フォルテが一人ではぐれ竜と戦いに行ってから数ヶ月経ちました。
特訓をしているフォルテとは、連絡が取れないので心配になりますが、頼りがないのはいい便りと言うくらいなので、元気だと思うことにしています。
私はというと、貰った本を頼りに、多くの魔法陣習得し、さらに、使える魔法の中で、本に載っていなかった物を魔法陣で再現しようと研究していました。
その結果、私が作った三つの魔法以外は、再現出来ました。
その合間合間に、魔法学園の先生方から魔法協会の上級魔法使いの試験を受けないかと言われましたが、最近では依頼を受ける暇がなかったので、そんな制度のことも忘れていました。
そして、今日は、メゾに付き合ってもらうことで、魔法陣を使ってくる相手への対処を考えていました。
「やはり、魔法陣への干渉は難しいですね」
「難しいというより、無理ですわ」
障壁の魔法同士で干渉させ打ち消すことが出来たので、魔法陣同士でそれが出来ないかと考えているのですが、発生した魔法同士がぶつかり、余波が広がるだけで、希望通りの結果にはなりません。
「簡単に諦めたくはありませんが、何かきっかけがないと先に進めそうにありませんね」
「思いついた範囲は試しましたが、全滅ですわ」
「しかたありません、これは保留ですね」
「まったく、気を紛らわせるにしても、もうちょっと建設的なものにして欲しいですわ」
こうして今日の特訓は終わりになりました。けれど、最後の言葉の意味がわかりません。
とりあえずは、命素をかなり消費したので、夕食の後に特訓を再開するのはやめておきます。
外で少し遅目の夕食を終え、後は寮に戻って寝るだけです。
メゾとは別行動だったので一人で歩いていますが、途中、妙な違和感を覚えました。
帝国とのことや、魔族とのことで、様々な噂話が飛び交っているので、見られていることはよくあります。けれど、普段とは違う視線を感じています。
不審者に襲われても返り討ちにする自信はありますが、下手に問題に遭遇するのも面倒なので、足早に戻ることにしました。
魔法学園の敷地には、関係者か許可を得た人しか入れないので、辿り着いてしまえば安心です。
けれど、そんな私の考えをよそに、学園の敷地に入ってもこの違和感は消えません。
突然に後ろを振り返っても誰もいないので、誰かが着いて来ているわけではないと思うのですが、絶対とは言い切れずにいます。
とりあえず、次の角で曲がってから待ち伏せることにしました。
杖も短剣も持ち歩いているので、威嚇には十分です。
そして、私が角を曲がり、少し距離を取って待ち構えていると、少し慌てたような足音が聞こえてきました。やはり、誰かにつけられていたようです。それにしても、どうやって学園の敷地に入ったのでしょう。まぁ、捕まえてみればわかることです。
私は、杖を握る手に力を込めました。
そして、建物の角から人の顔が姿を表した結果、私は間抜けな声を出したと思います。
「フォルテ?」
頭が記憶の中から見つけた人の名前を口に出しましたが、反射的に動いた手を押さえることが出来ず、杖を突き出していました。けれど、その杖はいとも簡単に掴まれています。
「いきなりひどいな」
私は目を疑いました。
フォルテは竜との戦い方を学ぶためにはぐれ竜と戦いに行っているはずです。ですから、こんなところにいるはずがありません。
けれど、目の前にいる人は、フォルテの顔をして、フォルテの声で話しかけてきます。
さらに、私の目の前で手を振っています。
「おーい、カノン、聞いてるか?」
そんな中、私は一つの可能性を思いつきました。
「本物だというなら、証拠を見せてください」
昔ワイズマンが子供の姿になっていたのを思い出しました。
つまり、魔法で姿を変えることも出来るはずです。
何を狙っているかはわかりませんが、迂闊に信じるわけにはいきません。
「証拠って、これで信じてくれるか?」
そう言って背中に背負っている長剣を見せてきました。
フォルテの持っている長剣です。けれど、見た目なんて……。
微かにですが、魔法がかかっています。それも、私がかけた『ドラゴンスレイヤー』です。
「本当にフォルテですか?」
「そもそも、何で偽物だと思われてるんだ? って、ちょっ」
私は、フォルテだと理解した途端に抱きついていました。
何だか驚いているようですが、そんなことは関係ありませんし、私の胸が高鳴っていることも関係ありません。
「だって、連絡一つよこさないじゃないですか。それに、居場所がわからないというのは、寂しいんです」
