縫合少女の物語   作:興梠 すずむし

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ステイタス、公開。
何番煎じかもわかんない在り来りな訳ありちゃんだけどよろしくね

本日2針目も投稿済みだからまだ読んでなければぜひそっちも読んでね


3針目

「よし、ファイたんから元々ファミリアに入ってたっぽいのは聞いてるからな!【ステイタス】がどんなか見せてもらうわ。どれどれ。ってなんやこれ?表示がバグってるやん。」

 

カイネの背中に刻まれた【ステイタス】は意味をなさない文字の羅列になっており、読み取ることが出来なかった。

また、元の『神の血(イコル)』の効力はなくなっており、上書きは可能な状態だった。

前主神に散々な目に合わされてから捨てられたのは明白だった。

背中に刻まれたステイタスは上書きすることで正常な文字列に置き換わった。

今までに経験のない出来事に頭がパンクしそうになったものの、とりあえず【ステイタス】を見ることにした。

 

「なんっじゃこりゃ?」

 

………………。

 

「フィン、新しく入ることになったカイネたんや!ここの案内とかその他もろもろ教えたってや!」

 

「わかったよ、ロキ。僕は【ロキ・ファミリア】団長のフィン・ディムナだ。よろしく、カイネ」

 

「……よ、ぉし……く」

 

カイネがフィンに連れられて部屋を出ていき、少しずつ黄昏の舘が騒がしくなっていくのを聞きながら、ロキは険しい目つきでカイネの【ステイタス】の写しを見ていた。

その顔は酷く苛立たしげである。

 

「好き放題してくれるわ、ホンマに」

 

【カイネ・アネセト】

所属:【ロキ・ファミリア】

 

種族:混合人間(ヒューマン・キメラ)

 

職業(ジョブ):冒険者

 

到達階層:35階層

 

武器 《魔黑糸》《魔黑針》

 

所持金:0ヴァリス

 

【ステイタス】

Lv.4

 

力:SS 1151 耐久:SSS 1356 器用:SS 1191 敏捷:SSS 1266 魔力:SSS 1247

《魔法》

【逃勝】

・逃走時の戦闘で全能力に超高補正

・戦闘時に生き物の魂を奪うことで精神力(マインド)随時生成

・詠唱式【我は(いや)しき獣なり。命を(すす)(なが)らえることを(こいねが)う外道なり。】

・解呪式【未だ朽ち果てず】

《スキル》

魔縫(まほう)

・繊維を操作する

・糸を通す場所に制限が無くなる

・任意で糸を切れなくする

・糸に属性魔法を付与する

+魔黑糸を生成する

+魔黑針を生成する

 

【+魂喰(こんじき)

・奪った魂から能力値を吸収する

 

混沌の加護(カオス・ラブ)

・早熟する

・混沌から愛されている限り効果持続

懸想(おもい)の丈により効果上昇

・一定以上心が回復しない

キミは僕のものだ

 

【装備】---

 

ありえないほど高い能力値に、通常の【ステイタス】であれば見られない物が多数見受けられたロキは混乱の極みにあった。

スキル欄には【混沌の加護】というような何らかの神からの干渉を連想させるようなものが。

更にはその神からのメッセージらしきものも見られた。

余程強い執着があるようだ。

他にはなんと言ってもスキル説明欄の「+」の記号だろう。

このような芸当が力を封じられた神にできるはずがないのだ。

ロキには思い当たる節があった。

 

「『混沌』……。ニャルラトホテプやったか?クソみたいな名前が出てきたもんやわ。邪神どもが」

 

次の神会(デナトゥス)で話題にあげた方がいいかもしれないことが発生した。

外なる神が絡んだ事件はろくなものがないのだ。

カイネの体の惨状にも納得がいった。

それにロキはニャルラトホテプを嫌うのは以前にも似たようなことがあったからだ。

どこかの小さなファミリアからいつの間にか人員を引き抜いて、1年後に前主神の拠点の前にスキルを植え付けられて自分の体を貪る狂人に成り果てた団員が捨てられていたという事件だった。

