転生アカデミア   作:お月見桜

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オールマイトの所属する事務所は繁忙期並みの忙しさだった。毎日毎日来るテレビ出演依頼からファンレター、ヒーロー依頼etc...その様々なものを処理していく。

四年前まではこの仕事の一部をとあるヒーローに押し付けもとい、処理してもらっていたが関係悪化の為、その協力が得られない。

そんな中一通の手紙をスタッフが読む。女子中学生の手紙だろう。大方、「ファンです!いつも応援してます!」とか「カッコいい!」とかだろう。いやカッコいいかはさておき。

しかしその期待はすぐに裏切られ、すぐ様オールマイトと雄英高校に連絡を入れた。内容が内容の為、雄英高校に連絡を入れたのは()()()だ。

この話を雄英高校にも通したスタッフは恐らく影の功績者であり、自分がした事の素晴らしさを本人は自覚していない。それもそうだろう。彼らは知らないのだから。


ーーーオールマイトが怪我を負ってその活動期間が残り少ない事を。


第2話

 雄英高校はオールマイトを含めた数名のヒーロー達で会議を行った。校長である根津、個性を消すことができる相澤、眠り香のミッドナイト、医療個性のスペシャリストリカバリーガール、そしてオールマイト。

 

「まず、オールマイトから貰ったこの紙ですが俺の個性を使っても消せかったので手紙の通り、予言書...なんだと思います」

 

 もし、これが今もなお発動している個性なら、相澤の個性で消せる。消せない、文字が変わらない、材料が変わらないと言うことは、これは既製品の紙とペンで、個性を使って書かれたもの。いくら相澤でも、個性発動後のものは消せない。

 

「私もそれを見たけど、それどういう意味?」

 

「これを予言書とするなら、書き方に統一性がなさすぎる」

 

「これは表現技法がめちゃくちゃでかつ抽象的な文だから君たちに分からないのも無理ないさ! 実際、僕もこれを全部解析しろって言われたら少しは時間がかかるからね! はは!」

 

「そうですか」

 

「というより、問題はそこじゃ無い。問題なのは、()()()()()()()という予言だ」

 

「...」

 

 オールマイトは黙って下を向く。まさか。いやそのまさかだろう。

 

「もう既に奪われた後で、敵がその予言を使い、罠を張ったという可能性は?」

 

「可能性はある。けど、私はそれはないと思うよ」

 

「リカバリーガール?」

 

「その個性を奪う奴に少し心当たりがあってね。こんな遠回りなことしない。するなら、周りのやつを殺して待つ奴さ」

 

 最も、狡猾な方面に目覚めたなら話は別だが。と心の中で呟く。

 

「校長、ここは私が行った方が」

 

「それはできない相談さ、オールマイト。リカバリーガールも言ったろ? 可能性はゼロじゃない。だから、君はいかせられない」

 

 それにと、アイコンタクトを取る。そう、傷である。

 

「なら、俺が「それも出来ない」」

 

「個性を消せれば確かにアドだ。しかし君のも貴重だ。下手をすればオールマイトよりね」

 

「なら私が」

 

「うん、それが一番だ。君の眠り香ならもし敵対しても個性を発動すれば逃げれる。いいかい? 戦闘は極力避ける。安全だと思ったら、個性が分かればできれば親御さんにも連絡を」

 

「それと、もし君が判断すれば、雄英高校にも通していい。あくまで保護、という形になるしこっちも色々聞かなければいけないけど、それはしっかり話した上で頼むよ」

 

 警察は被害が無ければ動けない。故に、ヒーロー達が動くしかない。

 

「はい、分かりました」

 

 ────────────────

「私の予言は回避することができ、恐らく分かっていると思いますが、それぞれの行の最後が忠告文です。その通りに動けば、あるいは近い行動を取ればその悪い未来は回避できる可能性が高まります」

 

「それが君の予言なんだね? 鈴鹿さん」

 

「はい。予言で未来が決まるのではなく、あくまでも回避出来ることにすることで...あー、言うなれば金稼ぎができる子を作りました」

 

「個性は想像、君の作った物語の能力を発動することができる、だったね?」

 

