神殺しの三王は元はみ出し者   作:不浄皇

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御待たせして申し訳ございませんでした!!
一月とちょっとぶりと、前回と前々回に比べて早めに投稿できました!(それでも遅すぎですが…)
それではどうぞ!


『暴風』と呼ばれた男

 暁サイド

 

 俺は小悪党組から目を離さずにハジメ尋ねる。

 

 「ハジメ、とりあえず檜山(バカ)がお前に剣向けてイキッてたから蹴り飛ばしといたけど、実はドッキリでしたってオチとかじゃねぇよな?」

 

ハジメ

 「……蹴り飛ばしてから聞くのそれ?…イヤ、おかげで助かったけどさ?」

 

 見た目自体はボロボロだがいつも通りの対応(ツッコミ)が出来ているため、まぁ、大丈夫だろう。

 となると問題は……

 

 

 「ゴホッ、ゲホッ!!」

ハジメ

 「ッ!?…透君!!」

 

 苦しそうに咳き込む透にハジメが駆け寄る。因みに、檜山以外の残り三人は俺が来たと同時に二人を置いて距離を取っていた。位置としては俺達とぶっ飛んだ檜山の間ぐらいだ。

 

 「…透の容態は?」

 

ハジメ

 「…まずいよ!咳きと同時に血も少し吐いてるし、顔色もどんどん悪くなってる……早く白崎さんの所へ連れて…イヤ、むしろ動かすのはまずいか?なら誰かが呼んで来るしか…

檜山

 「テメェエエ!!五十嵐テメェエエエエ!!」

 

 あっ、檜山(バカ)が復活した。割と強めの威力にしといたんだが、思ってた以上に頑丈(タフ)だな?…まぁ、鼻血は出まくってるけどな。

 

檜山

 「いつもいつも邪魔ばっかりしやがってぇ!!そんなにそのキモオタ(南雲)が大事かよ!?あぁ!?このホ〇野郎がぁ!!」

 

 「…そうだな。毎回世話が懸かってしょうがないが、少なくともお前みてぇなロクデナシのアホと比べりゃ、遥かにマシだわ」

 

ハジメ

 「…その言い方、何か引っ掛かるんだけど?」

 

 「なら『愛しの我が君(マイ・ハニー)』とでも呼んでやろうか?」

ハジメ

 「断固拒否するよ!僕に()()()の趣味は無いから!」

 

 そいつは良かった。俺もだ。

 

檜山

 「~~ッ!!クソッタレがぁ!!余裕かまして駄弁ってんじゃねぇぞ!!今日という今日はもう許さねぇ…!お前ら構えろ!!コイツらまとめて血祭りに挙げてやる!!」

 

近藤・中野・斉藤

 「………はぁ!!?」

 

 怒髪天の檜山の指示に対し、残り三人は思い切り狼狽える。

 

斉藤

 「ちょちょちょっと待て大介!?お前何言ってんの!?」

近藤

 「マジで落ち着けって!!相手は『暴風』だぞ!?ヤバいって!!」

中野

 「しかもアイツのステータス、天之河(トップ)クラスだぞ!?俺達よりも上じゃねぇか!!」 

 

 ……『暴風』って、まだ使われてたのかよ、そのあだ名。嫌な思い出(黒歴史)を思い出すから勘弁してくれ。

 

檜山

 「お前らバカか!?そりゃ二週間前の話だろうが!!よく考えてみろ!俺達がこれまでみっちり訓練してきたのに対して、アイツは南雲(キモオタ)と同じ割合、俺らの半分以下だ!!間違いなくレベル はこっちが上だろうが!!」

 

 その指摘に三人は、気づいた様にハッとなってこちらを向く。

 

中野

 「…確かに。それならステータスだって俺達の方が上…とはいかなくても大した差は無いはずだな?」

 

斉藤

 「しかもこっちが四人に対してあっちは三人。その内南雲と霧原は戦闘力0(ゴミ)な上にボロボロだから実質一人だ」

 

近藤

 「おまけに【心体狂化】はその二人が近くにいるから使えない……あれっ?この状況ってもしかして…

檜山

 「そうだよ!!今まさにアイツ(五十嵐)をブチのめす最大の好機(チャンス)なんだよ!!お前らそれをみすみす逃すつもりか!!?」

 

近藤・斉藤・中野

 「……無いなぁ」

 

 

 

 先程の狼狽えっぷりから打って代わってニヤリと嗤う小悪党組。気分はさながら、手負いの獲物を見つけた肉食獣(ハイエナ)ってところか?

