縫合少女の物語   作:興梠 すずむし

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では2針目どうぞ


2針目

カイネが眠ってからは2柱の神による話し合いが始まった。

お互いに難しい顔を向かい合わせている。

 

「まずはこの子の今後の処遇について話さないといけないわね。ファミリアに入れたいとは思うのだけど、私のところは人数が増えてきていっぱいいっぱいなのよね……」

 

「そうだね。最近は有名になってきて特に人数の伸びが上がっているから大変だろう。かと言ってまだファミリアを設立してすらいないボクには面倒が見れないし」

 

その相槌にヘファイストスは紅色の目を細めて神友を見据えた。

 

「……早くいい子見繕って自立しなさいよヘスティア。私だって暇じゃないのよ?」

 

「ま、まぁまぁ!今はカイネくんの話をしようじゃないか!そっちの方が優先だろう?!」

 

盛大に焦りを称えた表情で必死に話題を変えようとする情けないヘスティアを見てヘファイストスは眉間を揉みながら頭を切り替えた。

 

「はぁ……。まぁそうね。その件については後日しっかり話をしましょう。」

 

「う、うぐぅ……」

 

「……それで、どこのファミリアへ入れてあげるのがいいかしらね。今のところ受け入れが可能なファミリアはアポロンのところくらいかしら」

 

「アポロン!?やめとけやめとけ!あんなところにこんな子が放り込まれたら何をされるか!ボクは断固反対だね!」

 

「だからって他にどこか思いつくアテはあるの?」

 

「そ、それは……。あ!そうだ!ミアハのところはどうだい?あそこなら信用できるじゃないか!」

 

「あそこはちょっと前に片腕を失った子の義手を作るのに負債を抱えたばかりでしょう?そのうえもう1人だなんて厳しいわよ」

 

「ぬぐぐぐ……!なら、タケはどうだい?あいつのところは特に問題はなかったはずだぜ?」

 

「コミュニケーションもままならないのに異文化交流ねえ?」

 

「うっ……。でもボクには他に頼れそうなところは思い当たらないぜ?どうするのさ」

 

神が2柱揃ってもいい考えは浮かばない。

カイネの抱えた問題は複雑すぎてどこも受け入れてもらえるように感じないのだ。

ましてやコミュニケーションに不自由があるならなおさらだ。

そのうえ、彼女は身体中縫い目だらけという異様さを持っており、ファミリア内で孤立するのは想像に易い。

そこでふと思いついた。

 

「ロキのところならいいんじゃないかしら」

 

「ロキだって!?」

 

「彼女なら性格に少し難があるけれど、細かいことは気にしない気質だし、色々と事情を抱えた子もたくさんいるじゃない?大手ファミリアだし生活には困らないはずよ」

 

「むむむむ……。確かにそれはそうだけれど、あんな性悪のまな板女神のところなんていたらこの子にどんな影響があるかわかったもんじゃないぜ?」

 

「あなたとロキの仲が悪いのは知ってるけど今のところこの子にとって最善はこれよ。歳の近い子もいるみたいだし」

 

結局、渋りに渋った末にロキ・ファミリアへの加入という案を飲んだヘスティアは、カイネが目覚めていることに気がついた。

 

「やあ、カイネくん!話はどこまで聞いていたんだい?」

 

「……さ……ぃしょ」

 

「……もしかして寝ていなかったのかい?」

 

首を縦に振られたヘスティアは何となく複雑な気持ちになった。

しかし、今はそうじゃない、聞いていたのなら話は早いと早速話をすることにした。

 

「カイネ君、君はこれからロキという神のところで暮らして欲しいんだ。君をボク達で引き取りたいのは山々さ。でもヘファイストスは余裕がないし、ボクに至っては論外なんだ」

 

「……」

 

「そんな憐れむような目で見ないでおくれ。ボクのガラスのハートが壊れてしまうからね。それはともかくロキのところなら安定した生活もできるし、君の過去についても無理に踏み込もうともしないはずさ。君さえよければロキに紹介したいんだけど、いいかい?」

 

カイネはチラリとヘファイストスの方へ目を向け、頷かれるのを見てヘスティアへと視線を戻した。

そしてしばらく俯いていたが、首を縦に振った。

 

「ありがとう。それじゃあ、歩けそうなら今からでもと思うんだけれど、どうだい?」

 

これにはすぐに首を縦に振ってくれた。

 

「じゃあ、服をあげるからそのボロボロになったローブその他と着替えて行きましょうか」

 

………………。

 

「んん?まぁええで!いつも世話んなってるファイたんの頼みやからな!どチビは別として!」

 

「ええい!いちいち一言多いやつだな君は!?そんなんだから他の神にロキ無乳なんて言われるのさ!」

 

「黙っとれやこのロリ巨乳!?それが(ひと)様にもの頼む態度か!?」

 

「……あなた達そのやり取りいつになったら飽きるわけ?」

 

「「一生」」

 

「はぁ……。まあ、こんな感じで騒がしいけどいいところよ。ロキ、そろそろ終わりにして話をしてちょうだい」

 

いつもの通り論争だけでは飽き足らず掴み合いに発展してお互いがお互いの頬を引っ張りあっていたが、ヘファイストスの声で終戦した。

 

「ぜぇ……ぜぇ……覚えとれよドチビぃ……!すまんなぁドチビがうるさくて!うちがロキや!これから世話するからよろしゅうな!」

 

「よ……ぉしく……しぁ……す」

 

掠れた声ではあるもののしっかりと返事を返してくれたことにロキはわしゃわしゃとカイネの頭を撫で回して満足げだった。

 

「うんうん!ええ子やん?挨拶できてえらいなー!うし!んじゃあファイたん、カイネたんのことはうちに任しとき!責任もって面倒みるわ」

 

受け入れてもらえたことに安堵の息を吐き、礼を告げたヘファイストスは中指を立てているヘスティアを引き摺って帰っていった。

ロキもまた中指を立てて見送ったあと、カイネに向き直って声をかけた。

 

「じゃあ、改めてご挨拶やな!うちはロキ。【ロキ・ファミリア】の主神や。ここは拠点の黄昏(たそがれ)の舘や。今はフィンってやつが団長をやってる。今からここがカイネたんの家になるんや。遠慮はせんでええで!」

 

ヘスティアとは別ベクトルで明るいロキに少々戸惑いを隠せない様子だったが、ロキに連れられて黄昏の舘へと入っていった。

この後にカイネは(ロキ)の『恩恵(ファルナ)』を受け、晴れて『眷属(ファミリア)』となった。




ステータスは後で

全然話進まねえや

みんなはどっちが好き?

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