転生アカデミア   作:お月見桜

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彼女の本心なので別に飛ばしても差し支え無いです。


2.5話

「私の予言は回避することができ、恐らく分かっていると思いますが、それぞれの行の最後が忠告文です。その通りに動けば、あるいは近い行動を取ればその悪い未来は回避できる可能性が高まります」

 

うん、嘘じゃない。未来なんて確定させてしまうとその能力で絶望に変わってしまう。

 

「それが君の予言なんだね? 鈴鹿さん」

 

「はい。予言で未来が決まるのではなく、あくまでも回避出来ることにすることで...あー、言うなれば金稼ぎができる子を作りました」

 

これも嘘ではない。実際、金稼ぎ以外の利用法ないし。能力がなくなったらポイッてされてたし。

 

「個性は想像、君の作った物語の能力を発動することができる、だったね?」

 

 正確には違うけど、個性届けにもそう書いてあるし...

 

 母親はミッドナイトと。後に2人の話の相違点がないかを確認するのだろう。

 

「その物語はどこにあるのかな?」

 

「場所は示せますが、読むのは禁止です」

 

「なぜかな?」

 

「理由は二つです。1。私が恥ずかしいから。2。能力をバラしたくないから」

 

「...分かった。読むのは止めよう。だけれど、表紙を読んだり、タイトルを見るくらいなら良いだろう?」

 

「それくらいなら良いです。ちょっと待っててください。【境界を操る程度の能力】」

 

 横にすき間を出し、ガサゴソと探り10の表紙と一話にあたる部分を出す。

 

よかった。予め書いといて!各物語の一話から十話あたりと、各章の一話から十話までは書いていたのがここに来て生きてくるとは思わなかった!

 

「それも君の能力かい?」

 

「えぇ。物を保存したり、色々便利です。まぁ、本当にこの程度しか出来ないんですけどね」

 

 はいどうぞと差し出すと、まぁこの能力は本に書いてないけどと思う。

 

「そうか、ネームの状態でも物語として成しているのか」

 

「はい」

 

「...ふむ、分かったよ。鈴鹿凪さん。ちょっと待ってておくれ」

 

さて、そろそろかな?

 

「よし、鈴鹿凪さん。本日から二週間と少し短い時間だが、君の身柄は我々が保護しよう」

 

「!ありがとうございます!」

 

「もし何か物が必要ならいつでも相談してくれ。力になろう」

 

「...相談と言うほどでもないんですが。ひとついいでしょうか?」

 

「おや、何かな!」

 

「この高校って、怪我とかってかなり多い部類ですか?」

 

「まぁヒーロー科はそうだろうね。それ以外はそこまでだけど...どうしてだい?」

 

「私、回復の能力も使えるんです。だから、お世話になる分、少しでも恩返しがしたくって...」

 

 それに母親は料理の個性持ちなので食堂におけると思いますしと伝える。

 

「ほう!? 回復もできるのかい!?」

 

「あ、はい。程度によりますが、擦り傷から骨折、腕の損失から内臓破裂くらいならいつでも力になれます」

 

「凄いね! 腕の損失から内臓...それ、本当かい?」

 

掛かったなこのネズミーマウス!夢の国の住人!

 

「えっ? あ、はい」

 

「...ひとつ聞きたいことがある。鈴鹿さん」

 

「な、何でしょう...?」

 

「それは例えば、内臓の摘出を行なったものでも治せるのかい?」

 

「て、摘出ですか? た、多分できると思います...あ、でもそのレベルの症状だと、詳しく聞いたり見たりしないと能力は発動できないですが...」

 

「...どうやってだい?」

 

「えっと、引っかいたり色々して、ですが」

 

多分五本の病爪でなんとかなるとは思う。骨折を引っ掻くだけで治せるなら、そんくらいいけるいける。

 

「その色々は、言えない物なのかい?」

 

「色々は言えない部分になります。ちょっと強すぎたので、余程の事がない限りは、使わない能力です」

 

「...ちょっと待ってて欲しい」

 

 その2分後だろうか。ドタバタと足音が聞こえ

 

「私が来た!」

 

「お、オールマイト!?」

 

そんな焦ったら傷口開くんじゃないか?

