雨が酷いですね…。川沿いに住まれている方は十分な警戒をされてください。この作品を読んでくださってる皆さんが無事に、そして健康に過ごせることを願っております。
※すみません、サブタイ忘れてました
その後何人か協調性の欠けらも無いクラスメイト達が教室を出ていったりしたが、俺たちは無事に自己紹介を終えることができた。意外と時間がかかっていたのだろう。自己紹介を終えてすぐ、俺たちは体育館に移動して入学式を迎えた。
入学式自体は平凡なものだった。それこそ他の高校と何ら大差はないだろう。校長や理事長のお堅い話を聞かされて終わり。当然真面目に聞いてるものはほとんどいない。だって何の利益もないから。
人間は狡猾で打算的な生き物だ。表には出していなくても、心の底で、それこそ無意識にもメリットとデメリットを計算している。当然それは、平田含めどんな聖人君主であろうと例外はない。
よって、こんなつまらない話を俺自身真面目に聞く気もないわけで、ぼんやりとこれからの学校生活と今日の放課後の予定を考えているうちに、すぐに入学式なんてイベントは過ぎ去っていった。
「ねぇねぇ、放課後どっか寄ってく?」
「いいね!こんだけあればなんでも買えるし!」
教室に帰って終わりのHRを終えると、コミュ力高い系の女子たちはすぐに放課後の予定を話し始めた。
つい数時間前に初めましてだったのによくやるよ、ほんと。
かくいう俺も、目の前の平田からさっそくお誘いは受けているわけで……
「宏樹くん。よかったらこの後カラオケでもどうかな?他の誘える男子も誘って、みんなで仲良くなれたらと思うんだけど。」
「いいんじゃないか?ただ昼飯は食っときたいから、一旦寮に行って、その後でまた集まろうぜ。」
「そうだね。じゃあ連絡先の交換をしておこう。」
洋介がそう言うので、俺は端末を開いて洋介とアドレスを交換する。その後クラスの中で誘える男子……と言っても数は多くなく、協調性がなかったり、イケメンを嫌っていたり、賑やかなところが苦手だったりで、結果俺と洋介含めて5人程しか集まらなかった。数だけ見れば悪くないが、一クラス男子20人と見てほぼ全員に声をかけているのであれば、これは少ないという他ないだろう。
仕方ないので俺たちはその五人と当初の予定通りアドレスを交換し、一旦帰路に。洋介含めた他の四人はついでにお昼ご飯も一緒に食べようと言っていたが、俺は妹からの愛妻……否、愛妹弁当があるのでパスだ。
というわけで一人で寮へと向かった俺は、管理人から寮の部屋の鍵とマニュアルを受け取り、六階にある自分の部屋に向かった。この学校の寮は学年ごとに分かれていて、男女兼用だ。一階から八階までが男子寮、九階から十六階までが女子寮と分けられている。互いの階への行き来は自由だが、注意事項として、男女間の付き合いを始めても、不純異性行為などはしないよう書かれてあった。
ふむ…。だが寮の部屋はそれぞれがある程度の防音設備になってるみたいだし、互いの階層への行き来も別に制限されてないよな?これ普通に守ってる奴あんまいなくね?絶対。
俺は603と書かれた部屋の前で貰ったキーカードを取り出してロックを解除する。中は八畳ほどのワンルームで、キッチン、トイレ、風呂、エアコンなども完備されていた。その他ベッドや学習机など、学生として生活していく上で必要なものはあらかた用意されているようだ。その上、水道代、電気代、ガス代などは一切不要。
「こわいねぇ…。優遇されすぎてるっていうのは……」
俺は小さくそうボヤくと、部屋の真ん中にある丸テーブルにカバンを置き、制服の上着をハンガーにかける。キッチンで手を洗って食器の確認などをし、箸だけ持ってテーブルに戻った。そしてカバンの中からお待ちかねの愛妹弁当を取り出す。
おや?割り箸を入れてくれてるようだ。さすが可憐。気遣いレベルがMAXなだけある。
俺はせっかくなので持ってきた箸を元の場所に戻すと、割り箸を袋から出してパカッと割り、弁当の蓋を開けた。うん。美味しそう。てかもう美味しい。
まず目に入ったのは弁当箱の半分程の面積を埋めつくしていたホカホカご飯と、その上に満遍なくかかる卵ふりかけ。そしてメイン食材の妹の手作りハンバーグ。恐らく事前に作って冷凍していたのだろう。さすがに朝から作るには時間がない。
続いてひじき、ポテトサラダ、お弁当の定番、卵焼きとたこさんウィンナー。やれやれ。もう子供じゃないって言うのに、あの妹は。
兎にも角にも、俺は俺の大好物ばかりで構成された最高のお昼ご飯をゆっくりと堪能した。ああ、幸せだ。思えば春休みはほとんど可憐が俺の食事を作ってくれていたな。恐らく花嫁修行なのだろうが、俺だけに作っていたのには何か理由があるのだろうか?もしかして年上好きだから俺を相手に練習を?
