アイズ達は風で血しぶきを吹き飛ばしていたおかげで血濡れにならずに済んでいた。
凄まじい力を見せつけた(笑)カイネであったが、戦闘時には全て糸で弾いていたため、同じく血に濡れることは無かった。
しかし、糸の守りを解除した直後、まだ滞空していた自身より大きく、血の溢れた瑞々しい肉片に押しつぶされて気絶した。
つまり、今アイズ達とともにギルドの受付前にいるカイネがどうなっているのかというと。
「……なぅあ、ぐざ……ぃ」
「生臭いのは私達も一緒だ。お前を担いだんだからな。しっかりと汚れを落とせ。はぁ……。帰ったらまた風呂だな」
「……まだ臭う」
しっかりと全員血まみれになっているのだった。
魔法を使えば汚れずに肉塊をどかせただろうが、最終手段と言ってもいい魔法をそのようなことに使うのは勿体なさ過ぎるのだ。
ある程度水で洗い流し、受付まで100個弱あるミノタウロスの魔石を換金しに行った。
中層のモンスターの魔石とはいえ、数が数だけにそれなりの額になった。
そこではたと気がついた。まだダンジョンに近いこの場所ならまだハッキリと話せるのではないか。ならばこの際にと色々と聞くことにした。
「カイネ、少し聞きたいんだが前にいたファミリアはどこだ?ある程度予想はつくが」
「……ニヤ。ルラ。ト。ホテプ。ファミリア。」
発音しづらいのか。それとも口にするのが怖いのか。またはその両方か。それは定かではないが、詰まりながらも答えてくれた。
「種族は人間……ただのヒューマンではなかったが……」
「…………。色々。混合。魔物。呪具。」
『魔黑糸ハ、かつて討伐に数多くの冒険者が犠牲となったアラクネの突然変異個体からァ……。
いくツかある、かの黒竜が落とした鱗の恩恵を授かった村。その村人を残虐に皆殺した際に使わレ、たァっぷりと怨嗟の声と人の血を吸った武器を鋳溶かして作られたのが魔黑針……。どちラも愛おしくて愛おしくてたまらないキミのために用意したんだヨォ?嬉しぃよね?嬉しいよネぇ?あぁ、喜んでくれたみたイで僕も嬉しィよ……。僕ら……相思相愛ダねぇ♪』
カイネは混沌に愛されている。その歪んだ愛ゆえに捨てられてもなお愛され、愛されているゆえに呪われているのだ。
背の【ステイタス】にも刻まれているように、かの邪神が飽きるまで、ずっと、ずっと、永遠に。
………………。
「……」
これ以上の質問はやめることにした。心苦しくはあるがやはり、リヴェリアほどの立ち位置となると、ファミリアのことを優先せねばならないのだ。
ロキにも忠告をもらっているのだ。邪神には気をつけろと。
しかしカイネはただの神の娯楽の被害者なのだ。リヴェリアは自らの目でそう見定めた。
長い時を生きてきた自分の目を信じることにしたのだ。
「カイネって、何歳?」
アイズが気になっていることを聞いた。
パッと見た感じでは歳の頃は13。もしくは14といった印象を受ける。
顔立ちも若々しく大人びたところは見当たらず、背丈もアイズよりは幾分か小さい。それに何かと言動がたどたどしいのもあり、幼さが際立っているように感じられるのだ。
リヴェリアも、彼女の事情を探るような質問しかせず、彼女自身を理解しようとする問がなかったことに今更ながら気がついた。
歳を聞かれたカイネはというと、自分の年齢を思い出しているのか顔を上に向けて呆けていた。
やっと顔を戻したカイネは年齢を開示した。
「16」
まさかのアイズと同じ歳であった。
意外という程でもないのだが、いかんせん童顔で体が小さめなために16と言われても少々違和感が残る微妙な心境だった。
誕生日はわからないとの事なので、せっかくならとアイズと同じ日にすることになった。
アイズは歳下の妹と一緒に誕生日を迎える気分で同じ年齢になったことを祝うという珍妙な心持ちで年々大人に近づいていくことだろう。
そうこうしているうちに魔石を売ったお金も用意され、黄昏の舘への帰路を辿ることとなった。
「アイズたーん!カイネたぁーー……くっさぁ!?え?なんなんこれ!?くっさ!!」
「「……」」
「……ロキ、生臭いのは事実だがそう連呼しないでやってくれ」
「リヴェリアも結構臭うで」
「そこを動くなロキ。叩きのめしてやる」
Lv6の【ステイタス】を十全に活かして逃げ出したロキを追ってそのまま黄昏の舘の中へ入っていった。
2分もしないうちに中からロキの断末魔が聞こえてきた。
2人顔を見合わせ、アイズはカイネの手を引いて浴場を目指した。
………………。
「あ!おかえりなさいアイズさん!カイネちゃん!」
浴場へ行くと何故かレフィーヤがいた。
料理を運んでいる時に元気の有り余った狼人とアマゾネスの喧嘩が勃発し、その余波に巻き込まれて手に持った料理をひっくり返してしまったのだとか。
「ところでお2人はどうして……うっ」
少々距離があったためにわかっていなかったが、時間が経つにつれてレフィーヤの元へ臭いが漂ってきた。
ダンジョンでならいざ知らず、拠点という気を抜いた場所で嗅ぐ返り血の生臭さは食用の魚や肉の比ではないだろう。
そんな悪臭を放っているのが以前からの
幸い表情は些細なものであったため気づかれておらず、笑顔を取り繕って早急に入浴するよう促し、2人の手を引いて浴場へ入っていった。
臭いのとれたカイネを湯船に浸かりながら膝に乗せていたレフィーヤだったが、人肌の心地良さにカイネが眠ってしまい、起こすのも忍びないのでそのままでいようと留まり続けて2人揃ってのぼせるという事件も起きたが、それはアイズと当事者2人以外は誰も知らない。
話が迷走してきた
みんなはどっちが好き?
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ハッピーエンド
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バッドエンド