「なおも姿を見せぬということは、この征服王の侮蔑を免れぬと知れっ!」
大声で叫ぶライダー。
その声に呼応するように。まるで最初からそこに存在したかのように。唐突にそいつの姿は現れた。そして、サーヴァントであることは確かだが様子がおかしい。
「Aaaaaaaaa!!!」
恐らくは、バーサーカーだろう。理性を失った暴れるだけしか取り柄のない燃費最悪のクラス。
「な、なぁ、ライダー。奴には誘いはかけないのか?」
「ありゃ、言葉が通じるかどうか怪しいからなぁ。」
…全く読めないのだ。ステータスを見ようとしても靄がかかったように読み取ることができない。
「雑種の分際でこの我の言葉を遮るか。道化。」
金色のサーヴァントの宝具がバーサーカーの方向へ向けられる。空中に現れた波紋から武器が見える。
「…あれが、あのサーヴァントの宝具。」
王の中の王を自称する金色は武器をバーサーカーめがけて射出した。
「…狂化してあるにしては、ずいぶんと芸達者なやつよのぅ。」
爆発に怯みながらもライダーの後ろから覗き見る。バーサーカーは変わらずに直立していた。あれだけの爆発。宝具を受けて無傷。
「いったい、何を…?」
「なんだ、坊主。わからなかったのか?あのサーヴァントは1つめに飛んできた剣による爆風を利用して前方へと吹き飛ぶことで2つめに飛んできた槍をやり過ごしたんだ。それに見事な着地であった。」
わざと吹き飛んだ?そんなの人間業じゃない。狂化されても失われることのない技術。あのサーヴァントが脅威であることは確かだ。
「え、あれってまさか…?」
指を折り曲げて誘っている。あのアーチャーを誘っているのだ。正気の沙汰ではない。狂人の所業だ。
「よかろう、それほどまでに我の財に惚れ込んだなら全身で味わうといいわ!」
空に浮かぶ波紋の数が増えていく。あれが、アーチャーの持つ宝具。圧倒的な物量。圧倒的な戦力。それを目にしてもバーサーカーは引かない。アサシンを一撃で葬った宝具。それも数えるのもバカらしいくらいの数が狂った騎士に向けられていた。
宝具。それは、英雄にとっての切り札であり誇り。簡単に晒すようなものではない。しかし、アーチャーは惜しみ無く叩きつけるつもりのようだ。あれだけの宝具を持つ英雄。そんなの聞いたこともない。
「Aaaaaaaa!」
人差し指でアーチャーを指差すバーサーカー。声は鎧に細工がしてあるのか聞こえてくるのは形容しがたい呻き声であり、人語として理解することもできない。
アーチャーが立ち去るのを黙って見送る。心臓は壊れるのではないかと思うほどに早鐘をうち、正直なところ座り込んでしまいたい。
『「し、死ぬかと思った…。」』
思わず、マスターと被ってしまった。
・指を折り曲げて:腕がまだくっついているか確認している。
・指差す:「なんか増えてる!?」