「ここで色々な事があったなぁ」
俺はとある灯台の上に立ち海を眺めた。俺の始まりの地であるこの灯台で人生を終えるのも良いと思った。
俺の名前はバラスト、愛称はラースって呼ばれていた元勇者だ。元って言うのは勇者と対をなす魔王を討滅したから、魔王の居ない俺は元勇者となる。
始まりは海に流されていた赤子の俺を子に恵まれなかった両親が拾い育ててくれた。父は元海賊の船乗りで母は聖騎士だった。その為に俺は母から武闘家と僧侶の基礎を叩き込まれ、その傍父の様な凄い海の男になる様に努力した。
父曰く"船乗りには色んな奴がいる"との事で俺の兄貴分のキースは元ダンジョンシーカーだったが、パーティメンバーに恵まれず腐っていたところを父に拾われたそうだ。ダンジョンの潜り方や罠の仕掛け方、外し方なんかを教えてもらえた。
どこかの国の貴族だったグラムと言う男性は魔法に秀でていたが貴族の政に嫌気をさして旅をしていた時に父の船に乗り海の自由さに心を奪われたそうだ。彼には魔法や礼儀作法だけでは無く人の弄り方や小馬鹿にするやり方を学んだ。
物語の勇者を目指して挫折した遊び人のアルバはのらりくらり、ぶらぶらと放浪している時に踊りの子奥さんのニーナさんを妊娠させてしまい生活費が必要になり困っている時に父の船に出会ったそうだ。母の鍛錬の合間にアルバとカジノに行ったり、ニーナさんに踊り方を教えてもらったり彼らは人生の師匠だった。彼らの娘のユリナちゃんは幼馴染で初恋だったなぁ。
魔物使いのテトはマイペースに魔物たちを仲間にしていったが食費が凄いことになり節約の果てに倒れているところを魔物たちが俺に助けを求めてきた。父や町の人たちと相談した後、町の人手不足解消に貢献して町に魔物牧場を経営する傍偶に水系統の魔物にお願いして追い込み漁の手助けをしてくれる人物だった。
船乗り見習いのミーナと言う女性は商家に生まれたが政略結婚の道具になるのが嫌になったらしく最近住み込みで働く様になった。今は同じ船乗りのディーンと恋仲になって近いうちに夫婦になる予定だった。
そんなこんなで俺が13の時に魔王が世界侵略を行い、俺の住んでいた港町が襲われた。父は仲間と共に海から侵攻する魔物と戦っている時に戦死した。母は子供の俺らや戦えないものを逃がす為に囮を行い、最後には自己犠牲呪文"メガンテ"を放ち魔物と道連れになり戦死した。
この事がキッカケに復讐目的に戦い続け、自分の出自を知り魔王を倒した。しかし、その倒し方がダメだったのか何なのか、人々から恐れられる様になり迫害を受けてここにたどり着いた。
「父さん、母さん、船員のみんな、今からそっちに行くね。」
俺は目を瞑り灯台から身を投げた。
しかし、海に落ちる事なく何処からか女性の声が聞こえた。
「……ラスト。バラスト。目を開けて下さい、バラスト。」
「何方…ですか?それにここ…は…?」
目を開けると故郷のある灯台では無く、森林が生い茂って目の前には幻の世界樹があった。その近くに声の主がいた。水色の長髪をなびかせ、白のワンピースを着た女性は俺に再度声かけた。
「バラスト。ようやく目覚めましたね。私はルビス。ここは聖霊の森と言う生と死の狭間の世界です。貴方が命を絶つ前にここに呼び寄せました。」
「っ!?聖霊ルビス様!?失礼致しました。ご無礼をお許し下さい。」
聖霊ルビスとはこの世界アレフガルドでは女神様に値する人物である。一般的にほとんどの人はルビス教に入信しているくらいビッグネームである。正直偽物って言う線も考えられるが、俺は本物だと確信した。何故ならこの方の存在、圧力が討滅した魔王と同等クラスに感じたからだ。
「かしこまらないてください。寧ろ謝るべきは私にあります。私が魔王を討滅する事ができたら、貴方に重荷を背負わせる事もなかったのですから。」