 

「む、君は鈴鹿少女!...根津校長、もしや!?」

 

「君が恐れてる被害はあってないよ、オールマイト」

 

「そうですか。あー、校長。あの」

 

「オールマイト。僕が許す。無理をしなくてもいい」

 

「え!? い、いやしかし」

 

「もしかしたら、だけれども。君の怪我が治るかもしれない」

 

「...really?」

 

「あぁ。really」

 

 その瞬間、ボフンと音を立てる。

 

いやこの煙、漫画とかアニメでよくあるやつかなと思ったけど案外リアルなのか。

 

「ゲホッゴホ...い、一体何が...?あ、あれ?貴方は?」

 

「彼こそがオールマイトだよ。鈴鹿さん」

 

「...えっ?」

 

こんなガリガリなのか...やっぱ実物は違うなぁ

 

「そう! 私こそがオールゴホッ!」

 

と、血反吐を吐くオールマイトにパニックになる。

 

だから、落ちつけと。

 

「ちょっと訳ありでね。君が個性の一部を隠しているように、彼にも隠している事があるのさ」

 

「...えっと、つまり治して欲しいのは.」

 

「そう、オールマイトの怪我さ。症状は呼吸器官半壊、胃の全摘出。それの手術痕」

 

「一体、オールマイトに何が...」

 

「それは...」

 

「...校長、ここは私が」

 

「いや、こういうのはどうだろう。君がもし治せるのなら、変わりにそれを教える。報酬は個性に関しては秘密にする」

 

「校長!?」

 

それ報酬になってなくない?私に利点ないと思うけど...

 

これ断ったら雄英二週間もなくなるよな。なら少し悪戯返しでもしようか

 

「...+、校長はこの能力を見ない、聞かない。ならそのお話、引き受けます」

 

「鈴鹿少女も...」

 

「分かった。オールマイト。君にとっても悪い話じゃない筈さ。治せる可能性があるのなら、それにすがってみたって。それに。みろよ彼女の目」

 

「...!」

 

嘘、明らかに怪しいのに。え、でもここで原作を作り変えれるならいくらでもやる。何がなんでもやってやる。

 

「何が何でもやってやる。そんな目だぜ」

 

「...わかりました。そのお話、引き受けます」

 

「廊下に出ている。人を避けておくよ。終わったら呼んでくれ」

 

あれ?あぁ、もういいのか。

 

「...さてオールマイト。少し見ても?」

 

「あ、あぁ」

 

 と、来ているシャツを脱ぎ、その怪我を見る。

 

「...これほどだと、能力はこっちじゃないな。少し甘く見てた」

 

直感が喚くんだ。無理だぞと。

 

「鈴鹿少女...?」

 

「オールマイト」

 

「?」

 

「今から発動する能力に関して、言わない、広げない。口を滑らせない。心に誓って下さい」

 

「分かった。オールマイトの名にかけて守ろう」

 

「じゃあ服を着て下さい」

 

「あれ!? ここはなんか直接こう、やる場面じゃないの!?」

 

 血反吐を吐きながら服を着るオールマイト。

 

『【大嘘憑き】貴方の怪我と手術を無かった事にした』

 

 格好つけて、括弧つけて。カッコよく。

 

「はい、終わりました」

 

「...?いや、何もしてないでは...!?」

 

「な!?」

 

「君は...一体...」

 

「オールマイト。言った筈ですよ。聞かないって。もしそれを守れないなら」

 

 分かってますね? 

 

 ...いや、本当に大丈夫だよな?

 

「あぁ...ありがとう鈴鹿少女!」

 

「あ、念の為レントゲンとかは撮っておいて下さいね。私もそこまでのものは初めてですし」

 

「えっ、何!? 私はモルモットだった!?」

 

「まさか。物語では...うーん、そうですね。うーん...」

 

「ちょっと!? そこは否定してくれないか鈴鹿少女!?」

 

「あ、校長呼ばないと」

 

「ちょっと!」

 

 ──────────────

「成る程、つまり同一犯だと...」

 

 話を聞き、驚くべき事がわかる。オールマイトの怪我と今回狙っているやつは同一犯。

 

「そう。そして奴が活動し始めた証拠が君さ。鈴鹿さん」

 

「正確には個性の予言ですけどね」

 

「それでも君の勇気と力があってこそさ。奴が活動したとわかれば、対策を講じれる」

 

「といっても、先程話したように.」

 

「あぁ、勿論分かってる。行動したから予言通りにはいかない。もしかしたら、まだ向こうは君の存在を知らないかもしれないのもね。けどとりあえず二週間は、地元ヒーローに注意とパトロールの厳重化をお願いしてるよ」

 

「あぁ、そして報告が来た時には、私が!」

 

「うん、その時は頼むよオールマイト。あぁ、鈴鹿さん。国民を代表してお礼を言わせてくれ! 本当に、本当にありがとう!」

 

「私からも言わせてくれ鈴鹿少女! 君がいなければ、この世に蔓延る悪を増やしてしまうところだった! 君のおかげで私はまだ、ヒーローとして国民を、世の中を守る事ができる!」

 

 よし、残る目的は個性発動停止をこの目でしっかり見る事だ!頑張ろう。


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