むむむ。いずれにせよ、可憐がもし俺の前に彼氏を連れてきた時は一度じっくりお話を…………
と、兄バカな妄想をしているうちに時は過ぎ、あっという間に洋介達との約束の時間になった。
あっ、そう言えば井の頭さんと連絡先交換してないな?まぁ向こうも櫛田さんとかいう洋介と同じコミュ力お化けと仲良くやってたし、邪魔することもないだろ。連絡先なんてそのうち交換できるんだしな。
俺はそそくさと準備(と言っても、上着を着て端末を持つだけだが…)を整え、遊ぶ予定のカラオケ店に向かった。ちなみに洋介たちはお昼ご飯を食べてそのまま向かっているので、俺だけ現地集合だ。
カラオケ店に着くと、洋介に連絡して部屋まで案内してもらう。
「みんなはもう歌ってるんだろ?」
「うん。あ、フリータイムだから、時間とか気にしないで、宏樹くんも好きに歌ってね。」
「ああ、サンキュ。」
部屋につくと、ちょうどクラスメイトの一人が一曲歌い終えたところだった。洋介が俺を空いた席に誘導し、飲み物を取ってくると言って何が飲みたいか聞いてきた。
良い奴だな、ほんと。
俺はカルピスを頼むと、洋介の後ろ姿を見送って他の三人を見渡す。俺の右にいるのが外村、その奥に沖谷、左側洋介を挟んで奥が三宅だったか?俺は全員に改めて自己紹介し、洋介が戻ってきてからは俺から歌い始め、楽しい時を過ごした。
三時間ほど歌っただろうか?そろそろ飽きてきたので、俺たちはカラオケを出てショッピングセンターに向かった。
男同士でショッピング?バカを言うな。パジャマや私服、その他歯ブラシや石鹸など、寮の部屋にない生活必需品を買い揃えるためだ。しかしだからといって、10万円はやり過ぎな気がする。しかもそれが毎月って……
しばらく経って、日も暮れてきたのでそろそろ解散することにした。が、その前にどうせ帰っても何も食べるものないんだし、五人でそのまま夜も何か食べていこうと洋介が提案したので、ありがたくそれに便乗する。
実を言うと俺、大園宏樹は、料理が超絶苦手なのだ。いや、違う。炒めるだけとか、煮込むだけとか、できるはず、できるはずなのだ。……でも、何故だろう。俺が料理をするといつもできるのはこの世のものとは思えないものなのである。
……おかしい。今考えても、やっぱりこれはおかしいと思う。レシピ通りに作ってるのだから、失敗するわけがない。きっと偶然だ。そういえば俺、過去に2度しか料理をしていない。
一度目は家族に振舞って失敗した。全員にこやかに食べてくれたが、その顔は固く、その日以降しばらく台所に入れてくれなかった。もしかして調味料を入れすぎたのだろうか?そういえばあの日、『適量』が分からなくて『適当』に入れた気がする。それなら次は慎重に少なめにしよう。
二回目は一人のときだ。味がしなかった。おかしい。そうだ。調味料を足そう。ほら解決した。
よし、これでいつ料理しても大丈夫だ。もう失敗はしないだろう………たぶん。
「じゃあな。」
「また明日。」
俺はそう言って洋介たちと手を振ってエレベーターから出る。他の四人とはみんな階が違ったのは驚きだが、この学校はクラス別で階を分けているわけではないようだ。
「ただいま」
誰もいない部屋。真っ暗な空間に明かりをつけると、買ってきた荷物を置いて整理する。結構買ったな。今日一日で総額15000円くらいは使ったんじゃないだろうか。
「ふぅ…。こんなものか。」
部屋の中を見渡してだいたいの生活必需品が揃ったことを確認する。これで普通に生活はできるだろう。そう言えばふと今日買い物をしてて疑問に思ったことがある。
『無料コーナー』
店の端の方に置かれていたそれは、安物の歯ブラシや洗剤など、生活する上でなくてはならない最低限のものだけが『大量』に並べられていた。
(普通月に10万円ももらってるんだからあんなもんいらないと思うんだけど、なにか使わなきゃならない機会でも来んのか?)
