シャンフロ恋愛異聞譚 作:戯れ
(おせーよホセ)
(大体オリガミと戦っていたせい)
(HF三章は良いぞ)
(R18版も同時投稿してます。作者ページから飛んでね)
「「あ」」
お互いの存在に気づくと同時にその場で硬直する。
朝出発する以前から幾度となく頭の中でシミュレーションを行ったが、RTAがそうであるように実際に体が思い通りに動いてくれるとは限らない。
なんと声をかけるべきかということを自分の頭が思い出すだけで数秒もの時間を要してしまう。これが本当にRTAだとしたら即リセ案件だろう。
「お、おはよう……玲」
「お、おはようございます! 楽郎くん……っ」
何となく気まずくて目を合わせることすらできず、けれど気恥ずかしさを伴うそれは決して嫌なだけの感情ではなかった。
「と、とりあえず行こっか。遅刻したら大変だし」
「あ、はい! そうですね!」
どうにか歩き出しはしたものの、会話は弾んでいるとは言い難く、対人戦で互いの最適な距離を測っている時のような探り探りの会話にもどかしさを感じる。
「そういえば」
そんな空気の中で、一つ決めて置かなければならないことがあったのを思い出す。
「その、学校ではどうしようか?」
「どう、というと……?」
「いや、その、俺達のこと、オープンにするかどうかって、さ。やっぱり、悪目立ちすると思うし……」
「あ……私は、どちらでも構いませんけれど。楽郎君は、どう思いますか?」
「うーん、絶対面倒なことになるし……ていうかなってるし……できれば、秘密にする方向のほうがいいかなぁ」
「う、ご、ごめんなさい……私のせいで」
「いやいやいや、玲のせいじゃないって。アイツらが阿呆なのが悪いだけだから、そんな顔しないで」
いやホントにね。
ていうか考えてみたら、アイツらって精々『同じ学校の生徒』ってだけで玲の友達でもなんでもないんだよな。
そんな奴らが、誰々と付き合ってるだのなんだのを詮索するのって結構なプライバシー侵害なような気が……。
まぁ、校内の恋愛事情なんてものには全く興味なかった俺にはよくわからないけど、そういうのに興味津々な男子高校生諸君にはどうしても気になってしまう事柄なのだろう。
理解できないからと否定したりせず、寛容な心で受け入れてやるべきなのかもしれない。どさくさ紛れに雑ピを煽り倒してた俺だって社会モラル的に考えれば同レベルの人間と言えるし。
「やぁ! 斎賀さん!」
どうにか平時の6割位までなめらかに会話ができるようになった辺りで校門へとたどり着き……それを待ち構えていたかのように、生徒会会長……じゃなくて副会長だっけ……のい……い……そう、石動だとかいう男子生徒が俺達へと向かって、正確には俺の隣に居る玲へと向けて歩いてきた。
……今更になって気づいたけれど、こいつ絶対玲のこと狙ってるよな。
そう思ったときには、俺は無意識に玲と石動某氏との間に割り込んでいた。
「何か用?」
「っ……君に用はないんだ。どいてくれるかな?」
「こっちもアンタには用はないんだよ。……行こう、玲」
「え、あ、はい!」
あからさまに玲の事を呼び捨てにして、これ見よがしに彼女の手を取ってずんずんと校舎へと向けて歩き出す。
校内中の視線が徐々に自分達へと集まる感覚をひしひしと感じるが、それを無視して、むしろ更にしっかりと玲の手を握って校舎へと足を踏み入れる。
「あの、楽郎くん?」
「ごめん、突然こんなこと……」
「い、いえ! それは構わないんですけれど……らく」
「陽務ィェア!!!」
やけにノリノリな感のある呼び声で俺のことを呼ぶクラスメイトへと玲の手を握ったまま方向転換する。
「お、おま、お前……それ……!」
「えー」
「自分達! 付き合い始めました!!!」
高々と繋いだ手を掲げて、ヤケクソ気味に宣言したのだった。
□
「本当にごめん……」
「その、本当に、私は気にしていませんから……」
昼休み。
俺はがっくりと項垂れたまま、
なお人気が少なくなったのは俺達の周囲二席分程だけで、そこから先はむしろ普段よりも人口密度が増え、談笑をするふりをして此方の様子を伺う生徒たちが犇めいていることを追記しておく。
クラスメイト達に、他人の恋路を詮索する好奇心はあっても、邪魔をしようとする悪意まではないことに安堵しながら、玲に改めて朝のことを謝罪する。
「いやでも、俺の方から秘密にしておこうと言った矢先にあんなことしちゃったから……」
「私は、もとよりどちらでも構いませんでしたから……でも、どうして突然?」
「……あー」
「?」
「その、玲がちょっかい掛けられそうなのを見て、我慢できなくなったと言うか……」
「ちょっかい?」
「ほら、朝の石動だかいう副会長。アレ、どう見ても玲のこと狙って近づいてきてたし……」
