もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 作者は執筆が超追い込み型です。なのでいつもこんな時間に投稿する事となってます。いや平日は書く暇無いもので…

 まぁ朝日が昇るまでは日曜日だしいっか。(暴論)

 追記、年齢を変更。


立花京佳と恋人

 

「京佳さんはいますかぁぁぁぁ!?」

 

 ある日の放課後、藤原が勢いよく生徒会室の扉を開けながら入ってきた。どうやら京佳に用事があるようだ。

 

「どうしたんだ藤原?立花なら今日は用事があると言って既に帰宅しているが」

 

「どういった用事と言ってましたか!?」

 

「いや、それは知らんが」

 

「おお!これは感じます!ラヴの匂いを感じます!ラヴ探偵の血が騒いでいます!」

 

「いや何言ってんだお前?」

 

 勝手に納得する藤原。そんな1人で勝手に納得している藤原に白銀は首をかしげる。

 

「あの藤原先輩、一体何があったんですか?」

 

「よく聞いてくれました石上くん!」

 

 1人で納得している藤原に石上が訪ねる。そして訪ねられた藤原は意気揚々と答え始めた。

 

「実はついさっきクラスの子からある話を聞いたんです!」

 

「ある話?」

 

「はい!京佳さんに恋人がいるっていう話です!!」

 

『ええええーー!?』

 

 京佳に恋人がいるという事を。

 

 

 

「マジなのか?藤原?」

 

「はい!私はボードゲームでは嘘をつく事はあっても恋愛関係で嘘をつく事はありませんから!」

 

 それはそれでどうなのかと思うが、実際藤原は恋愛大好きな恋愛脳なのでそういった嘘だけは言わない。しかしなんとも衝撃的な話である。生徒会メンバーには、未だに恋人がいる者がいない。それ故、こういった話に興味を惹かれるのはしょうがない。

 

「藤原さん、私達にもその話を聞かせて下さい」

 

「勿論です!」

 

 かぐやに尋ねられ、藤原は話し出す。

 

 クラスメイトの女子曰く、昨日京佳が放課後に身長の高い男性と一緒に居るところを見たらしい。それだけならまだしも、何でもその男性と京佳の距離がかなり近かったとも言う。そして京佳も笑顔でその男性と話していた。

 それを見たクラスメイトの女子は『あの男性は立花さんの恋人なのでは?』と思い、友達であり京佳と同じ生徒会役員である藤原に聞いてきた。

 その結果、藤原の恋愛脳が天元突破。さっそく本人に聞き出そうとして走って生徒会室にやってきて、先程勢いよく扉を開けたのだ。

 

「どうですか!?これもうそうでしょ!!」

 

「いや、友達という可能性も…」

 

「ありえません!だって肩が触れるくらいの距離ですよ!?友達じゃそんな距離はありえません!もう少し離れます!」

 

「そんな事ないんじゃ?」

 

「いいえ!絶対にそうです!ラヴ探偵としての私の勘がそう言っています!これはもう間違いありません!」

 

「根拠ゼロじゃないっすか」

 

 石上が恋人ではないのではと言うが藤原は聞かない。というのも藤原、最近はこういった話が無くて飢えているのだ。元より恋バナが大好きな藤原だが、最近はそういった話を全く聞かない。そこに突然降ってきた友達の恋人持ち疑惑。この状態でその話に食いつかない訳が無い。なので多少強引な理論を展開してでもこの話を広げようと必死だったりする。

 

「それで藤原。一体これからどうするつもりだ?」

 

「無論、京佳さんを見つけ出して色々とお話を聞きます」

 

「落ち着け藤原。仮に立花に恋人がいたとしても、それを今から聞き出そうなんて真似をするな。明日にでも本人に聞けばいいだろう」

 

「いいえ!善は急げって言います!今すぐ私はお話を聞きたいんです!!という訳で今日は私も帰らせてもらいます!」

 

「お前なぁ…」

 

「会長は気にならないって言うんですか!?」

 

「いやそりゃ気にはなるが…」

 

 藤原は止まる事などもう考えていない。今すぐにでも生徒会室から飛び出して京佳を見つけに行きそうだ。白銀もかなり気になるのだが、流石に今すぐ見つけ出して聞こうとは思っていない。

 仮に本当に恋人がいた場合、京佳は今放課後デートの最中かもしれないのだ。それを邪魔する事はしたくない。

 

