暑いですね…。ほんとに暑いです…。昼間とかクーラーないと生きていけないレベルです。
皆さん、熱中に注意しましょう。
それでは今話もどうぞ(。ᵕᴗᵕ。)
「ただいま。」
誰もいない部屋にそう呟くと、ぬいぐるみやらカバンやらを机に置き、俺はとりあえず私服に着替えた。そして端末だけ持つと13階にあるという椎名さんの部屋に向かう。
え?ぬいぐるみはどうするのか?明日渡すよ。今日はもう遅いし。
ピンポーン
インターホンを押してしばらく、玄関ドアを開いて現れたのは、私服に着替えた天使だった。
「Oh…,Mamma Mia……」
「え?」
おっと、しまった。あまりの可愛さに思わず日本語が飛んでしまった。
「いや、悪い//あまりに椎名さんの私服姿が可愛すぎて日本語飛んでた//」
「えっ?///あ、ありがとうございます…///」
そう言って頬を少し赤くして照れる椎名さんもまさに可愛いの化身とも言うべきかわいさ。これはもしや本当に可愛いを超越した可愛いの神様が地上に遊びに来ているのではないか?(語彙力)
ちなみに、そんな椎名さんの私服は可愛らしい白のロングワンピースである。まだ四月でそれだけでは少し肌寒い気もするが、外に出る時は何か羽織ったりするんだろうか?うむ、気になるな……
「少し待っていてくださいね。すぐ作りますから。」
「ああ、気にしないでゆっくりでいいぞ。やけどとかしてもあれだし。」
俺がそう言って気遣うと、椎名さんは笑顔でお礼を言ってキッチンに向かった。今の椎名さんは料理中なためか、先程つけていたリボンを外し、腰まである長く艶やかな髪を後ろでひとつに纏めている。
しかし、やはりポニテ女子の料理風景は見ていて飽きないな。可憐も料理中はいつもポニテにしてたし。
……っと、俺も見てるだけじゃなくて動かないとな。せっかくご馳走になるわけだし。
「ご飯炊けてるんだろ?熱いだろうし入れとくな。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
「箸とか用意しとくなー。」
「あ、はい…。」
「お茶と、コップと……」
「……えっと、普通に寛いでらっしゃってもいいんですよ?そんな手伝って頂かなくても……」
あまりに俺が動きすぎたのか、椎名さんは困ったような顔でそう言ってきた。
「あ、悪い。人の部屋なのに勝手に色々しちゃって……」
「あ、いえっ。そういうことではなく、ただ大園くんはお客さんなので……」
「え?……ああ、そういうことか。それなら気にしなくていいぞ。こっちは椎名さんの手料理が食べられるってだけでもうめちゃくちゃ嬉しいし。これくらいはしないとこっちが申し訳ないしな。」
俺がそう言うと、椎名さんは少しポカンとした顔をした後、柔らかく微笑むように笑って「そういうことでしたら」と言ってくれた。その顔がまた可愛くて危うく鼻血を吹きかけたのはここだけの話……
「いただきます。」
しばらくして椎名さんお手製のオムレツがテーブルに運ばれてきた。三往復ぐらいかかったケチャップの上にパラパラとパセリのようなものもふりかけられている。俺は両手を合わせると、箸でオムレツを一口サイズ切り取って口に運んだ。
「……美味いっ//」
「っ、ほんとですかっ?よかった…。」
椎名さんはそう言って安堵したように息を吐き出した。
「いや、マジで美味いよ//椎名さん、料理はよくしてたのか?」
「はい//よくお母さんと二人でキッチンに立ってましたから//」
「へぇ〜、うちの妹もよく母さんと料理してたっけ。得意料理とかあるのか?」
「そうですね…。基本なんでも作れると思いますけど、ハンバーグはお父さんが好きでよく作った記憶があります。」
「ハンバーグか。俺も好きだな。……なぁ、椎名さん。材料費は全部出すからさ、その……また今度そのハンバーグを作ってほしいって言ったら……怒るか?」
「え?別に構いませんけど……」
「まじ?よっしゃ!」
俺は椎名さんの了承を得てグッと拳を握った。料理が苦手な俺としても、ずっとスーパーの弁当とかカップラーメンとかおにぎりとかで食事を済ませるというのは、健康面でも懐面でも少し不安ではあったのだ。まぁ料理をしてみればいいだけなのだが、俺だって人間だ。美味しくなるか分からないものよりも100%味の分かってる美味しいものを食べたいに決まってる。
「ごちそうさま。めっちゃ美味かった。」
「ふふ//ありがとうございます//」
俺が手を合わせてそう言うと、椎名さんも嬉しそうに微笑んで食器を流しに運ぶ。結局あの後、俺はご飯も二回くらいおかわりしてすっかり満腹にさせてもらった。
「ありがとう。ほんと最高だったよ。お礼もしたいし、なんか困ってることとかあったら遠慮なく相談してくれよな。」
「気にしないでください。私もあんなに美味しく食べていただけてとても嬉しかったですから。」
椎名さんは食器を水にだけつけてこっちに戻ってくるとそう言ってくれた。その後、俺は椎名さんと30分ほど雑談を交わし、さすがにそろそろおいとますることにした。