思い返してみれば、フォルテと出会ってからは、一緒に旅をしていましたし、旅をしていなくても、何処にいるかはわかっていました。けれど、今回ははぐれ竜と戦うとだけ聞かされていたので、何処にいるかは知らされていませんでした。
きっと元気にしている。そう思うことにしていても、やはり心の何処かでは心配し、寂しがっていたようです。
いつの間にか私の頭と背中に手が置かれていました。
心地よい暖かさを感じます。
「連絡しようにも、その手段がなくてな。でも、心配かけてたんなら、ごめん」
「いいんです。私が勝手に心配しただけですから」
夜というのは、人が音を立てない限り、静かなものなので、このまま静かに過ごします。
そして、私は静かに口を開きました。
「ところで、何でこんな時間に来たんですか?」
「早く会いたかったから」
今、フォルテに抱きついたまま顔をうずめていますが、顔を上げることが出来そうにありません。
絶対に顔が赤くなっているはずですから。
「ちゃんと、竜と戦ってきたんですよね」
苦し紛れにフォルテの成果を確認することにしました。
気を紛らわせれば、少しは落ち着くはずです。
「もちろんだよ。目標も達成したから、迎えに来たんだ」
フォルテの息が耳に掛かりくすぐったさを感じます。
そのせいで余計に顔が赤くなっていくのを感じました。
このままでは離れられません。
意を決して、フォルテから離れ、後ろを向いて誤魔化すことにしました。
「やっぱり連絡くらい欲しかったです」
ちょっと怒っているように見えるかもしれませんが、真っ赤にしている顔を見られるよりはましだと思います。
けれど、フォルテは思いがけない行動にでました。
「それはごめんって。ところで、顔が赤いけど、どうしんだ?」
後ろから抱きしめられてしまいました。
顔をそむけても、すぐに反対から顔を出されてしまうので、意味がありません。
先程は心地よさを感じましたが、今は力強さを感じます。
「フォルテが変なことを言うからです」
「そっか」
横目で見たフォルテの顔が少し嬉しそうにほころんでいます。
ただ、先程と違い、周囲を見渡せるようになったので、人影は見えませんが、恥ずかしくなってきました。
それに、ここは魔法学園の敷地内で、寮へ向かう途中でもあるので、いつまでも誰も通らないということはないはずです。
「とりあえずです、一度離して下さい。誰かに見られたらどうするんですか」
「別にかまわないな。それに、俺がいない間に、誰かがつきまとってたら嫌だから、見せつけるのもありだろ」
先程から、嬉しいような恥ずかしいような、そんな場所を行き来しています。
「もう暗いんですから、遠くから見た誰かに人を呼ばれても知りませんよ」
「カノンが嫌なら離すけど、どうする?」
まったく、フォルテはずるいです。
「言っておきますけど、私の部屋は女子寮ですよ」
「そんなことわかってるけど、今更どうした?」
墓穴を掘りました。
まったく、フォルテはずるいです。
「とにかく、今日はもう遅いので、明日出直して下さい」
「ああ、そうするよ。カノンの顔が見れたから満足だし」
フォルテはそう言うと、私を開放し、手を振りながら去って行きました。
私も小さくですが手を振り返しています。
それにしても、今の行動全てを振り返ると、恥ずかしさで死んでしまいそうです。
改めて周囲を確認しましたが、やはり誰もいないので安心しました。
当初の予定通り、寮に戻って寝るだけですが、胸が高鳴っているので、すぐに寝付けるか心配です。
次の日、いつもより遅くに目が覚めました。理由はわかっています。ええ、わかっていますとも。
今日は時間がないので、味の評価に困る学食で朝食を食べることにしました。
マガツヒを倒すためにしなければいけないことが多いとはいえ、魔法学園の生徒という身分なので、授業を受ける必要があります。
けれど、今日は味の評価に困る朝食を食べていると、ワイズマンの研究室に来るよう言われました。
恐らく、フォルテが来たのでしょう。
私がワイズマンの研究室を尋ねると、予想通りフォルテがいました。
「カノン、よく来たのう」
「昨日ぶりだな」
私はフォルテのせいで昨日のことを思い出してしまいました。ですが、今ここで顔を赤くするわけにはいかないので、何とかかんばります。
「それで、どんな用件ですか?」
顔を無理やり引き締めて言ったので、少しぶっきらぼうになったきがします。けれど、フォルテは気にせず続けました。
「用もなにも、迎えに来たんだよ。今度は二人ではぐれ竜と戦って特訓するって約束だろ」