 

 「…なるほど、確かにその通り……と言いたい処だが、そいつは大きな間違いだ」

 

小悪党組

 「……はぁ?」

 

 「『使()ない』んじゃなくて、お前ら三下相手に『使()()()()ない』んだよ……何時までも自惚れてんじゃねぇよ、アホ共が」

 

小悪党組

 「……はぁ!?」

 

 「まぁ、これ以上は口で言っても無駄だろうし、大人しく尻尾撒いて逃げるか、俺に捌か(料理さ)れるのか、四人で話し合うなりしてさっさと決めな?」

 

小悪党組

 「…………」

 

 (オイオイ、そこは流れ的に『……はぁ!!?』って言う所だろ?)

 

 そう指摘してやろうかと思ったが…

 

 

檜山

 「……どこまでも舐めやがって!上等だ!そんなに死にたいんだったらお望み通りぶっ殺してやるよ!!あぁ!!?」

 

 …どうやらこれ以上煽ってやる(アイドリングの)必要は無いようだ。

 

 

 

 ……だったら……

 

 

 「……ハッ!『ぶっ殺してやる』?…………()れるモンならやってみろや、このカス共が!!!」

 

 

 …俺も怒り(ギア)を一段階上げながら、威嚇がてらに啖呵を切ってやる。生憎、身内に手を出されて黙ってられる程、こっちだって大人しかねぇんだよ。

 

 

小悪党組

 「ッ?!!」

 

 …が、それだけで奴らは一瞬だけ怖じ気付いた。…最初(ハナ)っからそんなんじゃ、結果は目に見えてるぞ?

 

 

ハジメ

 「あ…暁君、大丈夫?」

 

 「…安心しろハジメ。まだトップギアじゃ(ブチキレて)ねぇよ……十分自己制御(コントロール)出来る」

 

 確かに(ハラワタ)は煮えてるが、思考(アタマ)平常(クール)だ。むしろこれぐらいなら丁度良い塩梅(ベストコンディション)だな。

 

 

 

ハジメ

 「そう……念のため言っておくけど、やり過ぎないでね?」

 

 「…善処はするさ」

 

 さて、肩慣らし(チュートリアル)といこうか?

 

 

 暁サイドend

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 Noサイド

 

 ハジメとの会話を終えた暁は、悠々と一歩前に出る。それを皮切りに、小悪党組も動き始めた。

 

 

近藤

 「クソが!いつまでも大口叩いてんじゃねぇ、っぞ!!

 

 まず最初に近藤が訓練用の剣を構え、【縮地】を発動しながら突貫してきた。流石に本当に殺すのはまずい(殺したら痛め付けられないというのも多少ある)と思ったのと、動きを封じれば勝ったも同然という考えから、足に狙いを定めて突きを放つ。

 

近藤

 (もらった!!)

 

 常人からすれば目で追うのも困難なスピードからの一撃に、近藤は勝利を確信してニヤリと嗤う。

 

 「…ド阿呆が」

 

   ガキン!!

 

近藤

 「へっ?」

 

 …が、その攻撃は暁が刀身を踏みつける事によって、あっさりと止められた。尚、引き抜こうとするもビクともしない。

 

近藤

 「なっ…何で?」

 

 「視線で何処を狙っているか丸分かりな上に、バカ正直に突っ込んで来るからだよ。後はタイミングさえ誤らなけりゃ誰でも出来るわ」

近藤

 「いやいや出来ねぇよ!!っていうかなんだよさっきの金属音は!?」

 

 「大した事じゃねぇよ。ハジメに頼んでちょいと改造してもらった靴のお陰さ」

 

ハジメ

 (改造って言っても、内側から靴底と爪先部分を金属で補強しただけだけどね)

 

