改変し放題では(違う)
月日が流れるのって早い。
あの時から早10年、凡そ13才になり体もそれなりに大きくなった。
この世界ならではなのか背はこの年齢では結構高めで同年代の男児と差程変わらない。
だが一向に胸は大きくならない・・・何故。
この世界観大きくなるのが道理じゃないのか。
無いものは仕方はない、まあ認めよう。
だがしかし、他人から言われるならまたべつである。
それも同年代の雑用となれば尚のこと。
前世で幾ら成人していてもそこまで私は出来た人では無かった。
「やーい。男女!胸無し、魅力無し〜」
「は?」
毎回毎回こうしてちょっかい出すのは後の赤髪のシャンクス。
ヤンチャな遊び盛りだとは思う。
ただ喧嘩相手は選べ。
売られた物は買うよ。
無いことは認めてもムカつかないとは限らないし少なくとも私は気にはする。
「雑用共、船は壊すなよ〜」
「全く・・・ロジャーも止めれば良いものを」
「ワッハッハ。まあ良いじゃねぇか!可愛い子ども同士の喧嘩だろ」
「やれやれ・・・怪我するのは日常茶飯事だがバギーは能力を使わない辺り多少はシャンクスに気を許してるのかもしれないな」
「まだまだ私は成長期だから!!!」
「胸は絶望的だろ!!!」
「成長するし!!!このチビ!!!」
「何だとこの胸無し男女!!!」
人が気にしてる事何度も言って本当にムカつく。
喧嘩口調が止まらない。
背も胸もまだまだ成長期だから!!!
きっと将来大きくなるから!!!
「あっ、危ない!!」
「「え???」」
誰かが床に酒を零して水溜まりになった場所に運悪くツルリと足を滑らせ転んだ先は船の外。
・・・つまりは海へと落とされた。
悪魔の実を食べているので私は力が抜けそのまま沈む一方で。
いやまあ、シャンクスは船の上に居たから落ちなくて良かったとは思うけどこのままじゃ確実に死ぬ。
泳ごうにも力が入らないのでまさに無理ゲーである。
「私が助けに行く、シャンクスは船医に声を掛け・・・おい!シャンクス!!」
ドプンと海の中に入って来る音がする。
目も開けられない為誰が助けに来たかは分からない。
ただ分かることがある。
これは馴染みが深い。
きっと、シャンクスだろう。
何だかんだで喧嘩はする、ただこういう時に限って頼りになるのは確かで。
「しっかりしろ、バギー」
「・・・ゲホッ・・・助かった。ありがとう」
口から海水を吐き出しそう伝える。
勿論桶に海水は吐き出した、流石に船にぶちまける訳にはいかないので。
しかし、悪魔の実は本当に厄介。
風呂とかシャワーなら問題ないけど、海水や海に触れるだけですぐ力が抜ける。
しかも暫く上手く動けない(多少の寝返り位は何とかなる)し。
能力者になるのも何もいい事ばかりじゃない。
「・・・ごめん。あんな気に触る様な事で気を引こうとしたばかりに喧嘩してわざとでないにせよ滑って落としちまって」
「・・・助けてくれた、それだけで充分だってば」
2人して酒の水溜まりに滑って私だけが落ちた、ただそれだけ。
喧嘩しててもただの不注意だったし。
仕方が無い・・・・・・何か原作バギーも行動その他諸々違うけどシャンクスに助けられた場面はあったな。
パラレルワールド故形が違うのかもしれないけどさ。
助けてくれた時は不意にも少しカッコいいと思ってしまった。
「念の為に船医をと思ったが少し休めば大丈夫そうだな」
「はい、お世話かけました副船長」
「いやー若いのぉ」
「それは同感だな」
尚この後からシャンクスは子どもじみた挑発を辞め、急に大人びた褒め言葉を使い始める。
主に私に対して。
人の成長は早いが、その急激な態度の変化は些かまだ慣れず緊張してしまう。
シャンクスのクセに。
「今日も月に映える蝶の様に綺麗だなバギー」
「いや、無理しなくていいからシャンクス」
「・・・ちぇ、本心だっての」
最後に呟かれた言葉は小さく呟いて居たので聞き取れずもう一度聞き直す。
「何だって?」
「なっ、何でもねーよ!独り言だ」
どうやら答えてはくれないらしい。
独り言なら聞き取れなくても大丈夫か。
それより2年弱で船から降りるにせよ出来るだけ長く一緒に居たいだなんて・・・我儘も承知の上だがそれ程までにこの海賊団は心地がいい。
シャンクスとも船降りたら別れるだろう。
副船長のレイリーさんや奥さんのシャッキーさんともお別れだろうし(ただし居場所は分かる)。
私は別に宝物に拘る訳では無い、こうしてロジャー海賊団の一員として船に乗りONEPIECE(ひとつなぎの大秘宝)を目にする事までが目標だから。
その後のことは考えてすら居ない。
そうとなれば少しだけ、寂しくなる。
この居場所が永遠だったら良かったのに。
閲覧ありがとうございましたー┏○ペコッ