神殺しの三王は元はみ出し者   作:不浄皇

9 / 13
大変遅れて申し訳ございませんでした!!
今回は原作で苦手な部分であり、かといって本作の今後の都合上、重要でもあるので簡潔にも出来無いので、執筆が難航しておりました。
まぁ、相変わらず駄文ですが、それでも暇潰しになってくれれば幸いです。

それではどうぞ!


卑劣な悪意

 透サイド

 

 暁君が図書館から立ち去った後も、僕とハジメ君は調べ物を続けていたのだが、それも一段落着いたので、今は休憩がてら雑談に興じていた。

 

 「ハジメ君はどこに行ってみたい?」

 

ハジメ

 「うーん、やっぱり【ハルツィナ樹海】の奥地にある亜人の国には行ってみたいなぁ……ケモミミを見ずして異世界トリップは語れないよ」

 

 因みに現在の話題は、『自由行動できるならどこに行きたい?』、という内容だ。

 

 「……それは難しいんじゃないかな?彼らの境遇から考えて、人間の僕達を歓迎してくれるとは思えないよ?」

 

ハジメ

 「…そうなんだよねぇ」

 

 

 トータスにおいて、というか聖教教会の教えでは、現在の魔法はエヒト神を含む神々がこの世界を創造した際に使用した"神代魔法"の劣化板とされており、人間族にとって魔法とは、神々からの祝福(ギフト)という認識が強い。

 その為魔力を一切持たず、魔法が使えない亜人族は、"神から見放された悪しき種族"とされており、人間族にとって披差別種族となっている。(因みに、エヒト神とは別の神を信仰している魔人族も亜人族の扱いは大体同じ)

 よって彼らは、基本的に自分達の国から出てくることはなく、外にいる亜人の大半は奴隷だ。

 

 「暁君は確か、【エリセン】に行ってみたいってこの前言ってたな」

 

ハジメ

 「エリセンって西の海の沖合いにある海上の町?」

 

 「そうそう。そこで、『観光しながら海の幸を堪能したい』ってさ」

 

ハジメ

 「…あはは、暁君らしいなぁ……でも、エリセンなら僕も行ってみたいかな?」

 

 「っ?ハジメ君も海鮮料理目当て?」

 

ハジメ

 「それも少からずあるけど、どっちかと言えば『海人族』に会うのが目的かな?…ケモミミがダメならせめてマーメイドを見てみたいなぁ」

 

 「…ハジメく~ん?鼻の下、伸びてるよ?」

 

ハジメ

 「っ!?……お見苦しい所をお見せしました」

 

 …この場に香ちゃんが居なくて良かったなぁ。ここ最近で知ったんだけどあの子……何と言うかハジメ君に対する『女の勘』っていうのかな?……それが本当に鋭いんだよね。

 この前もハジメ君がつい城勤めのメイドさん(それもかなりの美人)を眺めてたら、"ニッコリ笑ってるのに目が一切笑ってない"という怖い笑顔(暗黒微笑)でハジメ君を見てたな。

 …しかもその際、背後にうっすらと人型の何かが見えた気がするけど、見間違い……だよね?

 

 …話を元に戻そう。

 【エリセン】とは先程述べた通り、西の海の海上にあり、海人族の町でもある。この海人族も亜人族の一種なのだが、彼らは唯一の例外で、むしろ王国が公で保護している。

 …まぁその理由が、種族的特徴で、水中での行動が得意な彼らが獲る海産物が目的という、なんとも現金な理由なんだけどね。

 

 「…でもエリセンに行くには確か…

 

ハジメ

 「…その手前の砂漠を越えないと行けないんだよなぁ」

 

 ここ王国側から西の海に出るには、その間にある【グリューエン大砂漠】を横断する必要がある。一応、輸送等の中継点として【アンカジ公国】という重要なオアシスがあるが、今の僕達では万全の準備をしたとしても、砂漠越えは厳しいだろう。

 

 「…後はもう、亜人族を見たいなら"帝国"に行くしかないんじゃない?」

 

