長かった梅雨、ようやく明けてきたみたいですね。雨で曇りがかった気分を外で存分に晴らしたいです(笑)
さて、今話もよろしくお願いします(。ᵕᴗᵕ。)
※図書館の正確な形は恐らく半円系だと思いますが、この作品ではもっとでかい、倍の円形として話を進めさせていただきます。
生徒会への入会届けを出し終わり、俺は一度カバンを取りに教室に戻ってから、その足で図書館へ向かった。生徒会は何回かに渡って審査があるらしく、一回目は俺に関する資料だけ見て判断する一次審査らしいので、それに受かったらまた担任を通じて指示があるらしい。最短でも、入会できるのは四月の下旬あたりだそうだ。
「……でかいな。」
図書館の前に着いたと同時に、俺は思わず小さく声を漏らしていた。この学校の図書館はとにかくデカい。それこそ、この中全てくり抜いたら野球でもできちゃうんじゃないかってくらい……って、それはないか。
でもとにかく大きくて広いのは疑いようがないだろう。蔵書数もどこぞの名門大かってほどあるらしいので、非常に楽しみだ。目標は三年間で興味のある本の全巻読破だな。……さすがにきついか?
図書館に入ると、俺は適当に空いてる端の方の席にカバンを置いた。端の理由は、その方が何となく落ち着いて読める気がするからだ。
(さてと、とりあえず何を読むか…。やっぱ宇宙関連の本から読破かな?)
俺はそう考えて宇宙関連の本が置いてある棚を探しに行った。すると、ふとある棚のところに見えた人影に思わず足を止める。
(あれって、今朝の……)
そこに居たのは、今朝エレベーターで出会っためちゃくちゃ可愛い美少女だった。スラッとした細身の身体に淡く繊細なライトブルーの長い髪、少し離れたところからでも整っていると分かる横顔と真っ白な素肌。紛れもない、本物の美少女である。
(……今朝も少し思ったけど、すごい綺麗な子だよな…。はっきり言って、たぶん俺が今まで出会った中で一番の美少女だろ……)
俺がそんなことを思いながら少女の横顔を見つめ、いや、見とれていると、不意に少女が顔を上げてこちらを見てきた。まずい、思わずガン見しすぎたのだろう。これではあまりに不審者極まりない。
どうする?声をかけるか?でもなんて?選択肢はおそらく三つだ。
①君の横顔綺麗だね?←ナンパかよ
②何の本読んでるんだ?←初対面じゃなければ有効だったが、この場合では明らか不審者に思われそうだ。却下。
③何もなかったことにしてやり過ごす。そうだ、これがいい。実は君じゃなくてここの棚には何があるのか見てました、でもギッリギリ通じるはず……頼むっ、通じてくれっ!
俺はそう祈りながら、結局何もなかったことにしてやり過ごすことにした。いくら怪しくても、あの程度で教員とかに報告されるようなことはないだろう……ない、と思いたい……
宇宙関連の棚を見つけた俺は、そこから興味のある本を六冊ほど選んで隅っこの方のカウンターに運んだ。一冊はここで読み切るため。他の五冊は貸出手続きをして持って帰るため、要はキープだ。まぁ宇宙関連の本を真っ先に読みたがるやつも少ないだろうし、キープする必要があるかは微妙なところだが、念の為と言うやつだ。
ちなみに、五冊なのはこの図書館の個人で借りられる本の最大数が五冊だからだ。まぁそれ以上だと重すぎるし、三冊はちょうど良さそうだが、読むのが速い人はほんとにすぐ読み終わってまた直ぐにここに来なければいけなくなるということを考えると、五冊というのはちょうどいい数かもしれない。
「あの、お隣に座ってもよろしいでしょうか?」
「え?…あっ……」
俺がいきなり聞こえてきたその声に驚いて顔を上げると、そこに居たのは先程俺がガン見していた超絶美少女だった。手には海外の推理小説を何冊か抱えている。
てかなんでここ?他広いとこめちゃくちゃ空いてるのに…。やっぱさっきガン見してたからだよな?やべ、もしかしてやばい?俺。
「えっと、どうしたん…ですか?他にも空いてる席とか……」
「ふふ。無理しなくていいですよ。同じ一年生なんですから、普通に話してください。あ、私はこれが素なので気にしないでくださいね。」
「あ、ああ。じゃあ遠慮なく…。俺は1-Dの大園宏樹だ。よろしく。」
「私はCクラスの椎名ひよりと言います。こちらこそよろしくお願いします。」
