今回はある意味、夢オチです。
あらかじめご了承ください。
現実世界では学校で叱られママに叱られ、ジャイアン、スネ夫、ドラえもんにも呆れられる生活。
そんな野比のび太は夢の世界で思う存分楽しむため、ドラえもんに「気ままに夢見る機」をねだり、「夢幻三剣士」のソフトで遊ぶことに。
プレイ開始直後に妖霊軍団に襲われ川に落ち、スネ夫そっくりの騎士『スネミス』、ジャイアンそっくりの騎士『ジャイトス』と出会う。
白金の剣を手に入れたのび太は『ノビタニヤン』を名乗り、3人で夢幻三剣士を結成。
竜の血を浴び不死身の体を手に入れ、妖霊大帝オドロームと戦うため、彼らは旅立った。
そんなところで目が覚めて、ひとまず旅は中断。
のび太は、今度はスネ夫やジャイアン、しずかちゃんも夢の世界に招くことに決め、3人に夢アンテナをセットし、再び夢幻三剣士の世界へ。
【が、この時。夢の世界と現実世界の狭間で、なんとも絶妙な時空乱流が発生。ジャイアンとスネ夫に飛ぶはずであった夢の電波が、別の次元・時間軸に飛んでしまうこととなる】
そんなことなど露知らず。ノビタニヤンは白金の剣を手に森で他の仲間を待っていた。
「ノ~ビタニヤ~ン」
すると現れたのは青い狸のような魔法使い『ドラモン』
「あれ? あとの2人は?」
「そのうち電波に呼ばれてくるよ。ほら、飛んできた」
ノビタニヤンとドラモンに引き寄せられるように、森の奥から浮遊して現れた2人の剣士。
「・・・あれ?」
2人の剣士の姿にノビタニヤンとドラモンは首をかしげる。
昨日、一緒に剣を誓い合った2人の剣士。
1人は変なツンツン髪。
1人はゴリラ風。
その共通点だけは合っていた。
「あ゛? 何だココは? 森林サバイバル訓練・・・じゃねぇようだが」
ツンツン髪のその男は、気怠そうに首をゴキゴキ鳴らす。
「ドラえもん。じゃなかった、ドラモン。ジャイアンとスネ夫を呼んだんじゃないの?」
「うん。どうやら電波の調子が悪いみたい。神様シートの中から来ちゃったんだね」
ノビタニヤンとドラモンは、かつて自分たちが作り出した地球を石化させてしまい、生き残った人類と出会っていた。
その人類のリーダーが彼、石神千空であった。
彼は知らない。
その石化人類の歴史は、一度ノビタニヤンとドラモンの手によって修正され、2人と千空が出会った歴史は無かったことになり、その記憶はノビタニヤンとドラモンの中に残っているだけなのだ。
「ここは何処なのだ?」
ゴリラのようなパワーの持ち主、金髪の少女もまたキョロキョロと森を見回している。
その少女とも、ノビタニヤンとドラモンは石化した地球の人類の集団で出会っていた。
だがそれは修正される前の時代の話。彼女と千空は同じ時間軸に存在しないのだ。
時間軸の突破まで発生している現状に、ドラモンは「調子悪いなぁ、この道具」と口を3にして不満を吐いた。
「見たことのない森だな千空」
少女に話しかけられ、千空は怪訝な顔を見せる。
「誰だ? お前は」
「ん? 場を和ませるつもりだろうが、こんな時につまらん冗談だな。ゲンにでも習ったらどうだ?」
「あ?」
「ん?」
やけに馴れ馴れしい少女の態度に、千空はますます首をかしげる。
首をかしげる千空を見て、少女も首をかしげる。
この険悪というわけではないが微妙な雰囲気に、ノビタニヤンとドラモンは静かに割って入った。
「あのぉ・・・ちょっといいですか?」
「む? キミらは・・・何処かで会ったことがあるような」
「お前ら・・・どっかで見た事があるような」
千空と少女はノビタニヤンとドラモンの姿を見て、脳の奥に引っ掛かるような感覚を覚えた。
思い出せるようで思い出せない。まるで夢の中で既知の情報が思い出せなかったり、未知の存在を知っているような感覚に襲われているように、千空はドラモンの姿に違和感と既視感を覚えつつ、その正体を思い出せずにいた。
「えっとぉ、何から説明したらいいか」
ノビタニヤンとドラモンは、ここが夢の中の世界であり、2人を誤って呼び出してしまったことを説明した。
「はぁん。夢の中の世界ねぇ」
ファンタジーすぎて1ミリも興味を示さない千空は白けた顔で2人を見る。
「そうなんです。それで、僕は白金の剣士ノビタニヤン」
