「やばいやばいやばい!!!!!!!」
必死になって俺は今、自転車を漕いでいる。坂を超えて人の群れを超えて走る、走る!!
そりゃもう大爆走だ!この状況、遅れる訳には行かないのである。遅れたらこの先のデュエルで楽しく生きていこう人生計画が崩れるのだ!
だから俺は超必死に自転車を漕いでいる!レベル6闇属性アンデッド族攻撃力1900の儀式モンスターであるスカルライダーもびっくりの爆走激走暴走自転車だ!!
暴走……?
「ドワーーーーッ止まらなーーーッ!!!」
俺が乗った暴走自転車は海馬ランド――アカデミア試験会場であるドームに盛大に突っ込んだ!俺は海馬ランドにダイレクトアタック!もちろん自転車は粉砕玉砕である。
起き上がって俺は怪我の状況を確かめた。
……うん、擦り傷はあれど自分の身体は無事なのが救いだ。決闘者ならこの程度で死ぬ訳は無いのだ……本当か?
そして次に突っ込んだ自転車を起こす。もうぺしゃんこだ。新品の自転車だったのに…。短い付き合いだったぜ…
畜生……あの電車が遅延しなければ今頃は電車で悠々と試験会場に到着できたはずだ。事故で遅延が決定した瞬間家に戻って自転車乗って大爆走してきた。うーん、もう一本早めで来れば良かった。この遅刻はギリギリを攻めたせいでもある。エキサイティングどころではない。デンジャラスである。
ええい気にしても仕方がない!とりあえず受付しないと!!
「……試験番号10番!
俺は立ち上がってもう片付けようとしている黒スーツを着たスタッフに向かって大声で叫んだ。
「遅いぞ!!もう1分遅れていたら遅刻扱いだった!早くいきたまえ!」
ぶっ壊れた自転車を端に置きつつ、息を整えドームに足を踏み入れる。これから始まるのは入学試験のうち、実技科目。
俺は瀬戸海波。エリート決闘者育成高等機関であるデュエルアカデミアの受験生だ。
◆◆◆
試験会場に入るともう既に自分の番は終わっており軽く絶望する。やっぱ遅刻だよなぁ。意気揚々と入った自分がなんか恥ずかしく思えてくる…。
試験は筆記試験の順位が低かった順から行われる。ちなみに筆記試験で落とされた人もおり、なんとか俺は筆記試験で合格した。
実技の受験番号は筆記の順位と対応しており、10番ということは筆記試験が10位だった、ということだ。何人いるかは知らないけど倍率がやばいらしいのでかなり良い方だと思う。……多分。
正直マトモに勉強してなかったのでこんな高順位なのが奇跡的だ。知るか初期のよくわからんバニラのフレーバーテキストなんて……、【ジェノサイドキングサーモン】とか…なんか覚えてたテキストでよかった。暗黒海の主として恐れられている巨大なシャケで、その卵は暗黒界一の美味として知られている。暗黒界だとレインとグラファ以外には強いんだぞ。最強シャケじゃないか。グラファが「ちょっとサーモン獲ってくる」って出掛ける様子、見てみたいですね。俺もシャケ召喚したいな…今度デッキにいれてみよっかな。
それで話を戻すが筆記試験で10位なら最後の方だろうとたかをくくってギリギリに家を出たらこのザマである。思いっきり敗北者だ。
流石に筆記で10位は落とさないだろう……とは思いたいが、俺は遅刻した(一応書類上は遅刻してないだろうけど)身であるからして、一切安心出来ない。
一応遅れた人のために最後に試験をやるとはスタッフさんに聞いていたが、どうにもこうにもモヤモヤが拭えないのだ。
「はぁ〜あ、どうしよっかなぁ……」
今やってるデュエルを観戦しようかな…。お、あいつ【
しかもあいつはワンキル……正しくはワンショットキルか、まぁいいや、ワンキルをしてるし、フィールド魔法…スカイスクレイパーも格好良いし強いなぁ。相手の
「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」
フィールドには二本の指を相手に向けてどこかで聞いたようなセリフを話す少年がいた。
楽しそうだな。
彼が勝った瞬間、周囲がざわつくのがわかった。聞き耳をたててみると、どうやら俺と同じで遅刻ギリギリに来た人で、しかも筆記試験の成績は110位。特別に頭がいいわけではなさそうだが、天性の決闘者って感じの匂いがする。俺はわかるんだ、強そうなやつは。……ごめんこれは言い過ぎた。口からでまかせです。
それでアンティーク・ギア使いの先生が彼に叩き潰されていたんだな。でもあれどう考えても試験用のデッキの威力じゃなかったような…?