 今、凪は取り調べを受けている。といっても校長と対面でだが。

 

 母親はミッドナイトと。後に2人の話の相違点がないかを確認するのだろう。

 

「その物語はどこにあるのかな?」

 

「場所は示せますが、読むのは禁止です」

 

「なぜかな?」

 

「理由は二つです。1。私が恥ずかしいから。2。能力をバラしたくないから」

 

「...分かった。読むのは止めよう。だけれど、表紙を読んだり、タイトルを見るくらいなら良いだろう?」

 

「それくらいなら良いです。ちょっと待っててください。【境界を操る程度の能力】」

 

 横にすき間を出し、ガサゴソと探り10の表紙と一話にあたる部分を出す。

 

「それも君の能力かい?」

 

「えぇ。物を保存したり、色々便利です。まぁ、本当にこの程度しか出来ないんですけどね」

 

 はいどうぞと差し出すと、それを見る。

 

「そうか、ネームの状態でも物語として成しているのか」

 

「はい」

 

「...ふむ、分かったよ。鈴鹿凪さん。ちょっと待ってておくれ」

 

 根津校長が電話をかけると、数分でそれを閉じこちらに目を向ける。

 

「よし、鈴鹿凪さん。本日から二週間と少し短い時間だが、君の身柄は我々が保護しよう」

 

「! ありがとうございます!」

 

「もし何か物が必要ならいつでも相談してくれ。力になろう」

 

「...相談と言うほどでもないんですが。ひとついいでしょうか?」

 

「おや、何かな!」

 

「この高校って、怪我とかってかなり多い部類ですか?」

 

「まぁヒーロー科はそうだろうね。それ以外はそこまでだけど...どうしてだい?」

 

「私、回復の能力も使えるんです。だから、お世話になる分、少しでも恩返しがしたくって...」

 

 それに母親は料理の個性持ちなので食堂におけると思いますしと伝える。

 

「ほう!? 回復もできるのかい!?」

 

「あ、はい。程度によりますが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「凄いね! 腕の損失から内臓...それ、本当かい?」

 

「えっ? あ、はい」

 

「...ひとつ聞きたいことがある。鈴鹿さん」

 

「な、何でしょう...?」

 

「それは例えば、内臓の摘出を行なったものでも治せるのかい?」

 

「て、摘出ですか? た、多分できると思います...あ、でもそのレベルの症状だと、詳しく聞いたり見たりしないと能力は発動できないですが...」

 

「...どうやってだい?」

 

「えっと、引っかいたり色々して、ですが」

 

「その色々は、言えない物なのかい?」

 

「色々は言えない部分になります。ちょっと強すぎたので、余程の事がない限りは、使わない能力です」

 

「...ちょっと待ってて欲しい」

 

 急に空気が変わり、携帯電話をとりだすと急になんだが来て欲しい、あぁ、そうだよ。の二言で終わらせる。

 

 その2分後だろうか。ドタバタと足音が聞こえ

 

私が来た! 

 

「お、オールマイト!?」

 

「む、君は鈴鹿少女!...根津校長、もしや!?」

 

「君が恐れてる被害はあってないよ、オールマイト」

 

「そうですか。あー、校長。あの」

 

「オールマイト。僕が許す。()()()()()()()()()()

 

「え!? い、いやしかし」

 

「もしかしたら、だけれども。君の怪我が治るかもしれない」

 

「...really?」

 

「あぁ。really」

 

 その瞬間、ボフンと音を立てる。

 

「ゲホッゴホ...い、一体何が...?あ、あれ? 貴方は.?」

 

「彼こそがオールマイトだよ。鈴鹿さん」

 

「...えっ?」

 

「そう! 私こそがオールゴホッ!」

 

 と、血反吐を吐くオールマイトにパニックになる。

 

「ちょっと訳ありでね。君が個性の一部を隠しているように、彼にも隠している事があるのさ」

 

「...えっと、つまり治して欲しいのは.」

 

「そう、オールマイトの怪我さ。症状は呼吸器官半壊、胃の全摘出。それの手術痕」

 

「一体、オールマイトに何が...」

 

「それは...」

 

「...校長、ここは私が」

 

「いや、こういうのはどうだろう。君がもし治せるのなら、変わりにそれを教える。報酬は個性に関しては秘密にする」

 

「校長!?」

 

「...+、校長はこの能力を見ない、聞かない。ならそのお話、引き受けます」

 

「鈴鹿少女も...」

 

「分かった。オールマイト。君にとっても悪い話じゃない筈さ。治せる可能性があるのなら、それにすがってみたって。それに。みろよ彼女の目」

 

「...!」

 

 オールマイトが見たその目は.