「魔法使いドラモンです」
「石神千空。宇宙飛行士だ」
「科学王国石神村のコハクだ・・・ん?」
千空とゴリラ少女コハクは、互いの自己紹介の直後に顔を見合わせた。
「宇宙飛行士とは、千空。それはキミの父上の話ではないか?」
「コハク? 石神? 琥珀かお前。そうかどっかで見たと思ったぜ。夢の世界・・・デカくなっちまったのか。なら瑠璃はどうした?」
「デカく・・・の件はよく分からんが。ルリ姉? そう言えばおらんな。クロムやスイカもいないぞ」
そう言って周囲を見回すコハクに、千空は「なんで元素と野菜探してやがんだ?」とつぶやいた。
「あのぉ・・・それでこの世界のことなんですけど」
「僕たち夢幻三剣士はオドロームと戦わなきゃならないんです」
状況が少し整理され始めた頃、恐る恐る2人に話しかけるノビタニヤンとドラモン。
「あぁ、その話な。ファンタジーすぎて1ミリ程度しか唆らねぇがな」
「ここは夢なのだろう? どうせ起きるまでの辛抱だ。協力してやろうではないか」
そう言って腰に刺した剣を引き抜くコハク。千空は面倒くさそうにしながらも、渋々協力を申し出た。
こうして、夢幻三剣士と魔法使いドラモンは旅立った。
途中、人語を話すクマの親子と出会い、竜の洞窟まで案内してもらい。
野営の最中、ドラモンがレディースバッグから食べ物やら飲み物を取り出し。
それに対して何故か怒ったノビタニヤンがバッグを天高く投げ捨て、何故かバッグは彗星に引っ掛かり空の彼方へ。
バッグを追いかけてドラモンの箒も空へと消えていく。
「すごいな千空。これも科学なのか」
「いや、こりゃ妖術だろ」
そう言う千空であったが、しばらくしてドラモンが取り出した『タケコプター』という飛行道具に目を丸くした。
竹とんぼのような形状の物体を、頭に乗せるだけで空を飛ぶことができるのだ。
「千空。これは科学なのか? それとも妖術か?」
「いや・・・普通に考えりゃこの構造だと主翼の回転力に負けて体もアホほど回るはずだし、首の骨が折れんだろ・・・妖術・・・だろうな・・・」
取り乱す千空であったが、次にドラモンが竜退治用の武器として『必ず当たる手投げミサイル』を渡してきた時には『もう夢っつうことでいいな。その方が合理的だ』と、考えるのをやめた。
ちなみにではあるが、ミサイルは怒ったノビタニヤンにより没収されてしまった。
そんなこんなもあり、一行は竜の住む谷へたどり着く。
「竜の吐く炎を浴びると石になるそうです。くれぐれもお気をつけなすってください」
「石化効果つきブレス持ちか。こりゃ本格的にゲームの世界だな」
熊と別れ、竜の谷に足を踏み入れる4人。
すると早速、ノビタニヤンが間欠泉に突き上げられてしまった。
「うわぁ! 危ない! ノビタニヤンがどっかに吹き飛ばされたらしい」
「だろうな。そうなると何処に落下するかだが」
千空は指を立て計算を始めた。
ノビタニヤンの装備と体重の合計を50kgと推定。足元が崩れた時の人間の投射反応から姿勢を予測し重心の位置を算出する。周囲の気温から間欠泉の温度と噴出の威力を導き、到達高度から自由落下時間を割り出し・・・
「向こうだ」
千空が指さした先の岩の裏へドラモンが向かい、無事にノビタニヤンを発見する。
「千空! これを見てくれ」
一方でコハクは谷の合間に不気味な石像を発見していた。
「これはまさか石化した人間なのでは?」
「だろうな。そういう設定の」
「助けてやれないのか? 石化を解除する・・・たしかナイタール液とかいうもので」
「なんでそこで工業用の腐食液が出てくんだ? ・・・・いや待て」
そう言うと千空はコハクの体に手を回し、2人で壁の裏に飛び込んだ。
突然のボディタッチに困惑するコハク。
「千空!? 何をして」
「シッ。黙ってろ」
千空が口に指を当て、もう一方の手でコハクの口を塞ぐ。
すると2人の背後から、不気味な叫び声とともに轟音が鳴り響き、巨大な影が通り過ぎていった。
「あれが竜って奴だな。アホみてえなデカさじゃねえか」
「マズイぞ千空。あの怪物の向かった先には2人が!」
コハクの言葉にハッとなった千空が振り返ると、竜の向かった先から暴れるような音とノビタニヤンたちの悲鳴が聞こえてきた。