月10万。それだけの大金を持ってしても無料コーナーを設置することの意味。風呂に入ったり、端末で洋介たちとメッセを交わしながら思考しつつ、俺は新しい高校生活一日目を終えた。
翌日、俺はいつも通り朝の七時前に起きて朝の支度を始めた。そして少し早めの時間に部屋を出る。相変わらずの優等生気質だ。さすが俺。さす俺。
チーン……
エレベーターのボタンを押してしばらく、上から降りてきたエレベーターが止まり、扉が開く。中には先客が二人がいた。一人は他クラスだろう。可愛らしいライトブルーのような色合いの髪につけたふたつの黒いリボンがいいアクセントになっている。間違いなく美少女だ。
そして、もう一人は……
「あっ、井の頭さん。」
「えっ、大園くんっ……」
俺たちはまさかの事態にびっくりして一瞬固まるが、他の子もいる中いつまでも突っ立ってる訳にもいかないので、とりあえずエレベーターの中に乗り込んだ。
「おはよう、井の頭さん。よく寝れた?」
「おはよう。うーん、どうだろう…。初めての環境だったからあまり眠れなかったかも…。」
「あー、分かる。今までとガラッと環境が変わったもんなぁ……」
俺たちはエレベーターを出てそのまま二人で学校に向かう。こうして女の子と一緒に登校するのはいつぶりだろうか?妹を除けば中二以来な気がする。まぁそれも、中学時代の俺の知り合いが誰もこの学校にいないからできるんだけどな……
「そうだ、井の頭さん。悪いけど、コンビニ寄っていいか?」
「え?どうしたの?」
「いや、朝飯食ってなくてさ。昨日は昼も夜も外で済ませたし、昼は学食行くからいいとして、さすがにそこまでお腹持たないし……」
「えっ、そうなんだ。私は全然いいよ。」
「サンキュ」
井の頭さんに了承をもらい、俺たちは二人で登校途中の道にあるコンビニに入った。朝のコンビニには俺たちみたいな学生の他、スーツ姿の大人もいる。恐らくこの人たちは学校の教師なのだろう。そうじゃなければここのコンビニに足を運ぶ必要はあまりない。
井の頭さんを待たせるのもあれなので、俺はとりあえず目に入ったおにぎり(ツナマヨとエビマヨ)を買った。俺が買うおにぎりは大体がマヨ系である。
え?マヨラー?違うよ。さすがに味噌汁にマヨネーズはかけねーよ。
「さて、飲み物はお茶と、無難にミルクティーかな。」
俺は手にしていたカゴにペットボトルを二本入れてレジに向かう。すると、ふとレジの正面から見える棚……分かるだろうか?普段なんか景品?くじ引き?などが置かれている棚である。その棚を、井の頭さんはじーっと動かず見つめていた。俺がそばまで近づいても反応しないところを見ると、相当意識をソレに集中させているらしい。ピンクの頭巾?をつけたうさぎさんに……
「井の頭さん?おーい。聞こえるかー?」
「ふぇっ///あ、ごめんなさいっ///」
「いや、別にいいけどさ。」
俺はそう言ってチラリと目線をちょこんと可愛らしく座っているサンリオのぬいぐるみに向けた。
「マイメロディ好きなのか?」
「えっ?//う、うん…//……ごめんね//子供っぽいよね…?//」
「いや、別に?俺の妹二つ下なんだけど、妹もマイメロは好きだぜ。まぁ妹はシナモンの方が好きみたいだけどな。」
「えっ。大園くん妹いたんだ。」
「ああ、弟もいる。」
俺はそう答えながら、棚に置かれているくじ引きの紙を一枚手に取った。やっぱ高いな。600円もするじゃねーか。
「えっ、あ、大園くんいいよっ!//私、見てただけだから…//」
「いや、別に気にしなくていいよ。コンビニ付き合ってくれたし。」
「付き合うって言っても道の途中だし…。それに今から学校だから、もし当たっても……」
「あー、それもそうか。じゃあやめとくか。代わりになんか飲み物いる?それくらいなら安いし。」
「もぅ…。いらないから早くお会計済ませてきて。遅れるよ。」
「はーい。」
俺は内心でさすがに遅れることはないだろうと思いつつも、頬をふくらませて可愛らしく怒る井の頭さんにこれ以上迷惑はかけられないので、急いで空いてるレジに向かったのだった……
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٩( ˶˙ᴗˆ˶ )وエイエイオー!