Our lives are for the World 作:刀君
今回とうとうキャラ崩壊キャラが登場します…
因みに宮能妹は宮能まつ梨、ゲームオリジナルキャラです。
―随分とさっぱりしてるな
藍染の自室に入った時の第一印象はこうだった。
そもそも藍染と雛森を通して多少話した程度の仲であった俺は、藍染の人となりをそれほど知っている訳ではない。
もちろん藍染の趣味嗜好などは知らぬから、無趣味であった可能性すらあるし、俺の自室もそこまで物が溢れかえっているわけではないが、それでも自分の好きな現世の書物や、
「殺される前に証拠を消したかでもしたか或いは……」
犯人に全部消されたか……?
疑問はいつの間にか、ひどい違和感になっていった。
────
「起きたか、松本」
「…隊長……なにしてんです?私の部屋で」
「執務室だここは……起きたんなら仕事しろ、俺は疲れた」
「もうこんなに終わったんですか!? 五番隊の分の仕事は?」
俺は五番隊の分の事務仕事も引き受けていた。隊長である藍染が死に、雛森がそれに伴ってダウン。とても三席の宮能だけでは何とかできるものではなかったし、うちの隊の三席である宮能妹からも助けてやってほしいと言われれば仕方ない。
「妖精さんがやってくれたんだよ…俺はもう上がる。最近休んでなかったし、考え事もしてぇしな」
「隊長……、隊長はほんとにギン……」
『失礼します! 日番谷隊長! 松本副隊長! いらっしゃいますでしょうか!』
「!…宮能か!入れ!」
「はっ! 報告いたします! 阿散井副隊長、吉良副隊長、雛森副隊長の3名が牢から姿を消しました!」
「……行くぞ、松本、宮能」
「牢ですか?」
「違う。探しに行くんだよ…雛森をな」
俺の予想が正しければ…
今一番危険なのは、あいつだ
──―
松本と宮能と別れ、俺は雛森を探して瀞霊廷を駆け回る。雛森に渡してやった遺書の中身を俺も検めるべきだった…あれが罠であった可能性が捨てきれない。もしも藍染が殺される前に身辺整理をするか、藍染が殺された後に全部犯人が処分したならば、何か知っている可能性のある雛森を狙うのは必然だ。
後悔しながら見回ると、三番隊の隊舎付近で雛森を発見し、近寄る。
「ようやく見つけたぜ雛森」
「藍染隊長の仇……」
「……雛森? 一体どういう……」
言い切る前に飛梅を開放した雛森が斬りかかってくる。
「なんの冗談だ雛森!」
「藍染隊長の遺書に書かれてた! 双極をつかって尸魂界を壊そうとしている裏切り者、日番谷冬獅郎を呼び出したって!もし僕が死んだら仇をとってくれって!」
「藍染がそんなこと頼むわけねぇだろ!藍染の死んだ現場を思い出せ!いくら俺でも藍染を氷輪丸なしで殺すのは無理だ! それに俺が双極をつかって尸魂界の破壊なんぞして何になるんだよ!?想像力が足りないぞ雛森!」
「でも見間違えるはずない!あれは藍染隊長の字だった!」
「落ち着け! 藍染が殺された後改竄されたかもしれねぇだろ!筆跡鑑定ちゃんと回したのかよっ!」
「あたしは……あたしは……!」
くっそ…俺に上条さんばりの説教力があればっ!