「チッ、見つかっちまったか」
「音も声も聞こえなくなった。まさか、やられたのではないか?」
「だろうな。ひとまず退却だ。武器と作戦が足りねぇ。このままじゃ全滅すっぞ」
こうして、竜の谷を密かに脱出した千空とコハク。
「それで、これからどうするのだ?」
「ああ、武器を作る。人類史上最大の発明品、銃。つまり、火薬を作る」
千空の頼もしい断言にコハクは「おお!」と歓喜する。
「それはどうやって作るのだ?」
「おありがてぇことに間欠泉があるっつうことは、硫黄が取り放題のバーゲンセールだ。そこに木ぃ燃やして作る木炭をぶちこんで、硝酸カリ・・・が無ぇな。そういや入手手段がねぇわ。何でこの重要アイテムありきで話進めてんだ俺は?」
自分で言っておいて自分でツッコミを入れる千空。
「ならば正面突破しかないということだな」
「いや琥珀。お前いつから危ねぇ橋渡るタイプになってんだ? いや、デカくなった琥珀か。ってことはいつか俺も呼び捨てされんのか・・・」
幼く可愛らしい妹の姿を頭に思い浮かべ、落ち込む千空。その様子をコハクは頭にクエスチョンマークを並べる。
この調子で何も打開策を見つけることができなかった千空とコハクであったが、意外にも無事に外に脱出していたノビタニヤンとドラモンと再会。新たな仲間・剣士シズカールが加入していた。
ドラモンの箒も戻り、箒は土汚れを5人に吹き付けて石像のような見た目に変身させた。
「なるほど『だるまさんが転んだ』作戦か。いかにもRPGじゃねぇか」
「だるまさん?」
首をかしげるコハクとシズカール。
最善の有効策とは言い難いが、どうせ夢なのだから問題あるまいと千空はこの作戦に賛成する。
そして結局。竜との対峙時にノビタニヤンが再び間欠泉に巻き込まれ、無様な恰好からは想像できない華麗な剣捌きで竜の弱点である髭を切断。あっという間に竜を倒してみせた。
「やるじゃねぇか。ならさっさと血を浴びて次行こうぜ」
千空やドラモンが促すが、ノビタニヤンはその優しい性根が災いし、竜にトドメを刺すことを躊躇ってしまう。ちんたらしている間に竜が復活してしまう。
だが、竜はそのノビタニヤンの慈愛の心に感謝し、不死身の効果のある“血”の代わりに、一度だけ復活できる“汗”を5人に贈ると約束した。
「私の汗を温泉に流し込んだ。服を脱いで浸かりなさい」
「なるほど、了解したぞ」
そう言って真っ先に服をがばちょと脱ぎ始めたコハクに、4人が大焦りしたのは言うまでもない。
「ん? 子供たちと千空だろ? 別に微塵も気にしなかろう」
「少しは女の嗜みっつもんをよぉ! 外身と中身は別なのかよ」
真っ赤になった顔を手で覆うノビタニヤンたち3人をその場に残し、千空はコハクの背を押して岩の向こうの別エリアを用意して強引に湯に放り込んだ。
その後、時間差はありながらも5人全員が湯に浸かり、1度だけ復活する体を手に入れる。
「でも、1回しか生き返られないのは、少し心許ないなぁ」
「不死身っつうチートステータスよりか、リレイズの方が面白れぇからな。これで十分だ」
不安を覚えるドラモンだったが、千空が自信ありげに話すのを見て勇気を覚える。
竜と別れた5人は妖霊軍団が待ち受けるアンデルシへと向かうことにした。
そのためには激流の川を下る必要がある。
ノビタニヤンが大木を切り倒し、白金の剣をチェーンソーのようにして操り、あっという間に船を作り上げる。
「で、誰がこの船を操舵するのだ?」
コハクの言葉に全員が言葉を失う。
するとコハクは胸を張って言い放った。
「だろうと思ったぞ。安心しろ、私は水の民・石神村のコハクだ。小さい船だがこの程度の激流であれば父上直伝の操舵術で皆を町まで連れて行ってやる」
「おお!」と感心する3人。
千空だけは「百夜の野郎。んなこと教えてやがったのか?」とひとり呟いた。
こうしてアンデルシにたどり着いた5人。
妖霊軍団の攻撃を受けて、町には数えられる程の兵しか残っていなかった。
どうやら敵は土の体を持つ魔物の軍団で、一切の攻撃が通用しないらしい。
生き残れたのは、突如降り出した雨によって敵が撤退したおかげだそうだ。
