ドラえもんのび太のDr.STONE   作:三柱 努

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あさぎりゲンは「帰ってきたドラえもん」を疑われる

夏休みに神様シートで作り出し

そのまま忘れて放置して

そして今日、石化光線を全体に浴びせてしまい

人類を絶滅させてしまった地球に今

ドラえもんとのび太が降り立った。

 

「ドラえもん・・・これが日本なの?」

そこは鬱蒼と生い茂ったジャングルであった。何処を見回しても、ビルや電線1つ無い森が続いている。

のび太たちの住む歴史と大差なく経過するこの地球で、現代から何年も経過した今、ここまで未開の地が続いているとは考えられない。

「人間の手が一切触れないまま何年も経つと、こうやって自然に還っていくんだよ」

ドラえもんは苔に覆われた石像を見つけてつぶやいた。

「やっぱりこの地球は全部、石化光線に当たっちゃったんだ。この分だと百年、いや千年は経っちゃっている」

「さっき僕にかけてくれた復元液をかけたら、元に戻るんじゃないの?」

「多分だめだよ。体の一部が欠けちゃっている。こうなっちゃうと怪我を治すどころか、死んでしまうんだ」

石像の壊れた顔の部分を触りながら項垂れるドラえもん。

のび太は他に無事な石像は無いかと、森の中を探し始めた。

「ドド、ドラえも~ん! これ!」

「どうした!? むっ、なんだこれは!」

のび太の叫び声に駆け付けたドラえもんが目にしたものは、開けた森の中に延びる黒い石畳。多少の凹凸はあるものの、立派に舗装された道路であった。

「これって、僕らの町の道にそっくりじゃない?」

「アスファルトだよ。でも、それこそ人間が手入れしないと十年ももたないのに・・・」

アスファルトの道路は川の方角と森の奥へと続いていた。

「この先に行ってみよう!」

ドラえもんとのび太は道路の先に何があるか調べるために、タケコプターで道を下り始めた。

 