 もっとも外見を変えずに、刃引きされたとはいえ剣を踏んでも問題無い程の硬度に仕上げる辺り、ハジメの技術力の高さが伺える。

 

檜山

 「何やってんだ礼一!!早く(それ)捨てて戻ってこい!!…信治、良樹!!」

 

 先程の光景を観て呆けてる二人に、檜山は苛立たしく呼びかける。

 

中野・斉藤

 「おっ、おう」「なっ、何だ?」

 

檜山

 「魔法の準備をしておけ!礼一が戻ったら此処から五十嵐達(ヤツら)に目掛け…って前!!」

 

 『はぁ?前?』と言った感じで二人が前方に視界を戻すと、丁度暁が近藤の胸ぐらを片手で掴んで持ち上げていた。

 

近藤

 「はっ、離せよ!!何するつもりだ!?」

 

 「(かえ)るんだろ?…なら送っ(戻し)てやるよ」

 

近藤

 「はっ?おいっ、まさか!?」

 「オラァ!!()ってこぉい!!」

近藤

 「いィィィィィやぁぁアアアアアアアア!!!?」

 

 そしてそのまま、近藤を思い切りブン投げた。投げられた近藤は、絶叫しながらこちらに向かって飛んで来て…

 

斉藤

 「ちょっ!?まっ《ズゴッ!!》ごぶぉお!!?

 

 …見事、斉藤に命中。そのまま二人仲良く後ろにぶっ飛んだ。その様子を思わず目で追ってた中野が、再び前方を向くと、暁が猛スピードで突進してきた。

 

中野

 「ヒィッ!?こここっ『ここに焼撃をのz…

 「遅ぇよ!!」

 

    ドスッ!!

中野

 …ズプゥオッ!!?」

 

 慌てて詠唱するも間に合わず、瞬時に距離を詰めた暁渾身の腹パン(ボディブロー)を受ける。中野はその場で某元横綱(アケ〇ノ)の如く撃沈(K.O.)した。

 あっという間に三人がやられた事に対し、檜山は思い切り狼狽える。

 

檜山

 「くっクソッ、何でだよ!?何で訓練量が多い俺達がお前に圧倒されてんだよ!?おかしいだろ!?」

 

ハジメ

 (…いや、普通ならその通りだよ?……()()()()()()()()()()()()の話だけどね)

 

 

 実際この二週間、檜山達は確かに訓練は受けているが、隙をみてサボッたり、適当にゴマかして楽したり、自己鍛練はまったくしない等、とてもまともに受けているとは言えなかった。

 対して暁とハジメは、訓練量が少ない分、内容をしっかり覚え、空いた時間を大いに活用して必死に鍛練していた。

 訓練にしろ学校の授業にしろ、ただ受けるだけでなく、受けた内容を熟考、反復したりして理解しないとモノにはならないのだ。

 …もっとも、小悪党組(彼ら)には理解出来るとは思えないが…

 

 「知るかよ……で、まだやるか?降参して謝るなら、お前の分はさっきの飛び蹴りで勘弁してやるぞ?」

 

檜山

 「………はっ?」

 

 まるで何の痛痒さも感じてない暁の態度に、檜山の怒りは頂点を通り越して、明確な殺意に変わる。

 

檜山

 「ざけんじゃねぇぞクソがぁ!!!『風を纏いて、獲物を狩り獲れ!』"旋輪(せんりん)"!」

 

 そして自分の剣を詠唱と同時に、思い切り回転させながら投擲した。…が、投げられた剣は暁から大きく右側に逸れて、そのまま横を通り過ぎる。

 

 (ッ!?野郎、まさか!?)

 

 最初は怒りで手元が狂ったのかと思ったが、檜山の狙いを瞬時に読み取って後ろを振り向くと、投げられた剣は弧を描く軌道で、ハジメ達に向かって高速回転しながら飛んでいった。

 

 (クソッ、間に合うか!?)

 

 慌てて止めに行く暁を見て、檜山は嗤いながら声に出さずに、内心で暁を罵りる。

 

檜山

 (バカめ!まんまと()に引っ掛かりやがった!)

