鎮守府のまもりびと   作:石器

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短め


第三話 選択

「俺がここで働くぅ?」

 

「冬也がここで働く!?」

 

 

 

横須賀鎮守府の医務室では本来医務室で挙げてはいけないであろう大声で青年二人が驚きの声をあげていた。二人の反応に満足した夕立はさらにこう告げた。

 

 

 

「そう!トーヤにはここで私たちや提督さんのお手伝いをしてもらうっぽい!」

 

 

 

そう高らかに言ってのけた夕立であったが冬也は困惑した様子で

 

 

 

「いや夕立、確かに推薦をしてもらえるのはありがたいんだけどさ。会ったばかりの奴をこんな大事なところで働かせちゃだめだろう。しかもここは国が運営している人類を守るための砦とも言える場所だろ?」

 

 

 

と冬也は反論をするが湊は

 

 

 

「...案外ありかもしれないな。」

 

「はい?」「ぽい?」

 

 

 

驚く冬也と期待の眼差しを送る夕立に対し湊は腕を組ながら話始めた。

 

 

 

「さっきも言ったけど冬也はこの世界じゃ戸籍も何にも無いわけだ。それにさっきの話を俺たち以外にしたところで信じてもらえないかもしれない。もし警察を呼ばれたりしたらもっとややこしいことになるかもしれないね」

 

 

 

冬也は苦い顔をしながら頭を抱え始めた。

 

「確かにそうだけど...いくら何でも迷惑じゃないか?俺は軍艦とかの整備なんてやったことはないぞ?

それにしらない男が働いてたら回りもどう思うか...」

 

そう言いどうにか二人の勧誘を断ろうとし続ける冬也を夕立は目を潤わせながら見つめ

 

 

 

「じゃあ冬也は夕立や提督さんの事が嫌だから断ってるっぽい?」

 

 

 

「ちげぇよ。いやそんなことはないんだぜ?むしろ感謝してるよ!命を救ってくれたんだからさ!」

 

 

 

「んじゃその恩返しということでここだ働いてくれよ」

 

「そうするっぽい!しっかり[恩返し]、してくれるよねっ!」

 

 

 

二人の期待の眼差しの前に冬也は頭をかきむしり大きくため息をついた。

 

 

 

「はぁ。...わかったよ、ここで働いてやるよ。後で回りにどう言われても知らねーぞ」

 

 

 

「そう言ってくれるって思ってたよ」

 

 

 

「汚い奴だな。」

 

 

 

そう言い冬也と湊は互いに手をだし握手をした。続いて夕立も手を出してきた為彼女にも握手をした。

 

 

 

「これからよろしく頼むよ」

 

 

 

「あぁ。俺たちもな。」

 

「トーヤ!これからよろしくお願いしますっ!」

 

 

 

こうして清瀬冬也は横須賀鎮守府に(何をするのかなに一つきまらないまま)就任するのだった。

 

 

 

 

「っと、早速歓迎会でも開きたいけど残念ながらもう夜だ。俺は書類作成の続きをやらなくちゃいけないから夕立は自分の部屋に戻ってくれ」

 

 

 

「わかったっぽい。それじゃ、改めてこれからもよろしくね!トーヤ!」

 

 

 

「おう!また今度な!」

 

 

 

と、別れの挨拶を交わした夕立は医務室から出ていった。

 

 

 

「俺はどうしてればいいんだ?」

 

 

 

「冬也、君にはまだ聞きたいことが少しだけある。」

 

 

 

「?まだなにかあるのか?」

 

 

 

「あぁ。単刀直入に聞くけど、もとの世界に帰りたいとは思わないのか?」

 

 

 

湊の急かつ率直な質問に冬也は少しだけ驚いた様子を見せるも顔を綻ばせ口を動かし始めた。

 

 

 

「そうだな。確かに元の世界に未練がないわけじゃあないが、そもそも帰る方法がわからないからな。それに、解放軍の戦力的に俺たちに勝機は見えなかった。だからもし戻れたとしても俺の居場所はもうないな

 

きっと仲間はみんな...ころされてるだろうな」

 

 

 

「そうか。悪い、気安く聞くべきようなことじゃなかった」

 

 

 

「いや、いいんだよ。俺はここでお前たちに助けられた恩を返す。それだけが今の俺のやりたいことだからな」

 

 

 

「ふっ。そう言ってくれると助かるよ」

 

 

 

そう言い湊も冬也も互いに笑顔でお互いに拳を合わせあった。そして湊はどこからか本を数冊取り出し冬也に渡した。

 

 

 

「これは?」

 

 

 

「大戦中に活躍した軍艦のこと、深海凄艦のこと、そして今の世界情勢の事が記されている本だ。ゆっくり読んでいてくれ。俺は一通り仕事を終わらせたらまた来る。一緒に飯でも食べようぜ」

 

 

 

「おう。ゆっくり読ましてもらうぜ。仕事はサボらず頑張れよ?」

 

 

 

「余計なお世話だよ」

 

 

 

そう言い湊は医務室を後にした。冬也は再びベッドに横になり読書を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一同時刻一ハワイ島近海

 

 

 

重巡リ級は海を駆けており、不自然な青い浮きが浮いている地点で急停止をする。

 

 

 

大海原の水面が大きな揺れにより波紋を起こした。その揺れの中心がゴゴゴと音を起てた瞬間そこからメタリックカラーで金属製の巨体なワームに似た怪生物が出現した。

 

ワームの頭部には口のような感じで牙の生えた円形シュレッダー状のシールドを装備しており、先端が丸鋸になった触手が無数に生えている。

 

そしてそのワームの背中がプシュゥと音を起てた瞬間、ロングヘアと六角形の単眼を持ち右手にはアンバランスかつ巨大な砲台を着けた深海凄艦が現れた。

 

 

 

「強襲部隊はどうした?まさか、やられたのカ?」

 

 

 

「申シ訳ゴザイマセン。私以外全員ヤラレマシタ」

 

 

 

「ふむ。艦娘め、気づかれていたカ」

 

 

 

「イエ、強襲ニハ成功シタノデスガ灰色ノ化ケ物ニタオサレマシタ」

 

 

 

「何?灰色の化け物だと?なんだソイツハ?」

 

 

 

「ワカリマセン。ですが陸上デハ奴ノ素早イ動キニ翻弄サレテシマイマシタ」

 

 

 

「...わかった。ソイツは戦艦たちに任せるとしよウ、貴様は戻って補給を済ませておケ。それと私は一度アメリカに行き、例の装備の奪取と施設の破壊を行うと姫に伝えてくレ」

 

 

 

「了解シマシタ」

 

 

 

 

 

そう言いリ級は海の底へと降りていった。

 

 

 

「...いずれ我々がこの海を取り戻ス。そのためにはまず奴らを...艦娘を皆、沈めてやル」

 

 

 

そう言い単眼の深海凄艦はワームの胴体へ戻っていった。

 

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