「だったら行きましょうよ!皆で!」

 

「え?皆で?」

 

「だってここにいる全員気になるでしょ!?だったら全員で行きましょう!」

 

(こいつさては共犯者を増やすつもりだな)

 

 白銀は何となく藤原の思惑を察する。もし複数人で京佳の後を着いて行ったとなれば、連帯責任となり責任が分散される。1人だけで着いて行って怒られるよりずっといいだろう。

 

「なら私は藤原さんに着いていきます」

 

「四宮!?」

 

「四宮先輩!?」

 

「おお!かぐやさんもやっぱり気になりますよね!?」

 

「はい。私だって年ごろですもの。そういったものに興味だってあります」

 

 ここでかぐやが藤原と行動を共にすると宣言。それを見た白銀と伊井野は驚く。

 

(これは間違いなくチャンスですね)

 

 勿論かぐやが藤原に着いていくと言ったのには理由がある。好奇心もあるが、本当に京佳に恋人がいた場合、それは白銀関係の障害が無くなる事を意味する。仮に恋人じゃなくても、その男性と京佳をくっつけさせればいいだけだ。

 

「だ、ダメですって!仮に本当に立花先輩に恋人がいたとしても、そんな後を着けて相手のデートをのぞき見するようなマネなんて!!」

 

 だがここで異議を唱える者がいた。伊井野である。彼女は真面目な生徒だ。勿論好奇心として京佳の恋人云々は気になるが、こっそり後を着ける真似なんてしたくない。いや、そんな真似してはいけない。故に異議を申し立てた。

 

「いいですかミコちゃん。これは調査です」

 

「え?調査?」

 

「はい。もし京佳さんの恋人が悪い人だったら京佳さんが危ない目に合うかもしれません。なので私達生徒会で相手を見定めるんです」

 

「見定める…」

 

「藤原さんの言う通りですよ伊井野さん。立花さんは私達にとって大事な友達です。そんな友達がもし悪い人に利用されていたら大変です。なので私達の手で相手をちゃんと見ておかないといけません」

 

「利用される…」

 

「だからミコちゃんも行きましょう。3人そろえば何とやらと言いますし!」

 

「わ、わかりました。そういう事なら」

 

((よし))

 

((言いくるめられてる…))

 

 藤原とかぐやの話術により伊井野は陥落。2人に着いていくことになった。それを見ていた白銀と石上は、伊井野がかなりチョロイ奴だと認識する。

 

「さぁ会長!石上くん!どうしますか!?行きますか!?行きませんか!?」

 

 白銀と石上に振り返りながら藤原は尋ねる。その目には炎が灯っている様に見えた。

 

 

 

 

「結局全員できちゃいましたね…」

 

「まぁこうなったらなぁ…」

 

 結局白銀と石上も着いていく事となった。5人は既に学校を後にして、街中に繰り出している。

 

「ところでどうやって立花先輩を探すんですか?」

 

「それなら問題ありません。既に居場所はわかっていますから」

 

「え?マジっすか?」

 

「はい。〇〇通りのカフェにいるらしいですよ」

 

「どうやって調べたんですか四宮先輩?」

 

「石上くん。女性には色々と秘密があるものなんですよ?」

 

「そ、そっすか…」

 

 かぐやの笑顔に恐怖した石上はこれ以上聞くのをやめた。因みに、かぐやが京佳の居場所を知ったのは前もって早坂を使い京佳の居場所を突き止めていたからである。

 

「さて行きましょう」

 

「はい!」

 

 かぐやを先頭に目的地であるカフェを目指して歩いていく生徒会メンバー。

 

「あそこですね」

 

 あっという間に目的地にたどり着く。

 

「う~ん。ここから見た感じだと京佳さんは見当たりませんね」

 

「店内じゃないっすか?」

 

「なら入りましょうか」

 

 カフェテラスには京佳の姿は見当たらない。よって5人は店内に入る事にした。

 

「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」

 

「5人です」

 

「ではこちらへ」

 

 店員に案内され奥へと進んでいくと、

 

(あ!いました!京佳さん発見です!)

 

(え!?どこどこ藤原さん!?)

 

(ほらあそこ!時計がグニャーってなってる絵が飾っている机の隣!)

 

(藤原先輩、あれダ〇っていう有名な画家の絵画ですよ)

 

 藤原、京佳を発見。4人が目線を移動させると、そこには確かに京佳がいた。

 

 見知らぬ男性と一緒に。

 

 そして2人は同じ席でコーヒーを飲んでいた。

 

(おおおお!?絶対あの人ですよ!噂の恋人というのは!!)

