転生アカデミア   作:お月見桜

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ヘドロ事件

原作では緑谷出久、爆豪勝己が敵の隠れ蓑として襲われ、緑谷出久はヒーローに説教を。爆豪勝己はヒーローに注目を浴びた事件であり、2人にとってのターニングポイントである。

緑谷出久はヒーローになれるように努力を行い、その努力が実り憧れの学校に、憧れのヒーローから全てを学ぶ。

なら、爆豪勝己が得た学びや経験は何なのだろうか。

これは転生した私の意見だが、「個性を人に向ける恐怖」を学んだんだと思う。

だから緑谷出久が合格をしたとしても、胸ぐらを掴むだけで個性の爆破を使わなかったし、13号先生が個性の使用を説くシーンでは、そのコマの中心にいた。

ならその経験を得なかった彼は如何なのだろうか。答えはきっと

ーー今から行われる対人戦闘で分かる。

だから私も学ぼう。その恐怖を。だから貴方も学ぼう。その恐怖を。


6話

「始めようか有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!!!」

 

因みに私のコスチュームは自分の髪から作られたコスチュームで、スーツ姿である。

 

その男らしい格好に、峰田は血涙を流し悔しがっていた。八百万の、芦戸のような胸元が露わになっているコスチュームやつゆちゃん、お茶子のようなパツパツのコスチュームを見た後だからだろう。

 

しかし、コスチュームの形は利便性を追求するものであり、エロさは仕方なくそうなってしまったりするのが多い。だから俺は悪くねえ!

 

...よし、しっかり要望しておけばコスチューム会社の性癖に合わなくてもいいのが分かったのがでかい。今後は大きい変化は会社だけど小さい変化は発目さんに頼もう。

 

「コンビ及び対戦相手はくじだ!」

 

「くじーーー!?」

 

そして多分、私は緑谷枠で入っているから偶然じゃなく必然的に...

 

「わ!凪ちゃんやん!頑張ろうねぇ!」

 

「こちらこそよろしくお願いします。」

 

Aチームを引くことが出来るし対戦相手も

 

「では最初の相手は...ヒーロー側Aチーム!敵側Dチームだ!」

 

爆豪と飯田のところを引く事になる。

 

「...オールマイト、少し設定がわからないので質問いいですか?」

 

「む!いいぞ!」

 

「ありがとうございます。では一つ、ヒーロー側も敵側も、個性の把握は出来てるのですか?」

 

「今回の演習では、ヒーロー側は敵の個性を知らない、敵側もヒーロー側の個性も知らない前提だぞ!」

 

「なるほど、では二つ目。核の強度を知りたいのですが。」

 

「敵側は核を防具を着るほど慎重に運び、脅しとして核を使おうとしてるぞ!だから大きな揺れは危険だと思えよ鈴鹿少女!」

 

「えぇ、頑張ります。ありがとうございます。」

 

...かなり困った。これ、設定を深く聞けば聞くほどヒーロー側が不利すぎる。

 

「ならDチームは準備を!Aチームは5分後に潜入開始だ!」

 

轟のように初手氷も、爆豪には通じない。氷を爆破してしまったらせっかくの氷が無意味になるし、凍ったままだと逆にこちらが不利になる。

 

「麗日さん、作戦立てましょう」

 

「うん、けどどないしようか...個性もそこまで使えるものじゃないだろうし...」

 

「麗日さんの個性は、敵の行動不能後に使う個性ですから...それに敵の行動もある程度予想しなくちゃいけませんし」

 

「うん...うーーーーーーん、わからん!」

 

「...オールマイトは敵の個性は分からないって言ってましたが、性格は何も述べてませんから、恐らくなんですが...」

 

相手が取る行動もとい、原作知識を伝える。

 

けど、なるべく完全勝利を目指してみたい気持ちが私にはある。だから、お茶子ちゃんには少し体を張ってもらう。

 

「だから私が爆豪君を引きつけます。だから麗日さんは飯田君をお願いします」

 

「うん分かった。後はこのテープを使えばええんやね?」

 

「はい。私も頑張って、早めに無力化しますからそちらもお願いします。」

 

「うぅ...殴られるのは嫌やねんけど、ヒーローになるためには耐えへんと...」

 

「そこはお互い様という事で...そろそろ始まりますね。」

 

「うん!頑張ろう!」

 

『ヒーロー側、五分経ったからスタート!』

 

「【縛道の七十七 天挺空羅】」

 

「どう?分かりそう?」

 

自分の力を使い、対象を捕捉する鬼道。

 

「...捕捉しました。1人は5階、階段から右、二つめの部屋。1人は4階、階段を降りてきてます」

 

「分かった!じゃあ窓から入ろう!」

 

空いてる窓から入り、音を立てずにゆっくり動く。

 

「じゃあ私が先に歩くね」ヒソヒソ

 

「ごめんなさい、囮にするような真似をさせてしまって」ヒソヒソ

 

「ええんよ!」ヒソヒソ

 

曲がり角に入る...その時上からバッと人影が現れる!