ハジメ

 「……そうなんだけど、正直ケモミミでもそうじゃなくても、奴隷扱いされてる人達を見て平静でいられる自信なんて、僕には無いよ?」

 

 「……うん、そうだよね、ごめん」

 

 帝国とは、王国から東の方に存在し、正式名は【ヘルシャー帝国】と呼ばれている。この国は300年前に魔人族との大規模な戦争があった際、とある傭兵団が興した新興国だ。そのためなのか、弱肉強食且つ実力至上主義を掲げたガチガチの軍事国家で、亜人族に対する差別が特に酷い……というか『使える物は何でも使う』という思想が強く、亜人族の奴隷が特に多い。

 後補足だが、王国と帝国の間には【フューレン】と呼ばれる、どの国にも依らない中立の商業都市が存在している。話によれば大抵の物なら此処に行けば手に入るそうだ。

 

 

 (…それにしても、差別に奴隷か。…正直聞いててあまり気分の良い話じゃないな…)

 

 地球(あっち)でも、紀元前のローマや開拓時代のアメリカとか、歴史を見れば人種や宗教による差別や迫害、それに伴う奴隷とかも探せばいくらでも出てくる。とはいえ、それでも平和な現代の日本で生きてきた僕達にとっては気が重くなる話だ。

 しかし、だからと言って、それをどうにかするつもりは僕には無い。これはあくまでこの世界の人達の問題であって、異世界人(余所者)の僕達が干渉していいモノじゃない。……いや、異世界の戦争に参加してる時点で言うのも正直微妙だけど、そこまで首を突っ込むべきでは無いと思う。というか下手すれば教会から敵視されて、何されるか分かったものじゃない。

 これに関しては、少なくとも僕だけじゃなく、ハジメ君達も多分同感だろう。

 

 

 

 (……だけど光ちゃんはそうもいかないよねぇ)

 

 今はまだ知らないのか、世界を救う事に気が向いてて気付いて無いのかは判らないけど、知ったら間違いなく放って置かないだろう。イシュタルさんに猛抗議する光ちゃんの姿が容易に目に浮かぶ。

 まぁ、光ちゃんは"勇者"だから、すぐにどうこうなるという事は無いだろうけど、『戦争が終わればもう要済み』ってなる可能性もあるし、頼むから余計な事(藪蛇)は勘弁して欲しい………いや、無理かぁ。

 

 

 

ハジメ

 「………く~ん?透く~ん?大丈夫?」

 

 

 

 (っ?!)

 

 おっと、いけない。また物思いに更けってた。

 

 

 「ごめん大丈夫……それで、何だったっけ?」

 

 

ハジメ

 「…えっと、透君は何処か行きたい場所はある?もしくはやりたい事とかでも良いよ?」

 

 

 …うーん、この世界でやりたい事かぁ。一応あると言えばあるけど、正直に話す訳にもいかないからなぁ。

 

 

 「………そうだね、多分無理だと思うけど、強いて言えば一つあるかな?」

 

ハジメ

 「っ?何なの?」

 

 

 「かなり昔に出た本に、少年とドラゴンが冒険する話があったんだけど、ハジメ君知ってる?」

 

ハジメ

 「あぁ~それって、縞模様でミカンの皮が好物のドラゴンが出てくるヤツ?」

 

 「そうそう!僕、子供の頃あのシリーズが大好きで、よく読んでたんだ」

 

 話自体は児童向けなので割と在り来たりだが、当時の僕にとっては驚きと感動の連続で、暇さえあれば時間を忘れて何度も読み更けっていたのを覚えている。

 

 「だからなのかな?僕、ドラゴンにちょっと憧れがあってさ、一度で良いから会ってみたいな……それで、出来れば背中に乗って、一緒に空を飛んでみたいんだ………ちょっと子供っぽいかな?」

 

ハジメ

 「そんな事無いよ!ドラゴンに乗って異世界の空を飛ぶなんて、十分ロマンだよ!………あぁ、でも…」

 