「それじゃあ、おやすみ。オムレツありがとな。」
「どういたしまして。おやすみなさい。」
翌日。今日は昨日みたいに仲のいい人に会うことはなかった。残念。また井の頭さんに会えるなら放課後デートでも誘おうと思ってたのに……
教室に着くと、今日も松下さんは先に来ていた。
「おはよう、松下さん。」
「あっ、大園くん。おはよう。あら?今日はコンビニに寄ってこなかったの?」
松下さんは俺が昨日みたくコンビニ袋を持っていないことに首を傾げる。
「昨日のうちに買ってたからな。朝は部屋で食べてきた。」
「そうなんだ。おにぎり?」
「ああ。あとカップラーメンも。」
「結構食べるんだ……」
俺の朝ごはんの量に松下さんは心底驚いたような顔でそう口にした。
「そんなに意外か?普通だと思うぞ。」
「だって大園くんめちゃめちゃ痩せてるじゃない。そんなに食べるイメージないわよ?」
「そうか?けっこう食べるんだけどな……」
大食いと言うわけではないが、実のところ家族で一番の大食いは俺だ。いや、こんなこと言うと和樹に「兄貴じゃねぇ!俺だろ!」って文句つけられそうだから、同率1位ということにでもしておこう。
ちなみに分かりやすい例をあげると、弟と妹と三人で仲良く行った回転寿司で大食いチャレンジした大園兄弟大食い大会は三枚差で俺が二位だった。あの日は調子が悪かったからな。詳細な結果は弟が41皿。俺が38皿。そして可憐が13皿である。もちろん俺の奢りだ。
その話を松下さんにすると、何故かちょっとひかれた。解せぬ……
3限目の休み時間、俺は井の頭さんの周りに人がいないのを見て声をかけに行った。
「井の頭さん。ちょっといいか?」
「ん?どうしたの?大園くん。」
「いや、昨日結局どの部活に入ったのかと思ってな。家庭科部も手芸部も、両方興味ありそうだったから。」
「部活?家庭科部だよ。手芸部も興味あったけど、家庭科部の活動内容にも手芸部っぽいもの入ってたし。」
確かに言われてみれば家庭科部も裁縫とかやるって言ってたな…。まぁ手芸部の方が専門的というか難しいことするってことだろうけど……
「今日は部活か?」
「ううん。家庭科部は週二回だけ。今日は休みなんだ。」
「そっか。なら放課後一緒に帰らないか?」
「え…?」
放課後、俺は井の頭さんと肩を並べて寮まで歩いていた。
「悪いな。櫛田さんたちと帰る予定だったんだろ?」
「ううん//大丈夫//櫛田さんもみーちゃんも部活には入ってないからいつでも一緒に帰れるんだ//」
「みーちゃん?」
「あれ?知らない?ほら、あのツインテールの中国人の子。」
「ああ、そう言えばなんか自己紹介の時に自分で『あだ名はみーちゃんです』みたいなこと言ってたな。」
確か……王 美雨(ワン メイユイ)……だっけ?よく覚えてないけど、確かに櫛田さんと一緒によくメイユ…みーちゃんも井の頭さんと一緒にいたな。
「ところで今日はどうしたの?何かあった?」
「ああ、別にそんな大したことじゃないんだけどさ、ちょっと井の頭さんに見せたいものがあって。」
「見せたいもの?なに?」
「それはまだ秘密な。とりあえず俺の部屋行こうぜ。」
「え?大園くんの部屋に行くの?」
「ああ。嫌か?」
もしここで嫌と言われたなら俺は今すぐ学校に戻って屋上から飛び降りるぞ。気持ちだけ。
「う、ううん//全然//じゃあおじゃまするね//」
「おう。」
よかった、嫌がられなかった。でもちょっと言葉詰まらせてたし、もしかして嫌々って線もあるのか?だとしたらそれもそれでショックが……
部屋に着くと、俺は井の頭さんを中に通してお茶を入れた。え?ジュース?お茶しかねーんだよ。悪いか、こら。
「ごめん、冷蔵庫なんもなくて…。」
「ぜんぜん、気にしないでいいよ。それで見せたいものってなに?」
「ああ。じゃあちょっと目を瞑っててくれ。」
「え?あ、うん……」
井の頭さんは首を傾げつつもとりあえず素直に目を瞑ってくれた。俺はその間に隠していたぬいぐるみを持ってテーブルに戻り、ポスンと優しく井の頭さんの顔に押し付けた。
「むぐっ………えっ?これ……」
井の頭さんは驚いて目を点にしながらそのぬいぐるみを見つめる。俺はそんな井の頭さんにしてやったりみたいな顔で言葉をかけた。
「どう?びっくりしただろ?昨日たまたま当たったんだぜ。」
「え?ほ、ほんと…?無理してポイント使ったり……」
「してないしてない。さすがにそんなことしないって。」
俺はそう言うと、固まってる井の頭さんにぬいぐるみを差し出す。
「受け取ってくれるだろ?せっかく当たったんだしさ。」
「……いいの?」
「もちろん。井の頭さんのためにチャレンジしたんだからな//」
俺がそう言うと、井の頭さんはゆっくり手を伸ばして俺からマイメロディのぬいぐるみを受け取り、ぎゅっと胸の前で抱きしめた。
「…ありがとう//とっても嬉しい//」
「……どういたしまして//」
俺はほんのりと頬を赤く染めながら本当に嬉しそうにぬいぐるみを抱き抱える井の頭さんを見て、くじ引きにチャレンジしてよかったと改めて感じることが出来たのだった。