「わかりました。準備は出来ているので、いつでも大丈夫です」
日頃から準備はしていましたし、昨日は寝る前に確認したので、忘れ物もありません。
「ワシとしては、昨日ぶりの意味を問いたいのう。何でも、夜に密会をしていた生徒がいたらしく、ちょっとした噂を耳に挟んでのう」
まさか昨日の今日でそんな噂が流れているとは思いもしませんでした。そもそも、日が出てはいますが、まだお昼にもなっていないので、噂が流れるような時間もあるとは思えません。
「そうですか。私はそんな噂聞いていません。それよりも、フォルテと出発しなければいけないので、失礼します」
こうして、私とフォルテはワイズマンの研究室を後にしました。部屋を出る時、どさくさに紛れてフォルテの手を取りましたが、やはり気付かれているのでしょう。
「そうそう、はぐれ竜の多い場所だけど、王国の南西の方に、竜の巣って呼ばれてる場所があるんだ。そこには、竜の谷と違って、凶暴な竜が多いから、気を付けてくれよ」
竜の巣ですか。竜の谷にいる竜と何が違うんでしょうか。
少し気になりますが、それがわかっていれば、何かしらの手を打っているはずなので、きっとわかっていないのでしょう。それなら、私が無理に調べる必要はありません。
「わかりました。それで、確認ですが、フォルテの竜痕はどうなりましたか?」
アマツの力で強化されたと聞いていますが、私は詳しいことを聞いていません。私が聞いたのは、悪影響についてだけですから。
それに、これから一緒に戦うのですから、なるべく多くのことを知っておく必要があります。
「ああ、全力で使えば、『
思ったよりも、強化されているようです。
「いいですか、フォルテ。竜痕の力と『戦いの調』を併用しても死ぬことはないとわかりました。けれど、竜化というのがどんな悪影響をもたらすかはわかっていません。くれぐれも、何かあったら、絶対に、必ず、話して下さい。いいですね」
とにかく念を押します。
アマツは竜化は恩恵であって悪影響でないと言っていましたが、それは、竜王の考えです。
あんな鱗が出るようになった以上、それは人にとって悪影響でしかありません。
「大丈夫だよ、死ぬことはないって確認したんだから。それに、鱗は俺の意思で隠せるから、問題ないよ」
「ですが、これからも隠せるとは限らないんですよ」
「そんときは、カノンが責任持って、一生俺の側にいてくれよな」
フォルテは急にそんなことを言うと、先へ行ってしまいました。
まったく、然りげ無くこんなことを言うなんて、フォルテはずるいです。
けれど、私の顔は今赤くなっているので、それを見られなかったことを考えると、先へ行ってしまったフォルテに対し、怒るに怒れません。
フォルテとブラッキーに乗り、王国の南西へと移動しています。
竜の巣の近くには、村があるそうなので、ある程度の補給は出来ますが、基本的には野営をするそうです。
そして、二日ほどかかりましたが、竜の巣の近くにある村へやってきました。
移動中に、大まかにですが、竜との戦い方を確認しました。
ただ、今度は二人で戦うので、竜に近付きすぎず、他の竜に襲われないように注意するよう言われました。
今日は着いたばかりということで明日からはぐれ竜と戦います。
この村では、時折、はぐれ竜と戦うために人が来るらしく、泊まるのに苦労することはないそうです。そのため、今回は一人一部屋を確保出来ました。
ええ、残念には思っていませんよ。
そして、次の日、私達は竜と戦うために村の宿を出発しました。
「ブラッキーは置いていくんですか?」
「ああ、まだ竜と戦えるまで成長してないし、竜を連れた騎士が特訓のために来ることもあるから、世話はちゃんとしてくれるから、安心だぞ」
「そうですか。まぁ、しかたありませんね」
そんな会話をしながら山道を登りました。
ブラッキーで来ると、他の竜を刺激してしまうらしいので、歩くしかありません。また、竜の巣に村が近いわけもなく、徒歩では一日以上かかります。
険しい山を登っているので、途中、魔獣に会いましたが、今更遅れを取ることもなく、見つけ次第すぐに倒しました。
そして、遂にはぐれ竜が生息する地域に到着しました。
「カノン、そろそろだから、魔法を頼む」
私は、『戦いの調』と『ドラゴンスレイヤー』を使いました。確認したとはいえ、『戦いの調』を使うには、抵抗があります。けれど、使わないわけにはいきません。
「何かあったら言って下さいね」
この日から、私達の特訓が始まりました。