Cクラス…。隣のクラスか。意外に近かったんだな。
俺がそんなことを考えていると、椎名さんは俺の持っている本をじーっと見ながら話しかけてきた。
「宇宙に興味がおありなんですか?」
「ああ。まぁな。椎名さんは推理小説か。…………へぇ、何冊か読んだことのないのもあるな。さすがバカでかい図書館なだけあるな。」
俺がそう言うと、椎名さんは目を輝かせながら聞いてきた。
「大園くんも推理小説を読まれるんですかっ?」
「あ、ああ…。いちよう本を読むこと自体が趣味だし……」
「では他にも何か?」
「えっと、思想系とか、経済学とか、日本の有名作品も読んでるし、色々かな。」
俺の返答にますます目を輝かせる椎名さん。何この子、近くで見たらもっと可愛い、めちゃカワやん。
そんな超絶美少女の椎名さん。なんでも本が大大大好きの文学美少女らしい。俺と同じで幅広い文学作品を読み漁っており、中でも推理系小説に関しては某少年探偵くんに引けを取らないほど読んできたそうだ。
さすがに図書館の中ということもあってあまり喋りすぎるのもいけないので、軽い自己紹介の後はそのままお互い隣に座って(たま〜に軽く言葉は交わしたものの)、ただひたすらに本を読んでいた。そして、そこでもひとつ驚いたことがある。椎名さんは本を読むのがめちゃくちゃ速いのだ。
これは少し自慢だが、俺は小さい頃から色々な本を読み漁ってきただけあって、速読には長けていた。それこそ毎分700~800文字くらいは普通に読めるくらいに。だが、そんな俺に匹敵する速度で、椎名さんも本のページを捲っているのだ。
横にいるから分かるが、いま椎名さんが読んでいる本の見開き一ページに書かれてる文字数は、恐らく俺のものとほとんど変わりないだろう。若干俺のより少ない気もするが、それでも俺とほぼ同じスピードでページをめくれているのはまさに驚愕の一言に尽きる。
(初めてだな。俺と同じ人を見るの……)
人と違うと、それが優れていても劣っていても、必然的に悪目立ちは避けられない。俺の速読術もそのひとつ。これをして小学生の頃はよくバカな奴らに絡まれたものだ。まぁあくまでも低学年の頃の話で、中学生に上がった頃には『すごいね』の一言で大抵終わるのだが、それでも俺の速読が少し悪目立ちしていたことに変わりはない。俺だけが、人と違ったから……
だから、俺は少しだけ嬉しかった。自分と同じ人間と出会えたことが…。
恋愛感情……いや、ちょっと違う気がする。違うというか、これが恋愛感情かは、俺もよく分からない。
だが、俺はいま、ひとつだけ確信していることがある。たとえ俺と椎名さんを結ぶ糸が友情であれ、恋愛であれ、その糸は一生切れることが無さそうだということを……
「へぇ〜。椎名さん○県出身なんだ。俺まだ行ったことないな、その県。」
帰り道、俺たちは速読の話から始まり、本の話題、趣味の話題、そしてお互いの出身地にまで話の種を広げていた。お互い本好きということもあり、本の話題はかなり盛り上がった。趣味に関しては、椎名さんは読書の他に茶道や華道など日本の伝統文化にも精通しているらしく、この学校でも茶道部に入る予定だという。
まったく、その容姿といい、性格といい、椎名さんはいったいどこぞの御令嬢か何かなのか?そう思うのは俺だけじゃないはずだ、うん。
「大園くんは関東の出身なのですか?」
「ああ。東京じゃないけどな。……ん?あ、椎名さん。ちょっとあそこのコンビニ寄っていいか?」
「いいですよ。何か買うんですか?」
「いや、ちょっと晩御飯と一緒に明日の朝食もなんか買っとこうと思って。」
俺はそう言って椎名さんとコンビニに入る。さて、夕飯は何にするか…。とりあえずカップラーメン幾つかとおにぎりは確保だな。まぁスーパーの方が安いから少しでいいや。あとは……
「大園くん。カップラーメンは食べ過ぎるとあまり身体によくないですよ?」
「いや、でもカップラーメンはすごいぞ?お湯だけでラーメンとかうどんとかそばが食べれるんだから。」
「……大園くんは、料理が苦手なんですか?」
……うっせ。それ言うな…(泣)
俺が思わず腕を目に当てて幻の涙を流していると、椎名さんが優しく俺の頭を撫でてくれた。優しいなぁ……って!こうなった原因椎名さんじゃん!あぶなっ!騙されかけよった!
