例えばそんなヒロインがいたりいなかったり   作:chee

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1,2話で思たよりいい反応をいただきまして、かなり調子に乗ってしまいました。3話目です。

楽羽ちゃんが概念出て以来楽羽二次は増えて来てるんですけど、もっと増えてもいいのよ?みんなも書いてくれていいのよ?


例えばそんなデートをしたりしなかったり

うーん。来てしまったなぁ。慧と約束した日が(デート当日)

 

いや、デートっていうかさ、単に遊びに行くってだけなんだけどさ。私と慧の関係性(恋人同士)を考えたらまぁデートになっちゃうかなって。

 

別に意識してるわけじゃないぞ。私と慧なんて付き合ってようがいまいがやることなんて変わんないんだから。

 

…ほんと、意識してるわけじゃないから。

 

でもさ、慧からしてみると彼女との華やかなデートになるはずなわけで、まぁ多少オシャレしてやるのもやぶさかじゃないかなぁ……って。アイツの沽券のためにもさ。

 

それでこの間ペンシルゴンにもらった服を引っ張り出してきて、瑠美にもちょっとメイク手伝ってもらってここに至るわけなんだが……

 

 

「やっぱちょっと気合入れ過ぎ感出てるかな……」

 

 

通りを歩く私の姿がお店の窓ガラスに映る。そこに映っているのは完全に浮かれ切ったまるで自分じゃないような少女。「これが……私?(キラキラ)」みたいな定番ネタをする気も起きないほどに普段の私とかけ離れててちょっと気持ち悪い。

 

ていうか、えぇ……

 

これで慧に会いに行くってことでしょ?なんかヤダ。っていうか何で私がわざわざオシャレしてるんだっけ?だんだん腹立ってきたぞ?

 

 

……いや、落ち着け私。思考が割とめちゃくちゃだぞ。

 

 

「ふぅーっ…ふぅーっ……ふへへ…」

 

 

そうだよなぁ、慧かわいいって言ってたしなぁ。

 

 

「んー…まいっか」

 

結局私より気合の入ってた瑠美のせいだから。別に私が気合入りまくってるとかそんなんじゃないから。私が気にする必要はない!……はず!!

 

 

 

「おはよ、慧」

 

「おはよう、らく………は……」

 

待ち合わせ場所はいつぞやのラーメンの時と同じ駅前広場。集合時間3分前について見れば、慧がマヌケ面を晒していた。

 

口をポカーンと開けてただ食い入るように私を見る………そんな見るなよ恥ずかしい。

 

「口パクパクさせてどうした?つ…遂に鰓呼吸でも始めたんですかぁ?」

 

「いや、だって、楽羽が…」

 

「……私が何だよ」

 

うぅ……慧の視線が刺さって思わず身をよじる。そんなに私の恰好がおかしいのか。ていうか、この空気居心地悪すぎるんだが……

 

「身の危険を感じるから帰る」

 

「あぁ待って待って!!!」

 

「んぁあ??」

 

「その、すごいかわいかったから……さ?」

 

「んなッ……!!!!」

 

 

だから!!そういうこと言うのやめろって何度も!何度もぉ!!

 

 

「……うるさい。バカッツォ」

 

「ふふ…悪かったって」

 

「何で笑ってるんだよ!!」

 

「その、楽羽の反応が……ね?」

 

「ね?じゃない!!」

 

もぉー開幕からこれだよ。こいつの空気に飲み込まれたらダメだ。絶対に持たない。私の精神が。何とかしてイニシアチブを……

 

「慧!!!」

 

「なに?」

 

「……はやくいこ」

 

「うん」

 

 

やっぱ今日のコイツは調子狂う!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふっふっふ。出会い頭で散々恥をかかされたが、それもここまでだ。思い出してみて欲しい。今日の目的地ってどこだっけ??…………そう!ゲーセン!!ゲームに青春を全課金した女こと私の安住の地(マイホーム)!!ここなら、私が、私のペースで主導権を握れる!!!

 

……誰がゲームで青春腐らせた女じゃい。

 

 

「クレーンゲームって下の階だっけ?」

 

「そ」

 

ゲーセンに到着した私達。とりあえず目的のぬいぐるみを求めて地下会に潜る。ここでさっきの雪辱をォ……

 

 

 

「さ!!!そ!!!り!!!」

 

 

 

やっっばい。かっっわいい。えっ、なにこれ殺しに来てるの??っていうかクオリティ完璧じゃん!シャンフロ内の水晶群蠍(クリスタルスコーピオン)のフォルムをベースにしてちびキャラ化、それでいて全身の色合いが完全に水晶の光沢を再現してて雰囲気の完全な再現に成功してるのにあくまで角ばった体を丸く柔らかそうなぬいぐるみで表現してて絶対抱き心地やばいってこれ!!最高かな?最高だよね?最高だぞ!!!

 

「あぁぁ今すぐとってやるからなマイブラザー!!!」

 

「いったん落ち着こ」

 

「無理!!!」

 

1プレイ200円?とりあえず500円入れとけば3回出来てちょっとお得ってクレーンゲームの鉄板だから!普通1、2プレイで取れるようにはできてないし、もし取れちゃうようなガバ難易度なら複数体狙いで行くのでオールオッケー!!

