Our lives are for the World 作:刀君
今から100年とちょっと前、志波家に俺の妹が生まれた。
俺や兄貴とは違う母から生まれたその子ーみかんはかなりの力を持っていた
驚いたよ、流魂街で親父に拾われ愛人になった人との子が、兄貴の娘より小さい子が笑顔で「今日は鉄裁のおじさんのとこで黒棺が出せるようになったよ」だとよ。
ー信じらんねぇだろ? あ? 知ってた? ああ……そういえばあんた握菱鉄裁と失踪したんだっけか……まあ、とにかく俺には鬼道の才はなかったが、それにしたってあの歳で90番台の鬼道を扱えるのはおかしいってわかるさ
俺はあの子に純粋に恐れを抱いたよ、けどな……
やっぱ可愛いんだよ、甘やかしたくなる、心配になる
俺が居なくなった後のあの子を思うと胸がすごく苦しい……それが一番の未練だ
だがよ、ここで命の恩人を見殺しにしたら明日の俺に笑われて明日のみかんに殺されちまうだろうぜ
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ー志波一心失踪100年前ー
五大貴族の一つ志波家。
そこに私は生を受けた。
愛人との子だった私はあんまり屋敷に居場所はなかった。二人居た兄やその子たちにはよくしてもらった。最終的には父が死んで、一番上の兄が死んで、兄の子達が屋敷を離れてから……兄しか私の味方はいなくなってしまったけれど。
私は特にその事を嘆きはしなかった。
父達がまだ存命の頃手持ち無沙汰で瀞霊廷を歩き回って居たときに見つけたとっておきの場所があったのだ。
四楓院家……初めて入った時はものすんごい怒られたが、当時の当主の四楓院夜一さんの「ほう! その歳で四楓院家の警備を抜け儂の寝室まで来るとは大したものじゃのう」という評価のおかげか、夜一さんに気に入られ、偶に砕蜂さんと一緒に教えてもらったり、四楓院家に出入りしてた鉄裁さんや、浦原喜助さんにも教えを受けた。
この修行の日々は今まで私を見てくれる人がいなかった私にとって、至福の日々だった。
鬼事で私と遊びながら稽古してくれた夜一さん
私を妹のように扱ってくれた砕蜂さん
いろんな技術を教えてくれて一緒にいろんなものを作った浦原さん
鬼道と縛道を教えてくれた鉄裁さん
そして、もう一人……
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初めてあいつに会ったのは俺がかなり小さいころだった。
親父に連れられ四楓院の屋敷を尋ねた時、驚異的なスピードで屋敷の当主と鬼事をしていたそいつは俺の顔を見るなり驚いて物陰に隠れた。
「大丈夫ですぞ、みかん殿。この子は私の倅の鉄太」
「前に話してくれた……?」
「ええ……今日はこの子と遊んでやってください」
みかんはそれを聞くとこそっと出てきて手を出してきた。
「よろしく……」
「あ、ああ……うん……」
握り返すと彼女は照れくさそうに笑った
今でもその顔だけは覚えてる。
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それから私たちは一緒に稽古するようになった。
一緒に遊びもした。
彼と稽古するようになって、より身が入るようになった。
彼も同じでより身が入るようになったと言っていた。
やはり、ライバルがいるのはうれしい。
私の方が喜助さんに驚かれるようなものを作れたけど、鬼事は鉄太の方が強かった。
私の方が鬼道の熟達は早かったけど、剣術は鉄太の方が強かった。
互いに認め合いながら、四楓院家で修行をしていた。
死神にもなった。真央霊術院は知っていることばかりでひどくつまらなくて、試験以外は鉄太と鍛錬ばかりしていたらあっさりと半年程で鉄太と共に卒業し、二人で鬼道衆に入った。
史上最年少でしかも半年での卒業だと周りがうるさくて、一番隊を勧められまくって鬱陶しかったが、私たちのかねてよりの希望と、鉄裁さんの強い推薦でなんとか入れたらしい。
私の方が席次が高くて鉄太をからかったのを覚えてる。
でも、そんな日は長くは続かなかった。
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親父達が失踪した。
俺たちが鬼道衆に入って、三席と四席になったばかりのころだった。
喜助さんと親父が三、五、七、九番隊の隊長と八、九、十二番隊の副隊長、そして俺たちの上司だったハッチさんに対して虚化の実験を行い、裁判にかけられていたところに夜一さんが乱入し、見事二人を連れ去ったのだという。
それを聞いたのは、俺たち二人が現世において任務から帰ってきたときのことであった。
彼らとの接点を考えれば俺たちは疑われて然るべきだったが……任務で俺たち二人が現世にいたこと、緊急のため呼び出された親父とハッチさんに代わって総隊長に任命され任務に行っていたため、親父の差し金で現世に向かっていたわけではないこと、そして最近喜助さんが隊長になって忙しく、あんまり喜助さんには会っていなかったこと等が原因で、俺たちは疑いを解かれた。
みかんは最初喜助さんと親父がそんなことするはずないと四十六室に直訴しに行こうとしたが、それを止めたのは砕蜂さんだった。
「夜一様に続いてお前たちまでいなくなる気か……」
そう、涙ながらに言われあきらめざるを得なかったようだった。
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「ねぇ…鉄太は悲しくないの?おかしいと思わないの?」
「思うさ」
「じゃあどうしてそんな冷静なの?」
どこか責めるような口調になってしまった。家族のように過ごした喜助さんや夜一さん、そして彼にとって実父の鉄裁さん。彼らが居なくなったのだ。もっと悲しんでもいい、彼らの下とされる罪について疑問を抱いて何かの間違いだと激高してもいい、そう思っていたんだろう。
「さあな…俺が知りてぇよ」
私はそう答える彼の顔を見て、聞いたことを後悔した。
それから彼は、笑わなくなった。
【死神図鑑】
み「みて~夜一さん~」
夜「なんじゃこれは?」
み「喜助さんに頼まれて作った眼鏡だよ~」
夜「ほう?どんな機能があるんじゃ?」
み「あのねぇ、これつけて夜一さん見るとね、服が透けて見えるの~。夜一さんのだけ透けて見えるようにするの、すごく難しかったんだぁ」
夜「ほほう…ようやったのみかん…ちょっと喜助に用が出来たから儂は失礼するぞ…」
み「うん、ばいばぁい」
鉄「喜助さん死んだな…」