もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
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「失礼する」
「こんにちは立花さん、ちょうどよかったです」
「ん?どうした四宮?」
京佳が生徒会室に入ってきた瞬間、かぐやが突然喋りかけてきた。何か生徒会の仕事でもあるのだろうかと京佳が思っていると、かぐやの口からとんでもない質問をされた。
「質問なのですが、立花さんはもう初体験を経験済みですか?」
「…………は?」
かぐやからの質問に京佳は一瞬時が止まった。
「…何でそんな質問をするんだ四宮?」
「いえ、この雑誌に乗っているアンケート結果に『初体験は高校生までに経験済みと答えたのは34%』と書いていましたので、立花さんはどうなのかなと…」
とりあえず京佳はどうしてかぐやがそのような質問をしたのか経緯を知ることにした。あの四宮かぐやが、何の脈絡もなくそのような猥談めいた質問をする訳無い。何かきっかけがあるはずだと思ったからである。
そして京佳からの質問にかぐやは「恋バイブス」という雑誌を手にして、アンケート結果が書かれているページを京佳に見せながら答える。
しかし京佳は、かぐやから質問された経緯は理解したが答えたくなかった。
(恥ずかしいから言いたくない…!)
2人だけならまだしも、現在生徒会室には白銀と藤原もいるのだ。誰しも大勢の人間がいる場で自分の経験の有無について言いたくは無いものである。そこで京佳は、失礼と思いつつも再びかぐやに質問をすることにした。
「…すまない、質問に質問で返すことになるが聞かせてくれ。そう言う四宮はどうなんだ?」
「私は大分前に経験済みですよ?」
「なん…だと…?」
そして驚愕した。
京佳の予定では、かぐやの口から『経験は無い』と聞くつもりだったのだ。そうすれば自分も最初よりは気を楽にして言える。なんせ京佳とて女の子だ。身長が180cmもあって、眼帯のせいで人相が悪く見えるため怖がられて(本人はそう思ってる)、数日前に同性からラブレターで告白されたが、れっきとした女の子なのだ。自身が経験者かどうかなど普通は恥ずかしくて言いたくない。ましてや好きな男の前なら猶更である。
しかしその予定はもう意味がなくなった。なんせかぐやは経験済みと答えたからだ。そしてその答えを聞いた京佳は焦燥感を感じた。
「それで、どうなんですか?」
そんな京佳の内情など知らないかぐや。逃げ道が無くなった以上、京佳も質問には答えないといけない。観念した京佳は少し頬を赤くしながらかぐやの質問に答えた。
「…無いが」
「あら、立花さんもですか」
「…も?」
「はい、会長と藤原さんも経験は無いと言ってましたので」
「…そうか」
京佳は少しだけホッとした。もしこれで自分以外全員が経験者だった場合、焦燥感は更に増していただろうと思った。
(まさか四宮がもう既に経験済みだったとは…女性としての経験も向こうが有利と言う事か…)
京佳は生徒会室の長椅子に鞄を置きながらそんなことを思っていた。なんたってあの四宮かぐやである。国内最大の巨大財閥である四宮家令嬢の四宮かぐやである。京佳はてっきり、四宮家はそういった事はかなり厳格にしていると思っていた。
しかし、かぐやの発言により既にそういう事を経験済みだと知り、少なからずショックを受けていた。
同時に、やはり四宮かぐやという女生徒は強敵であると再認識する。
(…しかしこれは、後学のためにも色々聞いておいたほうがいいんじゃないか…?)
そしてショックを受けた影響なのか、普段なら絶対に聞かない事も聞けると思い始めた京佳。しかし、京佳にとってかぐやは恋敵である。そういう質問をする事は自分にとって不利になる可能性があることは理解していた。
(いや!ここは恥を捨ててでも聞くべきだろう私!知識は必ず役に立つはずなんだから!)