 

 藤原はテンションを上げた。これは噂の信憑性が増したと思ったからだ。

 

「それではこちらの席へお座りください」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 5人は京佳から少しだけ離れた席へ案内され、5人はそこに座る。

 

「メニューはこちらです。お決まりになりましたらお呼びください」

 

 店員はメニューを渡しその場から去る。

 

「私はアイスコーヒーでいいですね」

 

「私もそれでいいです」

 

「あ、じゃあ私も」

 

「僕もそれで」

 

「あー、俺もそれでいいわ」

 

 5人共ここにお茶しに来たわけではない。京佳の噂の真相を確かめに来ている。よって飲み物など適当でいい。

 因みに席順はかぐや、藤原、伊井野が3人並んで、反対側に白銀、石上が座っている形となった。丁度男女が対面する形となっており、合コンのようにも見えなくもない。

 

 尚かぐやは白銀から1番離れた席に座っている。

 

「いやー、美味しい。久しぶりにこういう所でコーヒー飲めたよ」

 

「でも本当に久しぶりだよ。昨日いきなり帰ってきた時は驚いたし」

 

「まぁね。驚かせようと思ってたし」

 

 すると会話が聞こえてきた。これは好都合。5人が座っている席は丁度仕切りがあってお互い顔は見えない。これならじっくりと顔バレせずに話を聞く事ができるだろう。

 

「これはまさか遠距離恋愛ですかね?」

 

「ええ、会話の内容から察するにそうでしょうね」

 

「ほぉぉぉ!?これはテンション上がってきましたよーー!」

 

「藤原さん、静かに」

 

「あ、はい」

 

 どうやら男性の方は暫く京佳から離れていたようだ。それを聞いた藤原とかぐやは遠距離恋愛をしていたのだと思う。

 

「ところで、何時まで日本にいるんだ?」

 

「今年いっぱいはいるよ。来年はまた海外に行くかもしれないけど」

 

「そうか。それは少し寂しいな」

 

「ははは、そりゃ嬉しい」

 

 会話が弾む2人。

 

「海外?もしかしてあの男の人は社会人ですかね?」

 

「その可能性はありますね。まぁ大学生という可能性もありますが」

 

 そしてその会話を聞いて色々考察する2人。

 

「お待たせしました。カボチャケーキです」

 

 そんな時、京佳の席に店員がやってきた。どうやらかぐや達が来る前にケーキを注文していたようだ。

 

「お、美味そう。じゃ、いただきます」

 

「いただきます」

 

 そして運ばれてきたケーキを食べ始める2人。とても美味しそうだ。

 

「なんか僕もケーキ食べたくなってきました。頼んでいいですか?」

 

「そうですね。丁度小腹も空いちゃいましたし。てかそろそろ私達も注文しましょうか」

 

「そうね。ならケーキを5人分でいいかしら?」

 

「私は大丈夫ですよ」

 

(アイスコーヒーとケーキで870円か…)

 

 5人は店員を呼び、注文をした。白銀は多少の出費が出たがここで自分だけ注文しないのは空気が読めないと思われそうだったので皆と同じように注文をした。

 

「あ、京佳じっとして」

 

「え?」

 

「口にクリームついてるから」

 

 ここで動きがあった。男性が京佳の口元を紙ナプキンで拭き始めたのだ。

 

(((((えええええぇぇぇぇぇ!!?)))))

 

 余りに人目を気にしない行為。それを見た5人は声を抑えながらそれを静かに凝視。

 

「ちょ、やめてくれ。もう子供じゃないんだぞ?」

 

「俺からすればまだまだ子供だよ」

 

 京佳は恥ずかしそうにする。そんな京佳を見ながら男性は笑っていた。

 

「これもうそうでしょ!?絶対にそうですって!!」

 

「ええ!間違いないわ!!友達ならあんな行為しないもの!!」

 

「ですよね!私も先輩達と同じ意見です!!」

 

「いやこれはマジかもしれないっすね!」

 

 女子3人と石上は声のボリュームを抑えながら意見が一致。でも確かに今のは友達の距離感でやる事ではない。やるとすれば恋人だろう。

 

「……」

 

「会長?どうかしましたか?」

 

「いや、何でもない」

 

