もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

77 / 159
 今回はかぐやさま同人版のネタが元となっております。苦手な方はご注意ください。


 追記。感想で色々とご指摘を受けたので編集。


立花京佳と大天使のブラ

 

 

「お待たせー京佳ー」

 

「ああ、待ってたよ恵美」

 

「んじゃ、さっそく行こっか」

 

「ああ。今日はよろしく頼むよ」

 

「任せて。しっかりと吟味してあげるから!」

 

 10月も終わりに近づいた日曜日。京佳は幼馴染の恵美と共に街に来ていた。京佳は生徒会の仕事で、恵美は部活が忙しく、こうして一緒に遊ぶのは本当に久しぶり。

 

 しかし、今日はただ遊びにきている訳では無い。

 

「えっと、何階だっけ?」

 

「5階だよ」

 

 待ち合わせ場所から移動し、デパートに入った2人はある場所を目指してエスカレーターに乗る。そして5階にたどり着いた2人はそのままある場所へと直行。2人がたどり着いたエリアにはこう書かれていた。

 

 下着売り場と。

 

「やはり沢山あるな」

 

「最近はほんと多種多様だからねー」

 

 2人の眼前には色とりどりの下着が展示されていた。赤や黒、青や紫、黄色や白等々。そしてデザインも普通のから、最早紐とさえ思われるのまで様々。実にバリエーション豊である。

 

「それで、お目当てのやつは何だっけ?大悪魔のブラ?」

 

「それだと堕天してるじゃないか。大天使のブラだ」

 

 2人、というか京佳がここに来た理由はある下着を買うためだ。それは『大天使のブラ』と呼ばれているブラである。最近、女子高生に話題とされているブラだ。

 何でもそれを身に着けていると、異性の好感度を爆上げする事ができるらしい。少し前に京佳はその記事をスマホで見て、そして今日こうして買いにきているのだ。

 

「ところでさ京佳。一応聞くけど、別に例の白銀くんに見せる為に大天使のブラを買う訳じゃないよね?」

 

「いや流石にそんなつもりはないよ。だけどまぁ、万が一の可能性は…考えている…」

 

「ああ…京佳がどんどんエッチな子に…」

 

 かつての京佳なら決して考え着かない事。それを見た恵美はよよよと態とらしく泣く演技をする。だが実際、京佳は自分から見せる事はなくても、いつでも白銀に見られても良いようにと思い、今日下着を買いにきている。

 

 というのも、京佳は白銀に下着を見られることが多いのだ。

 

 1学期の時に生徒会室で尻もちをついた時や、生徒会選挙が終わって直ぐに風でスカートがめくれた時など。少し前の生徒会選挙終了後の件はまだマシだと言えるが、1学期のやつは個人的に京佳は最悪だと思っている。なんせよりにもよって子供っぽい、いちご柄の下着を見られたのだから。

 今後ももしかするとそういう事があるかもしれない。その時に、また子供っぽい下着を白銀に見られるのは恥ずかしい。よって京佳は『異性からの好感度が爆上がりする』というジンクスがある『大天使のブラ』を買いに来たのだ。

 

「まぁそれはそれとして、最近また胸がきつくてね。どっちみち新しいのを買おうと思ってたんだ」

 

「ほんとさ、何したらそんなに大きくなるの?てか10分の1でいいから分けてよ」

 

「恵美も結構あるだろ。それに大きくても良い事なんてあまり無いぞ?肩こり酷いし」

 

「そういうの聞くと大きいのって大変そうだね」

 

「だから大変なんだって」

 

 だがそれだけでは無く、単純に今のブラがきつくなったので買いに来たというのもあったりする。

 

 

 

「しかし、本当に色々あるな」

 

 店内に入った京佳は棚に陳列された下着に目を通す。ブラジャーにウエストニッパー。キャミソールにガーターベルト。京佳も買った事もなければ着た事もない下着も沢山ある。

 

「って目移りしている場合じゃない。大天使のブラはどこだ?」

 

 しかし目的はあくまでも大天使のブラ。他の下着も気にはなるが今は無視する。

 

「あ、あれじゃない?いっこだけまだあるよ?」

 

 恵美が指を指した方向には『今、女子高生に大人気の大天使のブラ!本日入荷!』と書かれた看板と共にひとつだけブラがあった。それを見た京佳は足早に近づく。

 

(よし!あれさえあれば今後は白銀に下着を見られても大丈夫だ!いや別に見せる為に買う訳じゃないが…)

 

 あっという間に棚までやってきた。そしてブラを手に取る為手を伸ばす。

 

(でもこれなら、白銀も私に誘惑されたりするかのな?)

