっぽちも無い。最初からこのまま続投させるつもりだ。そして4人は体育館に並べられた椅子を片付けるのだった。

 

 

 

 保健室

 

「何で会長は私の様子を見にこないの?何で?ねぇ何で?私が倒れたのだから何よりも優先して様子を見にくるべきでしょう?なのになんで一向にくる気配が無いの?もしかして会長は、私を生徒会に入れる気がないんじゃ?いやもしかすると、私じゃなくて立花さんを副会長に任命するんじゃ?」

 

「ほんとに体調にメンタル左右されますね」

 

 そしてここに、京佳と同じように不安がる女生徒が1人いた。勿論かぐやだ。保健室のベットの傍には早坂もいる。

 

「大丈夫ですって。白銀会長ならちゃんとかぐや様をまた副会長に任命しますって」

 

「だって、私は今回数多くの部を丸め込んで票を集めたり、選挙管理委員そのものを傀儡にしたのよ?この事がバレたら会長だって私を任命する訳ないじゃない…!」

 

「え、そんなことまでしてたんですか?流石に引くんですけど」

 

「引かないでよ!政治家だって皆している事でしょ!?」

 

「偏見ですよそれ……多分」

 

「所詮私は薄汚い手段しか出来ない女。そんな私を生徒会から外しても仕方がな…何が仕方ないのよ!あんまりじゃない!!」

 

「何も言ってませんけど?」

 

「そもそも私が頑張って集めた票をふいにしてあんな行動をとったのよ!?これって私の頑張り何てどうでもいいって事でしょ!?これじゃまるで内職でせっせと稼いだお金を博打で打つ旦那じゃない!

 

 誰が妻よ!!」

 

「もう面倒くさい…てかうざい…」

 

 遂に思った事を口にする早坂。

 

「そこまで言いたい事があるなら本人に直接聞きましょう」

 

「え?」

 

「じゃ」

 

 何かに気づいた早坂がそうかぐやに小さく耳打ちすると、音も立てずに窓から出て行った。

 

「四宮、大丈夫か?」

 

 すると保健室に白銀が入ってくる。

 

 そしてこの後、かぐやは再び副会長に任命されるのだった。

 

 

 

 

 

 翌日 生徒会室

 

「さて、生徒会選挙も終わってこれからまた通常業務に戻る。特に2学期は忙しい。体育祭に文化祭。そして修学旅行。やる事は本当に多いし大変だが、皆気張っていくぞ!」

 

「ええ、勿論」

 

「はい!了解です!」

 

「うっす。わかりました」

 

「は、はい!私もしっかり頑張ります!」

 

「ああ、頑張ろう」

 

 こうして新生徒会が発足した。

 

 

 

 

 

 新生徒会メンバー

 

 生徒会長  白銀御行

 

 副会長   四宮かぐや

 

 書記    藤原千花

 

 会計    石上優

 

 会計監査  伊井野ミコ

 

 庶務    立花京佳

 

 

 

 

 




 伊井野ミコが仲間になった。そしてそろそろまたわちゃわちゃしたお話書く予定です。

 ところで会長と京佳さんの過去編どうしよう。勿論書くつもりですが、どこでその話を書こう。


 そして来週は更新できないかも。


 月〇リメイク買うから。発売本当に待っていたんですよ。ええ、本当に。
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