 「そう、この世界(トータス)()()()()()()()()()()んだよね…」

 

 正確には『竜人族』と呼ばれる亜人族の一種で、普段は人の姿をしてるが、一時的に(ドラゴン)に変身する事が出来る。

 だがその竜人族は、今から500年程前に、自分達の国ごと滅んでしまったらしい。詳しい原因は解っていないけど、聖教教会曰く、『人とも魔物も成れる半端者である上、どの神にも信仰しなかった不信心者だったため、神罰が下った』と言われている。

 

 …そう言えば、300年程前の戦争の際、他にも滅んだ種族が()()()いたな。

 確か、当時最強の一角だった『吸血鬼族』と、あと……

 

 

ハジメ

 「っと、そろそろ休憩時間終わりだよ?」

 

 「そっか。ならもう訓練場にいかないと」

 

 どうやらかなり話し込んでたみたいだ。幸い、ここから王宮の訓練場まではそれ程離れてない為、僕らは慌てずに後片付けに入った。

 

 

 

 「…でも、アレかな……今は黄昏(トワイライト)でコーヒー飲みたいよ……女将さん特製のレーズンサンド摘まみながらさ…」

 

ハジメ

 「…うん、僕も同感だよ……後それ、暁君の前で言わない方が良いよ?最近、コーヒー飲めなくて精神的に参(カフェイン切れでナーバスにな)ってるから」

 

 「ハハハッ、気をつけるよ」

 

 

 その後、僕らは図書館から出て、訓練場へ向った。

 道中からは、露店の呼び込みや子供のはしゃぎ声等が聞こえてきて、とても戦争中とは思えない程平和だった。

 

 

 

 

    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 訓練場では既に何人もの生徒達が談笑や自主練をしていた。

 

 「僕はこのまま七彩路君の所に向かうけど、ハジメ君はどうする?」

 

ハジメ

 「うーん、まだ訓練が始まるまで時間あるから、自主練でもしてるよ」

 

 「そっか。それじゃ、頑張ってね!」

 

 

 

 

 

 ハジメ君と別れて訓練場の片隅、いつものテーブルに向かう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (あっ!しまった、忘れてた…)

 

 …途中で()()()()()()()を思い出した。

 

 

~~~休憩時間の少し前~~~

 

 

晴彦

 「霧原、この後の休憩時間に、何か予定あるか?」

 

 「っ?図書館で南雲君達と調べ物(情報収集)をするつもりだけど、用があるならそっちを優先するよ?」

 

晴彦

 「いや、むしろそれなら丁度いい。南雲と五十嵐に話があるから、訓練前に一緒に来る様、伝えてくれ」

 

 

 

~~~~~~~~~

 

 

 とりあえず暁君はメルドさんと来るだろうから、戻ってハジメ君を連れてこよう。

 

 

 透サイドout

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 Noサイド

 

 

 透と別れたハジメは、自主練の為、支給された細身の剣を取り出していた。

 

ハジメ

 (これまでで得た情報から推測しても、"アレ"だったら大抵の魔物は問題無いだろう。だけど念のため、近接戦闘の鍛練はしておかないとね)

 

 

 そんな事を考えていると突然、背後から衝撃を受ける。たたらを踏みながらも転倒を免れたハジメが、嫌な予感がしつつ後ろを振り返ると、それが見事に的中していた事に顔をしかめた。

 

檜山

 「よぉ~南雲!お前、剣なんか持って何してんの?意味無いだろうが、マジ無能なんだしよぉ~」

 

 そこには案の定、檜山 大介(ひやま だいすけ)率いる小悪党組が佇んでいた。どうやら暁が不在な事を良いことに、ハジメに直接ちょっかいを掛けに来たらしい。

 

 

中野

 「なぁ大介、こいつ何かもう哀れ過ぎだからさ~、俺らで稽古つけてやんね?」

 

 先程の檜山の言葉に、他の三人がゲラゲラと笑っていると、此処でその内の一人、中野の提案で一気に雲行きが怪しくなる。

 

