治療後の説明が済んで病室を出ていった赤木先生と殆ど入れ違いで静かに病室の扉が開かれた。
「…お兄ちゃん…お兄ちゃん!!」
レイだった。きっと表で待っていたんだろう。
ベッドの近くまで走り寄って来ると、確認するように僕の全身を見る。
「もう…大丈夫なのね…」
そう言うと同時にレイは僕の首元にかじり付いて嗚咽を上げ始めた。
「よしよし…もう大丈夫だからね、そうだね、心配させちゃったね…よしよし…」
レイがが安心するような…落ち着いた声色で…
蒼銀の髪を指で優しくすいてあげる。撫でるように。何度も。何度も。
「うっ…く……ひぐっ…………」
こんな風にレイを慰めてあげるのはいつ振りだろう。
昔は泣き虫さんだったからなぁ。よくこうして…
「ふふ…よしよし、お兄ちゃんはもう大丈夫だからね~…」
「…ぐすっ……おにいちゃん…」
「なぁに?レイ」
枕に顔をうずめたままレイが喋る。
「おねがい…いなくならないで…わたしのそばから…おねがい…」
「いなくならないよ、お兄ちゃんはずー…っとレイのお兄ちゃんだから…」
僕ら兄妹はいつだって一緒にいた。おじさんの家に預けられた時から。いつだって。
それはレイが人見知りで寂しがり屋さんだったからでもある。
なかなかお友達ができなかったレイが寂しくないように、僕がずっとそばにいた。
「レイ、お友達はできた?」
「…必要ないわ」
「そんなことないだろ?お兄ちゃんだっていつまでも一緒にはいられないかもよ…?」
レイは僕に頼りすぎる所がある。
それは僕が過保護すぎた所為なのかもしれない…でも、もしまたこんな事があって次こそ助からなかったら…
「うそ、さっきお兄ちゃんはずっと私のお兄ちゃんって言ったわ」
「そういう意味で言ったんじゃ…でもレイだって”友達が欲しい”ってよく言ってたろ?」
「ただの建前よ」ボソッ
ん…?
「ごめん、なんて?」
「なんでもないわ」
「そっか…?」
それにしても…レイだって、もう中2だもんな。
「こんな都会の学校に来れたんだからさ…」
「…」
「きっと皆おしゃれとかしてて、かっこいいんだろうな~」
「…何が言いたいの?」
「彼氏とか「どうしてそういうこと言うの…?」」
ええ…だってそりゃあさ、今はまだかもしれないけど…。
「きっとレイにだって好きな人ができると思うよ?」
「じーっ…」
「ね?」
「じーーっ…」
「…?」
なぜか一生懸命に僕を見つめるレイが可愛いらしくて、つい笑みを零してしまう。
「ふふ…やっぱりレイにはまだ早かったかな?」ナデナデ
「……♪」