また本年もよろしくお願いします(2021/02/15 )
「いらっしゃいませ!お客様は6名様でよろしいでしょうか。お席にご案内致します。」
気がつけばすっかり日が暮れていて、ちょうど夕飯時であった。二宮隊と迅の6人は、4人用のテーブル2セットに案内された。
「あれ、座敷は空いてないんだ。」
「申し訳ございません。只今宴会のご予約が入っておりまして…」
犬飼の呟きに店員から丁寧な説明が入る。この焼肉店は一部のボーダー隊員御用達なだけでなく、一般のお客さんでも賑わう人気店だ。このようなことになるのも珍しくない。迅の勧めでテーブル分けは犬飼と迅と氷見、辻と二宮と友哉という振り分けになった。
「迅さん氷見ちゃんと一緒なテーブルにしたのって、もしかしてお尻触るためとか?」
「え、そうなの迅さん。気持ち悪い。」
「いや待て待て!流石に実力派エリートでもこんな公共の場で触ったりなんかしないよ〜。」
「へえ、『公共の場なら』しないんだ。」
「うわあ、相変わらず嫌らしい耳してるな〜犬飼は…。」
「この嫌らしい2人と一緒に食べる私の身にもなってよ。」
氷見はどうしようもなく変態な先輩達のくだらない駆け引きに呆れている。こんな調子で肉を食べるのはうんざりだ。
「でも、迅さん氷見ちゃんのお尻狙いじゃないとしても、なんかこのテーブルの配置、『読んでる』気がするんだよな〜。」
「いや、そこまで気は配らないよ…。しかも来るとしても五分だったし。」
「ふーん、五分では来るんだ。」
またギラギラと目を光らせて読み合いを始めている。そんな先輩にそっぽを向けて氷見は隣のテーブルの話に耳を傾けていた。何せ硬派な男子3人組が珍しく談義に花を咲かせている。
「ここへ来るのは初めでなのか?」
「…いえ、東さんに狙撃と戦術面の指導をして頂いていた頃によくご馳走になっていました。」
「ほう、東さんと面識があるのか。」
「…はい、一応。」
「そういえば、今更ですけどなんで樋上さんは攻撃手でイーグレットをセットしているんですか?少し前に荒船さんが狙撃手に転向したこと以外で、攻撃手で狙撃手用トリガーを使っているのは見た事がないので。」
「確かに!孤月だけでも相当強いのに。もしかして、攻撃手だけじゃ飽き足らなくなっちゃったんですか?」
迅との駆け引きがひと段落ついたのか、犬飼もその話に合流してくる。
「だとしたら、今頃荒船と同じように狙撃手主体の戦い方をしているだろ。」
二宮がツッコミを入れる。
「あはは、確かにそうですね。」
「…二宮さんの言う通り、そういう訳じゃないよ。ただ…」
友哉が理由を話そうとした時、背後からランク戦の解説などで聞き馴染みのある、噂をしていた彼の声がした。
「それは、迅に勝ちたかったから、だろ?」
彼は日頃から隠密行動の訓練をしているからなのだろうか、迅以外の全員が、彼が来ることに気づかなかった。いや、予想もしていなかった。
「「「「東さん!?」」」」
「なるほど、迅の言っていた来る可能性のある人が、東さんだった訳か。」
「そういうこと。」
「迅に是非来て欲しいって連絡が来た時には、俺の金で肉を食いたいのかと思ったけどな。どうもそういうことじゃないらしい。丁度予定がキャンセルされてこっちに来たんだ。」
「いや東さん、俺がどんどんいやらしい人みたいになってくるじゃん…。」
「いや迅さん、あなたじゅうぶんいやらしい人だから…。」
そうツッコんでいる犬飼も果てしなくいやらしいと氷見は思っていた。
「それで、悠一が東さんを呼んだ理由って?」
「それはな友哉、東さんがいた方がもっと二宮隊に馴染めるんじゃないかって、俺のサイドエフェクトがそう言ってたんだ。」
「確かに俺は二宮とも樋上とも、一応迅とも関わりがあったからな。」
と言いつつも、東はちょうど空いていた友哉の隣の席についた。
その後、東の到着に流れるようにして肉が到着した。
「これがギアラか…」
「結構歯ごたえあるが、美味いだろ?」