雛森はこちらを見て斬魄刀を構え直す
「もうどうしたらいいのかわからないよ……!シロちゃん……!」
「桃…!」
やるしかないのか…?そう思った瞬間だった。
「そこまでだぜ、雛森副隊長」
鉄太が俺と雛森の間に入り、すぐさま白伏で気を失わせる。
「鉄太……助かった」
「だから隊長になる時に上条さんの説教学べって言ったんだよ反省しろ」
「うるせぇ! お前だってあの作品オティヌスを守る戦いしかまともに見てないだろうが!」
「あれ長いからね、仕方ないね」
「お前がおすすめする作品は面白いが隊長の仕事の参考にしにくいやつばっかなんだよ!鉄血で上に立つものの気持ちを知れってあれ失敗だろうがどう見ても!」
「止まるんじゃねぇぞ……」
「隊長も鉄太も何やってんです……?」
「!松本と宮能か、吉良と阿散井は?」
「吉良の牢は外側から開いていて、恋次…阿散井の牢は雛森と同じように中から壊されていました」
「なるほどな……阿散井は単独出撃の可能性が高い。藍染の死には関係なく個人的に旅禍にリベンジにでも行ったと考えていいだろう……それに、あいつはきっと陰謀には向かない人種だ」
「あいつは藍染隊長の死には全く関係なさそうだしな。やられたのも藍染隊長が死ぬ前だし、あと馬鹿っぽいし」
鉄太が俺の推理に同意する。そう、おそらく阿散井はこういった事情を考えると無関係と考えるのが妥当だろう。だが……
「吉良は……お前が逃がしたな? 市丸」
「ばれとったんか……流石やなぁ日番谷隊長」
「い、市丸隊長!?いつからそこに!?」
気が付いてなかった宮能が声を出して驚き、それに対して市丸は「いつからやろなぁ」ととぼけながら物陰からこちらに近づいてくる。
「御託はいい……なんで吉良を逃がした?」
「もうそろそろ許されてもええやろ思たんですわ、いいでしょ? ウチの副官ですし」
「一応十番隊の牢に入れてんだ、俺に一言ぐらいよこしやがれ……」
「そらぁすんません、次から気ぃつけますわ」
俺は倒れた雛森を抱えるとくるりと踵を返す。
「とりあえず雛森とゆっくり話す……いくぞ松本、宮能、鉄太」
「は、はい!」
宮能が困惑しながら返事をしたのを聞くと、歩き始める。
「いったい誰やろなぁ……藍染隊長の遺書書き換えたんは」
市丸が軽く言い放つ。挑発ともとれるが…ここはあえて乗ってみるか。
「気ぃ付けろよ市丸。藍染、まだ死んでねぇかもしれねぇぞ」
「!? どういうことです!? 隊長!」
「自室には何の痕跡も残ってなかった……遺書の通り誰かしらの裏切りを調べてた割にはな。これ見よがしに遺書だけおいてやがった」
「俺、藍染隊長の死体に違和感を感じたんだよ。一応聞いたら卯ノ花隊長も感じたらしい」
「つまりはあの壁にかかってたのは藍染の死体人形で……藍染は、今も生きてどこかで調べもんしてるんじゃねぇか……それが俺たちが疑似的に出した結論だ」
そう、藍染の死にはおかしな点が多い。死んだ場所、殺害法、そして鉄太と卯ノ花隊長が感じた死体の違和感…そこから俺と鉄太が導き出した結論は死亡偽装であった。
「死んだことにした方が動きやすくて都合いいもんなぁ……でもその推理、ボクに話していいん?」
ボク、疑われてるんやろ?と手ぶりを交えつつ返してくる市丸。
「ああ、お前の反応を見るために話したんだからな。もし当たってても藍染が隠れてるなら探す動きをするはずだ、そうなればお前が犯人だろ」
「それはそうやなぁ」
「お前の反応を見る限り死体人形の話には驚いたように見えた……お前が裏切り者なら殺せてないのを今知った、ということになる。殺した人間が生きてるんだ、もっと動揺が見て取れる。それがないということは、藍染がお前に襲われたわけではなさそうだしな」
これ以上話すのは話しすぎになる。市丸は裏切り候補筆頭だ。殺害はしてない可能性が高いが、藍染に言った警報が聞けなくなるの発言からも犯人を知ってる可能性は高い。これ以上の危険な行動は避けた方がいい。
「じゃあな市丸、夜道には一応、気ぃ付けな」
────────
「ここは……」
「起きたか、桃」
「シロちゃん……?」