 そんな中、白銀だけは何故か無言だった。何やら考えている様にも見える。

 

「しかし暫く見ないうちにまた大きくなったか?」

 

「……今どこ見て言った?」

 

「勿論身長だけど?」

 

「……ならいい。あと身長は別に伸びてない、と思う…」

 

「気になるなら今度測ってみればいいじゃん」

 

「もし伸びて居たら嫌だから測りたくない…」

 

 2人は相変わらず会話が弾む。傍から見ればもう完全に恋人である。

 

「あの、藤原先輩。やっぱり私達って凄くいけない事をしているんじゃ?」

 

「してません。これはたまたま席が近くて向こうの会話が聞こえているだけです。断じていけない事はしていません」

 

「藤原先輩。最初と言っている事変わってませんか?」

 

「黙っててください石上くん」

 

 伊井野は罪悪感に襲われる。やっている事は盗聴まがいの事だ。真面目な伊井野にこの行為はかなり心にくるものがある。伊井野が罪悪感に襲われているそんな中、かぐやは別の事を考えていた。

 

(しかし、まさか立花さんが2股をしていたなんて…)

 

 それは京佳が2股をしていたという事だ。かぐやは京佳が白銀に好意を寄せているのを知っている。それだけなら邪魔な存在というだけで終わるのに、まさか白銀以外にも別の男性にも好意を寄せ、あまつさえこうして密会をしているのだ。

 これはある意味、白銀に対する裏切り行為ではないかとかぐやは思っている。

 

(ま、これなら始末は簡単ですね。なんせ現行犯ですし。後で会長にもそういった事を吹き込めばそれだけで立花さんは破滅です。他の生徒会メンバーも私の味方にできるでしょうし)

 

 京佳の排除計画を考えるかぐや。目がマジだ。確かにこれならば、白銀も京佳に振り向く事など無いだろう。なんだって恋人がいるのだから。

 

(そうですね…早坂に連絡して写真も撮って貰いましょう。そうすれば言い訳も出来ないでしょうし)

 

 思考を巡らせ、証拠集めも考えるかぐや。

 

 そんな時である。

 

「ところでさ、さっきからこっちをこっそり見ている子達って京佳の知り合い?」

 

「え?」

 

『え?』

 

 自分たち事がバレたのは。

 

「……いたのか皆」

 

「あ、あはははは…」

 

 京佳が席を立ち、藤原たちを見つけた。藤原は愛想笑いをした。

 

「どうしてそんなこっそりしてたんだ?」

 

「そんな事今はどうでもいいんですよ!京佳さん!その人はどなたですか!?噂の恋人ですか!?」

 

「は?」

 

 藤原は強引に話題を変えた。そもそもの目的は京佳の事である。京佳の噂の真相を確かめる為にこうしてこっそりとしていたのだ。今は兎に角その事が知りたい。

 

「恋人?誰が?」

 

「その人ですよ!その男の人!!」

 

 藤原が京佳と同じ席に座っている男性を指さす。それを皮切りに、他のメンバーも会話に参加。

 

「そうですよ立花先輩!その人は恋人さんなんですか!?」

 

「僕も聞きたいです。てか何で教えてくれなかったんですか?」

 

「そうですね。教えてくれれば祝福したというのに。あ、おめでとうございます立花さん。心から祝福しますよ。ええ本当に心の底から」

 

 かぐやだけまるで勝ち誇った顔をしているが、皆の質問は大体一緒だ。

 

「いや、恋人じゃないが」

 

『え?』

 

 しかし京佳はこれを否定。それを聞いたメンバーは少し呆気に取られる。

 

「そんな訳ないじゃないですか!?恋人でない限りあんな事しませんよ!!」

 

「藤原先輩の言う通りです!恋人じゃなきゃなんだって言うんですか!?」

 

「立花さん?恥ずかしいのはわかりますが、ここまできて認めないのはどうかと思いますよ?」

 

 京佳に噛みつく女子3人。かぐやだけはこの期を逃すものかという感じだが。

 

「じゃあ誰ですかその人?」

 

 石上が冷静に質問をする。そして京佳は、

 

「兄だ」

 

『え?』

 

 たった3文字で男性の正体を説明した。

 

「あに??」

 

「ああ」

 

「お兄さんって事ですか?」

 

「そうだぞ」

 

 急に冷静になる藤原。それに合わせた様に、男性が喋り出す。

 