始めは何度か危ないこともありましたが、次第に慣れてきて、複数体を相手にしても大丈夫になりました。
そして、何日かに一度は村に戻り、ゆっくりと過ごすという生活をしています。
この辺りで一つ試しておきたいことが出来ました。
明日からまた竜を倒しに行くので、夕食の時に少し相談しましょう。
「フォルテ、今度竜と戦う時に、一つ試したいことがあります」
「ん? 何をするんだ?」
「『シールド』の魔法の強度を確認したいんです。爪などによる攻撃に関しては確認出来たので、竜の息吹を防げるか確認させて下さい」
竜の息吹は、魔法的な力も含まれているので、かなり強力な魔法と言い換えても問題ありません。
そのため、はぐれ竜の放つ息吹を防げないようでは、マガツヒの攻撃は、防げないでしょう。
「必要なことっていうのはわかるけど、難しいな」
「どうしてですか?」
今までに何度も竜が息吹を使ってきました。
それぞれの竜が持つ属性に応じたものです。ならば、難しいことはないはずです。
「確かに何度も息吹を使われたけど、使わせる気がなかったんだ。あれは、広範囲に広がるし、強力だ。それに、直前になれば、わかるけど、いつ使ってくるかを判断するのは無理だ」
なるほど、使われているから、よく使ってくるように感じているだけということですか。
それなら、方法を変えるだけです。
「それでは、私の方で判断して使うことにします」
「ああ、始めのうちは使おうとする竜を優先して倒すと思うけど、慣れてくれば、試せるはずだ」
「では、そうしましょう」
打ち合わせが終わり、後は明日になるのを待つだけです。
次の日の朝、村を出発し、はぐれ竜の住む場所へ向かいました。
時間はかかりますが、この道にもなれたものです。
肝心のはぐれ竜での特訓ですが、私が障壁を張っても、フォルテが倒してしまったり、私が気付かなかったりで、上手く行きませんでした。
「難しいな」
「本来は使わせないようにするものを待つのですから、しかたありませんよ。一度でもいいので、上手くいけば、いいんですから、気長にやりましょう」
強度を確認するので、一度でも耐えきれれば、どのくらいの魔力を練り上げればいいのかは、大体ですが、わかります。
そんなことを考えていると、一体の竜が姿を表しました。
「カノン、いくぞ」
フォルテはすぐに駆け出しました。
『ドラゴンスレイヤー』のお陰で、竜の硬い鱗は、何の障害にもなっていません。そのため、フォルテはいかに竜の攻撃をかいくぐり、一太刀浴びせるかを考えています。
私は、そんなフォルテの補助をするために、周囲の状況に気を配りながら、竜の攻撃の軌道をそらすために、魔法を使います。
「『トルネード』」
竜が振り上げた腕を巻き込むように竜巻を作り出しました。
その強烈な風のせいで、竜の腕が振り上げられたまま、振り下ろせていません。
それだけで、竜の体ががら空きになります。
そして、フォルテが竜を斬り裂くと、別の方向から竜の気配がしました。
「後ろです。『アブソリュートブレイド』」
フォルテに注意を促してから、魔法陣による魔法を発動しました。
他の魔法では、竜の鱗を貫くことは難しいので、この魔法を使うことで、竜の鱗を体ごと斬り裂きます。
流石に、複数の竜を相手にしている時に息吹を使われたくありません。
竜と戦うようになって気付きましたが、『アブソリュートブレイド』は、後から魔力を補充することで、その切れ味を増すことが出来るようです。
始めのうちは、竜の鱗に弾かれていましたが、今ではそんな失敗はしません。
そもそも、竜と戦うことがなかったので、知りようがありませんでした。
「カノン、次だ」
フォルテの声に反応し、次の竜を見ました。
フォルテは、竜の攻撃をうまくかわし、少しづつ近付いています。そんな中、竜の体に大量の魔素が集まりました。
息吹がきます。
赤い竜なので、炎を吐いてくるはずです。
「『シールド』息吹です」
魔法を発動させてからフォルテに注意を促します。
発動を感知してから声をかけていては、魔法の発動が間に合いません。それほどの短い時間しかないので、先に魔法を発動させました。
そして、フォルテも反応したようで、防げなかった時のことを考え、少し距離を取っています。
その結果、私の張った障壁は竜の息吹を受けても、こちら側に漏らすこと無く防ぎ切りました。
それを確認すると、フォルテは障壁ごと竜の口を横に斬り捨てました。
竜の頭が飛びましたが、体が少し動こうとしています。けれど、フォルテのダメ押しにより、完全に沈黙しました。