で、あいつが終わったってことは、俺がちゃんと受付出来てればもうそろそろだよな、きっと。デュエルフィールドを去った彼の姿を見てMCはえデッキの一枚を捲り、そこにいる一番大好きなモンスターを見る。こいつこそ俺の魂、最強カードだ。
〚受験番号10番、瀬戸海波君〛
呼び出しのアナウンスがかかり、慌ててデュエルディスクを持って立ち上がる。
「110番の次に遅れてきた10番!ボンジョーーーーーールノ!!私がこのまま相手するーノ。来るノーネ」
貴族らしい雰囲気と独特な喋り方と妙に濃いキャラクター性の先生だ。
「受験番号10番、瀬戸海波」
「全く…今年は何でスーノ?遅刻者2名なんて前代未聞ナノーネ。もっと余裕を持つノーネ」
「……遅刻ではない、受付時刻に間に合った。遅刻というのは訂正していただきたいが」
……あ、やっちゃった。この俺、瀬戸海波は人前に出ると緊張でついつい本音をキツイ口調で言い過ぎてしまうのである!あぁ…謝る気はあったんだ。心の中は愉快な人間なので許してほしい。誰もわかんないけど…生まれてこの方ずっと怖い人間だと思われてるけど…。
「グヌヌ…シニョールミナミ。私はクロノス・デ・メディチ。この学園の実技担当最高責任者。つまーり!私がシニョールの合格か不合格かを握ってるノーネ」
「先入観と思い込み無しで実力を測って貰いたいものだ」
「遅刻者には容赦しないノーネ。ドロップアウトはこの学園に必要ないーノ。さっきは負けましたがこの『暗黒の中世デッキ』によって実力を測ってやりまスーノ!」
「時間が押しているならさっさと試験を始めろ」
「デュエル
「デュエルディスクオン!」
「「デュエル!」」
海波 LP 4000
クロノス LP 4000
「入学試験デュエルの先攻は受験者からナノーネ」
「なら先攻は貰った!俺は……」
手札を見る。うーん、よし、行け…る。最悪このデッキはフィールド魔法さえあればいい。
「手札から【テラ・フォーミング】を発動!」
「テラ・フォーミングはデッキからフィールド魔法1枚を手札に加えるカード!その効果で俺はデッキからフィールド魔法の【幻煌の都 パシフィス】を手札に加え、そのまま発動!」
発動したパシフィスはソリッドビジョンとなってあたりは神々しくも恐ろしい深海に沈む都となった。
「なんと…フィールド魔法ナノーネ?」
「あぁ、俺の最強カードはこの深く沈んだ海の都が好きなのさ。このまま俺はターンエンド!」
「フィールド魔法一枚でフィールドはガラ空き、壁モンスターすらドロー出来なかったとは運が悪いーネ。それかデュエルタクティクスがお粗末でスーノ」
かわいそうなものを見る目でクロノス先生は見てきた。確かにフィールド魔法1枚だけ。確かに少しだけ……事故ってる!
「ドロー、私は永続マジックカード、【
重々しい音を立てて、なんとなくスチームパンクの匂いを感じる城がフィールドに現れた。
「その時!【幻煌の都 パシフィス】の効果発動! クロノス先生が魔法カードを発動したので自分フィールドに【幻煌龍トークン】を守備表示で特殊召喚!」
【幻煌龍トークン】
☆8/水属性/幻竜族
DEF 2000
深海の都の祭壇のようなところから、自分のフォールドに半透明でキラキラと輝く幻煌龍トークンが現れた。
「ちなみにこの幻煌龍トークンは攻守共に2000のトークンだ。幻煌の都パシフィスは自分フィールドにトークンが無い場合、相手が魔法罠モンスターの効果を発動したとき幻煌龍トークンを召喚できる!」
「なんでスート!?」
「そしてトークンは通常モンスター扱いだ。自分フィールド上に通常モンスターである幻煌龍トークンが特殊召喚されたのでデッキから幻煌龍カードを手札に加える。俺は通常罠の【幻煌龍の戦渦】を手札に加える」
「ぐぬぬ…小賢しいノーネ…。しかしいくら罠を手札に呼んだとしても1ターン伏せなければ使えないノーネ。つまり発動できるのは次の私のターン。その頃には決着がつくーノ。私は【
機械仕掛けの騎士はこれまた重々しい音を立てて現れた。騎士というだけあって高潔な雰囲気…な気がする。
【
☆4/地属性/機械族
ATK 1800
「そしーて!古代の機械城の効果で機械騎士の攻撃力は300アップ!」
機械仕掛けの城の援護を受けた機械騎士はさらに威圧感を増す。
【
☆4/地属性/機械族
ATK 1800→2100
「これで幻煌龍トークンの攻撃力を超えたノーネ!そしてモンスターが特殊召喚されたのでカウンターを一つ置くーニョ」
得意げに話すクロノス先生を一瞥し、手札の先程加えた幻煌龍の戦渦を見る。よし、これだ…!