 

「何が何でもやってやる。そんな目だぜ」

 

 まるで人を救うヒーロ。自分やその同僚と遜色ない目だった。

 

「...わかりました。そのお話、引き受けます」

 

「廊下に出ている。人を避けておくよ。終わったら呼んでくれ」

 

 トコトコと部屋から出ていく根津。ここにはオールマイトと治せると豪語する謎の少女ただ1人。

 

「...さてオールマイト。少し見ても?」

 

「あ、あぁ」

 

 と、来ているシャツを脱ぎ、その怪我を見る。

 

「...これほどだと、能力はこっちじゃないな。少し甘く見てた」

 

「鈴鹿少女...?」

 

「オールマイト」

 

「?」

 

「今から発動する能力に関して、言わない、広げない。口を滑らせない。心に誓って下さい」

 

「分かった。オールマイトの名にかけて守ろう」

 

「じゃあ服を着て下さい」

 

「あれ!? ここはなんか直接こう、やる場面じゃないの!?」

 

 血反吐を吐きながら服を着るオールマイト。

 

『【大嘘憑き】貴方の怪我と手術を無かった事にした』

 

 不意に。胸に手をかざしてそういうと

 

()()()()()()()()()

 

「...?いや、何もしてないでは...!?」

 

 いや違う。された。気づかなかっただけでもうされている。

 

「な!?」

 

 服の下を覗き込むと痛々しい手術痕が無い。

 

「君は...一体...」

 

「オールマイト。言った筈ですよ。聞かないって。もしそれを守れないなら」

 

 分かってますね? 

 

 そのなんとも言えない雰囲気に一瞬圧されそうになったが、すぐにそれを払う。

 

「あぁ...ありがとう鈴鹿少女!」

 

「あ、念の為レントゲンとかは撮っておいて下さいね。私もそこまでのものは初めてですし」

 

「えっ、何!? 私はモルモットだった!?」

 

「まさか。物語では...うーん、そうですね。うーん...」

 

「ちょっと!? そこは否定してくれないか鈴鹿少女!?」

 

「あ、校長呼ばないと」

 

「ちょっと!」

 

 ──────────────

「成る程、つまり同一犯だと...」

 

 話を聞き、驚くべき事がわかる。オールマイトの怪我と今回狙っているやつは同一犯。

 

「そう。そして奴が活動し始めた証拠が君さ。鈴鹿さん」

 

「正確には個性の予言ですけどね」

 

「それでも君の勇気と力があってこそさ。奴が活動したとわかれば、対策を講じれる」

 

「といっても、先程話したように.」

 

「あぁ、勿論分かってる。行動したから予言通りにはいかない。もしかしたら、まだ向こうは君の存在を知らないかもしれないのもね。けどとりあえず二週間は、地元ヒーローに注意とパトロールの厳重化をお願いしてるよ」

 

「あぁ、そして報告が来た時には、私が!」

 

「うん、その時は頼むよオールマイト。あぁ、鈴鹿さん。国民を代表してお礼を言わせてくれ! 本当に、本当にありがとう!」

 

「私からも言わせてくれ鈴鹿少女! 君がいなければ、この世に蔓延る悪を増やしてしまうところだった! 君のおかげで私はまだ、ヒーローとして国民を、世の中を守る事ができる!」

 

 校長と握手を交わし、オールマイトと握手を交わし。仮設の部屋(セメントス作成)に入り、少し違う二週間を過ごすのだった。




「東方project 八雲紫 境界を操る程度の能力」

「めだかボックス 赤 青黄 五本の病爪
         球磨川 禊 大嘘憑き」


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