「ウウンッ!それより、椎名さんは何も買わなくていいのか?」
「あ、はい。私は昨日のうちに必要なものをチェックして最低限のものは買い込みましたから。ちなみに今日はオムレツです。もともと今日は図書館に寄って帰るつもりで遅くなるのは分かっていたので、帰ってすぐ、簡単にできるものにしました。」
「……オムレツ…(´,,•﹃•,,`)」
「…………」
「…………(´,,•﹃•,,`)」
「………………」
「………………(´,,•﹃•,,`)」
「………えっと、そう言えばミンチの量がちょっと多かった気がするので、一人で食べ切れるか分かりませんし、よければ大園くんも食べていかれますか?」
「えっ!いいのかっ?」
「あ、はい…。」
よっしゃ!これで今日の夕飯ゲッツ!!
え?半ば無理やり言わせてる?
( ・3・)ナ、ナンノコトカナ…?
さ、さて〜、それでは気を取り直して、さっさとレジに行っちゃうか……っと、その前に……
「あった、これこれ。」
「これは……」
椎名さんは俺が手にしたものを見て意外そうに目を見開く。
へぇ〜。ここまで感情豊かにしたのは初めてかもな。まぁ会って数時間だけど。
「それも買われるのですか?」
「ああ。ちょっと欲しいのがあってな。言っとくけど俺のじゃないぞ?」
「………………ほんとうは?」
「いや違うから!」
「………………と言って実は?」
「だから違うって!」
コントかよ。そう思いながら俺は必死に椎名さんの誤解をとく。まったく、可愛い見た目して悪ノリが好きとかタチ悪いぞ、ほんと。
「それで、結局誰にあげるのですか?」
「クラスメイトだよ。ちょっと仲いい子がいてな。」
「入学二日目で?知り合いだったとか?」
「いや、昨日初めましてだ。」
「……そうですか。」
そう言ってそのまま正面を向いて黙り込む椎名さん。
どうしたんだ?もしかして椎名さんも何か欲しいのあるのか?
「椎名さんもどれか好きなキャラいるのか?」
「……そうですね、私はこの子が好きです。」
椎名さんがそう言って指さしたのは『ぼんぼんりぼん』と呼ばれるキャラクターだ。キティーやシナモロール、マイメロディなどが王道だが、この子もそれに隠れて、実は人気のキャラクターだったりする。
「ぼんぼんりぼんか。確かに椎名さんのつけてるリボンも可愛いもんな。」
「えっ…//……ありがとうございます…//」
「おう。んじゃまぁ選択肢も広がったし、三枚くらい買っとくか。」
俺はくじ引き券を三枚取ると、買い物かごと一緒にレジで店員さんに渡した。すると店員さんがくじ引き用の箱を出してきてくれたので、俺は空いてるところから手を入れて、まずは一枚引く。
………………残念、ボールペンだ。
くそっ、もう一回……
………………残念、おにぎり一個無料券だ。 しかしこれは大事に使わせてもらおう。
…………ラストワンか。もう三枚買おっかな……
俺は少し諦め気味に最後の一枚を取り出した。結果は…………
「おめでとうございます!A賞『マイメロディのぬいぐるみ(大)』です!」
「え?」
「よかったですね。最後の一枚が当たって。」
「ああ。でもよかったのか?もう三枚やったらぼんぼんりぼんも……」
「大園くん。」
俺の言葉を遮って、椎名さんは指を俺の顔の前に突き出した。
「ダメですよ?無駄遣いしすぎるのはよくないです。」
「いや、無駄かどうかは……」
「無駄です。それなら普通にお店でぬいぐるみ買ってください。その方が結果的に節約できるかもしれません。確率は高いはずです。」
「……まぁ、たしかに……」
俺がそう言いながら頭をかくと、それを反省してると取った椎名さんは満足そうにまた可愛らしい笑顔に戻った。うん、やっぱその顔が一番可愛い。
「……ごめんな。ボールペンだけになっちまって。」
「全然ですっ//大園くん、このボールペンの柄、見ましたか?//」
「柄?」
俺が首を傾げると、椎名さんはさっき俺に貰ったボールペンを見せてきた。……あれ?このキャラ……
「ぼんぼんりぼん?」
「はいっ//ぼんぼんりぼんのボールペンなんです//だから私、とっても嬉しいですよ?//」
「……そっか。」
ちゃんと最低限のプレゼントはできてたんだな、俺。
「大園くん//」
「ん?」
「ありがとうございます//大切に使いますね//」
「……おうっ//」