 

 京佳は想像する。

 また白銀に下着を見られた時を。そしてその時に身に着けている下着が大天使だった場合、果たして白銀は誘惑されるのかと言う事を。

 そんな妄想をしながら下着を手に取ろうとした時、横から別の誰かの腕が伸びてきた。そして京佳の手と重なる。

 

「「え?」」

 

 自分と同じように驚く声。京佳が横を向くとそこには、

 

「た、立花さん…」

 

「し、四宮…」

 

 生徒会副会長であり、自身の恋敵である四宮かぐやがいた。

 

 

 

「京佳ーどうしたのー?って誰?」

 

 京佳とかぐやが固まっていると、恵美がやってきた。恵美は京佳の横にいる女性が誰かと聞いてくる。

 

「恵美、紹介するよ。この子は私と同じ学校に通っている友人で生徒会副会長の四宮かぐやさんだ」

 

 京佳は頭を切り変えてかぐやを恵美に紹介した。

 

「初めまして。四宮かぐやと言います」

 

「どうも初めましてー。京佳の幼馴染やってる由布恵美って言いまーす」

 

 それに続くようにかぐやと恵美の両者も自己紹介をする。

 

「ところで四宮。どうしてここに?」

 

「えーっとですね…」

 

 京佳の質問に言いよどむかぐや。実は、かぐやも大天使のブラを買いにきているのだ。しかしそれを京佳に、というか知り合いに知られたくない。何と言うか、恥ずかしいから。それにこの大天使のブラには異性の好感度を上げるというジンクスが噂されている。

 

(もし私がそのジンクスを信じてこの下着を買いに来たのだと知られたら…)

 

 そんな事知られたら恥ずかしくて死にそうだ。故にかぐやは誤魔化そうとしていた。しかし上手い言い訳が思いつかない。

 

「あれー?京佳じゃーん?どしたしー?」

 

「早坂?どうしてここに?」

 

 そんなかぐやの元に、主人の危機を察したのか早坂が現れる。そしてうまい具合に誤魔化し始めた。

 

「実は今日四宮さんと一緒に新しい下着の買い物にきてるんだー。ねー四宮さん?」

 

「え、ええそうなんですよ。実は最近少し胸がきつくなってまして。そこで新しい下着を買おうと思ってたところ、早坂さんも新しい下着を買うつもりという話でしたので、それならばと思い、こうして一緒に買い物にきてるんです」

 

 嘘である。

 かぐやは胸がきつくなどなっていない。それどころかここ数年、ブラは同じサイズのものしか使用していない。もう十代も半ばを過ぎているのにこの成長具合だ。悲しいが、恐らくこれ以上かぐやの胸が育つ事は無いだろう。

 

「そうだったのか。因みにこの下着のジンクスを知っているか?」

 

「はい?ジンクス?一体なんの事ですか?」

 

「いや、知らないならいいよ」

 

「それで京佳ー?この子はー?」

 

「ああ。この子は私の幼馴染の恵美だよ」

 

「どうもー!京佳の幼馴染やってる由布恵美って言いまーす!」

 

「どうもー!私は京佳の友達やってる早坂愛って言いまーす!」

 

 早坂と恵美はそれぞれ自己紹介をする。そして2人が自己紹介をしている間、かぐやと京佳はほぼ同じ事を考えていた。

 

(まさか四宮もこの大天使のブラが目的なのか?だとしたらマズイ。なんせあとひとつしかない。なんとかして四宮より先に手に入れないと)

 

(よりによってこんな場所でかち合うとは。立花さんもあの大天使のブラが目的なんでしょうがそうはいきません。最後のひとつ。あれは私が手に入れさせて貰います)

 

