「なるほど、道化師らしく小賢しい奇術だ。」
【約束された勝利の剣】エクスカリバーを受けて無事とは…。流石は原初の王。
「剣を受けた反動で跳び、そこをセイバーの宝具で狙うとは。」
黄金の鎧には傷が入り、左手に握られていた剣は半ばより折れていた。
「だが、セイバー。己の臣下を巻き込むまいと手加減をしたな?その程度の攻撃で我に勝てるとでも思ったのか?」
右手に握られている剣はどこかで見たことのある形をしている。
「メロダック【原罪】。お前の持つ剣の原典だ。生半可な攻撃では打ち破ることはかなわぬぞ。」
なんて厄介なサーヴァント…。しかし、逆に言えば王さまが本気で振るえば打ち破ることもできる。原初の王。しかし、彼は担い手ではないのだから性能を十分に引き出せない。
「ならば、剣戟を以て打ち破るまで!」
そう、それでいい。私は、それを援護しよう。
「ならば、剣劇で以て打ち破るまで!」
王さまに化ける。相手には王さまが二人に増えたように見えるだろう。対城宝具【エクスカリバー】を解放させるには“タメ”が必要になる。
「まさか、己の主に化けるとはなぁ。」
心底愉快そうに笑うアーチャー。笑っていられるのも今の内だ。シャスティフォルは元々が王さまの剣。つまり、私でも王さまでも宝具として使えてしまうわけだ。
「「いくぞ、アーチャー!」」
魔力放出を上手く制御して立体的に攻撃を仕掛ける。長期戦になるほどにリスクは増す。
「うっ…!」
末端から冷えるような感覚。肌は泡立ち、息がつまる。死にたくはない。それでも、私が選んだ道だ。ここで死んだら終わる。しかし、それは望ましいものじゃない。文章の途中でペンを投げ捨てるようなこと。
「どう、して…?」
桜ちゃんにあげた石が1つだけパーカーのポケットに入っていた。バーサーカーが寺で模様を刻み込んだ天然石。手製のお守りだって笑った。
…おいしそう。
ひとつ、ひとつだけ。力が。力がある。食べ頃の果実のよう。おなかがすいた。
頭が痛む。割れるように痛む。
アイリさんは死んでしまった。満足そうに死んでいった。
<ありがとう、カリヤ。あなたとあえてよかったわ>
セイバーのマスターが本当は旦那さんだったこと。自分の娘のこと。きっといつか旦那さんが自分の娘を日本に連れて来るから一緒に遊んであげてほしいこと。
…私の余命は一月もない。それでも、私は彼女の白い手を握りながら最後を見届けた。
「まける、もんか…」
地を這いずるムシケラのようだとしても。見苦しく、醜い怪物になったとしても私は、絶対に諦めたりしない。