「そんなのは、勝利してから考えます。」
計画性がないと笑えばいい。そう本人は笑っている。これを文面通りに受けとるべきなのか。現実主義なのだと納得すべきなのか。私にはわからない。
「じゃあ、宝具は?」
「宝具でありますか?えぇっと、これですね。」
衣装の袖から出たのは一本の剣。
「私が持ち得る唯一の本物です。聖剣【シャスティフォル】(懲愚の剣)。王様から賜ったものです。」
どこかで見覚えがあると思えば、さては爺さん。あんた騙されたんだな。聖遺物として用意されていた剣じゃないか。
「他に、宝具としては投影魔術を応用した変装なんかが当てはまるでしょうか。私は、ランスロットさんに化けて敵を撃退しましたから。」
「お、おう…。」
目の前で甲冑姿の大男に化けられると迫力がすごい。中身は小柄な少女であるはずなのに重厚な鉄の壁のような威圧感がある。
「ちなみに、こんなこともできます。」
目の前に私?
「え、私に化けたの?」
顔色の悪い白髪頭の女がたっている。
「ちなみに、私は仕返しのために相手の全裸の姿に化けて森を走り回ったこともあります。」
「何さらっと恐ろしいことを!?」
初めてバーサーカーらしい狂ったエピソードが出てきた!なんて迷惑な仕返しだろうか。
「めちゃくちゃ叱られました。」
「…当たり前だよ。」
逆にどうして不服そうな顔をしてるんだ。何があったか知らないけど、ダメだよ。越えてはいけない線を飛び越えてるよ。
「だって発狂した全裸の男に湖に投げ込まれたんですよ?そのくらいしなくちゃ気がすみませんって。」
「なんて世紀末なやりとり…。」
円卓情勢は複雑怪奇だわ。そもそも、なぜ発狂して全裸?そして、仕返しが迷惑すぎる。
「あとは、逸話からでしょうが。【ナイトオブオーナー】(騎士は徒手にはならず)。おおよそ、騎士っぽくない戦い方ばかりでしたので。」
「…なんとなく察せられるよ。」
真っ正面から仕返ししない辺り、君の性格が出てるエピソードだったよ。
「貧乏性なもので手癖が悪いんです。あとは、人様に化けたり人様の武器を借用したり…。たぶん、その辺りのエピソードからだと思うんですけど。触れているものを低ランクの宝具にします。」
なるほど。
「いや、それってすごいんじゃないか!?」
つまるところ、ダゴネットは身の回りのものを宝具に変えられるわけで。実質、無限の宝具を持つといっても過言じゃないのでは?
「いえ、別に。本人みたく上手に使えるわけではないですし、下手に正面から挑むなんてことをすれば、たぶん速攻で押し負けて潰されてしまいます。」
なるほど。武器が扱えることと担い手として振るえるということには違いがあるらしい。
「結論として、私たちのチームが生き残るためには上手に立ち回ることです。正面から剣を振るうのではなく、闇夜に紛れて背後から刺す。どこかと同盟を組んで、最高のタイミングで横合いから殴り付ける。…うん、騎士のやることじゃないですけどね。」
この人、本当に騎士なのだろうか…。