もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 朝日が昇るまでは日曜日。

 そしって今回は京佳さんの出番ありません。

 コミック読み返していて思ったけど、秀知院の文化祭って12月の後半にやってるんですね。何か変。普通、11月だよね?。
 あと今回の時系列は12月頭くらいというふわっとした感じです。


四宮かぐやの反撃

 

 

 

 夜 公園

 

(本当にどうしよう…)

 

 夜の人気が無い公園で、ベンチに座っている白銀は悩んでいた。それはもうすっごく悩んでいた。場所も相まって、まるで就活に失敗した学生みたいに見える。

 

(ちゃんと選ばないといけないのに…俺ってこんなに優柔不断だったか?)

 

 もうわかっているだろうが、彼が悩んでいる原因はそれはかぐやと京佳の事である。同時に2人の女性を好きになっていしまっているのが今の白銀だ。

 そして白銀は、既にスタンフォードへの海外留学を決めている。早ければ3年生の夏休みの間には渡米するつもりだ。つまり、もし文化祭でどちらかに告白をして、OKを貰って恋人となった場合、1年も一緒にいる事ができないのである。

 

(だからこそ、文化祭でしっかりと自分から告白をして、残り短い学生生活を楽しみたいのに。はぁ…)

 

 しかし選べない。今まで多忙な生徒会で数多くの選択をしてきた白銀だが、これに関しては簡単には結論が出せない。だがこれはしょうがないだろう。恋愛は理屈じゃないのだ。好きな人同士を比べても、簡単に結論など出る訳がない。

 

(もうこの際、ネットでいいからヒントになりそうなの探そう)

 

 白銀はそう思うと、鞄からスマホを取り出して『好きな人 同時 2人 どっち』と検索し出す。

 

「お、結構出てくるな」

 

 すると出てくる出てくる様々な検索結果。白銀はその中からひとつを選び、選んだ記事を読み出す。

 

(えーっと何々?相性の良さそうな人はどっちか考えましょう?)

 

 先ず読んだ記事に書いていたのは、相性について。実際、相性はとても大事だ。これが悪いと、どうあっても幸せな恋人同士にはならないだろう。

 

(相性か。それなら…やはり立花か?俺と同じ混院だし。普通の一般家庭出身だし。前にやった相性占いでも石上の次に相性良かったし)

 

 これを見て白銀が思い浮かべたのは京佳だった。先ず、2人は一般家庭出身なので価値観が近い。そして生徒会の中では1番付き合いが長いし、前に食べた京佳の料理は凄く美味しかった。

 だがこれだけで京佳と決める訳にもいかない。白銀は次の記事を読む。

 

「えっと次は、理想に近い方を選びましょうか」

 

 その記事を見た白銀は思い出す。かつて、初めてかぐやを見た時の事を。

 

(あんなに泥に塗れていたのに、もの凄く綺麗に見えたんだよな。正直、一目惚れだったよ)

 

 1年生の春頃、白銀はかぐやに惚れてしまった。そして彼女に相応しい人間になる為、白銀は凄く努力をし、成績を1位にまで上げ、生徒会長にもなった。

 

「あの時の四宮、本当に綺麗だったよな…。まさに理想の女性像だ」

 

 白銀にとって、理想に近いのはかぐやとなった。京佳も理想的な女性ではあるが、より理想に近いのはかぐやである。

 

「次は…」

 

 これで1対1。しかしこれでは決められないので、新しい記事を読もうとしたその時、

 

 pipipipipi

 

「うお!?」

 

 白銀のスマホが鳴りだした。画面に表示されている名前は、四宮かぐや。

 

「四宮からだと?」

 

 白銀は驚いたが、直ぐに落ち着きを取り戻しスマホをタップする。

 

「もしもし?四宮?」

 

『や、夜分遅くに申し訳ありません会長。今、よろしいでしょうか?』

 

「別に構わないぞ。それでどうした?」

 