 

 檜山が王国から支給された装備は二つ。

 一つは先程の投擲武器にもなる片手剣。

 

檜山

 (本命はこっちだぁ!!)

 

 そしてもう一つ、魔法陣が刻まれた()()()()()を暁の背後に標準を向け、詠唱を始める。

 

 

 

ハジメ

 (まずい!!)

 

 その行動を後方から観ていたハジメは、檜山の()()()()()に気付いて焦燥に駆られる。

 だがまずは向かって来る回転刃をどうにかしなければならない。自分だけならまだしも、透は回避どころか動かすこともままならない状態だ。暁が必死で駆けつけようとするが、回転刃の方がわずかに速い。

 

 

ハジメ

 (…一か八かだけど、やるしかない!)

 

 暁は間に合わないと判断したハジメは、早急に錬成用の手袋を装着し、地面に両手を置く。

 

檜山

 (ハッ!"錬成"で土壁でも創るつもりかぁ?無駄だぁ!そいつはそんな物じゃ防げねぇよ!)

 

 この魔法"旋輪"は、剣に風を纏わせて機動を操作するだけでなく、大木どころかちょっとした大きさの岩も余裕で真っ二つに出来る程の威力も付加しているのだ。

 

 

 …だが、ハジメの狙いはそこでは無かった。

 

 

ハジメ

 「(………今だ!)"錬成"!!」

 

   ズドオォ!!

 

 

 回転刃が自身に届く寸前で錬成を発動、横一文字になって迫り来る回転刃を真下から地面を一瞬で突起させてカチ上げる。

 

 

檜山

 (な、何ィいい!?)

 「ワオッ、マジか!」

 

 先述したがハジメは、この二週間の間に"錬成"の技術を研き続けてきたが、それは生産面だけでなく、戦闘でも活かせる様、暁の協力の下に研鑽してきた。

 その結果、"錬成"の範囲、速度、正確さが大きく向上、特に速度に至っては並みの錬成師の数倍で、先程の様に自身からすぐ近くを突起させるくらいなら瞬時に可能だ。

 

ハジメ

 「暁君、前だ!!」

 「ッ!?ヤバ!」

 

 驚愕と感心で思わず固まっていた暁は、ハジメの声で我に還る。そして同時に、自分が見事に嵌められた事に、今更ながら気付いて顔をしかめる。

 

 

檜山

 「(生意気な事しやがってキモオタがぁ!!…だがもう遅せぇ!)"喇尖牙(らせんが)"!!」

 

 "旋輪"を囮にした時間稼ぎを成功させ、詠唱を終えた檜山は、指輪から巨大な風の槍を暁に向けて撃つ。

 

檜山

 (バラバラになっちまえぇ!!)

 

 これは檜山が現在扱える魔法の中では最強で、ドリルのように渦巻きながら標的を貫くという凶悪な代物だ。加えて今回、檜山は残った魔力を全て注ぎ込んで放っており、通常のものより更に威力が増大している。

 

 

 (……こいつは避けられねぇな)

 

 速度もある上に、最初から狙っていたのか、背後にはハジメ達もいる。暁に"回避する"という選択肢は無かった。

 

 

 (…早速使わせてもらうぜ、メルドさん)

 

 故に残された方を選んだ暁は、右腕の袖を捲って"それ"を露にした。

 それは、一見すると囚人などが逃亡防止の為に手足に嵌める鉄枷に似ているが、鍵穴も楔の接続部分も無い為、黒鉄製の腕輪にも見える。

 

 

 「…起きろ『魔剣』。餌の時間(ランチタイム)だ!」

 

 すると、暁の呼び掛けに応える様に腕輪は一瞬で粒子状となり、元の黒い大剣の姿に戻った。

 そしてそれを両手で上段に構え…

 

檜山

 「アホが!!今更そんなモンでどうにかな…

 「………フッ!!」

 

  ザパァン!!!

 

檜山

 「………へ?」

ハジメ

 「………え?」

 

 …気合いと共に思い切り振り下ろし、迫り来る"喇尖牙"を一刀両断にしてみせた。真っ二つになった"喇尖牙"は、そのまま煙のように消え失せる。

 

 

 ゴリッ パキッ グキュ ゴキュ!