 

「奇襲!」

 

「【しめりけ】」

 

お茶子が気づき、私が仕掛ける。因みにお茶子はとっさにしゃがみ、ノーダメージ

 

壁を素手でぶん殴る事になった人影...もとい爆豪はこちらを睨む。

 

「テメェかこのクソ女...むかつくなぁ」

 

「ムカツクなぁ!!!」

 

怒りを露わにする爆豪。そしてそれに答える。

 

「あぁ、因みになんですが。君が個性を使って上から奇襲を仕掛けてこなかったら、素手で壁を殴るなんて恥、晒さなくても良かったんですよ。馬鹿のように個性を使ってこちらにバラしたら、対策されますよ。」

 

わざと煽る。煽らなくてはならない。

 

「ーーーーーーーーー!」

 

怖い怖い。体育祭のメダル授与並の吊り目だ。だからこそ、彼はこちらしかみていない。

 

『凪ちゃん、こちら三階まで上がれたよ!そっちは大丈夫そう!?大丈夫なら、ボタン一回!』

 

無線から連絡が入り、通話ボタンを一回押す

 

『了解!絶対勝とうね!』

 

「悪いけど、終わらせてもらいます。【れいとうビーム】」

 

真っ直ぐな氷の線が爆豪にあたるその瞬間。爆豪から個性が使用され、ビームが壊された。

 

「は、分かったぜテメェの個性。テメェ、便利な個性だが一つ一つしか使えねぇんだろ。だから今は個性が使えた」

 

「...!」

 

おい、落ち着きすぎだろこの天才マン!

 

「いや、使うのが難しいだけですよ。【影分身の術】【こおりのつぶて】」

 

煙が上がり、私が4人になる。そして氷でできた礫を放つ。だが

 

ボン!という音とともに、礫が爆破される。

 

「これじゃ意味ありませんか...!」

 

「んで、こんだけ爆破してりゃつめてぇが溜まった。」

 

「?」

 

「おらいくぞ!」

 

「【しめりけ】」

 

「走れば意味ねぇんだろそれ!」

 

走って近づき、分身体を殴る爆豪。

 

「おらもういっちょ!」

 

残り二体。くそ、建物を揺らさないように相手するのはまだ厳しいか。

 

「テメェの個性は便利だが、近接戦は苦手なようだな。」

 

「それがどうかしましたかね。【れいとうビーム】」

 

しかし当たらない。それどころか、【しめりけ】がいつの間にか消えて、爆破で消される。

 

「確か言ってたなぁ?二つ使うのは難しいって。」

 

「?」

 

「なら今は使えにくいよなぁ?俺の小手は汗をためて、それを解放することができる。それを一気に解放すりゃ」

 

ーーどーする?ヒーロー

 

...恐らく脅しのために。当てるつもりはなかった。けどそんなの関係ない。

 

「!不味い!」

 

「あっ!?」

 

ピンを抜く。私の体が小手に覆いかぶさる。高威力な爆破はなんとか建物に被害を出さず。

 

...しかし、被害者は出てしまったようだ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「!」

 

止まらなかった。止められなかった。

 

「な、なぁ...あれ、大丈夫なんだよな?」

 

閲覧室からは現実を受け止めたくない者。目を背けてる者。吐きそうになっている者。...そして後悔している者。

 

「まぁ大丈夫だと思いますよ?何しろあれ、多めに力を注いだ分身体ですし」

 

「だ、だよな!...ってあれ?」

 

「す、鈴鹿少女!?」

 

「しゅじゅかしゃん!?」

 

「八百万さん、涙と鼻水が...大丈夫死んではいません。」

 

「そうか、あの特殊な部屋のか!」

 

「あ、はいそうです。煙幕を利用して、上手い具合に逃げてきました。まさかあんな事になるとは思わなかったので、生存報告の為にこちらに来ましたが...」

 

「大丈夫だ...それより、まずは爆豪少年だ。鈴鹿少女。私も向こうに連れてってくれるかな?少し彼と直接話がしたい。」

 

「まだ訓練中ですので申し訳ないですが、連れて行くことはできません。...そろそろ行きますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ...嘘だろ...?」

 

自分がやった事を認めたくない少年1人。彼の眼前に見えるのは、焼け焦げた体一つ。

 

その体からは硝煙の匂いとでもいうのだろうか。

 

いや体なのだろうか。一つは頭らしきものと肩らしきもの。一つは足らしきもの。それしか周りは見当たらない。

 