「謝らないで下さい。たしかに魔王討滅までに多くの事がありました。復讐を忘れたいと思い逃げ出したくなる時も途中で投げ出したくなる時も悲しい事もあります。しかし、私は不思議と満足したのです。故郷の仇を、友の仇を討てたのですから。俺を迫害した人々も恨んでいません。平和になった世界で人の形をした化け物を恐ろしくなるのは当然の事です。私はこの人生を誇りに思っています。」
「そうですね。貴方の人生を勝手に憐れんでしました。御免なさい。うふふ、結局謝ってしまいましたね。」
「あはは。そうですね。」
俺たちは互いに笑い合い張り詰めていた空気が和らいだ気がした。
「さて、本題に入りましょう。バラスト貴方はこの世界で生きるつもりは無いのですね。」
「残念ながら。有りません。」
「それなら、他の世界で生きて見るつもりはありませんか?」
「っと言うと?」
「貴方の知らない、貴方を知らないアレフガルドと似た世界で魔物を倒しダンジョンを攻略する事で賞賛される世界です。そこでは神たちが下界に降りて恩恵を与える事で眷属を増やしています。」
「その様な世界があるのですか……。」
「そこで生きていくのは如何でしょうか?」
「一つお聞きしたい事なのですが、何故私を生かそうとこんなにして頂けるのでしょうか?」
「それは、貴方が世界を救った勇者だからと言うのもありますが、貴方が精霊の共鳴者だからです。精霊は等しく私の子供です。あの子が貴方が死ぬのを悲しんでいました。子供の悲しむ姿を見たく無いので私は貴方に生きて欲しいのです。勝手でしょうか?」
「勝手ですね。でもそれなら生きてみます。あいつは俺の分身みたいな兄弟みたいな存在ですから。あいつが悲しむのは俺も嫌ですから。」
あいつは生まれた時から一緒に存在していた。両親を亡くした日も、友を失った日も、魔王を討った日も共に在り続けた存在だった。そんな奴が俺の死を悲しむ事に嬉しさを感じたが、それ以上に悲しませたく無いと思った。
「それではあちらの世界に送りますね。貴方が所持していた道具や武具は全て魔法の袋に入れておきました。また、世界移動の時に体が若返りますが、若返った分は世界を救った褒美として受け取ってください。他に何かありますか?」
「それでは2つほど。1つはあちらの世界では神の恩恵を得て眷属になれるのですよね?」
「はい、そうです。」
「それなら、貴方様の恩恵を頂けないでしょうか?」
「いいえ、恩恵は既に渡しています。アレフガルドの住人がお告げを聞く事ができたのは、恩恵のお陰なのです。恩恵を追加で与えることは出来ませんが、改宗の許可を与えます。あちらの世界で恩恵を貰いその方の眷属として暮らしなさい。」
「そうだったのですか……。今まで恩恵をありがとうございます。それで2つ目はあいつに、あいつに感謝をお伝えください。今まで楽しかったと、お前のお陰で心が負けず支えられたとお伝えください。」
「分かりました。それでは勇者バラストよ、貴方に感謝を。世界を救って頂きありがとう。お幸せに。」
「ありがとう、聖霊ルビス様、嵐の精霊。俺はあなた方に会えて幸せだった。」
ルビス様は俺を異世界に飛ばした。飛ばす瞬間、ルビス様の隣に嵐の精霊が居た気がする。
ドラクエやっていて普通に疑問に思ったけどレベルアップのお告げってダンまちで言うところの恩恵だよね?
一応ドラクエレベル10でダンまちLV.2相当と考えています。
ドラクエレベルが10上がるとダンまちLV.が1ずつ上昇を考えています。だから、オッタルさんはLV.7で殆どのステータスが900オーバーだからドラクエレベルに換算するレベル69くらいだと思う。