「どうも始めまして。京佳の兄の立花透也(たちばなとうや)です。よろしくね」

 

 どうやら男性の正体は、京佳の恋人では無く兄とのこと。名乗った名字も立花。京佳と同じだ。

 

「本当にお兄さんなんですか?」

 

「そうだよ。京佳のお友達?初めまして」

 

「あ、はい。どうも初めまして」

 

 藤原はあいさつをする。どうやら本当に京佳の兄らしい。

 

(ちっ。全く藤原さんったら紛らわしいですね)

 

 かぐやは男性が京佳の恋人では無く兄と知って心の中で舌打ちをした。折角邪魔者を排除できると思ったのに、これで排除計画全てが無に帰したからだ。

 

「あのーお客様。他のお客様のご迷惑になりますので、どうかお静かに…」

 

「あ、はい…すみません…ほんとすみません…」

 

 店員に言われ、藤原たちは席に大人しく座る事となった。そしてその後、注文したケーキとアイスコーヒーを食してからカフェを出るのだった。

 

 

 

「本当にすみませんでした。あんな真似をして」

 

「気にしてないからいいよ」

 

「俺も気にしてないから大丈夫だよ」

 

 店から出た後、藤原たちは京佳とその兄である透也に謝っていた。

 

「藤原先輩がこっそり見ようって言いだしました」

 

「ちょっと石上くん!?最後には皆が賛成したでしょ!?」

 

「でも言い出しっぺは藤原先輩です」

 

 石上は罪から逃れる為藤原を売った。

 

「まぁ、もう2度とこういう事はしない方がいいよ?人によっては危ない目に合う事だってあるし」

 

「うう。本当にすみません…」

 

 京佳の兄である透也からも注意される藤原。その後、全員がその場で解散。そして藤原は暫く恋バナは自粛しようと決めた。

 そして帰り道に石上から『ラヴ探偵の名前返上したらどうですか?』と言われ泣きそうになった。

 

 

 

「あの子達が秀知院での友達?」

 

「そうだよ」

 

「面白い子達だね」

 

「ああ。おかげで毎日が楽しいよ」

 

「いやーよかったよ。京佳が学校で馴染めていないんじゃないかって心配だったけど、あんな面白い子達が友達なら心配なさそうだね」

 

 皆と別れた後の帰り道、京佳は兄の透也と話しながら帰っていた。透也は割とシスコンである。それは京佳が中学時代に顔の半分を硫酸で焼かれたのが原因だ。あれ以来、京佳はよくからかわれたりしていた。実の兄なら心配し、そしてシスコンにもなる。

 

「それで、今日はどうするんだ兄さん?」

 

「ちゃんと外泊許可を取ってるからこのまま自宅へ行くよ。久しぶりに京佳のご飯食べたいし」

 

「そうか。なら今夜は兄さんの好きな生姜焼きにしよう」

 

「お、そりゃ嬉しい」

 

 そして帰る途中で買い物をして、その日の夕飯は生姜焼きとなった。

 

 

 

 

 

「……」

 

 白銀は自宅への帰り道、ある事をずっと考えていた。

 

「なんだろうな、これ?」

 

 先程までいた店で京佳が兄である透也と楽し気に会話していた時、それを見ていた白銀の中で何かがあった。

 

 何というか、モヤモヤするのだ。そして少しだけイライラもしている。

 

 特に透也が京佳の口を紙ナプキンで拭いていたのを見た時は、そのモヤモヤが一層激しくなった。

 

「わからん…何だこれは?」

 

 結局白銀は、この感覚が何かがわからずその日は眠りについた。だが上手く眠る事が出来ず、翌日少しだけ寝不足となったのだった。

 

 

 




 立花透也(たちばなとうや)
 京佳の実の兄。23歳。身長190cmで黒い短髪の巨人。そして現役の海上自衛官で護衛艦勤務。ただ、その身長のせいでよく船の天井に頭をぶつける。因みに柔道2段で好きな食べ物は生姜焼きとかつ丼。
 給料の半分は仕送りとして京佳と母親に送っている。将来の夢は護衛艦の艦長。そして自覚のあるシスコン。もし京佳が嫁に行くこととなれば間違いなく泣く。でも祝福はちゃんとするつもり。



 一応言っておきますが、彼は別に妹の下着を盗んだりしたりはしないタイプの人シスコンです。

 次回も頑張りたい。てか頑張る。

 

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