しばらく飛んでいると、道は川の近くで途切れていた。ここまでずっと一本道であり、ここが終着点である。

「あれは、船?」

タケコプターを外したのび太が指さした先にあったのは小さな帆船であった。

綺麗な帆に磨かれた船体。何年も放置された物ではないことは確実だ。

「ってことは」「人がいるんだ!」

ドラえもんとのび太は手を取り合って喜んだ。

だがその次の瞬間、何者かが2人の背に飛び掛かった。

「何者だ!」

金と銀の槍が2人に突き立てられる。

「ひぃいい」

「ぼ、ボクたち決して怪しいものでは!」

2人が両手を挙げて降参を示すと、槍の主たちが姿を現した。

一人は黒髪の眼鏡の青年。もう一人は金髪の少年である。

「って金狼、子供だよ。子供と・・・青い・・・大狸?」

「油断するな銀狼。石神村にこんな子供はいない。復活者の子供は未来だけだと聞いている」

「ってことは、大昔に罪を犯して村を追放された奴の子供ってこと?」

金狼、銀狼と呼び合う2人は警戒を緩めることなく、ドラえもんとのび太を縄で縛りあげた。

すると船の方から立派な髭をたくわえた強面のオジサンが姿を現した。どうやら2人のリーダーのような存在であろう。

オジサンはジロジロとのび太の服や顔を睨んだ。

「うーむ、杠の作った服に金狼と同じ眼鏡。千空たちの科学でなければ作れぬものものばかり。盗んできたというのか?」

首をかしげるオジサンに、のび太とドラえもんは「盗んでなんかいません!」「ボクたち、泥棒なんかじゃありません!」と必死に弁明した。

「盗まれたものがあるなら、向こうで騒ぎがあるはずだ。ゲンならば何か聞いておるかもしれん。もうすぐ戻ってくるだろう」

ただでさえ金と銀のおっかない槍に挟まれ、怖い3人に囲まれたドラえもんとのび太は、ゲンという厳しそうな名前の人までやってくるのだと、戦々恐々としていた。

すると森の奥からブロロロと大きな音が近づいてくるのが分かった。

「ゲンが来たか」

そのどこかで聞き慣れたような轟音に顔を上げるドラえもんとのび太。すると音の主である大きなゴリラの顔が道路の奥から現れた。

「これってまさか・・・」「車!?」

地球創世の歴史を1から見てきたことのあるのび太でも、その異様な存在は理解できた。

アスファルトの道路を無視して考えて、この世界の人間の文明レベルは、槍や船を見てもたかが知れている。

そんな隣で走る車は、明らかに文明発展の程度がアンバランスなのだ。

「いや~コクヨウちゃんおまた~。今日も鉄鉱石がゴイス~に採れたよ~」

車を運転しているのは、少しヒョロっとした軽薄そうな若い男ただ1人。厳しそうな雰囲気は無く、ドラえもんとのび太は安心して息を吐いた。

「ん~? 何なに? いつもより人が多い・・・じゃ・・・ん?」

縄に縛られた見慣れぬ子どもと青い物体を目にしたゲンは、言葉を忘れ目が飛び出るほどに驚いていた。

「どうしたゲン?」

「バイヤ~。千空ちゃん、ジーマーで“ドラえもん”でも作っちゃった?」

小さく独り言をつぶやいたゲンは、「いやいやそんなわけないでしょ」と目を擦ってドラえもんを二度見した。

「いや~リアルな話、デザインが同じなだけでしょ。あれかな? 未来ちゃんへのサプライズバースデープレゼント的な?」

車から降りたゲンはドラえもんの頭をポンポンと叩く。

「あの~」

「うわっ、声までクリソツじゃん。のび太くんまで揃えちゃって。似てるよ~」

ゲンがニコニコと2人を褒めると、当の本人であるのび太は「僕の事、知ってるの?」とつぶやき、「どういうことだろうね?」とドラえもんと顔を合わせた。

 

「ジーマーで!?」

ゲンは目玉を飛び出させ、鼻水を垂らし、ひっくり返るほどに白目をむいた。

「何!? どうしちゃったのゲンってば」

「これほど動揺するゲンを見るのは初めてだ」

「そもそもお主はこやつらの事を知っておるのか?」

ゲンのパニックぶりに驚く金狼たち3人。

「いやいやいやいや。知ってるも何も知らないも何も。まずは縄を解いてあげて!」

あたふたとするゲンは震える手でドラえもんたちの縄に手をかけ、それを見ていた金狼が槍の先で縄を切って2人を解放した。

「何だか分からないけど、助かったぁ」

「ゲンさん、ですか? どうもありがとうございます」

ペコッと頭を下げるドラえもんに、ゲンは「こちらこそぉ」とペコペコと頭を下げた。

「あらためまして、ぼくドラえもんです」「野比のび太です」

2人が自己紹介すると、ゲンは「存じておりますぅ。あさぎりゲンです」とひれ伏し、それを横目に3人が「金狼だ」「銀狼だよ」「コクヨウ。石神村の前の長だ」と続いた。

 

「って、こんなことしてる場合じゃない! 早く、千空ちゃんたちに伝えないと!」

土下座から飛び上がったゲンは、足早に船の方に向かって走り出した。

「ゲンさんはどうしたんですか?」

のび太が問うと、コクヨウは「分からん」と首を傾げた。

「だが船に行ったとするなら、おそらく電話をかけに行ったのだろう」

「電話!?」

そう言って目を丸くするドラえもんとのび太。

『まさか車だけじゃなくて、そんな近代技術が存在するなんて。それにあんなに急いで連絡する“千空”って一体?』

するとゲンが船から戻ってくるや、ドラえもんとのび太の手を掴んで「来てちょうだいよ!」と船へ向かって走り出した。

船に乗り込みスピーカーの前に座らされるのび太とドラえもん。

「これが電話?」

「発明されたばかりの頃みたいだね」

「そんなことより! 早く何か言ってあげて! さっきみたいに、自己紹介!」

ゲンに急かされ、2人は「ぼくドラえもんです」「野比のび太です」とスピーカーに向かって話しかけた。

すると、向こうからクックックという笑い声が返ってきた。

「あ~。んなら“ウソ800”でも見つけてから、また連絡くれ」

返ってきた気怠そうな声に、ゲンは「信じてくれない~」と頭を抱えた。

「ゲンからか? どうしたのだ」

「疲れすぎて頭イカれたんだろ。エイプリルフールならまだ笑えんだけどな」

そう言って電話の相手は交信を切ってしまった。

「えっと、これはどうすれば?」

のび太が困惑していると、ゲンは「これは千空ちゃんにサプラーイズのチャンスだね」と、フルフル震えながら笑い始めた。

「お二人さ~ん、この後お暇があったら俺らと一緒に来てほしいんだけど。ご馳走たっぷりで歓迎しちゃうよ~」

ゲンのただならぬ雰囲気に一抹の不安を覚えながらも、ドラえもんとのび太は「せっかくだから、お邪魔させてもらおうかな」と返答した。

「その二人を科学王国へ連れて行くのか?」

「ゲンが世話するのならばいいだろう」

いぶかし気な金狼に、コクヨウが許可を出す。

のび太とドラえもんは「科学王国ぅ?」と、いつもの大冒険を前にするようなワクワクとドキドキを込めた反応を見せた。

「そうだよ。すごいんだよ僕らの科学王国ってばさ~」

銀狼が鼻高々に胸を張ると、金狼に「お前の手柄のように言うな」と釘を刺された。

「いやいや。2人が驚くような科学なんて無いよ。ジーマーで」

腰の低いゲンが予防線を張りながら、5人を乗せた船は一路、石神村へと向かっていくのだった。

 

 

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