 文化祭前のこの時期の電話。もしかすると何かトラブルが起こったかもしれない。白銀が少し身構えながらそうしていると、

 

『あのですね。今度の週末お暇でしょうか?』

 

「ん?」

 

 かぐやからそんな台詞が聞こえた。

 

「ああ。今度の週末は珍しくバイトもないから暇っちゃ暇だぞ。まぁ文化祭の準備で資料整理くらいは家でするつもりだったが」

 

 バイト戦士の白銀だが、今週の土日は珍しくバイトが無かった。

 

『そうですか!暇なんですね!!』

 

「お、おう…」

 

 それを聞いたかぐやが嬉しそうな声色をする。

 

『それでですね…あのですね…』

 

「うん」

 

『えーっとその…何と言いますか…』

 

「うん?」

 

 かぐやは何かを白銀に言いたそうだが、中々言い出さない。白銀もどこか不信に思った。もしかすると言いにくい事なのかもしれないと思った白銀は、1度かぐやを落ち着かせようと思った。

 

『会長!』

 

「な、なんだ?」

 

 だがそれは、かぐやが次に放った台詞で必要がなくなった。

 

 

 

『今度の週末に私と2人でお出かけしませんか!?動物園とか!!』

 

「え?」

 

 

 

 そして白銀は思考を停止させた。

 

 

 

 

(んー?今変な事が聞こえた様な?)

 

 数秒間固まっていた白銀は、何とか復活して考え出す。白銀には、今の台詞がまるでデートのお誘いに聞こえていた。

 

(週末に2人でお出かけ…つまりこれはデート?

 

 

 

 デート!?俺と四宮が!?しかも四宮から誘ってきた!?)

 

 白銀は先ほどのかぐやの言葉を理解するのに時間をかけた。そして言葉を理解した瞬間、ぼっと顔が赤くなるのを感じる。

 

(お、お、お、落ち着け俺!もしかすると幻聴の可能性もある!一旦落ち着くんだ!!)

 

 しかしこれが聞き違いだった場合、とても恥ずかしい。現に白銀にはパンツ関係で前科がある。なので1度しっかり落ち着く事にした。

 

『あの、会長?ひょっとして何か急用が?もしかして、動物とか嫌いでしたか?』

 

(いやこれ聞き違いじゃねーーー!?)

 

 だが、かぐやの台詞でこれが聞き間違いでは無いと確信。そして心の中で絶叫した。

 

(マジで!?え!?マジで!?あの四宮からデートの誘い!?本当に!?俺実は今夢見ててるとかじゃなくて!?)

 

 少しパニックになる白銀。これは夢なのでは無いかと思い、自分の腕をつねる。

 

(痛い…じゃあこれ夢じゃねぇ!?)

 

 そしてこれが夢ではなく、本当の事だと確認した。

 

 どうしてあのかぐやがこんな事をしたのかと言うと、とあるメイドのおかげである。

 

 

 

 

 

 少し前 四宮家 別邸 かぐやの部屋

 

「……」

 

 部屋の中央では、かぐやがスマホを片手に何度も何度もくるくると回っていた。まるで風車の様に。

 

「いい加減覚悟を決めたらどうですかかぐや様?」

 

「だ、だって!だってぇ!!」

 

 そう早坂に言われるかぐやだが、その目には涙がある。顔も赤い。

 

「だってじゃありません。そもそも自分から言い出した事じゃないですか」

 

「そうだけど!そうなんだけどぉ!!」

 

 小さい子供が駄々をこねるようなかぐや。どうしてかぐやがこんな風になっているかというと、早坂の言う通り、かぐや自身のせいだ。きっかけは、少し前に白銀と京佳が水族館でデートをしていた日まで遡る。

 あの日の夜、かぐやは早坂に『白銀をデートに誘う』と決心。しかしそう決心したまではよかったが、その後直ぐにかぐやはヘタれた。具体的に言うと遅くとも『2年生の内には誘う』と言うくらいに。