 それは大天使のブラの事。京佳はかぐやが大天使のブラを買いに来たことを知らないが、ここで興味を持たれて買われてしまえば、次に入荷するのがいつになるかわからない。故に何とかかぐやより先に購入したい。

 一方かぐやは、先ほどの出来事で京佳が大天使のブラを買いにきていると確信。何時も色々と邪魔されているが、白銀を誘惑する為にもこれは譲りたくない。よって京佳より先に手に入れたいと思う。

 

(って違います!別に私は会長を誘惑したいだなんてはしたない事思っていません!ただこの下着ならば会長も私の魅力に気づいて跪きながら私に告白してくるだろうと思っているだけです!あくまでも会長に私の魅力を気づかせてあげようと思っているだけです!)

 

 誰に言っているのか知らないが、かぐやは心の中でその辺の想いを否定する。そして早速、自身が大天使のブラを手に入れる為動き出すのだった。

 

「立花さんも下着を買いに来たんですか?でしたらあちらの棚にあったナコールの新作なんてオススメですよ?デザインも沢山ありますし」

 

 かぐや、京佳の誘導を開始。かぐやが指を指した方向にはナコールという下着メーカーの商品が並んでいる棚があった。そこには確かに沢山のデザインの下着がある。そこに誘導し、京佳がいなくなった隙に大天使のブラを手に入れようと考えた。

 

「いや、私はこの大天使のブラが欲しくてきたんだ。今のところ他のメーカーのものには興味がないよ」

 

「!?」

 

 しかし京佳は自分に素直な子である。よって素直に自分の気持ちを話す。欲しいのは大天使のブラだと。

 

「で、ですが立花さん?立花さんにはあのナコールの新作の方が似合うと思いますよ?態々こんな大それた名前のものよりは、あちらの方がいいのでは?」

 

「似合うと言ってくれるその気持ちは嬉しいが、私はこっちが欲しんだ。他のは後で見る事にするよ」

 

 お世辞も上手くいかない。このままでは京佳の胸に大天使のブラが渡ってしまう。かぐやが次の作戦を考えていると、今度は京佳から質問がきた。

 

「というか、もしかして四宮もこの下着が目的か?」

 

 これは京佳にとっては大事な質問だ。もしここでかぐやがこの大天使のブラを買いにきたのならば、できれば阻止したい。万が一かぐやがこの下着を身に着け、そして白銀を誘惑すればもう自分に勝ち目など無い。そういう未来になるかもしれないので、先ずは確認の為かぐやに真意を問いただすのだった。

 

「まさか!先ほども言いましたが偶々目に入ったので見てみようと思っただけです!私がこんな流行りにのっかる訳ありませんもの!」

 

「そうか。私の思い過ごしだったか。ならこれは私が買うよ」

 

 ほっと胸を撫で降ろす京佳。

 

(何で否定しちゃったの私ーー!?)

 

 そしてかぐやは後悔していた。恥ずかしくて咄嗟に否定してしまった為、もうこのブラが欲しいから来たとは言えない。

 

(早坂!私を助けなさい!)

 

 一緒に来た従者に助けを求めるかぐや。しかし―――

 

「あ!ネイルポリックの新作じゃん!私もそれ使ってるよー!」

 

「ほんとだ!これいいよねー!値段も手ごろだし!」

 

(いや何普通に談笑してるのー!?)

 

 早坂は京佳の幼馴染である恵美と談笑しており、かぐやのヘルプに気づかない。というの実は早坂、今日は全休だったのだ。それなのにかぐやに無理やり買い物に付き合わされており、折角の全休が台無しになっている。よって結構不機嫌だったりした。

 だがここで京佳の幼馴染である恵美と出会い、ウマが合ったのかすっかり意気投合。ストレスを忘れさせる為にも思わず談笑してしまっていた。その結果、かぐやのヘルプに気づかない。

 

 そうこうしているうちに、京佳が棚にあった最後のブラを手に取る。

 

(ああ…最後のひとつが…)

 

 思わず膝から崩れ落ちそうになるかぐや。これでは白銀を魅了することなど出来ない。

 

「……」

 

「あれ?」

 

 しかし京佳は手に取ったブラを少し見ていたと思ったら、それを棚に戻した。

 