きっと多分、そこらで隠れているのだろう。そう思い、足らしきものを持ち上げる。

 

 

 

ぶらん

 

 

 

足先のようなものが崩れ落ち、ぼとりと落ちる。

 

その重さが。その形状が。その音が。その感触が。現実を受け止めさせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前が殺したんだぞ」

そう聞こえたような気がし、その場にいたくない感情から、建物から逃げ出した。

 

「どこに行くの?」

 

煩い

 

「いたいなぁ」

 

煩い

 

「ねぇ待ってよ」

 

またない。いやだ。

 

「ひどいなぁ」

 

ひどくない。俺は悪くない。

 

「ねぇ聞こえてるんでしょ?」

 

何も聞こえない、聞きたくない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「認めなよ。君が殺したんでしょ?」

 

「ウルセェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!」

 

声を爆破しようとしても、心が追いつかない。

 

「【縛道の六十一 六杖光牢】」

 

後ろから六つの拘束具が胴の周りを囲む

 

「なっ...!」

 

あたりを見渡してもその声の主はおらず。その姿はあらず。

 

しかしその拘束は体を封じ。心も封じた。もはや彼はこの訓練中再起不能である。

 

「敵チーム2人とも確保テープを付けられた事により、ヒーローチームの勝利!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『了解!絶対勝とうね!』

 

「よし、凪ちゃんの言う通りや!後は私が頑張る番や!」

 

階段を上がりながら覚悟を改める麗日。

 

(確か、飯田君の性格上、敵になりきるようにキャラを作るはずだから..)

 

作戦を一つ一つ思い出し、反芻する。

 

(着いた!確か凪ちゃんの情報やとここに...)

 

部屋を覗き見すると、そこには核と飯田がいる。

 

よし、やるぞと。

 

「ヴィラン!追い詰めたぞ!」

 

「む。ヒーローか。だが追い詰めたのはどちらの方かな!?」

 

と、核の方に近づき脅しをかける

 

「それ以上近づいてみろ!俺はこの核を爆発させ、味方もろとも死ぬぞ!」

 

「馬鹿な事言わんとき!あなたのお母さんが悲しむぞ!」

 

「な、母さん...!」

 

「そう!確かにあなたのお母さんは、今あなたがやっている事を知らない!けど、自爆にせよ逮捕されるにせよ、お母さんには見つかる、お父さんには見つかる!」

 

「う、うるさい!母さん、父さ...ば、ば、ばばぁ、じ、じじぃなんて知らない!」

 

「じゃあこの部屋の綺麗さはなんや!?あなたが、この部屋を片付けたんやないの!?」

 

「そ、それとこれは違うだろ!?」

 

「いいや違わない!そんなふうにきちんと片付けられるのは、お母さんとお父さんの指導あってのものやろ!?なら、今きちんと罪を償って、立派になってもう一回、お母さんとお父さんの顔合わせろ!」

 

「う....うおおおおおお!」

 

個性を使って走り、麗日に殴りかかる飯田。女子だから、顔面じゃなく、腹目掛けてパンチを繰り出す。

 

「う...飯田君、ありがとうな」

 

その行為を誘発したのは紛れもなくお茶子自身であり、感謝を述べる必要はないが。だが、作戦通り行った事に対し、感謝を述べないと言う手は無かった。

 

「なっ、これは...!」

 

「確保テープ!飯田君、確保!」

 

「や、やられた...!」

 

「...うぅーー気持ち悪い」

 

「う、麗日君大丈夫か?済まない、少し力を入れすぎた...」

 

「かまわないよ。ヒーローになったら、これくらいは我慢せんといかんし。それより、ここから脱出しよう。」

 

「ん?いや、核をタッチすればそれで終わりじゃ...?」

 

「私1人で運べるならそれでいいけど、飯田君は敵で、協力出来ないやん?防具もない、人手も足らないのに、核には触れないよ。」

 

「た、確かに...!今回の演習、俺らは敵は防具をつけて核を運んだがヒーロー側はそれもなし...状況的には敵を捕まえたら協力を仰ぐのがベスト...!」

 

「うん。本当はそこまでやりたいんだけど、すっごく気持ち悪いから三階の広間あたりまで運んでってくれない?」

 

「任せろ!」

 

その数分後。時間ギリギリでヒーローチームが勝ち麗日は大いに喜んだ。




「BLEACH 天挺空羅 六杖光牢」

「ポケットモンスター しめりけ(とくせい) れいとうビーム こおりのつぶて」

「NARUTO 影分身の術」





多分、個性は人が簡単に死ぬってのがわかればええんちゃうかな...

(本当は個性でみみっちく痛めつけて、死ぬ直前までやってしまう爆豪を演出したかったんだ...)

(あとこれ彼大丈夫?なんか歪まない?)

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