 それを聞いた早坂はいい加減どうにかしないといけないと思った。早坂の分析では、現在のかぐやと京佳の恋愛模様の戦況は五分五分くらい。それまで圧倒的にかぐやが優勢だったにも拘わらず、このありさま。

 

 勿論そうなった原因はある。かぐやが何時までたっても素直にならないからだ。

 

 白銀を振り向かせようとしているのは別にいい。だがそのやり方が問題だ。やる事といえば遠回りでトンチキな作戦ばかり。

 偶にチャンスが巡ってきてもそれを生かせない。2学期のある日なんて、せっかく白銀を眠らせてかぐやの肩に寄りかかるというイベントが起きたのに、かぐやはそのままの状態で過ごした。もしこれが京佳だったら膝枕くらいは余裕でやっているだろう。事実、1学期の時はそうしていたし。

 

 そうこうしているうちに、いつの間にかかぐやの優位性は無くなっていた。それどころか、京佳は一部の事柄に関してはかぐやを超えているだろう。そしてそれらの事をまとめた結果、早坂にはある確信が出来上がった。

 

 このままでは確実に、かぐやは京佳に負けると。

 

 色々と込み合った事情はあるが、幼い頃からかぐやの傍にいた早坂。そんな早坂は、かぐやには幸せになって貰いたいと思っている。四宮家という魔窟ともいえる家で育ち、その血筋を受け継ぐかぐや。もしもこのまま白銀と結ばれる事なく学校を卒業すれば、その先にあるのは政略の道具としての日々だ。ほぼ間違いなく、四宮家にとって利益になるという理由だけで結婚相手を勝手に決められるだろう。

 21世紀のこの時代にそんな前時代的な事をしないと思うかもしれないが、今の時代にそういった事を平然とするのが四宮家だ。だからこそ早坂は、かぐやには幸せになってもらいたい。

 仮に白銀と付き合えて、幸せな恋人生活を送れる日々が秀知院に在学中だけだとしても、かぐやには幸せになってもらいたい。なのでこうしてかぐやに尻をひっぱたいてでも、白銀をデートに誘わせようとしているのだ。

 

「ね、ねぇ早坂。やっぱり別の日にしない?ほら、今日は曇りだったでしょ?天気が悪いと作戦が成功しないともいうし」

 

「誰がそんな事言ったんですか」

 

「……孔明とか、司馬懿とか?」

 

「疑問形じゃないですか」

 

 問題があるとすれば、これだけ早坂がかぐやの尻をひっぱたく事をしているのに、当のかぐやが全然進まない事だろう。先程から白銀を誘うべきスマホを握ってはいるが、一向に連絡をする気配がない。

 そして、何時ものように言い訳をしている。これではまた京佳と差が出来てしまう。なので早坂はかぐやの説得を開始する。

 

「やっぱり、年内とかに…」

 

「学校は既に文化祭の準備に入ってますよね?ここで誘わないともう今年中は無理と思いますよ?時間的に」

 

「……じゃあ年明け…」

 

「その頃にはほぼ間違いなく、立花さんが白銀会長とお付き合いを始めていると思いますが。そしてかぐや様の誕生日には2人で初詣に行っているでしょうね」

 

「……」

 

 早坂が説得するが、かぐやは動かない。いや、正確には動けないのだ。かぐやとてわかっている。このままではいけない事くらい。だからこそ勇気を振り絞って、こうして自分から白銀をデートに誘おうとしている。

 だがかぐやは今まで、異性をデートに誘った事など無い。なので誘い方がわからない。しかも誘う相手が意中の異性であればなおさらだ。

 

「もし誘って断られたら…」

 

「大丈夫ですって。白銀会長だったらまず間違いなくその誘いを受けますから」

 

「で、でも。絶対って訳じゃ…」

 

 それだけじゃない。かぐやは白銀を誘っても、もし断られたらと思ってしまう。それ故、スマホの通話ボタンが押せないのだ。

 