「どうしました立花さん?どうして戻したんですか?」

 

「…イズが」

 

「はい?」

 

「サイズが、合わなかった…」

 

 京佳、胸が大きい故の悲劇。最後のひとつ、それは京佳の胸のサイズには全く合わなかったのだ。

 

「そうでしたか。ならあちらの棚の方はどうですか?胸の大きい人向けのものもあるみたいですが」

 

「ああ。残念だが、これは諦めてあっちを探してみるよ…はぁ…」

 

 かぐやに言われ、落ち込んだ様子の京佳は別の棚へと歩いて行った。

 

(普段ならその無駄に大きな贅肉をそぎ落としてやりたいと思う所ですが、今日は見逃してあげましょう)

 

 棚から牡丹餅のような展開で、かぐやは大天使のブラを手に取る事ができた。

 

(ふふふ!これで会長もイチコロね!)

 

 しかしその後、かぐやが試着したみたところ、自分のサイズに合っていたはずなのにブラが胸からストーーンと落ちた。早坂の助力を得て脇の肉などを寄せて上げてみても、かぐやが大天使のブラを身に着けることはできなった。

 

 かぐやは静かに泣いた。

 

 

 

「で、京佳。結局どうするの?」

 

「サイズが無いなら仕方が無い。他のメーカーの下着を探すよ」

 

 かぐやが試着室で静かに泣いている頃、大天使のブラを諦めざるえなかった京佳は別の下着を探していた。因みに店員に大天使のブラの事を聞いてみたところ、大天使のブラは大きい人向けのサイズがそもそも製造数が少なく、この店でも何時入荷するか全くの未定らしい。

 結論として、どのみち京佳は大天使のブラを手に入れる事は出来なかった可能性が高い。

 

「じゃあさ、これなんてどう?」

 

 京佳の元に恵美が下着を持ってきた。

 

「いやそんなの着れないからな?ほぼ紐じゃないか」

 

 それは紐。まさに紐というしかない下着だった。隠せる部分など無いに等しい。

 

「でもさ、これなら例の男の子も簡単に落とせると思うよ?」

 

「その言い方だと見せる前提じゃないか。自分から見せる事はしないからな?」

 

「でも見られてもいいやつ選ぶつもりなんでしょ?」

 

「でもそれは無い。絶対にそれは無いからな?」

 

 流石の京佳もこの下着を身に着ける勇気はない。下手したら痴女として白銀に認識されかねない。

 

「ん-。じゃあこれはどう?」

 

 次に恵美が手にして京佳に見せたのは、水色と白の縞々模様が施されている下着。所謂、縞パンと言われるものだった。それもスキャンティタイプの。

 

「これは…流石に子供過ぎるだろ…」

 

「そうかな?男の子ってこういうの好きそうじゃない?」

 

「でもこれはちょっと。それに、私似たようなやつならもう持ってるし…」

 

「それなら仕方ないか。ならもう少し男の子が好きそうな清楚な感じのやつ選んであげる」

 

「そうしてくれ。ところで男の子はやはり清楚な感じが好きなのかな?」

 

「私はそう思うよ?変に透けてたりして色気が出ているやつより王道な感じのやつの方が絶対に受けるって」

 

 女性経験のある男性ならそういった趣旨は変わるだろうが、童貞である白銀や石上と言った男子ならば清楚な下着の方が好感は持たれるだろう。童貞はそういった方が好みなのだから。

 

「ふむ。だったらそっち方面で色々見てみよう」

 

「あいよー」

 

 その後、恵美の意見も交えて京佳が決めた下着は、水色の小さいリボンのついた花柄の刺繍の付いた白い下着だった。

 

 サイズもピッタリ合い、それまであった胸のきつさがなくなった。

 

 尚サイズを測ってみたところ、B89のFだった。

 

 

 




 自分で書いてて思ったけど、京佳さんって下着ネタ多いいよね。

 それと白銀と早坂のカラオケの話は全カットの予定。理由は京佳さん入る隙無いって思ったので。

 そろそろ予定している白銀と京佳さんのデートのお話を書きたい。けど導入どうしよう?色々考えないと。

 次回も頑張るかも。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。