「………………え? あ、あの方ってそういうつもりで近づいてきてたんですか?」
「気づいてなかったの?」
「全く……」
……そう思って改めて見てみれば、俺からすらわかるくらい結構あからさまだった気がするけど……それでも全く意識されない石動氏ェ……。
まぁ、同情する気はないけどね。石動氏が玲のことを諦めないとなれば、敵対以外の道はないわけだし。
「うん?」
「どうかした?」
「いえ、その、つまり、楽郎くんは……嫉妬していたんですか?」
「………………まぁ、はい」
嫉妬……というか、この場合は、独占欲と言ったほうが正しいけれど。
今まで欠片もそんなつもりはなかったくせに、はっきりと恋人関係になった途端そんな感情を発露させるのは……どうにもかっこ悪い気がするが、それでもどうしても我慢できなかったのだ。
とりあえず外道鉛筆辺りに知られたら「えー!? マジー!? キモーイ☆」と雑に煽られることは確信できるくらいには、ウザさの極まった彼氏面ムーヴだっただと思う。
「そ、そうですか……」
「うん……」
「……」
「……」
「そ、そうだ! 私、楽郎くんにお弁当を作ってきたんでした!」
途切れてしまった会話を繋ぎ直すように、玲が懐から弁当箱……というかお重を取り出した。
どすん、と結構な重量を感じさせるそのお重は、どうやら俺と玲二人分の量が入っているらしい。
「ごめんね、手間を掛けさせちゃって……」
「いえ、妹の瑠美さんとの約束ですし……先日、楽郎くんのお家では、お世話になりましたから。
それに、仙姉さんからも、『花嫁修業に丁度良いから、しっかり勉強し直しなさい』と言われましたので」
「はなよ……!?」
「?………………はひゅっ!!!!!!」
唐突に出てきたパワーのあるワードに思わず赤面し、彼女も自分の口にした言葉の意味に気づいたのか耳から湯気を出して慌てふためく。
「あ、あの!!! 決して!!! 深い意味があったわけでは!?!?!?」
「あぁ、うん、落ち着こう? まだそこまで話すには色々と段階をすっ飛ばしすぎてるから」
「は、はい……そうですよね」
高校生の身で、それも付き合い自体はともかく正式に付き合い始めてからは数日と経たない身空で、流石に
「……けど」
「はい?」
……が、こうまであからさまに意気消沈されると、どうにかしたいと思うのが男心というもので。
「できれば、その……これからもずっと、玲と一緒にいられるなら、俺は嬉しい」
「……………………こひゅ」
「……」
恥ずかしすぎて、対面にある玲の顔をまともに見れない。
俺は一体何をさせられているんだろうか……。
「じゃ、じゃあ、頂くよ! お弁当!」
「はい、ろうぞ」
「いただきます」
初めて口にした玲の手料理はとても美味しくて、彼女の努力の垣間見える味だった。
なお、無意識にプロポーズしていたと思ったら逆プロポーズされていた彼女が、しばらく仮死状態に陥っていたことに気づくのは、数分の時が過ぎてからのことだった。
□
「やぁ、来てくれて嬉しいよ。斎賀さん」
「手早く済ませて頂けませんか? 楽郎くんを待たせているので」
放課後、石動さんに呼び出された私は、人気の少ない校舎裏へと足を運んでいた。
正直、楽郎くんから言われた通り、彼が自分に好意を持っているというのなら、あまりこうして二人きりで話すべきではないと思うけれど……。
かと言ってあからさまに無視するというのも人として褒められた好意ではないし、ならばいっそこれを良い機会と思って直接的に自分の気持ちを告げて諦めてもらうのがいいのではないか? と思ったのだ。
「っ、なら、単刀直入に言うけれど、あの男とは別れて、僕と付き合う気はないかい?」
「ありません」
「……交際相手を持ったということは、恋愛に興味がないというわけじゃないんだろう? なら僕のほうが」
「ありえません」
「っ……」
うーん、どうしよう……思っていた以上にしつこい。
どうすればきっぱりと諦めてくれるだろうか……?
思案する私に向けて、石動さんがもう一度口を開きーー
「あんな
ズガンッ!!!!!
「
「ぴえん」
「……失礼します」
そうして。
座り込んでしまった石動さんと、拳の形にめり込んだ樹木と、踏み込んだ拍子に砕いてしまった大地から逃げるようにして、私は楽郎くんのもとへと戻ったのでした。
ルビの使い方があってるかどうか不安になる今日このごろ
作者は
どっちが正しいんでしょう?
それと、この二人をゲーム内デートさせようと思ったのですが……
・常時彫り物半裸に奇面
・三分置きに要お着替え。うっかり忘れると爆発四散
・全身から黒い煙を沸かせながら時間延長
・性転換して全身真っ黒ドレスに身を包む
と、有名人であることを差し引いても、主人公のスタイルが不審者過ぎて街歩きに向いてないことに気づいて諦めました