しかし京佳は意を決して聞く事にした。自分に色々と言い訳をしているが、実際はそういう事の経験談を聞いてみたいという好奇心である。年ごろの学生は誰だってそういう事の話を聞いてみたいものだから仕方ないことなのだが。
「四宮、少し聞きたいのだがいいか?」
「何ですか?立花さん」
「よく『初体験は痛みを伴う』と聞くが、四宮はどうだった?」
「立花!?」
「京佳さん!?何聞いちゃってるんですか!?」
京佳の突然の質問に驚く白銀と藤原。最もその目は『自分も知りたいです』と語っていたが。
「痛みを伴う?そのような事は聞いた事ありませんが、少なくとも私は痛みなんて感じませんでしたよ?」
「…そうなのか」
「むしろ幸せな気持ちになりましたよ」
「…そう、なのか」
かぐやは素直に質問に答えた。その答えを聞いた京佳は少し遠い目をした。改めて、女性としての経験では自分は圧倒的に不利なのだと理解したからだ。今後はより一層、白銀を振り向かせるためには、もっと努力をしなければならないとも思った。
「…やっぱり私も、直ぐにでも恋人作った方がいいのかな…?お父様の説得をどうにかしないといけないけど…いやでも、流れで恋人作るのは流石に…」
藤原は数年前からずっと一緒にいた友人が、女として数段進んでいる事に更なる焦燥感を感じ、自分も恋人を作るべきかどうか悩み始めた。
「へぇー、日本のモグラって富士山を境に二大勢力に分かれているのかー…」
一方白銀は携帯を使って役に立たない無駄な知識を調べて現実逃避を始めた。
「しかし、やはり少ないですね?もう少し多いと思ってたのですが…」
そしてそんな皆の反応をみたかぐやは疑問を感じた。かぐやは先ほど読んだ雑誌のアンケート結果が妥当だと思っているからである。てっきり生徒会メンバー5人の内2人は経験済みと思っていた。だが結果は自分1人だけ。未経験者がこれほど多いとは思わなかったのだ。
因みにこの場に居ない会計はかぐやの中で未経験者と断定されている。
「いや、四宮…4人中1人だから、それくらいなんじゃないか…?」
「そうでしょうか?確か会長には妹さんがいましたよね?私はてっきり毎日ガンガンしているのかと思ってましたよ」
「するわけねーだろ!!バッカじゃねーの!?」
「そうだぞ四宮!血の繋がった兄妹でそんな事する訳ないだろう!?」
「家族なんですから別に普通でしょう?私は生まれたばかりの甥っ子としましたよ?ビデオで撮影されながら」
「「狂気!!!」」
かぐやの経験談を聞いた白銀と京佳は共に叫んだ。
「皆さんどうしてそこまで人との接触を過度に恐れるんですか。これが現代社会の闇ですかね?」
「お前だよ!!お前が貴族社会の闇だよ!?」
「歴史上、血縁者でそういうことをする家系はあったが、まさかまだ、この現代日本に存在していたのか…?」
自身にとって当たり前の事を口にするかぐや。
それにツッコミをいれる白銀。
歴史的観点から考え出す京佳。
「藤原さんだって愛犬のペスとしたことあるって言ってたじゃないですか?」
「そうなの!?」
「そ、そうなのか!?藤原!?」
「する訳ないじゃないですか!?巻き込まないでください!!ていうか信じようとしないでください2人とも!!」
そして藤原まで巻き込んで生徒会室はさらに混沌としていった。
(四宮の家の教育は異常とは思っていたが、まさかこれ程とは…!!そんな事を常識と思っているなんて世間知らずなんてもんじゃすまな……ん?まてよ…世間知らず…?)
そんな混沌とした生徒会室で白銀はとっさにかぐやの発言をまとめ始めた。
・『会長は妹がいるからしていると思ってた』
・『自分は甥っ子とした。撮影されながら』
・『藤原は愛犬としたことがあると言ってた』
・『痛みは無かった』
最後の事だけは個人差がある事だが、纏めると概ねこんな感じだ。白銀は考えを纏めて、ある答えを導き出した。
「…四宮。一応聞くが、初体験って何のことか分かっているか?」
そしてそれを裏付けるためかぐやに質問をした。
「はぁ…バカにしないでください。淑女として当然知っています。キッスの事でしょ?」
「「「…」」」
かぐやの答えに言葉を失う3人。一応、かぐやが初体験の意味を勘違いしたいたことを説明するのであれば、四宮家のせいである。
かぐやは幼少期の頃より性的な事柄は徹底的にガードされて育ってきた。そんなかぐやにとって性のマックス情報はキス止まり。それ以外の事などかぐやの頭の中には存在しない。故にこのような勘違いをしてしまったのだ。
「「四宮…」」
「お2人とも、ここは私に…」
口を開こうとした白銀と京佳の2人を抑えて、藤原がかぐやに近づいて行った。
「なんですか藤原さん?」
「あのですね、かぐやさん…初体験っていうのは…」
藤原はかぐやに近づき、耳元で初体験について、かぐやにしか聞こえない様に静かに説明を始めた。
そして藤原がかぐやに説明している間、白銀は顔を反らして、京佳は窓の外を見ながら大人しくしていた。
それから16分後―――
「──────」
生徒会室には顔を真っ赤にして目元に涙を浮かべているかぐやがいた。彼女はようやく初体験がどういうものかを理解したのだ。
「だ、だって…だってぇ!そういうのは結婚してからだって法律で…決まっててぇ……!!」
「…四宮。一応言っておくが、私が知る限り日本国内にそのような法律は存在しないぞ…」
「そんな事ありません…!絶対にありました…!!」
かぐやは言い訳を始めたが直ぐに京佳に論破された。
(あーーマジで心臓止まるかと思ったぁ……!!!)
白銀は机に突っ伏して気づかれない様に大きくため息を吐いた。
因みにだが、一応海外には結婚してからじゃないとそういう行為ができない国が本当に存在するらしい。
京佳が生徒会室に来たのはモンスター童貞のシーンあたりです。
次回は、いつかな?