十番隊の救護室。雛森が倒れた後、ここに運び込み一晩がたった。心労が祟ったのだろう。本来は数刻も気を失わせることのない白伏で雛森は一晩中眠っていた。一晩中漫画を読みながら雛森が起きるまで待っていた俺は雛森に話しかける。雛森が藍染が調べていた奴の情報を持っていることを期待して。
「落ち着いて聞け、桃。お前は嵌められた可能性がある」
「でもっ!あれは……」
「藍染の筆跡をごまかす術なんぞいくらでも考えられる。それにあの藍染の殺され方はいくらなんでも不自然だろ」
「藍染隊長は胸を…!」
「ああ、胸を未配給の斬魄刀で貫かれてた…藍染ほどの手練れが真正面から刺されるなんぞ普通に考えればありえん。いくら油断していてもな」
「……」
そこまで言うと桃はひどくうつろな目のままこちらを見る。未だに疑念に駆られたような目。藍染の遺書の字と俺、どちらを信じようかと迷っているようだ。だが、少しはこちらを信じようとする意志を感じる。
「シロちゃんは…本当に何もしてないの……?」
「ああ、誓って」
そう言うと、雛森は泣きそうな顔でこちらを見る。
「胸くらいなら貸してやる…泣きたかったら…泣いていい」
雛森は俺に体を預けると震える声で話し始める。
「藍染隊長ね…私に話してくれたの…阿散井君の罷免にもね、反対したって…阿散井君のこと嫌いな人なんていないって、笑顔でね…」
俺はそれを、黙って聞いていた。
──────────
「落ち着いたか?桃」
少しまだ目と顔が赤いが、泣き止んだ雛森は俺の言葉に頷く。それをみると俺は「つらいかもしれないが」と前置きした上で聞く。
「藍染の死は偽装された可能性がある。だから桃、お前は何か知らないか、藍染が探ってた……」
『隊長並びに副隊長各位にご報告申し上げます』
「!地獄蝶…いつの間に」
いつの間にか来ていた地獄蝶の報告に俺と雛森は耳を傾ける。
『朽木ルキアの処刑の日程について最終変更がありました』
朽木ルキア…双極を使った刑が執行される奴か。まて…双極?
『最終的な刑の執行は…現在より29時間後です』
「!」
雛森と俺は目を見開き、顔を見合わせる。
『これは最終決定です。以降日程の変更はありません。以上』
「くっそ…そっちで来たか…!」
「隊長!」
救護室の外で待機していた松本と宮能、鉄太が駆け込んでくる。
「ああ、やられた!もし藍染の遺書が俺の名前以外正確ならば裏切り者の狙いは双極だ!破壊して何になるのかは知らねえが、相当な被害が出ちまう!」
「処刑は恐らく海燕さん達が止める。別の目的だがな」
「なら止めるべきは四十六室だ…!敵はそこにいる」
俺は松本達を引き連れて四十六室に向かおうと救護室から出ようとする。
「待って!」
「桃…?」
「私も…連れていって!」
「雛森…あんた…」
「シロちゃんの推理があってるなら、藍染隊長もそこに居るかもしれないんでしょ!?」
雛森はベッドから降りながら訴えかけてくる。
「…分かった。但し、俺たちより前に出るなよ。敵は藍染が手を焼くんだ。隊長格レベルの強さがあっても不思議じゃない」
「隊長!?いいんですか!?」
「今雛森を説得して時間をつぶしたりここに置いてって犯人に連れ去られる方がリスクが高い」
「いざとなったら…俺が命に賭けても守るさ」
「隊長…」
松本は俺の言葉を聞くと、口に手を当て…
「さっきからかっこつけすぎじゃないですかぁ?」
とりあえずにやけ顔をしてやがる松本と宮能は今月の給料を10%ほどカットしようと思う。
【死神図鑑】
冬「……」
乱「たーいちょー、休憩中に何読んでるんです?」
冬「鉄太が貸してきた書物だ。恋愛ものなんだがどうしても主人公に共感できんくてな」
まつ「どんな内容なんです?」
冬「幼い頃結婚の約束をした女の子がいる主人公が、家の事情で偽の彼女ができるんだが…なんやかんやで最後に偽の彼女が選ばれるんだが…どう考えても片思いしてたヒロイン一択だっただろ…」
乱「へぇ…ちなみにどの子です?」
冬「こいつだ」
まつ、乱「「あっ…へぇ…」」
冬「どうした?お前ら、ニヤニヤしだして」
まつ「イヤー…因みにその子幼馴染だったりします?」
冬「まあずっと一緒だったわけじゃなかったが小さい頃は一緒に遊んだ設定だ…それがどうかしたか…?」
まつ「いえ、なんでも…ねぇ?」
乱「ねぇ?」
冬「なんなんだよそのにやけ顔…」