檜山

 「おぉ、ナイスアイデアじゃん信治。無能の為に時間使ってやるとか、俺ら超優しいじゃん。感謝しろよぉ~南雲ぉ?」

 

 そう言いながら小悪党組は馴れ馴れしくハジメの肩を組み、人目のつかない方へ連れて行こうとする。

 

ハジメ

 「いや、一人でするから大丈夫だって。僕の事は放っておいてくr、ぐふっ!?」

 

 ハジメは何とかこの窮地を脱する為、やんわりと断ろうとするも、檜山に脇腹を殴られ、強制的に黙らされる。

 

檜山

 「はぁ?お前さぁ何言ってんの?マジ有り得ねぇんだけど。いいからテメェは大人しく着いてこいよ!」

 

 そしてそのまま、訓練場から死角になっている人気の無い場所へとハジメを連れ出して行った。

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

近藤

 「よし、此処なら大丈夫だろ?」

 

中野

 「っていうか他の連中、ガチでシカトしてたぜ?」

 

斉藤

 「ヒャハハハッ!本当に哀れだわ南雲(コイツ)。まっ、こっちはありがてぇけどな」

 

檜山

 「そんじゃあ、さっそく始めるとします、か!!」

 

ハジメ

 「ウグッ!」

 

 そう言って檜山はハジメをその場に突き飛ばした。

 

檜山

 「へへへッ、ようやっとこの時が来たぜ……ほら、さっさと立てよ!楽しい訓練の時間だぞ?」

 

 

 呻きながら踞るハジメを小悪党組が取り囲み、稽古とは名ばかりの私刑(リンチ)が開始される、その時だった。

 

 

 

 

 

 「……何してるの?」

 

 

 突如、静かにだがはっきりとした声が響きわたり、それを発した人物を見て、檜山達は『ゲェッ!?』っと苦い顔になり、ハジメは驚きながらもその人物の名を叫んだ。

 

 

 

ハジメ

 「透君!?」

 

 

 そこには透が佇んでいた。だがその瞳は冷たく、先程の声にもまったく高揚が無かった。

 普段の彼とは異なる、異様な雰囲気に気圧されつつも、斉藤が何とか誤魔化そうとする。

 

斉藤

 「…い、いや、霧原?勘違いすんなよ?俺等はただ、南雲の特訓に付き合ってただけで…

 「…その"特訓"って、断ろうとした相手の腹を殴ってまで黙らせてから、こんな人気の無い場所へ連れ込まなきゃ出来ない事?」

斉藤

 「ングッ!?」

 

 だが、どうやら最初から見られていたらしい。先程の事を指摘されて思わず黙り込む。

 

 

近藤

 「……オイ、大介。どうすんだ?」

 

 近藤の問いに、中野と斉藤も檜山に返答を求める様に視線を向ける。

 

 

 

檜山

 「……礼一。お前、アレ使えたよな?素早く移動できる技能」

 

近藤

 「"縮地"のことか?…使えるけど?」

 

檜山

 「お前、それ使ってさ、………」

 

近藤

 「…はぁ!?何で俺が……」

 

 檜山の指示に、近藤はもちろん、斉藤と中野も嫌そうに顔をしかめた。そして近くにいたため、その内容を聞いてたハジメは声を上げて叫んだ。

 

ハジメ

 「透君!!僕の事はいいから、早く逃げ《ドカッ!》グハッ!?」

檜山

 「テメェは黙ってろ!!」

 

 だがそれは、檜山に腹を蹴られて黙らされる。

 

 「ッ!?君達いい加減に…

檜山

 「ウルッセェんだよ!!この生焼け野郎(ミディアムレア)が!!やれ、礼一!!」

近藤

 「…くそ!どうなっても知らねぇぞ!?」

 

 近藤は文句を言いながらも"縮地"を発動する。

 

      ガシッ!!

