私ギャグ挟まないと息苦しくなっちゃう病なの忘れてたわ
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入浴を済ませてから、アイズとリヴェリアに連れられてカイネが向かったのはロキの部屋だった。
「お、お風呂タイムはお終いか?さっぱりしたみたいで何よりや!んで、どないしたん?」
「近々遠征に行くだろう。その前にカイネの実力を見ておこうということで今から軽くダンジョンへ向かいたい。参考までにカイネの【ステイタス】を教えてくれないかと思ってな」
リヴェリアの要件にロキは少々気が進まない様子だったが、このメンツであれば大事にはしまいと【ステイタス】の写しを見せることにした。
手渡された羊皮紙を見てリヴェリアは驚きに目を見開いたが、目を通していくうちに眉間に皺ができていった。
アイズも横から見ていたが、表情に曇りが見える。
「……凄まじいな。色々と」
「もう大丈夫。怖い思いはさせない」
アイズは【ステイタス】に刻まれた『混沌』に体を震わせ始めたカイネを強く抱き締めた。
出会ってからそう時間は経っていないが、自分も事情を抱えている身だからであろうか。
アイズは今、己の腕の中で震えている白髪の少女を放っておけなかった。
なおも恐怖に襲われているカイネを落ち着かせようと自分よりも10
次第に震えもおさまり、感謝の意を示すべくカイネがアイズに抱きついた。
ロキの部屋にほんわかした雰囲気が溢れた。
「アイズたん、もうカイネたんのお姉ちゃんみたいやなぁ……」
「ああ。こうして見ていると姉妹のように思えるな」
微笑ましそうな顔をしているリヴェリアを見たロキはママやん、と。そう思った。
………………。
ロキから外出許可をもらい、3人はダンジョン16階層に来ていた。
Lv4、かつ全アビリティ限界突破という常識外の【ステイタス】を誇るカイネではあるが、心に負った傷が傷である。
いざ戦闘になった時に戦えるのか否かを見ることも今回の趣旨である。
「ここいらでいいだろう。アイズ、モンスターを二、三体連れてきてくれないか?カイネの護衛は任せておけ」
「わかった」
しかしそこでカイネが小さくだが手を上げた。
軽くモンスターをトレインしてこようとしたアイズだったが、周囲の探索を一旦取り止めてカイネへ近づいた。
ダンジョンは広い。それ故に掠れた小さな声は拡散して聞き取りづらいのだ。
アイズはカイネの声を聞き取るために口元へ耳を近づけた。
「私。モンスター。呼ぶ。大丈夫。」
しかし、予想以上に明瞭な声で言葉を伝えられて驚愕すると同時、万が一の敵の襲撃を想定して腰から瞬時に自身の獲物を抜剣し、構えを取って周囲の警戒を始めた。
リヴェリアもカイネを抱きかかえて杖を構えたが、特に人影もなかったためアイズとともに警戒を解いた。
そうなると、今しがたの声はどこから出たのか。
思い当たるのはカイネくらいのものだが、彼女の声は小さいうえに掠れて聞き取りづらい。
それがアイズとリヴェリアの共通認識だった。
リヴェリアは少し腰を落としてカイネと目線の高さを合わせた。
「今のは、カイネなのか?私達は小さな声しか聞いていないから驚いているんだが」
すると、どうだろうか。カイネの輪郭と瓜二つな人の頭が現れたのだ。とは言っても色は夜を固めたような黒色で、鼻下から首までしかなく、首にあたる部分の下からは袋のようなものがついてるだけのものだが。
それはカイネが自身の能力の1つ、【
「その発声装置を使えばもっと皆と話せるんじゃないか?そうしない理由が何かあるのか?」
「
「もしかして、普段、声帯だけ作ってる……?」
首肯された。
やはり、誰もが考えていたように本来の声帯は完全に潰れて使い物にならないらしい。
糸は出せばだすほど精神力を消費するため、普段は小さな声帯だけを作って最低限コミュニケーションが取れるに抑えているのだ。
しかしそうなってくると、戦闘時には消費が激しく使える代物ではないように思えてくる。