「強度は問題なさそうだな」
「はい、それに、かなり離れていても防ぎきれたというのは、かなりの収穫です」
障壁を張る位置が、私から離れていれば離れているほど、同じ強度の障壁を張ろうとしても、必要な魔力がどんどん増えていきます。
それでも、距離に関しては大体わかっているので、はぐれ竜に関しては、心配ありません。
「カノンの方が終わったんなら、俺も一つ試そうかな」
「何を試すんですか?」
「それは秘密だ」
この状況でそんなことを言うフォルテに対し、私は呆れた視線を向けました。
一つの失敗が命取りになりかねないのですから、目的の共有はしておいて欲しいです。
「危ないことじゃないんですね」
「当たり前だ。ちょっと驚くかもしれないけどな」
それだけ言うと、フォルテは次の竜を探しています。
何を言っても教えてくれそうにないので、慎重に進むしかありません。
そして、次の竜に遭遇しました。
「カノン、来たぞ」
短く言うと、フォルテの外見に変化が生じました。
いつもの白い縁を持った黒い鱗の鎧が、フォルテに溶けこむように消え、体に鱗が浮かび上がっています。
この姿は、魔王ノイズと戦ったときのようです。
ただ、竜痕の力は、あの時よりも桁違いに強くなっているはずです。
フォルテは、その状態で竜の爪による攻撃に対して、腕で振り払うと、それだけで竜が体勢を崩しました。
何というか、無茶苦茶です。
そのまま、竜を簡単に斬り捨てました。
「フォルテ、大丈夫なんですか?」
「ああ、一人の時に何度も使ったからな。それに、この状態で『
フォルテは私がいない時にかなりの無茶をしていたようです。
まったく、黙ってそんなことをしないで欲しいです。
まぁ、前もって言ったとしても、しないで欲しいです。
「フォルテ、今回は早めに戻りましょう。何があるかわかりませんから」
「大丈夫だよ。何かあったらカノンに何言われるかわからないから、しっかりと確認してるよ」
「……今回は信じます。でも、何かあったらすぐに言って下さい」
「大丈夫って言っても無駄だろうから、何かあったらすぐに言うよ。でも、カノンも何かあったら言ってくれよ」
「私は何もありませんよ」
そもそも思い当たることもありません。
フォルテと出会ったばかりの頃は命素の使いすぎで倒れることもありましたが、最近では使いきれていません。
「ならいいよ」
それだけ言うと、次の竜を探しに行きました。
数日して私達はまた村に戻りました。
宿の一階が食堂になっているので、そこで夕食を食べています。
「はぐれ竜相手なら、問題はなさそうだな」
「ええ、マガツヒは一体ですから、複数体を想定する必要はありませんし」
「しいて言うなら、マガツヒの戦い方がわからないってことくらいだな」
「それはしかたないこ……、すいません」
手が滑ってフォークを落としてしまいました。
「大丈夫か?」
「ええ、ずっと竜を相手にしていましたから、疲れていただけかもしれません」
「なら、今日は早めに休むか」
「それもいいですけど、そろそろ予定をはっきりさせましょう。いつまでもここで特訓出来るわけでもありませんから」
「確かに、そろそろ期限だな。後2、3回繰り返したら、戻るか」
「そうですね」
今の状態でどの程度通用するかはわかりません。けれど、出来るだけのことはしました。後は、体調を万全にするだけですね。
間違っても疲れてフォークを落とすようなことは無いようにしたいです。
ただ、かなり疲れてるのか、宿の部屋に行く時に、なにもない所で躓いてしまいました。
フォルテに支えられましたが、何とも恥ずかしいです。
期限が近付き、明日にはこの村を立ち一度王都へ戻ることになっています。
私は疲れやすくなっているようで、村でゆっくりする度にそれが顕著になっています。
そのため、フォルテが私に気を使ってくれ、いつも以上に優しくされました。
フォルテに感謝しながら、今日はもう寝ます。
しっかり休めば、何の問題もないのですから。
こんにちは
竜の国といいながら、竜との戦闘がほぼありませんでした。
出てきてからも、ほとんど足代わりです。
そして、突然ですが、後2話です。
最後の1話はほぼ後日談なので、とても短くなっております。
ほぼ出来ていて、確認と修正と微調整をしたら登校しますので、多少の間はあけますが、順番のお間違えのないようお気をつけください。
それでは、今回もお付き合いいただき、ありがとうございます。
これからもお付き合いいただけると、幸いです。