その時に発見されたスキルは【混沌の玩具】。

自由意志を奪われて色々と(いじく)り回されるためのスキルだった。

元の主神に返す辺り、余計にタチが悪い。それがニャルラトホテプという神だった。

また、【ステイタス】からカイネの今までの苦しみが読み取れてしまうことも、ロキの苛立ちを助長していた。

恐らく同じファミリアの中で四六時中団員から襲われていたのだろう、逃げるためだけの魔法の発現。

本来であれば【服飾】や【縫合】といった一般的な制作系スキルだったはずのものは戦闘用に歪められている。

更には歪んだ愛情を受けて物騒なスキルが植え付けられている。

 

「ちょっとでもしっぽ掴んだら徹底的に叩き潰したるわ、蛆虫(じゃしん)……」

 

………………。

 

「ねえ、それ喋りにくくない?取らないの?」

 

「ティオナ!取れたらとっくに取ってるに決まってんでしょ?」

 

「でもさ、ティオネ。私達が引きちぎって誰かに回復してもらえばよくない?痛いのはちぎった時だけなんだし」

 

「そんなことをしたら絶対死んでしまいますよ、ティオナさん!?」

 

「えー?レフィーヤ考えすぎー!」

 

「テメェが考え無しすぎんだよ、クソアマゾネス」

 

「ベートに言われたくないしぃーっ!!」

 

「……」

 

カイネは困惑していた。

だって頭のぶっ飛んだアマゾネスが自分の皮膚と癒着した糸を皮膚ごと引きちぎって取り除こうとする想像もつかなかったような脳筋が目の前にいるんだもの。

なんとも言えない顔をこちらに向けているフィンが苦笑して口を開いた。

 

「いいところだろう、ここは?」

 

カイネは圧倒されて何も言えないでいる。

あまり喋れないうえに、紫紺の瞳は酷く濁ってはいるが意外にも表情は豊かだ。

やはり大きく変化はしないが。

呆然としていたカイネの所へ金の輝きが向かってきた。

その金の輝きこと、【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインはカイネの前に立ち、ジッと目を合わせたまま動かなくなった。

カイネも動くことなく見つめ返し、黄金と紫紺の瞳はしばらく交錯していた。

そこへ変質者の笑みを浮かべたロキが突入してきた。

 

「カイネたーん!一緒にお風呂オブェッ!?」

 

「やめてください、ロキ」

 

カイネに抱きつこうとしたロキの頬を思い切り張り倒したアイズはカイネを守るように抱き寄せた。

その様子を見たロキは珍しいこともあったものだと目を瞬かせ、ひっそりと安堵の息を吐いて、笑みを浮かべた。

今度は子を見守る母のような顔つきで。

 

「よし!近々遠征にも行くし、風呂入って英気養ってきい!親睦会も含めてな!裸の付き合いっちゅうやつや!」

 

【ロキ・ファミリア】の女性陣は顔を見合わせてから、カイネに視線を向けた。

そして女性陣はカイネをつついたり撫でたり話しかけたりしながら浴場へ向かった。

その後ろをおっさんスマイルでついて行こうとしたロキは、ファミリア随一の魔法使いのエルフであるリヴェリアに睨まれて(あゆみ)を止めた。

 

「ど、どしたん、リヴェリア?」

 

「ロキ、お前は来るな。いいな」

 

「なんでやぁー!?うちも女やで!?一緒にお風呂くらいええやん!?」

 

「そんな下心丸出しでは身の危険を感じて仕方ないんだ。日頃の行いを反省してから出直してこい!」

 

ガクリと手をついて項垂れたロキはその場で静かに泣き始めた。

 

浴場でカイネがもみくちゃにされている中、ロキが突撃して行き、アマゾネス姉妹に叩き出されたのは別の話である。




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