「何だってアサシンばかりこんなに…?」
ライダーのマスターが言いたいことを代弁してくれた。黒い姿に白い仮面。庭に立つのは暗殺者たち。
「我らは群にして個。個にして群。」
…つまり、複数人いるのは仕様だということだろうか。暗殺教団の党首。伝説にまで昇華されたアサシン。山の翁。ハサン・サッバーハ。しかし、このタイミングで暗殺を生業としたサーヴァントが姿を現した。これは勝負に出るつもりなのかもしれない。
「宴は人数が多い方がいいだろう。どうだ、アサシンよ。この酒は貴様らの血と共にある。」
王とは誰よりも強欲で誰よりも豪笑し、誰よりも激怒する。人を極めた存在だと豪語した征服王は柄杓でもって真っ赤な酒を先頭の一人へと差し出した。
「もしかして、コイツらも誘うのかよ。」
「なんだ坊主、不服か?いいか、坊主。王の言葉とは万人に対し発するもの。わざわざ傾聴しに来たならば、そう邪険にすることもあるまいて。」
ライダーとライダーのマスターのやり取り。アサシンの集団を前にして焦る様子もなく話し合っている。これは、サーヴァントとマスターにおける信頼関係が築かれているからこそだろう。…その点では、少しばかり羨ましくも思える。
「…この酒は貴様らの血と共にあるといったな?それをわざわざ地にぶちまけたいというのならば。」
飛来した短剣が征服王の持つ柄杓の柄を半ばから断ち切り、酒は征服王の肩と地を濡らした。
「いいだろう、これが宴の最後の問いだ。」
砂塵が現れた。
「問おう、“王とは孤高なるか否か”」
征服王は問いかけた。
「無論、孤高こそが王だ。」
アーチャーは呆れたように口にした。自らを法であるとした王は並び立つ人間など不要であったことだろう。
「王となったなら孤高にならずにはいられない。」
私も答える。どうしてか、少しばかり細い声になった。しかし、そういうものだ。
「ダメだな。まったくもってダメだ。そんな貴様らには余が今から真の王の姿を見せてやらねばなるまいて!」
景色は姿を変えていく。城の中庭は果てのない砂漠へと変わっていく。
「心象風景の具現化!?」
足音。砂埃。
「そうとも。ここは、我らが駆けた大地。我らが目に焼き付けた土地。これを形にすることができるのは、これが我ら全員の心象であるからだ。」
多くの臣下を導いた征服王。
「こいつら、一人一人がサーヴァントだ!」
その臣下がここに集う。死してなお、王と共にあらんという勇者たちが立つ。
「これこそが、征服王イスカンダルたる余の持つ最強宝具。アイオニオン・ヘタイロイ【王の軍勢】なりぃ!」