ハジメ

 (何だ、この音?)

 

 あまりに異様な事態に呆けていたハジメの耳に、奇妙な物音が聞こえてきた。

 

ハジメ

 (これって…咀嚼音?あの剣から聞こえてくるのか?)

 

 その事実に対し、ハジメが妙な寒気を感じていると、同様にフリーズしてた檜山が狼狽え出した。

 

 

檜山

 「あ、あり得ねぇ…俺の渾身の一撃があっさりと…」

 

 「渾身(こんしん)?…『根菜(こん(さい))』の間違いじゃねぇか?大根切るのと大差無かったぜ?」

 

檜山

 「~~クソッ、クソォ!!汚ねぇぞ五十嵐!自分だけあんな物使いやがって!!卑怯じゃねぇか!!」

 「ハイハイ、"棚上げ"乙~……で?今のが切り札だったんなら、これで終わりか?」

 

檜山「あぁ!!?………あ?」

 

 暁に指摘され、檜山は改めて自分のおかれた状況を確認する。

 まず魔力はもう残っていない。自分の剣もハジメに弾き飛ばされてどこかに行ったきり戻って来ない。

 援軍にしては……

 

 

 

中野

 「ウグゥ、ウッ、オエッ」

斉藤

 「……ァ……ァァ」

 

 中野はいつのまにか吐いたらしく、自分の吐瀉物に顔を突っ込んだ状態で倒れたまま痙攣していおり、斉藤に至っては当たり所が悪かった上に後頭部も強く打ったようで、白目を剥いてノビていた。

 

 

近藤

 「ッ?!………」

 

 そして近藤はというと、うつ伏せになったままうっすらと眼を開いて様子を伺っていた……が、檜山と目が合った瞬間、すぐに瞳を閉じる。

 

檜山

 「おいコラ、礼一!!テメェ起きてんだろ!?何気絶したふりしてんだよ、助けろよ!!」

 

近藤

 (じょ、冗談じゃねぇ!!あんな化け物に敵う訳ねぇだろ!?ふざけんな!!)

 

 前衛の戦闘職持ちの近藤は、他の二人よりもそれなりに"耐性"が高かったお陰で気絶こそ免れたものの、最初の一撃を防がれた事とさっきの光景を見て、完全に戦意喪失している。

 ここでようやく檜山は自身が既に詰んでいる事に気が付く。 

 …だがもう遅かった。

 

 

 「じゃあ今度は、俺の(ターン)だ………覚悟は出来てんだろぉな?あぁ?

 

檜山

 「ヒィィイイ!!?」

 

 魔剣を肩に担ぎながら凄まじい怒気を放つ暁。地獄の獄卒さながらなその姿に、檜山は恐怖のあまり腰を抜かしてその場で尻もちを突く。

 

 

ハジメ

 「あ、暁君!?ちょっと…

 「止めんじゃねぇハジメ、()()()()()()()()……いいな?」

ハジメ

 ………ごめん。分かったよ」

 

 暁はハジメを黙らせた後、ゆっくりと檜山に歩み寄り、その分檜山はそのままの体勢で後退る。

 

 「何ビビってんだよ?お前さっき『ぶっ殺してやる』とか抜かして、実際に殺る気満々(その通り)だったじゃねぇか……なら当然、自分自身もそうな(殺られ)る可能性も想定してたんだろ?」

 

檜山

 「ち、違う、違うんだって!あれは…その、ついカッとなっちまったんだよ!!俺ってさぁ、頭に血が昇ると自分を抑えられなくなるって悪癖が在るんだ!だから…

 「だから…何だよ?『それでつい殺っちまっても仕方ないよね?』とでも言いてぇの?…ふざけんじゃねぇぞお前?」

 

檜山

 「そうじゃねぇよ!!そうじゃなくてさぁ!!」

 

 やがて壁際まで追い込まれ、逃げ場を失った檜山は、顔を青くしながらも、何とか弁解しようとする。

 

 

 「ちょっ、ちょっと五十嵐君、何してるの!?」

 

香織

 「雫ちゃん、どうしたの?南雲君達いた?」

 