 要するに、かぐやは怖いのである。

 

 もしも白銀に断られたらと思うと、今にも吐きそうになる。なんなら1週間は寝込む自信もある。

 

「ほんといい加減にしません?もう1時間たってるんですけど?」

 

「だってぇ…」

 

 早坂に尻を叩かれ既に1時間。未だにかぐやは誘えていない。流石の早坂も痺れをきらした。

 

「何度も言ってますが、このままだと立花さんに白銀会長を本気で獲られますよ?」

 

「……」

 

 なのでいつも使っている伝家の宝刀を使う事にした。具体的に言うと脅しだ。

 

「ここで勇気を出さないでいつ出すんですか?このままずるずると誘わなかったら、本当にもう入る隙すら無くなりますよ?いやマジで」

 

「……」

 

「何度も言っている事ですけどね、今の白銀会長はほぼ間違いなく立花さんを意識しています。かぐや様が素直に白銀会長にアタックしなかった間に、立花さんは白銀会長に猛アタックしてましたよね?その結果が今日のこれです。もしもかぐや様が立花さんくらい素直になっていれば、こうはならなかったかと」

 

「……」

 

「それでいいんですか?というかこの前、私に白銀会長を獲られたくないって言っていたのは嘘ですか?ご自身で言った事ですよ?」

 

「……」

 

 かぐや、無言でベットに座る。そして俯く。

 

(はぁ。また落ち込んでる…)

 

 何時もの流れだ。何時も通りなら、この後かぐやは泣き出す。そして自分がそれを慰めるという事となるだろう。

 

(もういっそ、私がかぐや様の真似して誘おうかな…)

 

 最終手段として、かぐやの声真似をした早坂が白銀を誘い、そしてデート当日に本物かぐやを行かせるという事すら考えている早坂。

 

「わかってるのよ。私だって。このままじゃいけない事くらい」

 

「え?」

 

 だが、かぐやは泣きださなかった。

 

「でもしょうがないじゃない。誰かをこんなに気にするなんて、初めてなんだもの。こんなに隣にいて欲しいと思える人ができるなんて、初めてだったんだもの。そして、その人を奪いそうな人も初めてなんだから…」

 

 四宮かぐや。

 ほんの1年程前まで『氷のかぐや姫』と呼ばれるくらいには冷酷な子だった彼女。それが今や、気になる人がいて、その人に近づく人に嫉妬する様になっている。

 かぐやがここまで変わったのは、間違いなく白銀のおかげだ。最初は事務的な会話しかしない相手だったのに、何時の間にか色んな会話をする相手になっていた。自分の人生で、初めてできた気になる人。

 だからこそ、四宮かぐやは立花京佳に白銀御行を獲られたくない。でも未だに恋愛に臆病なかぐやは、前に中々進めない。

 

「私って、本当に臆病ね…」

 

「申し訳ありませんかぐや様。先ほどはとんだ無礼を」

 

「いいのよ。本当の事だし…」

 

 早坂は頭を下げて謝る。泣きこそしていないが、今のかぐやは色々と危うい。まるで吹けば消える蝋燭の火のように。

 

「かぐや様、無礼を承知で言わせてもらってもいいですか?」

 

「……何かしら」

 

「やはりこの時期しか、もう誘う機会は無いと思います。立花さんがどんどん距離を縮めている現状、今動かないと本当に手遅れになると思います。なのでかぐや様、どうか勇気を出して下さい」

 

 頭を下げた状態で、かぐやに進言する早坂。早坂が懸念しているのは、このまま京佳が差し切る事である。

 今現在、京佳はかなりの追い上げでここまで来ている。だからこそ、ここでかぐやが京佳を突き放す何かが必要なのだ。それこそ今計画中の『動物園デート』である。かぐやが白銀とデートをすれば、白銀はほぼ確実にかぐやを再度意識する。そうすれば、再び京佳を突き放す事も十分に可能なのだ。