 

 「なっ!?」

 

 そして透の背後に素早く周り込んで、羽交い締めにした。

 

中野

 「なぁ、大介。やっぱり止めないか?疫病神(コイツ)に手を出したら一体どんな目に逢うか…

檜山

 「アホか!そんな噂程度でビビってんじゃねぇよ!それに俺達には力がある!何が来ようがどうって事はねぇ!」

 

 到って短絡的な思考だが、『それもそうだな』と中野はあっさりと納得する。

 

斉藤

 「…天之河達はどうするんだよ?コイツが話せば…

檜山

 「それも心配いらなねぇよ。ちょっとオハナシす(脅してや)ればわかっ(黙って)てくれるさぁ。なぁ?霧原君?」

 

 そう言って檜山はニヤりと笑いながら透の前に立った。

 

檜山

 「お前もバカだよなぁ~、天之河も言ってたじゃねぇか。『南雲と五十嵐には関わるな』ってよぉ?…まぁ、俺個人としては、お似合いの三人だと思うぜ?地球(アッチ)じゃ周りから疎まれて、トータス(コッチ)じゃ戦闘で使えない役立たずの"はみ出し者"でって意味でだけどなぁ」

 

近藤・斉藤・中野

 「ギャハハハハハハハハハハ!!」

 

 檜山の言葉に、残りの三人も同感だと言わんばかりに笑い出す。

 

斉藤

 「いや、でもよぉ大介?五十嵐は敵陣に突っ込まさせて暴れさせれば、最低一回ぐらいは役に立つんじゃねぇか?んで、華々しく散り(戦死)でもすれば英雄視間違いないぜ?」

 

中野

 「神風特攻かよ!でもそれ言ったら南雲だって、技能の"錬成"だったか?それ使えんなら、どっかの鍛冶場で馬車ウマ並みにコキ使ってもらえばちったぁマシだろ」

 

近藤

 「…あれ?でもそうなるとさぁ、魔力はあるくせに、魔法も技能も使えない霧原(コイツ)って、"役立たず"って意味じゃ三人の中で頭一つ飛び出てねぇか?」

 

斉藤・中野

 「確かに!!…ギャハハハハハハハ!!」

 

檜山

 「お前らマジで笑い過ぎ~。まっ、言ってる事は全面的に同感だけどな」

 

 

小悪党組

 「ギャハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

 誰も小悪党組を戒める者がいない為、その場には彼らの耳障りな笑い声のみが響きわたる。

 

檜山

 「でも良かっなぁ南雲?どうやらお前、クラスの中じゃ最下位から脱したみたいだ……は?」

 

 そう言って檜山は、嘲笑を浮かべてるてハジメの顔を覗き込んだ途端、思わず呆然とした顔となった。

 しかしそれも仕方がないと言えるだろう。

 

 

 

ハジメ

 「……………っ!」

 

 

 

 何故なら今ハジメは怒りを宿した瞳で檜山達を睨み付けていたからだ。

 もし、この場に暁や香織等、"南雲ハジメ"という人物をある程度知る人間がいたら、普段の彼なら絶対にあり得ないと驚き、同時に先程の事を考えれば、納得もするだろう。

 基本的にハジメは平和主義で、昔から喧嘩や争い事になりそうな時は、いつも自分が耐えたり、折れたりして、事なきを得ていた。

 だがそれは、あくまで()()()()()()()()()()()()だった場合に対しての話だ。

 加えて、昔から交友関係が乏しかった故に、友人や家族等の身内を人一倍大切にする傾向がある。

 だからこそ、この時のハジメは怒っていた。

 自分だけならまだいい。()()()()()に自分さえ我慢していれば済む話だ。

 だが大切な友人(透と暁)を激しく侮辱した事は、例え相手が檜山達(天敵)であっても決して許せなかったのだ。

 

 しかし、この時ばかりはそれは悪手だった。

 

檜山

 「……何だよ、その眼は!?ガン飛ばしてんじゃねぇよ!!」

 

 最初に我に還った檜山は、その目が反抗的に映ったのか、怒りで再びハジメを蹴り衝ける。

 