「氷見ちゃんには早いかな〜」
「絶対今私の事馬鹿にしたでしょ迅さん、辻くんと私同い年なのに」
「迅さんがギアラを頼んでいることに気づけば東さんが来るの読めたのにな〜」
全員が肉を頬張りながら、主に友哉についての話が繰り広げられた。家族構成、好きな食べ物、苦手な女の子のタイプなど、仕事以外の話にも輪が広がった。
「…辻くんは彼女とかいないの?」
「え!?あっ、お、俺は別に、女の子と話すのが得意じゃないので…。」
「私と鳩原さんくらいしかこの子話せないんですよね。」
「子供みたいに言わないでよ!」
辻の珍妙な人間関係や、鳩原の事情も友哉からしたら初めて聞くことばかりで、話が更に弾んだ。
「あ、そういえばさっき言ってた、迅さんに勝てないから狙撃の練習をしたって、どういうことですか?他にもサブトリガーとかの方が使い勝手は良かっただろうに。」
犬飼が思い出した(いや、タイミングを狙っていたと言った方が良いかもしれない)かのように尋ねた。
「いや、厳密に言えば、樋上は別に狙って狙撃用トリガーをセットした訳じゃないぞ。」
「え、そうなんですか?」
「…そう。東さんには戦術を教わりに行っただけなんだ。ただ、東さんの戦術論を聞いているうちに、狙撃手用のトリガーも使えるようになっておけば、いつか有利に働くような気がしたんだ。結局イーグレットが直接打開策になった訳じゃないんだけどね。」
「結構感覚で狙撃手の練習できたんですね…これはえぐい…。」
犬飼の口が引きつっていて、友哉の異次元の(悪くいえば頭がおかしい)考え方にドン引きしているのが目に見えて分かる。
そして、友哉の説明に続いて、迅が補足していく。
「当時アタッカーランクは、太刀川さんが1位で俺が2位、小南と風間さんがいい勝負してて、その一個下くらいに友哉がいたんだけど、確か、太刀川さん達には勝ち越したことがあったけど、俺には勝ち越したことがなかった。友哉は感覚派に見えるけど、案外頭使って理論立てて動くタイプだから、割と可能性の高い未来を踏んでくれることが多くてね。だから未来の選択肢を広げようとしてイーグレットも使えるようにした。こんなところだっけか。」
「まあ、そんなところだね。」
「最初の一発を打ち込んで迅に強烈な印象をつけるのが、結構有効だと思っていたけど、それでも避けられたからな。あの時はやってしまったと思ったよ。」
東が当時を思い出し、苦笑いしながら、そう続けた。
「いや、でもその試合は6-4で友哉が勝ったし、その後の試合もたまに負ける時があったからなー。東さんの影響は大きかったよ。ちょっと読みづらくなったしね。」
「たまに、とか、ちょっと、とかなんかいちいち引っかかること言わないでよ悠一さん??」
「おっとっと…ごめんごめん。」
笑いが起こる。最初はどうなることやらと思ってはいたが、少しずつ、この人達とも打ち解けられるだろうと、友哉は確信した。
その後、結局東の奢りで会計を済ませた後、帰り際に東から、友哉にとって思わぬ言葉が出た。
「そういえば次のエキシビション、うちの隊も出るから、楽しみにしておくよ。」
「…え?、というと…?」
「ん?二宮から聞いていなかったのか?エキシビションで戦うのは二宮隊、影浦隊、鈴鳴第一、東隊の4チームの予定だぞ?じゃあ俺はこの後防衛任務があるからこれで。」
「言うのが遅れてすまなかった樋上。つまり、そういうことだ。」
「ええ!?!?」
無口の友哉が珍しく感情を露わにする珍しい一日となった。
ワートリアニメ2期始まりましたね〜(始まって1ヶ月経ったけど)。個人的にはガトリン隊長の声がもう少し野太いのかなって思っていたんですけど、あの声はあの声でめちゃめちゃ渋くてイケおじだったので素晴らしい〜!ってなってました。ちなみに風刃抜刀のシーンは50回くらい見た。
次回また不定期投稿になりますが、遂に本格的な戦闘描写がある!!はず!!元気があれば!!お楽しみに!!!