ドラえもんのび太のDr.STONE   作:三柱 努

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司帝国 VS 石神村 その3

第一次ストーンウォーと大惨事を経て、司は自軍に戻り、千空は減ったHPを回復させ、両軍ともが次なる行動に移るところであった。

 

「マズいな。ここに勇者王足して総戦力は、どう足掻いても全滅は免れねぇ」

「それに司帝国には他の戦闘キャラもゴイスーな数いるからねぇ。次は戦力総動員で来るだろうから、勝つのはかなり厳しくなっちゃったねぇ」

ゲンの指摘は正しいが、千空はそんな彼の顔を見返してニヤリと笑った。

「な~ら、逆の手を取れるっつう話だな」

 

その後、千空はゲンを無理やり動員し、2人でサポートアイテム、サポートキャラを出しに出しまくり、着実に1つの武器を完成させていった。

このゲームはキャラのステータス、アイテムの効果の他に、キャラを使えば使うほど、行動に応じた熟練度が上がるようになっている。

『職人』のクラフトスキルを使っている間に、他のサポートキャラをその作業に動員させていた。よって、本来であればクラフトスキルを持たないキャラにも、弱レベルながらクラフトの能力が備わりつつあったのだ。

よって、40のキャラで新たな武器を作ることも可能。

通常であれば1時間ペースでプレイすることで到達する高レベル武器の創造も、その約40分の1の時間で達成可能なのだ。

つまり、千空もまた短期決戦に向けた準備を。いや、それどころかコチラから司帝国に侵攻してやろうという魂胆でいたのだ。

 

一方の司も、正攻法とは逆に守りの準備をしていた。

『千空ならこのゲームで、銃・・・いや、大砲すら出してきてもおかしくない』

千空の奇襲を警戒して陣地内に戦闘キャラを散りばめて、どの方角から攻められても全戦力を集結させて迎撃できる体制を整えつつあった。

 

そして、戦いの火蓋は切って落とされた。

「電撃速攻!」

千空の号令に、『火炎弾』を装備した溶岩魔人が特攻を仕掛けた。

ゲンのサポートスキルで暗闇だったマップに視界を確保し、司帝国の地形を把握していたのだ。

その地形から、司が待ち伏せをするならどの場所を選ぶか推理し、探しにくい死角を推測する。

そしてそれはドンピシャで正解していた。

「なるほど一撃狙いか。だけど甘いよ」

溶岩魔人の攻撃に司帝国の前線は一度崩壊するが、その奥から動員された補助の第2波が溶岩魔人を打ち破った。

「これで終わりではないのだろう?」

「さぁな。知らねぇよ」

そう言って千空とにらみ合っている間に、司は前線メンバーのHPを回復させ、第2波も整列させ直し再構築していった。

 

 

「まぁ、流石の司ちゃんも、千空ちゃんが“囮”だとは思わないよね~」

ゲンのキャラは千空が特攻を仕掛けた前線から離れた位置、第3・第4波に配置された司の戦闘キャラの居場所に回り込んでいた。

「眼鏡仮面のステータスにあった通り。このゲームには魅了系のステータス異常が存在する。まぁ定番通り、そういうスキルは発動に時間がかかる。正面切って発動したら、相手プレイヤーが邪魔しに来る仕様だろうな。だが、無警戒の場所でなら別だろ」

千空の指示の通り、魅了系のサポートアイテムで次々と司帝国の戦力を味方につけていった。

・攻撃はできないが、全ての攻撃に1発は耐える『ビッグツリー』

・大器晩成型クラフトモンスター『服屋』

・先制攻撃を無効にするスキル持ち『頼れる兄貴』

・敵のサポートアイテムを選んで破壊できる『狩人』

次々にキャラの色がゲン側の色に変わっていく。

司の気付かぬ前線以外の場所から、戦力配分はひっくり返っていたのだ。

 

「そろそろだよ。千空ちゃん!」

ゲンの号令と共に、ゲンが魅了していった元・司帝国の面々が前線に総攻撃を仕掛けた。

「なっ!?」

驚きのあまり操作がおぼつかない司。

そこに千空は本命の最強戦力、遠距離攻撃最強のクラフト限定ユニット『戦車』をぶち込んだ。

「せ、戦車・・・そんな物まであるのか」

「ククク。どうだ司、これが石神村の最強カードだ!」

千空の戦車が司のチームリーダーのいる方向へと爆走していく。

「だけど残念だよ千空」

そう司がつぶやいた途端、戦車は残念な効果音と共に魂が抜かれたように走行不能となった。

「はぁ!?」

「落とし穴だよ。キミがそう来ると思って用意しておいたのさ」

司はそう言うと、戦車頼みで突っ込んできた千空の他のキャラを、その場に控えさせておいた勇者王・長槍使いの2人で次々と倒していった。

ゲンと千空のモニター画面で、キャラが倒されるたびに操作可能キャラの視点が次々と切り替わっていく。

 

