新たな出会いの9針目
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リヴェリアが母になってから少しして、各自見回りを終えて、またリヴェリアたちの番が回ってきた。
また同じく3周ほど見回って交代しようと、2人で歩く。
その姿は前回とは打って変わって、親子のようである。
「疲れていないか?」
「……ん。……大丈夫」
「そうか」
娘を可愛がるデレた母に、カイネの頬も緩んでいた。
しかし、そんな緩やかな雰囲気も終わりを告げる。
不意に団員たちのいる方角が騒がしくなったのだ。
この階層ではモンスターは生まれない。しかし、聞こえてくるのは多種多様なモンスターの咆哮、団員たちの声だった。
2人は全速力で野営地へ向かって走り出した。草を踏み折り、樹木を躱して。
野営地の火の光が見え始めた。
そして、その先に見た光景は異様だった。
アルミラージにヘルハウンド、レッドキャップにリザードマン、アラクネ。さらにはガーゴイルやハーピィなどの飛行系モンスターまでもが徒党を組んで団員達へ攻めかかっていた。
それだけでも異様だった。しかし、それよりも非現実的であるのはモンスター達の一部が
「モンスターが、武器だと……!?」
「……イレギュラー」
モンスターたちのうち、ガーゴイルがこちらへ目を向けた。
瞬間、他のモンスター達へと何かを呼びかけるように咆哮した。
すると、どうだろうかモンスター達は戦闘に区切りをつけると撤退し始めたのだ。
上空から奇襲をかけていた飛行系モンスターたちも離れていく。
「なんだったんだ、いったい……?」
「……全くわからない。けど多分っ───!?」
「カイネっ!?」
背後から静かに急降下してきたハーピィが、カイネの肩を掴み、天井近くまで上昇、モンスター達を追って飛び始めた。
急な上昇により、血液が一気に偏ったためにカイネは気絶し、抵抗することもままならなくなった。
リヴェリア含む団員たちも万が一、カイネに当たってしまうことを恐れて遠距離攻撃を加えられなかった。
「カイネぇーーーーーーーーッ!!」
ようやっと、半年という時間をかけて心が通い、母と慕ってくれた娘のような存在が、モンスターに連れ去られていく。
しかし、彼女を思うあまり攻撃を加えることが出来ない。
見過ごすことしか出来ない。何も出来ない。
今自分がここを離れていくわけにもいかないし、フィンたちの帰りを待たなければならないため、団員を捜索に割くわけにもいかない。
悔しさに彼女と関わりの深かったものは唇を強くくいしばり、中には血を流している者さえいる。
「……くそっ!!」
子を守れずして何が母か。
この日、初めてエルフの麗人は人前で涙を流して泣いた。
………………。
「キュー……?」
目を覚ましてまず視界に飛び込んできたのは、こちらを気遣わしげに見つめる角の生えたうさぎ、アルミラージだった。
敵意がなかったために、モンスターを目の前にしているにもかかわらずしばし呆然と見つめ返していたカイネだが、はっと我に返ってすぐさま自身が体を横たえていたそこを離脱した。
すぐ後ろは壁でったため、少しでも距離をとろうと糸を張り巡らせて壁の高い位置に張り付いた。
「ソう警戒しなイでくだサい、同胞ノ方」
「!?」
すぐ近く、顔の真横でハーピィが飛んでいた。
そして、
理解不能な事態にカイネは混乱を極めた。
「キャっ!?」
本能の命じるままにハーピィを糸でがんじ絡めにして自由を奪い、自身が張り付いている糸へと引っつけて吊るす。
「おいおいおい、落ち着けって!?いきなり連れてこられて怒る気持ちもわかるが一旦落ち着け!!」
声のする方を見てみると、そこには片手に
異形の顔に焦りを讃え、カイネに話しかけている。
ますます訳が分からなくなった。
何より先に状況整理が重要だと判断し、喋れる魔物が一体でないのなら、一体の状況にすればいいと早速行動を開始する。
カイネは素早く吊り下げていたハーピィを引き上げて抱え、瞬時に糸でドーム状の部屋を作り上げた。
ドームの中にはカイネと、言葉を解するハーピィ一体だけである。
『おい、やべぇだろこれ!!レイが食われちまうぞ!?何とかしろよ同じ
『無茶を言うなリド!!こんな強固な糸を
外からは先程のリザードマンの声に加え、他にも声が聞こえてきた。
その言い争いにカイネはいたく不満げな様子である。
「……食べないし」
「あ、あノ……同胞の方……?」
「……食べないしっ」
「いエ、その心配ハしてまセんけど……」
ハーピィになだめられ、食べないことを強く主張し続けていたカイネも落ち着き、状況把握へと移ることに成功した。
未だに外からはドームへと攻撃を加えたり、言い争いが聞こえたりと落ち着いた様子ではないが。
「私ハ、レイと申しまス。見テの通り、ハーピィでス」
「……モンスターが喋ってるのは、初めて」
「フフ、滅多に現れルものでもありまセんかラ。貴女のお名前ハ?」
普段戦っているモンスターからのにこやかな質問になんとも言えない顔をしながら答える。
「……カイネ。……カイネ・アネセト」
「おヤ、姓まであルのですカ?素敵ナお名前デすね」
「……あ、ありがとぉ?」
あらヤダすごく友好的。
どこからともなくそんな電波をキャッチしたカイネだが辛うじて口には出さなかった。
そして『
「うぉぉおおおおお、あっ」
「ふんぐぅっ……!?」
心優しき
外からは先程とは打って変わって謝罪の言葉が飛び交った。
みんなはどっちが好き?
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ハッピーエンド
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バッドエンド