「…ちょっと待った!この時、手札から罠発動!【幻煌龍の戦渦】!」
「それはさっきサーチした罠……!しかも手札からトラップナノーネ!?」
会場がざわついた。普通、罠カードは1ターンセットしないと使えない。セットしないで使ってるし、相手ターンに手札からの発動だ。おかしいと思うのは無理はない。
「そう!幻煌龍の戦渦はフィールドに『海』があるとき手札から直接発動が出来る。ちなみに幻煌の都パシフィスはルール上『海』だ!」
熾烈な戦いに巻き込まれたスパイラルドラゴンの記憶。その記憶はあらゆるものを破壊する力を持つ!
「幻煌龍の戦渦の効果、相手フィールドのカード1枚を破壊する!俺が破壊するのは古代の機械城!」
戦渦の記憶により、機械城はボロボロと風化し消えてしまった。そして援護をなくした機械騎士は元の攻撃力に。
【
☆4/地属性/機械族
ATK 2100→1800
「くっ…カードを3枚伏せてターンエンドナノーネ」
「俺のターン!」
勢いよくドローするもやはり手札は緑と赤。おかしいな…モンスターも入れてるはずなんだけど。
「俺は手札から【フィールドバリア】を発動!フィールドバリアがある限り、お互いにフィールド魔法の発動と破壊は出来なくなる。そして幻煌龍トークンを攻撃表示にし、装備魔法【幻煌龍の
【幻煌龍トークン】
☆8/水属性/幻竜族
ATK 2000→2500
装備 幻煌龍の螺旋絞
幻煌龍トークンにスパイラルの力が宿った。透明なトークンだが、心なしか頼もしく感じる。
「メインフェイズ終了!バトルだ!幻煌龍トークンで
「攻撃宣言時、トラップカード発動【邪神の大災害】ナノーネ!このカードの効果によって全フィールドの魔法罠カードは破壊されるーノデス!フホホホホ」
あ!攻撃反応型の大嵐!邪神の大災害は罠カードで攻撃宣言されないと発動できないが、相手ターンでも発動できる強みがある。
邪神が起こした災害により、自分のフィールドの幻煌龍の
しかし、幻煌龍装備魔法は破壊されてしまった。
【幻煌龍トークン】
☆8/水属性/幻竜族
ATK 2500→2000
そして更にクロノス先生のフィールドの伏せカード2枚も破壊される。よく見ると…そのカードは…
「あ、」
「私が破壊したのは【黄金の邪神像】2枚!伏せられたこのカードが破壊された時自分フィールド上に2体の【邪神トークン】を守備表示で特殊召喚ナノーネ!」
破壊された事によって発動する効果持ちの罠カードだ。黄金色した爬虫類みたいな風貌の邪神トークンがクロノス先生のフィールドに現れる。
【邪神トークン】
☆4/闇属性/悪魔族
DEF 1000
【邪神トークン】
☆4/闇属性/悪魔族
DEF 1000
「さてどうするーノ?」
ニヤニヤしながら笑うクロノス先生。先生のフィールドに3体のモンスター。邪神トークンってことは多分……、次のターンでアドバンス召喚をするんだろう。まぁ…ここは今できることをやるしかない。
「そのまま攻撃だ!幻煌龍トークンで|古代の機械騎士を攻撃!ミニ・スパイラル・ウェーブ!」
幻煌龍トークンは古代の機械騎士に突撃し、噛み殺した。
戦闘破壊【
クロノス LP 4000→3800
「これで俺はターンエンド!さ、先生。出すんだろ、先生のデッキで最強のエースモンスター!」
正直言って、これは強がりだ。
「私のターンでスーノ。ドローニョ。私は2体の邪神トークンを生贄にして……【
邪神トークンは炎に包まれ、そこから現れるのは人に作られし機械仕掛けの巨人、威圧感は圧倒的だ。
【
☆8/地属性/機械族
ATK 3000
「バトル!そのままその幻煌龍トークンに攻撃ナノーネ!アルティメット・パウンド!」
無慈悲なる鉄槌がそのまま幻煌龍トークンを粉砕した。幻煌龍トークンは霧散するように消えていく。
戦闘破壊【幻煌龍トークン】
瀬戸海波 LP 4000→3000
「そしてこのままターンエンド。多少小賢しいけどさほどでも無いでスーノ。超えられるもんなら超えてみるノーネ!」
確かあの古代の機械巨人は貫通効果がある。幻煌龍トークンを出して守備表示にしてもジリ貧だし、他のモンスターを出して来てもライフは削られる。ここで決めるしかない!
