黒々しい狂戦士がアーチャーの攻撃を凌ぎ、その去り際を見届けた。
「どうやら、次の獲物を探すらしいな。」
ライダーは言う。なるほど。先程、アーチャーが射出してきた武器が変色し、バーサーカーの手に収まっている。準備万端というわけだ。
「Aaaaa!?Aaaaa!!!」
私を見ている。やはり、弱っている私を先に叩こうなどと考えているのだろうか。そうだとしたら、騎士として許しがたい侮辱だ。片手の親指が動かない程度で遅れをとるはずがないだろう。
「…来るか、バーサーカーよ。」
その姿を認識することは困難だ。これは相手の宝具やスキルによるものだろう。自身の姿を隠すとは、生前にどんなことをした人物なのだろうか。
「Aaaaaaaaa!!!!」
吠えるように叫びながら高速で襲いかかるバーサーカー。しかし、その標的は私ではなくランサーであった。
「あえて手負いのセイバーを残して俺を殺そうと言うのか。」
「Aaaaa!!?Aaaa!!」
騎士と騎士の戦いに割り込んできた無粋者には苛立ちを覚える。今夜で二人目だ。
「どうした、どうした!?この程度の力量でこの俺を倒せるとでも思ったのか?」
二本の槍を避けながらも確実に押されていくバーサーカー。魔力を断つ効果を持った槍と癒えぬ傷をつける槍。バーサーカーは拾い物の剣を用いて身を守る。剣術のようで剣術でない。それは、どちらかといえば守勢の剣であり実用性に欠けた剣舞のようでさえあった。
「貰ったぁ!」
ランサーが二本の槍を同時に突きだす。バーサーカーの剣は朱槍によって弾き飛ばされ、手元に武器はない。
「…ぅああああっ!??」
鎧の背中が割れる。それは、セミの羽化のように。小さな人影が飛び出した。気の抜けるような悲鳴を上げながら転がるようにして距離をとる。
“破砕せよ!”
爆発。鎧ごとランサーを吹き飛ばす。
「…ダゴネット!」
爆風に煽られて私の足元まで転がってきたのは、ダゴネット。どうして彼女がバーサーカーなのか。その辺りは皆目見当がつかない。しかし、この姿は紛れもなく私の道化師であり騎士であるダゴネットである。
「王さま、王さまだ…。」
私の胸の中でダゴネットは嬉しそうに言う。なんだか、最初に抱いた怒りが嘘のようだ。今は、この再会を天に感謝したくさえなる。
「…うぇっ!?」
突然の爆発に坊主が変な声をあげた。令呪による転移か。ランサーは姿を消した。それにしても驚いた。あのままランサーに殺されるか思いきや、鎧を爆破して仕切り直しとは。
「やったのか!?」
坊主が大声で問いかける。耳が遠くなっているのだろう。ついでに見逃したらしい。
「いや、逃げられたな。」