 

「いざ!!」

 

ちゃりん。きゅいんきゅいんきゅいん。ぴろりぴろりぱらりら。

 

コインを入れると機体が光りだして、準備ができたと合図を告げる。そして私はアームを動かすレバーに指をかけた。

 

「…「真界観測眼(クォンタムゲイズ)」!」

 

「いや、使えないから」

 

「雰囲気に水を差すなアホ」

 

「えぇ…」

 

私の眼が捉えた完璧なタイミングでアームが獲物へと襲い掛かる。アームはぬいぐるみの後ろ脚を捉え、ぬいぐるみはころりんと転がった。

 

「お、大分近づいたね」

 

「うん。だけど次どこ狙うかな…」

 

「しっぽに引っ掛けてまたずらす?」

 

「かなぁ…」

 

とりあえずもう一回。今度もアームは狙った位置に動き、しっぽを捉える。しかし、今度はその場でくるっとまわてしまい、ほぼ移動しなかった。

 

「あぁ…残念」

 

「いや、この体勢ならあの胴体の後ろの方を狙って…」

 

そしてもう一回、今度も狙い通りの完璧なアーム捌きで…

 

「お!」

 

「いよっしゃぁあああ!!!」

 

高くから落とされた蠍のぬいぐるみがころころと転がって穴へと落ちる。そして取り出し口から顔を出した。そのまま取り出して「ぽふっ」と抱えると、ちょっと腕が埋もれた。さらに今度は顔をうずめてみる。

 

 

「………」

 

「楽羽?」

 

 

「はぁぁぁぁ気持ちぃぃぃぃかわいいよぉぉぉ!」

 

 

えへへぇ…やばいよこのぬいぐるみ一生抱いてられる。っていうか間近で見ると余計にかわいい。あの水晶の体をふさふさの毛で表現するのは反則じゃない!?あぁぁかわいいなにこれぇ!!

 

「えへへ…ふわぁぁ…」

 

「よかったね」

 

「うん!!」

 

また慧が気やすく頭を撫でてきた。いつもなら恥ずかしくて怒ってるところだけど、今は機嫌がいいので許したげる。

 

 

はぁーーーー最高。

 

 

「せっかくだし俺もやろうかな」

 

「おう。がんばれ」

 

慧がクレーンゲームに500円玉を投入。私が取ったのとは別の蠍のぬいぐるみに狙いをつけて……

 

…スカッ。

 

「…えっ」

 

「…もっかい」

 

…スカッ。

 

「ぐぬぬ…」

 

あれれ?ひょっとして天下のプロゲーマー魚臣慧様がクレーンゲーム苦手でいらっしゃる!?なんとお可愛いこと!!

 

「待って、楽羽、大丈夫だから」

 

「ぷぷ。その調子で何が大丈夫なんだか」

 

「ほんと、次は取れるから」

 

「ほーん。じゃあやってみ?」

 

 

…スカッ。

 

 

「……」

 

「ぷっ」

 

「しょうがないだろ!こういう操作にワンクッション入れるゲームは苦手なんだ!!」

 

そういえば、同じ理由でロボゲーとかも苦手って言ってたっけ。

 

「大丈夫。ちゃんと取れるから」

 

追加で500円玉を投入する慧。あ、取れないクレーンゲームに金突っ込むのはほんとに沼…

 

「いける…いける…」

 

まぁここまで熱量持った慧を止める気も起きないからとりあえず見てることにしよう。……あ、初めて引っかかった。慧がひっかけた蠍がころころと転がって穴に近づく。

 

「ほら!!できた!!」

 

「うん。取ってから言え」

 

「任せろ」

 

何故か3スカの後一回うまくいっただけで自信をつけた慧がさらにぬいぐるみに狙いを定めてレバーに手をかける。

 

…スカッ。

 

「ぐぬぬぬ…」

 

それにしても大の男が本気でぬいぐるみのクレーンゲームに張り付く絵面って酷いな。

 

「クレーンゲーム×魚臣慧……いや、ロボットアーム×魚臣慧?」

 

スッ…と慧の目から光が消えた。

 

「あれ、既に魔境でネタにされ済みかな?」

 

「ロボットアームは機械攻め女体化魚臣受けで一時期でっかいブームが…」

 

「あ、それは掘り返して悪かったな」

 

「べ、べべ別にいいよ」

 

全くよくないじゃんかこのアホ。強がるにも程がある。まぁ面白いから別にいいけど。

 

「こ…こんどこそ」

 

改めてクレーンゲームに向き合う慧。でも、明らかに力の入りすぎた肩を見るとどう考えても取れる気がしない。

 

 

「…しょうがないなぁ」

 

「え?」

 

 

慧の手の上から私もレバーに手をかける。そして慧に顔を寄せて狙いを定めて……

 

 

「ここでしょ!!」

 

 

レバーから手を離す。アームは蠍のど真ん中を捉えて……離さない。

 

「お、おぉ……」

 

レバーに掴まれたぬいぐるみが穴の真上へと移動する。少しずつ動かすのが鉄板のクレーンゲームだけど、やっぱ直取りは花形!!アツい!!

 

そのままぬいぐるみが「ストン」と穴に落ちて、取り出し口に転がてくる。

 

「よっし」

 

ぬいぐるみを取り出して、慧に差し出す。

 

 

「はい。あげる」

 

「う…うん」

 

 

慧にぬいぐるみを渡すと、私は自分のぬいぐるみをもう一度抱える。

 

「ほら!こうやってぎゅーってしてみ!!やばいから!!」

 

「…うん」

 

慧が恐る恐るといったように蠍を抱く。なぁ、気持ちいいだろ?気持ちいいだろ??慧の表情が一気にゆるゆるになった。

 

 

「楽羽」

 

「うん?」

 

 

「ありがと!」

 

 

何故かその笑顔を直視してると気恥ずかしくなって、私はぬいぐるみに顔をうずめた。




楽羽ちゃんはカッツォとの付き合う前の距離感がベースだと思ってるし、それが心地いいんですけど、気が付くと距離感が近づいてる感じがすごい可愛いなていう個人的な妄想です。

仲のいいゲー友の空気感と、恋人特有のテレテレ空気感のスイッチの瞬間っていいですよね。

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