「俺のターン!ドロー!!」
ラストターンにするべく勢いよくドローをする。ドローしたカードは…魔法カード、…キーカード、来た!そして今ドローしたカードを発動するべくデュエルディスクに置いた。
「俺は【予想GUY】を発動!自分フィールドにモンスターが存在しない時、デッキからレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚する!予想の外から来い!【メガロスマッシャーX】」
獰猛な牙を持つ海に生息する太古の恐竜がフィールドに現れた。
【メガロスマッシャーX】
☆4/水属性/恐竜族
ATK 2000
こいつは恐竜型バイオノイド。どっちかというとワニに近いやつだと思う。音もなく獲物に食らいつくが捕食モードになると発光するので獲物によく逃げられてしまうというかわいそうなモンスターだ。かわいそうはかわいい、このデッキのマスコットモンスター…にしておこう。顔面凶悪だけど……な。現在は攻撃表示、もちろん捕食モード。ビカビカ光っている。自己主張が激しい。だから獲物に逃げられるのである。
「レベル4なのに2000の高攻撃力モンスター…!?」
「そして自分フィールドに通常モンスターであるメガロスマッシャーXが特殊召喚されたことにより幻煌の都パシフィスの効果発動!デッキから幻煌龍罠カードである【幻煌龍の浸渦】を手札に加える。そしてそのまま発動!」
「また手札から罠でスーノ!?」
「ああ!この罠も『海』があるとき手札から発動できる!」
傷ついたスパイラルドラゴンを癒やし、より深みへ浸渦させた力!その力は相手を弱らせる力がある!
「幻煌龍の浸渦の効果!古代の機械巨人の効果をターン終了時まで無効にして攻撃力を1000下げる!」
【
☆8/地属性/機械族
ATK 3000→2000
効果無効
「更に墓地に行った幻煌龍の浸渦の効果発動!」
「手札だけじゃなく墓地からでスート!?トラップとは言えない型破りナノーネ!!」
浸渦は失われし力を取り戻せる。
「幻煌龍の浸渦を除外して、墓地の幻煌龍の螺旋絞をメガロスマッシャーXに装備!」
【メガロスマッシャーX】
☆4/水属性/恐竜族
ATK 2000→2500
幻煌龍のサポートを受けたメガロスマッシャーXは更に発光し、やる気に満ち溢れている。すっごいビカビカしている。逆にイカみたいな光の惹かれるモノが寄ってきそうなレベルで。
「バトルだ!メガロスマッシャーXで古代の機械巨人を攻撃!アビス・スマッシュ!」
メガロスマッシャーXは古代の機械巨人に音もなく近づき噛みつき攻撃をする。ただし相手は逃げられないようで、強靭な顎と幻煌龍の力によって粉砕された。もはやスクラップとなってしまっている。
「マンマ・ミーア!!私の古代の機械巨人がー!?」
意気揚々と自分フィールドに戻ってきたメガロスマッシャーXはドヤ顔に見えた。俺が見えるだけだ。こいつはワニだから表情はわからん。
クロノス LP 3800→3300
「そして幻煌龍の螺旋絞を装備したメガロスマッシャーXがモンスターを破壊したので効果発動!!デッキから【幻煌龍 スパイラル】1体を特殊召喚!来い!真打ち登場!マイフェイバリットエースモンスター!」
深海から現れた猛き龍。戦渦に巻き込まれ、浸渦を果たし、やがて天渦を制する煌の龍。幻の如きその翼はあらゆるものを征するのだ。俺が一番好きだったモンスターである、【スパイラルドラゴン】…その海竜は幻竜と進化した!攻撃力と守備力の合計ならあの【
【幻煌龍 スパイラル】
☆8/水属性/幻竜族
ATK 2900
「さらに幻煌龍の螺旋絞の効果により、メガロスマッシャーXに装備されていた幻煌龍の螺旋絞は召喚した幻煌龍スパイラル還る。幻煌龍の螺旋絞を幻煌龍スパイラルに再装備!力は正しい持ち主へ。そして相手に1000のダメージ!すごいぞー!かっこいいぞー!!」