檜山

 「というか最下位(ドベ)じゃなくなってもテメェが無能だってのは変わんねぇだろうが!!なのに身の程も知らねぇくせに、一丁前にキレてんじゃねぇよ!!お前らみてぇな役立たずのグズ共はなぁ、俺らの側に置いてもらえるだけでもありがたいと思えってんだよ!!」

 

 罵詈雑言を浴びせながら、檜山は更にハジメを痛め付ける。

 だがハジメはそれでも睨むのを止めなかった。もし此処で暴力に屈してしまえば、ハジメは一生自分自身を軽蔑し続ける気がしたからだ。

 結果それが、余計に檜山の神経を逆撫でする事になり、更に暴行が激しくなる。

 

 …もっとも、それも長くは続かなかった。

 

 

 

 「……くだらないね」

 

 

 

 ……………………………

 

 

 透が呟いた一言で、その場が一瞬で沈黙で満たされ、視線が一斉に彼に向けられる。

 

 

 

檜山

 「……あ?霧原、お前今何て言っt

 「『くだらない』って言ったんだよ。どこかの誰かもわからない神様(タニン)から貰った玩具(チカラ)を、如何にも自分の実力(モノ)だとはしゃぎ回る……まるっきり調子に乗った子供(ガキ)だよ」

 

小悪党組

 「…………はぁ?」

ハジメ

 (………と、透君?)

 

 「加えて、それを自分達より格下の相手に振るいながら罵って、優越感に浸る………恥ずかしくないの?人として」

 

小悪党組

 「……………はぁ!!?」

ハジメ

 (待って!?透君、本当にちょっと待って!!?)

 

 

 淡々と冷め切った声色で毒を吐き続ける透に、小悪党組の怒りが一気に跳ね上がり、むしろ殺気じみた物となる。

 一方ハジメは、焦りながらも何とか視線のみで透を止めようとする。

 

 だが透は止まらなかった。

 

 「特に檜山君?」

檜山

 「…あっ?何だよ?」

 

 

 

 「…君さ、ハジメ君を自分より下だと思ってるけど、そんな事じゃ何時まで経っても、()()は君に振り向いてくれないよ?」

 

 

     ブチッ!!

 

 

檜山

 「……………は?」

 

 

 その言葉に、檜山は頭の中で何かが切れる音と共に、顔から表情を消した。そんな檜山を、残りの三人は『うわぁ』といった感じで見ている。

 

 

檜山

 「………礼一。お前、そのままその場でちょっと踏ん張ってろ」

 

近藤

 「へっ!?お、おう」

 

 近藤が了承すると同時に、自分と透の距離を計り始める檜山。

 そして…

 

 

 

檜山

 「…よし、この辺りだな。そんで、霧原(ソイツ)の位置をちょっと上に上げてくんね?…そうそう、そこでそのままキープ……そこが一番…………………()()を叩き込み安い角度ってなぁ!!」

 

    ドスッ!!

 

 

 そのまま透の腹を思い切り蹴り衝けた。

 

 

 「ングッ!?……ア?」

 

 

 強烈な衝撃を受け、俯きながら呻き声を挙げる透に、すかさず檜山は髪を掴んで顔を上げさせる。

 

 

檜山

 「さっきから黙ってりゃあ好き勝手言いやがって……お前さぁ、天之河達とツルンでるからって手ぇ出して来ねぇとか思ってんの?…調子乗ってんじゃねぇぞ!!」

 

    ドカッ!!

 

 「グフッ!?」

 

 そう言って今度は膝蹴りを叩き込む。

 

檜山

 「上等だ!そんなに構って欲しいなら、お望み通り遊んでやる!……たっぷり可愛がっ(痛め付け)てやるから、覚悟しとけよ!?」

 

 怒りと狂気に支配された顔で檜山は言い放つ。その様子に、透が危険と判断したハジメは、檜山を止めようとする。

 

ハジメ

 「待って檜山く、《ドカッ》アグ!?」

中野

 「余計なことすんな!」

斉藤

 「お前は大人しく這いつくばってろ!」

 

 声を挙げるハジメを今度は中野が頭を、斉藤が背中を踏みつけて黙らせた。ついでにそのままグリグリと踏みにじりながら会話し始める。

 

中野

 「…あ~あ、大介の奴、完全にキレてるよ……どうする、アレ?」

 

斉藤

 「どうするって…アイツ()()なったら止まらないって知ってんだろ?…治まるまで待つしかねぇよ」

 

 

 

 

       …ドクンッ!