現在のような平時に、消費が大きくなる発声装置を使うのはおかしいと感じるのである。
戦闘で使える精神力が減るのではないか。
そんな疑問をもっていた2人だったが、聞く前にカイネから答えが出た。
「ダンジョン。生きてる。【魂喰】。補給。無制限。」
「うすうす感じてはいたが……やはり生きているのか、
「生きてる……」
衝撃といえば衝撃の事実に少々気を抜いていた面々だったが、不意に声帯装置から耳が痛くなるほどの大音量で聞き覚えのある鳴き声が迷宮中に響き渡った。
『ヴヴォオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!』
間近で聞いた2人は咄嗟に耳を抑えることで何とか凌げた。
ちなみにカイネは魔黑糸でちゃっかり自分の耳を保護していた。
そしてぐるりと360度、16階層のあらゆる場所で牛頭の巨人の雄叫びが上がり始めた。更にはそれら全てがこちらへ向かって来ているのか雄叫びは段々と近づいてきている。
そして次第に地鳴りが響き始める。
「まずい……!いくらなんでもこの数はまずいぞ!アイズ!カイネ!すぐに逃げる準備を!」
「無問題。」
「こんな時に意地を貼っている場合か!出会って間もないとはいえだな!お、おい!」
カイネはリヴェリアの言葉を最後まで聞くことなく、通路から姿を現したミノタウロスに向かって走り出した。
次の瞬間、肉を引きちぎる生々しい音と、血の滴る湿っぽい音を同時にたてながらカイネの両手の平から漆黒の片手剣並の大きさをもった針が飛び出す。
その2つの針の穴にはそれぞれ黒い糸が括り付けられており、異国の地で使われるヌンチャクのような形をとっていた。
左手に持った針を地面へ突き刺し、さらに加速する。
数瞬のうちにミノタウロスの群れの元へ到達し、跳躍。
瞬きをする間には2体のミノタウロスの胸元を貫き、糸がそれぞれの首に巻きついていた。
残り14体のミノタウロスを同様に刺し貫き、次の群れへと糸を引きながら疾走する。
四方に別れた通路からそれぞれ20〜30体ずつの足音がするがそのいずれも戸惑いの咆哮とともに足音がその場からこちらへ向かってこなくなるのに1分とかからずひとつの群れをそこへ縫いとめるカイネ。
その様子は黒い軌跡を描きながら高速で飛び回るゴーストを見ているようであった。
最後に部屋の中央へと降り立ったカイネは目にも止まらぬ速さで回転を始めた。
糸とともに巻き込まれた約100体程のミノタウロスは空中で激突し、その一部が息絶えた。
ミノタウロスの塊が地面へ落ちる前に地面、壁、天井問わず駆け抜け、塊をまばらに覆うように糸の配置を終えると、地面に突き刺してあった針を引き抜き、両手に持った針を腕を交差するように力の限り前方へ振り抜いた。
瞬間、力なくたゆたっていた糸は収縮を開始。
塊をギチギチと締め付けるのももどかしいとばかりに触れた端からミノタウロスの骨を折り砕き、肉を断った。
結果、部屋の中央には大輪の血の花が咲くこととなった。
降りしきる血の雨の中、両の針を自らの腹部に突き刺しながらアイズたちの元へ悠々と歩いてきた。
しかし、見たところ傷もなく出血も何もしていないようだし、貫通している訳でもないらしい。
カイネが押し込んでしまえば綺麗に消えてしまった。
糸で血を弾いていたのだろう。土埃で少し煤けた以外は全く汚れがなかった。
アイズたちの前に立って、表情もなく彼女は言った。
「無問題。」
カイネはミノタウロスの肉塊に押しつぶされて見えなくなった。……。
「カイネェーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
リヴェリアの絶叫が静かになった16階層に響き渡った。
カイネ圧死(死んでない)
みんなはどっちが好き?
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ハッピーエンド
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