ドラえもんのび太のDr.STONE   作:三柱 努

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ドラえもんのび太のDr.STONE
石化光線の真実


それはいつもの光景であった。

「ドラえも~~~~~ん」

のび太の叫びが野比家にこだまする。

ヤレヤレと階段を下りるドラえもんの元に、指から血を流したのび太が「死ぬ~」と元気よく走ってきた。

どうやら慣れないくせにオヤツの羊羹を包丁で切ろうとして失敗してしまったようだ。

「そんなの舐めておけば治るよ・・・って、あらら意外とザックリ」

思ったより深い切り傷であった。

1針縫う必要があるかもしれない。弱虫小学5年生には酷な宣告である。

「指に針なんか刺されたら、死んじゃうよ! そうだ、お医者さんカバンは?」

「お医者さんカバンは病気しか治せないよ。なんでもキズバンなら怪我が治せるけど、悪いけど修理中なんだ。ん? そうだ、イイものがある!」

そう言うとドラえもんは四次元ポケットをまさぐりだし、小さなアクセサリーと薬瓶のようなものを取りだした。

「石化治療光線リングと復元液」

ドラえもんがいつものように道具を紹介すると、のび太はいつものように「何ぃそれぇ?」と首を傾げた。

「これはね、人を石にしてどんな怪我でも修復させる・・・って、説明するより実際使ったほうが早い」

そう言うとドラえもんはアクセサリーに向かって「1m1second」と言った。

するとアクセサリーは不気味な光を放ち、その光がのび太を捉えると、のび太の体は光が当たった側から石化し始めた。

『何、これ?』

のび太の意識は暗闇の中に閉じ込められてしまった。

意識だけはハッキリしているが、体は動かない。完全な石像と化してしまったのだ。

そんなのび太の石像にドラえもんは「それにしてもブサイクな石像だなぁ」とつぶやきながら復元液を浴びせた。

するとのび太の石像は光を放ちながら元の人間へと復元し、指の傷は完全に癒えていた。

「怖かったぁ。でも、怪我が治ったから良かったぁ」

「もう、気を付けてよね」

「それにしても何この道具? 今の光に当たったら石になっちゃうの?」

「そうだよ。一旦、人を石に変えて、この復元液で元に戻すと、その時に体の傷ついた細胞を一緒に直しちゃうんだ。だけど、この液をかけないと何年も何百年もずっと意識を残したまんま石になっちゃう」

口を3にして気楽に語るドラえもんであったが、その恐ろしさにのび太はゾゾゾと悪寒を覚えながら「怖い道具だね」とつぶやいた。

「使い方さえ間違わなきゃ大丈夫。さっ、オヤツ食べながらテレビでも見よっ!」

気楽なドラえもんに背中を押され、のび太は羊羹とリングを手に居間へと向かう。

 

今のテレビから流れるのは『1ミリオンメーカー』。のび太が授業で習うような低難易度の問題も出てくる、子供でも大人でも楽しめる内容の人気クイズ番組である。

「おっ? 面白そうなのがやっているなぁ」

のび太のパパがたまたま通りがかり、のび太たちに話しかけた。

パパが興味を持ってくれたことに喜んだのび太は、番組名を教えてあげようと口を開いた。

と同時に、丁度その時に番組で出てきた問題が、学校で習ったばかりの内容であったため、つい思わず口に出てしまった。

「1“ビ”リオンメー“タ”ー・・・1ミニッツ!」

「それを言うならミリオンとメーカーだ・・・よ!?」

ドラえもんは喉の奥からネジが飛び出すくらいに驚き、パニックに陥った。

1ビリオンメートルとは10億m、つまり100万キロメートル。

地球の直径が1万2742キロメートルであることから、地球をまるっと覆う範囲に・・・1分後・・・人類を石化させる光が・・・照射されてしまう。

「バカバカバカバカ! のび太くん、キミはなんてことをやらかしたんだ!」

人類滅亡まで残り1分である。

「えええええ! ドラえもん、何とかしないと」

「何とかしないと何とかしないと!」

パニックになりながら、ドラえもんは四次元ポケットから秘密道具を出しまくった。

「ドラえもん落ち着いて」

「落ち着いてなんかいられるか! 人類が滅びるんだぞ!」

パニックになればなるほど、欲しいアイテムが出てこないのがドラえもんの引きの弱さ。

ヤカンに杖に変な銃にカーペット。意味の無い道具が次々と部屋を埋め尽くしていく。

そんな光景をパパは呑気に『何やってんだか』と横目に見ながらトイレに行ってしまった。

「ドラえもん、この中は?」

のび太はそういうとカーペットを広げて見せた。

「何言ってるの?! そんなの役に立つわけ・・・そうだ、それだ!」

それは『神様シート』という秘密道具。のび太が地球を作り出し、その観察日記を夏休みの宿題にした時に使った道具だ。

このシートの入り口を開けば、その先に別の次元の宇宙が広がっている。

「投げ入れろ!」

ドラえもんに急かされ、のび太はアクセサリーを投げ込んだ。その直後、ドラえもんは足元の杖につまずいて倒れながらも、どうにか這って神様シートのボタンを押し、入り口を塞いだ。

 

こうして、地球の危機は防がれた。

 

「はぁっはぁ、危なかった。のび太くん気を付けてよ、ってちゃんと道具をしまわなかったボクにも責任はあるけど」

頭からプスプスと煙を上げながら、息を押しつかせるドラえもん。

「ところでこのシートの地球って、あれからどうしたんだっけ?」

のび太の言葉にドラえもんはハッとなって目を丸くした。

「そのまんま・・・・」

「しかもドラえもん、コントロールステッキ踏んでるよ」

ドラえもんが下を向くと、ステッキの早送りボタンが押されたままとなっていた。

このステッキはシート内の地球の時間の流れを操る道具であり、ドラえもんが足を退かすまでに、シートの中の地球は3700年以上も経過していた。

「どうしよう。この地球の人間が全員石になっちゃったのかな?」

「ひとまず中を見てみよう」

ドラえもんが神様シートを開けると、そこから見える地球には暗闇の部分に一切の光が見当たらない。

「巻き戻しボタンを使ったら?」

「駄目だよ。この中の世界で起きる運命にある出来事は変わらないんだ。ステッキで時間を戻しても、リングを入れてしまった時点で石化光線を浴びせちゃう事実は変えられない」

ドラえもんは首を横に振り、シートとステッキ以外の創世セット、フワフワリングと神さま雲を取り出した。

「地球がどうなっちゃったのか確かめに行こう。もし人間が絶滅していたらボクらの責任だ」

「そ、そうだね。行こう! ボクらの作った地球に」

のび太は拳を握りしめ、ドラえもんと共に神さま雲に乗り込んだ。

目指すはもう一つの地球の日本。

シートの入り口を越え、宇宙空間を抜け、2人はついに石の世界・ストーンワールドに足を踏み入れた。

 

 

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