あっという間の逆転劇であった。

あれよあれよと言う間に千空の軍団、ゲンが篭絡したキャラが倒され、残るは千空とゲンのチームリーダー。そして探検家の3人だけとなっていた。

「哀しいな。キミをこの手にかけなくちゃならないのは」

「ククク。冷てぇ野郎だ」

千空は最後のあがきと、サポートアイテムガチャを回した。

出てきたのは『復活の水』であった。敵味方問わず、倒れたキャラ1名を復活させる。

だが、倒れたキャラは目の前の最強2角に倒されたキャラばかりであり、誰を復活させたところで意味は無い。

「バイヤー。糞で攻撃しかできないよソレ。千空ちゃんの運の引きって、ジーマーでドイヒーだよね」

ゲンは完全に諦め、ゲームのコントローラーを机に置いた。

「いいやまだだ。探検家がイイもんを持ってきたぞ」

千空が直前に探検家のスキルを発動させ、素材アイテムをどうにか手に入れていた。

それは『ニトロ』であった。

「どういう素材だよ!」

そう言って千空が『投げる』のコマンドを入力した瞬間、凄まじい爆発がその場にいた全員を襲った。

「なっ!」

次々と司の戦闘キャラたちのゲージが黒になっていき、勇者王のゲージも赤に染まる。

千空は『復活の水』で“全ての攻撃に1発は耐える”『ビッグツリー』を復活させ、その背に隠れて爆風を回避。

そして司は咄嗟に最強の勇者王を飛び退かせ、回避行動をとらせた。

「危ない所だったが、千空。勝負はこれからだ・・・!?」

だが、勇者王の着地地点が悪かった。

そこには長槍使いの長槍があり、勇者王に刺さってしまったのだ。

 

「これは・・・」

「リーダー対決ってことかな?」

「うん。そうだね」

ゲンと千空は司のチームリーダーの元へ走り、3者が相対することに。

「でも、俺の方が1歩早いね」

司が回したガチャから出てきたのは『不良警官』。『溶岩魔人』と互角の力を持つSRキャラ。

「俺の勝ちだね」

「じゃねぇよ最強高校生」

「だね~。司ちゃん、忘れてない? 戦闘キャラは一度自分で倒さないと操作できないんだよ」

最初から最強の『勇者王』を出していた司は、苦労してこなかったため失念していた。

「つまり、出すならサポートアイテムな」

そう言って千空が引いたガチャから出てきたのは『スタンガン』であった。

 

 

GAME OVER

 

 

 

「うん。なかなか面白かったね」

「科学原理の再現度が細けぇな。楽しめたぜ」

撮影も終わり、TVクルーが撤収していく中、満足する司と千空の表情に、ゲンは「いや~、2人が楽しんでくれて嬉しいよ。ジーマーで」と素直な気持ちでつぶやいた。

その言葉に初対面時の軽さはなく、本音だということが2人にも伝わる。

「じゃあね~司ちゃん。良い番組が作れたよ~。もし機会があったら共演できるといいな~」

「俺もそう思うよ、ゲン」

握手をして別れる司とゲン。

 

 

 

その後、VTR編集に少し顔を出し家に帰ったゲン。

「ひ~、疲れたぁ。ドイヒー作業は勘弁だよ。でも、今日は少し楽しめたね。少しね」

冷蔵庫を開け瓶コーラをプシュッと空け一気に飲み干す。

程よい炭酸が喉を癒し、疲れた目が潤いを取り戻し視界がクリアになる。

「は~・・・ん?」

ふと目についた冷蔵庫に貼られた一枚の紙。

それは数週間前に自室に置かれた、自分では書いた覚えのないメモであった。

ゲンの筆跡で書かれた知らない人の名前と連絡先、そして『合言葉は“ドラえもん”』というデカいメッセージ。

ここまで意味不明な伝言を自分に対して行うのはゲン自身ありえないと思い、何かのドッキリの仕掛けだと思って放置したまま忘れていたものだ。

だが、今ならそのうちの半分が知らないものではなくなっている。

「ジ~マ~で?」

ゲンは恐る恐る、そのメモに書かれた電話番号にダイヤルした。

 

RRRRRR

「はいこちら石神」

聞き覚えのある声が電話口から返ってくる。ほんの数時間前に肩を並べた相手であるから、気のせいではない。

「やぁ、おひさ~。千空ちゃん」

不審すぎる電話だとゲン自身も分かっていた。千空の人間性を考えれば怪しまれて不思議ではない。

「えっとね~。合言葉はドラえも~ん・・・って、変な挨拶しちゃったけど、実は昼間の・・・」

顔を真っ赤にしてタドタドしくなるゲンであったが、電話口の千空は落ち着いた声でこう言い返してきた。

「ククク。ようやく来やがったか。遅ぇんだよ、科学軍団最後のメンバー」

 

 

 

 

その後、ゲンと千空。他のメンバーが顔を合わせるのは、そう遠い未来の話ではなかった。

そして、科学王国主要メンバー全員が揃う日も、そう遠い話ではないのだ。

 

 

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