 

「そんな事わかってるのよ。でも…」

 

「かぐや様の素直な気持ちで誘っていただければ、白銀会長も必ずお受けになられます。だからどうか」

 

「……ほんとに?」

 

「はい。もし断られたら、私を海外にでもとばして下さい」

 

 頭をさげたままの早坂にそう言われ、かぐやの顔は少しだけ明るくなる。

 

「でも、やっぱり、恥ずかしい…」

 

「なら頭の中を空っぽにしてみて下さい。藤原さんのように。あと前に獲得したルーティンも試しながら」

 

「……そうね。それなら何とかできそうだわ」

 

 かぐや、ようやく決心がついた。そして右手を左頬に当てて、頭の中を空っぽにしようとした。

 

「よし、いけるわ」

 

「ではまずは深呼吸を」

 

「すーーーーー、はーーーーー」

 

 早坂に言われ、かぐやは大きく深呼吸。

 

 そして遂にスマホの電話帳から白銀の名前を出し、それをタッチした。

 

 pipipipip

 

 電子音が聞こえ出したその瞬間、

 

『もしもし?四宮?』

 

 白銀が直ぐに電話に出た。

 

(直ぐに出た!?ナンデ!?)

 

 かぐや、テンパる。

 

『早く誘って』

 

 しかし目の前で早坂のカンペを見て冷静さを取り戻す。ここまで来たら、もう戻れない。進むだけだ。

 

「や、夜分遅くに申し訳ありません会長。今、よろしいでしょうか?』

 

『別に構わないぞ。それでどうした?』

 

「あのですね。今度の週末お暇でしょうか?」

 

『ん?ああ。今度の週末は珍しくバイトもないから暇っちゃ暇だぞ。まぁ文化祭の準備で資料整理くらいは家でするつもりだったが』

 

「そうですか!暇なんですね!!」

 

『お、おう…』

 

 先ずは時間が空いているかどうかの確認、クリア。あとは誘うだけだ。

 

「それでですね…あのですね…」

 

『うん』

 

「えーっとその…何と言いますか…」

 

『うん?』

 

 だがかぐや、ここでヘタれる。あと一歩、あと一歩踏み込んだ事を言えばいいのだが、それが出来ない。既に心臓の音がうるさくて耳障りに聞こえている。顔からは火が出そうになってる。その時、かぐやの目に早坂のカンペが入る。

 そこには、

 

『勇気を出して』

 

 とだけ書かれていた。それを見たかぐやは、勇気を振り絞る。

 

「会長!」

 

『な、なんだ?』

 

「今度の週末に私と2人でお出かけしませんか!?動物園とか!!」

 

『え?』

 

 そして言った。遂に言った。何時もみたいに遠周りな言い回しではなく、素直な気持ちをそのままに。今この瞬間、かぐやは自分から白銀をデートに誘ったのだ。

 

(あああ!言っちゃた!言っちゃった!!)

 

 言い終えたかぐやは、顔が真っ赤になった。心臓の音も先ほどの比では無いくらい大きくなってる。後は白銀の返事を待つだけ。そうすれば、晴れて白銀と2人っきりのデートだ。

 

 しかし、返事がない。電話向こうの白銀はうんともすんとも言わない。

 

「あの、会長?ひょっとして何か急用が?もしかして、動物とか嫌いでしたか?」

 

 かぐやは思わず白銀に聞いてしまう。何にも言わないと言う事は、何かを考えているのだろう。そしてそれはもしかすると、実は何か用事があって週末は出かけらないという事なのかもしれない。

 

(ま、まさか、既に会長の心は立花さんに向いてて、私とデートする事は出来ないって事じゃ?)