 

 (っ?)

 

 

中野

 「だよなぁ……それなら南雲(コイツ)で暇潰しでもするかぁ……」

 

斉藤

 「おっ!いいねぇ。俺、丁度魔法の練習したかったから、コイツを"的"にしようぜ?…大介!いいだろ?」

 

 

 

     …ドクンッ!!

 

 (ッ!?)

 

 

近藤

 「ちょっ、良樹、信治!お前らだけズルいぞ!おい大介!何時まで霧原(コイツ)捕まえてりゃいいんだよ?」

 

 

     …ドクンッ!!!

 (……あっ…これ…まずい)

 

 

檜山

 「うるせぇな!!もうちょっと待ってろ!後二、三発ぐらいはブチ込まねぇと気が済ま…

 

 

 「ゴボォ!!」

 

       ビチャアッ!!

 

檜山

 ………へ?」

 

 思わず出た檜山の間が抜けた声と共に、その場の空気が凍り付く。

 

 

斉藤

 「ちょっ、ウソだろ!?」

中野

 「コイツ、血ィ吐いたぞ!!?」

 

 突如、透が吐血したのだ。それも夥しい量を吐いたらしく、目の前に大きな血溜りが出来ていた。

 

近藤

 「おい大介!?お前、どんだけ強く蹴ったんだよ!?やり過ぎだろこれ!?」

檜山

 「そ、そんな強く()ってねぇよ!せいぜい()()()()()()()()()ぐらいだよ!」

近藤

 「アホか!!忘れたのか!?コイツ魔力以外のステータスは0だ!南雲より下じゃねぇか!!」

 

檜山

 「…………あ」

近藤

 「『…あ』じゃねぇよ!!どうすんだよ!?」

 

 場が騒然とする中、ハジメが苛立たし気に叫ぶ。

 

ハジメ

 「何してるんだよ!?早く白崎さんを呼んで来いよ!このままだと透君が《シャキンッ!》!!?」

 

 だがその訴えは、檜山が片手剣(自身のアーティファクト)を向ける事で、強制的に遮られる。

 

檜山

 「ざけんじゃねぇぞ!何命令してんだよテメェ!次何か言ったらぶっこr

 

 

 ドコォ!!!

 

檜山

 ヘブうぉおおお!!?」

近藤・中野・斉藤

 「大介ぇええええ!!?」

 

 …が、その檜山も突如乱入してきた者の飛び蹴り(ドロップキック)を顔面に喰らって吹き飛ぶ。

 

 

中野・斉藤・近藤

 「…げぇ?!!」

ハジメ

 「暁君!!」

 

 

 「…ったく、まぁた面倒事にな(トラブ)ってる様だな、ハジメ?」

 

 そう言いながら乱入者、暁は怒りと呆れ半々といった表情で小悪党組を睨み付けていた。

 

 

 

 




以上になります。
今回のハジメの言動&解説は、原作を読んで自分成に考察した結果、こうなりました。
他にも質問、コメントがあれば感想欄に書いてください。出来る限りお答えします。
ただ、あらすじに記述した通り自分はメンタルが激弱なので、余り辛口なのは誠に勝手ながら何卒ご容赦願います。
まだまだ残暑等で厳しいでしょうが、皆様もお身体に気を付けてください。
自分も至らぬ身ですが頑張って行きますので、よろしくお願いいたします!

オリ主二人はハーレムにするか?

  • 両方ハーレム
  • 両方シングル
  • 暁がハーレム
  • 透がハーレム
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。