「ティアマト様、ただいま〜。」
「お帰りなさい、ラース。昨日はありがとね。それと置き手紙を見たわ。色々勝手にごめんなさいね。」
「手紙でも伝えましたが、別に気にしていないよ。スキルも知られて困る事は無いし、予定も特に無いし、交友関係が広がるんだ良い機会だったと思うよ。」
「そう言ってもらえてよかったわ。」
「それと、今日の…かせ…ぎ……あっ!換金するの忘れていた。まだ約束の時間には時間あるよね?ティアマト様。」
「あるけど、今から換金に行くの?」
「うん。今やっておいた方が後々楽だからね。んじゃ、行ってくるよ。すぐ戻ってくるね。」
俺は直ぐに換金した。今日の稼ぎは19800だった。昨日より少ない要因はキラーアントのドロップが少なかったからだと思う。俺は寄り道せずティアマト様に稼ぎを渡した。
「はい。今日の稼ぎ。」
「何時も魔石を換金するのを忘れていないのに今日はどうしたの?体調悪いなら今日はやめる?」
「いや、体調不良じゃぁ無いんだ。」
「何かダンジョンであったの?」
「うん。帰り道にゴブニュ・ファミリアに所属するゲン・ストラージュって冒険者を助けたんだ。その時になんか、久々で緊張したんだ。」
「何が久々で緊張したの?」
「うん。"勇者バラスト"では無くて"唯のバラスト"として人助けをした事がね。昔は人の手伝いとか何も考えずにやっていたのに、勇者時代は勇者としての振る舞い?威厳?とかも求められるようになったから。」
ティアマト様は俺の気持ちを察してくれたみたいで少し気まずそうな顔をしていた。俺はなんか申し訳ない気がした。ティアマト様も空気を変えるために話題を変えてくれた。
「それにしても今日も多いわね。何か買いたいものでもあるの?」
「実はさ、そろそろ俺たちのホームを借りれないかなぁって思ってさ。俺も趣味をやりたいしどうかなって思ってさ。」
「それはとても素敵な買い物ね。ラース、ラースの趣味って何なの?」
ティアマト様が喜んでくれた。そして俺の趣味を教えていなかった為か頭を傾げて聞いて来た。
「あっ言ってませんでしたっけ?趣味は鍛治なんですよ。まぁ、鍛治に限らず道具作成なんですけどね。」
「へぇー意外!てっきり料理とかだと思っていたわ。」
「料理も好きですね。昔はよく海釣りをしては料理をしてたのでそれも好きですね。鍛治に関しては、勇者時代に武器の手入れを真剣に学んだ時に知り合いの親方に基礎を教えてもらってね。やっていくうちにハマっちゃったんだ。」
俺は少し照れながら言うとティアマト様は安心した表情をした。
「良かったわ。てっきりダンジョンに行く事だけが趣味だったら身体を悪くしてしまうんじゃ無いか心配していたのよ。」
「心配かけてごめんね。でももう大丈夫だよ。俺はティアマト様に会えて幸運だと思っているから。今は幸せだよって言うと少し違うか。前よりも幸せで生きていて良かったと思うよ。」
ティアマト様の照れた顔は可愛らしかった。
「んっんんっ!入っても良いかしら?」
ヘファイトス様と思われる赤毛眼帯の女神が気まずそうに壁をノックした。俺たちはとても驚いた。
「あ、えーと何処からいたのかしら?ヘファイストス。」
「安心して。あなたの子供があなたに感謝している時よ。それにしても時間より少し早めに来たから挨拶しようとしてみれば貴方達が惚気ていて入り辛かったわ。」
「ごめんなさい。ヘファイストス。それじゃあ、紹介するね。こっちが私の眷属のラースよ。ラースこっちはヘファイストス。挨拶してね。」
「ご紹介預かりました。私はティアマト・ファミリア団長のバラスト・ウンディガーナと申します。気軽にラースとお呼びください。ヘファイストス様」
「そうするわ、ラース。ヘファイストスよ。鍛治ファミリアの神をやっているわ、よろしくね。」
俺とヘファイトス様は互いに挨拶を行なった。そこで俺は扉の前にいる何者かについてヘファイトス様に尋ねた。
「それで、ヘファイストス様。こちらの方を紹介願えますか?」
「えっ?」
ヘファイストス様は気づいていて居なかったらしく後ろを振り向くと慌てた。
イチャイチャしてるけど、多分当人たちに恋愛感情はないと思うよ。実際この小説ではティアマト様はヒロインじゃ無いし。ヒロインじゃ無いと救われない、報われないって幻想だと思う。
彼等にあるのは友愛と親愛。"愛"って恋愛だけじゃ無いと思うんだ。俺は恋愛も好きだけど、友愛と親愛の方が個人的には好きだなぁ。