 

 かぐやは不安に襲われる。早坂から何度も言われているが、白銀は間違いなく京佳を意識している。そしてもしかすると、気持ちは既に京佳にのみ向いているかもしれない。

 

(もしそうだったら、私はもう…)

 

 急速に心拍数が下がるかぐや。もしそうだったら、泣くだけじゃすまない。もしかすると海に飛び込むかもしれない。

 

(私って何してたのかしら。立花さんみたいに素直にしていれば、こんな事には…)

 

 どんどん落ち込むかぐや。そんな時だった。

 

『ああ。なら日曜日でいいか?』

 

「へ?」

 

 暗闇に光が差したのは。

 

「えっと、いいんですか?」

 

『いいも何も、さっき週末は暇だって言ったじゃないか』

 

 そんな白銀の台詞を聞いたかぐやは、

 

「ええ、では日曜日に。待ち合わせ場所は、後でメッセージを送りますので、その時に」

 

『わかった。じゃあお休み』

 

「はい。おやすみなさい会長」

 

 そう言うと、かぐやはゆっくりと通話画面を切った。

 

「やったわ!やったわ早坂ぁぁぁ!」

 

「おめでとうございます。かぐや様」

 

 かぐやはベットの上で飛び跳ねる。まるで子供の様に嬉しがる。でもしょうがない。だってデートだ。好きになった人との2人きりのデートだ。これを嬉しがらない人などいないだろう。

 

「それでは、今から当日のデートプランを考えましょう」

 

「ええ!是非お願い!」

 

 そしてそのままの流れで日曜日のデートプランを考え出す。

 

 その夜、かぐやが寝たのは12時前だった。

 

 

 

 

 

「……」

 

 公園のベンチでは、白銀がスマホを握っていた。そして、

 

「うおっしゃあああああ!!!」

 

 思わず大声を出しながらガッツポーズをしたのだった。

 

「マジかよ!いやマジかよ!!デートに誘われた!あの四宮からデートに誘われた!!」

 

 飛び跳ねかける白銀。その顔は歓喜に染まっている。だって好きな人からのデートのお誘いだ。男子高校生でこれを嬉しがらない奴は、心が無い証拠だろう。

 

(まぁ、100%喜べないところもあるけどな…)

 

 だが一瞬、歓喜に染まっているその顔に陰りが差す。その理由は、今嬉しがっているデートの事だ。

 

(四宮には悪いと本気で思ってる。けど、しっかりと結論を出す為にも判断材料にしないと)

 

 白銀は日曜日のデートを、かぐやと京佳についての判断材料にする事にしていた。かぐやからすればふざけんなという考えだろうが、そんな事白銀だって承知している。でも、このままどっちか決められない方がずっと嫌だ。

 

(俺、いつか刺されるかもしれないな…)

 

 再び品定めするような行い。もし当人達がこの事を知ったら、どうなるかわからない。かぐやに至っては海に沈める可能性すらある。

 

(でも、決める為にもやるしかない。中途半端な状態で決めたら、絶対に後悔するだろうし)

 

 だがそれでもやる。でないと、何時まで経っても2人の内どっちかを決められない。

 

「とりあえず、帰るか」

 

 そして白銀は自宅への帰路へ着く為、ベンチから立ち上がり自転車に乗ろうとした時、

 

「ちょっといいですか?」

 

「え?」

 

 後ろから声をかけられた。

 

「警察官?」

 

 しかも警察官に。

 

「さっきいきなり大声出したりしてたけど、ちょっとお話聞かせてもらっていいですか?」

 

「あ」

 

 こうして白銀は、人生初の職務質問を受けたのだった。

 

 尚、別に問題は無かったので5分くらいで解放された。

 

 

 

 

 




 かぐや様、反撃開始。
 さぁ、これからどうなる!?書ききれるのか作者!?


 でも本作はノリと勢いで書いている作品なので、過度な期待だけはしないでください。

 あと変なところとかあったら修正しときます。

 次回は100話記念。デートのお話は少し待っててね。

どっち派?

  • 原作ヒロイン、四宮かぐや
  • 本作主人公、立花京佳
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