【幻煌龍 スパイラル】
☆8/水属性/幻竜族
ATK 2900→3400
クロノス LP 3300→2300
「3400の攻撃力に1000のバーンダメージナノーネ!?そんなコンボがあるトーハ……」
「先生、問題だ!バトルフェイズ中に召喚されたモンスターは…?」
「バトルフェイズ中なので攻撃出来るノーネ!」
「正解、行くぞ!幻煌龍スパイラルでクロノス先生にダイレクトアタック!スパイラルホールド!粉砕!玉砕!大喝采!!強靭!無敵!最強!!」
強いモンスターを出した時のお約束……このデュエルアカデミアのオーナーリスペクトだ。そして幻煌龍スパイラルは巨大な身体を翻し、クロノス先生に向かっていった。そしてクロノス先生は幻煌龍スパイラルの足に掴まれ……
クロノス LP 2300→0
「私がドロップアウトボーイに2連続で負けるトーハ……ガックシ……」
「良いデュエル(自分の大好きなモンスターが大活躍だったので満足した)だった」
◆◆◆
試験が終わり、帰宅しようとぺしゃんこになった自転車を押しながら帰り道を歩いていた。ここから地味に家まで遠いんだよな…歩いて3時間………………………………、か。
「おーい!お前さ、さっき幻煌龍っていうドラゴン使ってた奴だろ?」
後ろから声をかけられ振り向いた。そこに居たのは、俺の前にクロノス先生と戦っていて、HEROを使っていた学ランの少年。
「ただのドラゴンではない、幻竜族だ。ドラゴンを超越したモンスターだぞ」
さり気なく訂正するも正直どうでもいいかもしれない。というか幻煌龍スパイラルの進化前であるスパイラルドラゴン自体海竜族である。ドラゴン族ではない。
「デュエル見てたんだけどさすっげーって思った!入学楽しみにしてるぜ!」
「もう受かった気持ちか。……俺もお前とアカデミアでデュエルするのを楽しみにしている」
俺もさっきのデュエルすごかった〜とか言いたい!けど言えない…やっぱり対人関係の呪いがあるに違いない。遊城十代多分対人関係レベル100だ。こいつは強い。
「オレ、遊城十代!お前は?」
「瀬戸海波」
「オッケー!覚えた!じゃあアカデミアで会おうな!」
そう言うと遊城十代はその場を意気揚々と走って立ち去った。はぁ〜〜〜〜あ…もっと仲良くしたい…。というか受かるかどうかはまだ分かんないし。受かれば良いな。
これからどうしよう。
「家まで3時間…自転車を捨てる訳には行かないし押して歩くか」
俺は入試デュエルで疲れた頭を抱えながら、昼空の下3時間かかる家路についた。
海波「今日の最強カードはこれ!幻煌…」
クロノス「今日の最強カードは【古代の機械巨人】ナノーネ!」
海波「!?主人公を押しのけて自分のカードを入れるだと!?」
クロノス「私はアカデミア実技担当最高責任者、これくらいどうということはないノーネ!
それで今日の最強カードの【古代の機械巨人】は攻撃力3000の最上級モンスター。貫通効果を持ってるノーデ、守備で逃げても確実に追い詰めるーノ!さらーに魔法罠を封じる効果持ちデスーノ。ミラフォがあっても安心ナノーネ。このカードを出して負たことは無い伝説があったのでスーガ、崩されて悔しいノーネ…サルバトーレ…」
海波「ちなみに特殊召喚が出来ないから召喚にも一苦労だ。しかし古代の機械サポートには召喚条件を無視して特殊召喚をすることができるカードがあるからそれを利用するのも手だ。例えば【古代の機械素体】や【魔法の歯車】とか」
クロノス「アリガターイ事に未来のデュエルの話だけどリメイクカードもあるノーネ!【古代の機械巨人-アルティメット・パウンド】!しかしリメイクカードの方は魔法罠を封じる効果が無いから、どっちを採用するか迷うノーネ」
海波「それじゃあ今日はここまで。次回は幻煌龍カードを紹介しよう…できるといいな…」