 そこへ香織と雫がやって来た。香織の口振りから、どうやら三人(正確にはハジメと透)を探しに来たらしい。

 二人の姿を見た檜山の顔に喜色が浮かぶ。その美貌で普段から『学園の二大女神』と呼ばれてる二人だが、今この状況の檜山にとっては正に救い(本物)の女神に見えるだろう。

 檜山はこれが最後のチャンスと二人に助けを求めた。

 

 

檜山

 「し、白崎、八重樫!助けt…

香織

 「南雲君!?」

 「ルー!!?」

檜山

 ………え?」

 

 …だが当の二大女神(香織と雫)は、それぞれの想い人(ハジメと透)の状態を見た途端に血相を変えて、こちらには見向きもせずに二人の方に向かって駆けだしてく。

 

ハジメ

 「白崎さん、僕の事はいいから早く透君を!」

 「香織お願い急いでぇ!!ルーが、ルーがぁ!!」

香織

 「雫ちゃん落ち着いて!今直ぐに診るから!」

 

 そして香織は、透の治療に専念し、雫は半泣きで狼狽えながらも透に呼びかけていた。

 

 

檜山

 「……何でだよ?何でアイツばっかり…あんな奴のどこが良いんだよ?だったら俺の方がずっと…」

 

 それを見ていた檜山は頭が真っ白になり、うわ言のように口から呪詛を呟く。

 

 「…そう思ってる時点で、テメェなんかに勝目はねぇよ……つーか、余所見してて良いのか?」

 

 冷め切った声で我に還った檜山が視線を戻すと、暁が魔剣を再び上段に構えて佇んでいた。

 

檜山

 「ま、待て、待てって!?お前、そんな事したって何になるってんだよ!?よく考えろよ!?」

 

 「…悪いな檜山、実を言うと俺もお前と()()なんだよ……で、今正に、完全にぶちギレ(頭に血が昇っ)てて自分じゃ制御出来ねぇんだわ……お前なら分かってくれるよな?」

 

檜山

 「ふ、ふざけんなぁあああ!!誰かぁあ、助けてくれぇええええええ!!!」

 

 「……結局最後まで謝罪の言葉は無しかよ…じゃあな檜山、Have a nice day(ごきげんよう)♪」

 

 そう言って暁は、涙と鼻水でグシャグシャになって喚き散らす檜山に向かって、魔剣を容赦無く振り下ろす。

 

 

檜山

 「イヤだぁあああああママぁあああああああ!!!」

 

 そして魔剣が頭上に迫る光景を最後に、檜山の意識は闇にしずんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……な~んてな」

 




以上になります
今回は暁によるスカッと回(又は小悪党組ザマァ回)を、お送りしましたが、皆さまはどうだったでしょうか?

ここからは原作との相違点を述べさせてもらいます

・ハジメについて
本作のハジメの現時点での"錬成"の腕前は、全体的には奈落での変心後より1ランク下、速度は同等かチョイ上、某錬金術師(ハ〇レン)の劣化版位の設定です。

・檜山、小悪党組について
原作ではハジメをイビって適度にガス抜きが出来ていましたが、本作は暁のせいでかなり鬱憤が溜まっていました。特に檜山はこの時点でかなりヤバめで、簡単に理性のタガが外れます。…最後のアレに関しては、自分のちょっとした遊び心だと思ってください。

最後に私事を少々…

モンハンRIZEのG級来たぁあああああ!!
いや、来年の夏って早いよ!?でもありがたい!これで後三年は生きていける……
あとメトロイドの新作購入したのですが、めっちゃ難しいです。特にボス戦はマジで死ゲー並み……自分だけかもしれませんが…

長々と失礼しました。
次回もよろしくお願いいたします!!


追記
後程、新しいアンケートを取らせてもらいます。
例の如くあくまでも参考にする位のつもりです。
こちらもよろしくお願いいたします。

ハジメのヒロインについて(ハーレムは確定)

  • 原作通り(某吸血姫様がメイン)
  • 香織がメイン(吸血姫様が挑戦者)
  • 両方(香織と吸血姫)いってまえ!
  • オリヒロだして!(サブ)
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