「つまり水が弱点っつうわけか。分かりやすくていいじゃねぇか」
「何か策があるようだな千空?」
「ああ。町ん中におびき寄せて水攻めにする。一網打尽作戦だ」
千空の知将っぷりにノビタニヤンたちだけでなく兵たちも期待の色を見せる。
「問題は2つ。1つはこの作戦に必要な囮役だ。敵全員を引き付ける役は100億%一番死ぬリスクが高ぇ」
「ならば私以外にいるまい。身軽さ私にかなう者が他にいるか?」
名乗り出たコハクに、ノビタニヤンたちは反論できない。
千空としては彼女を危険に晒すリスクは避けたいところ。だが、それ以外に合理的な策はない。
「無理だけはすんな」
「はんっ。死ぬ気なんぞ毛頭ないぞ」
そう言って拳をゴッと叩き合う2人。その間に漂う信頼感に、ノビタニヤンたちは「カッコいい」と思わず漏らしていた。
「まぁもう1つの問題解決できなきゃ意味ねぇ心配だがな。2つ目は水攻め用の水の確保だ」
「そうだよ。そんな大量のお水なんて何処にあるの?」
ノビタニヤンの指摘に、千空はニヤリと笑う。
「あんじゃねぇか、町の周りに。川の水を汲み上げる。作ってやるぜ原始的なポンプをよぉ!」
千空が指さしたのはアンデルシを囲う川。その川から水を汲み上げるポンプを作るというのだ。
「こいつが、ポンプ作成のロードマップだ。時間がねぇ。急いで作るぞ!」
そう言って千空はポンプの設計図を描き上げる。が・・・
彼の計画は破綻した。
作戦は破綻していない。
何故なら『とりよせバッグ』があったからだ。
それはノビタニヤンが投げ捨てたドラモンの秘密道具。彗星と共に彼方へ消え、シズカールが回収していたものだ。
とりよせバッグで取り寄せた『ラジカセ』を囮にして、『川の水』を取り寄せて大量放水。
これにより土の魔物は全滅した。
軍団のリーダー・スパイダル将軍が生き残ったが、白金の剣の猛攻を前に撤退。
ノビタニヤンたちは完全勝利を果たしたのだった。千空の策抜きで。
その後、ノビタニヤンたちは妖霊軍の大軍が押し寄せるシャルペロ城に援軍に向かうこととなった。
「うわぁ大軍だ。今度はものすごい道具を取り寄せないと」
氷や鉄の怪物の大軍を前に、危機感を募らせるノビタニヤンたち。
ドラモンはとりよせバッグで『すごいポケット』を取り寄せ、自身の腹に取り付ける。
「なんかしっくりくるね、ソレ」
皆がフィット感に満足している間に、敵は攻め込み始めた。
最初に飛び出すのは投石器。炎を纏った岩が次々に城に向かって投擲される。
「無重力ネット」
するとドラモンはバズーカのような道具をポケットから取り出し、網を射出し岩を捕えて敵の攻撃を防いだ。
「やるじゃねぇか。原理はアホみたくシンプルだが」
褒める千空は、ポケットから道具を探すドラモンに負けじと『とりよせバッグ』から自分の戦力になりそうなものを探した。
そうしているうちに、次に敵が送り込んだのは水の精大隊。
矢も効かない物理耐性MAXの化物である。
「ククク。今度は水の化物か。なら科学の出番じゃねぇか。この生石灰と・・・」
「寒波発射扇風機!」
千空が解説している間に、ドラモンはポケットから巨大な扇風機を取り出し、そこから放出される冷気を水の怪物に当て、氷漬けにして倒してのけた。
「・・・・」
次に攻めてきたのは鉄の精大隊。こちらは物理防御ブッパの化物といった見た目だ。
「鉄なら錆やら熱やら弱点だらけ・・・」
「ミニカミナリ雲!」
そう言ってドラモンは雷雲を発生させ、鉄の精を一撃で粉砕して見せた。
「・・・・」
その後、しびれを切らした敵は大将のジャンボス自ら一騎討ちの勝負を挑んできた。
が、ノビタニヤンの見事な剣技を前に瞬く間に敗北。
こうして、ノビタニヤンとドラモンの活躍により、人類は妖霊軍団の大隊に勝利した。千空の策抜きで。
その夜、シャルペロ城は勝利の宴が開かれる。
が、ここで思わぬ事態が発生する。
妖霊大帝オドローム自ら、夜襲を仕掛けてきたのだ。
城で唯一、催眠術にかからなかったノビタニヤンが迎え撃つも、オドロームの圧倒的な力の差を前に成すすべ無く、戦意を失ってしまう。
「これでお前はただの人間。白金の剣士よ、死ぬ前に仲間の最期を見物するとよい」
そう言うとオドロームは眠ったままの千空、コハク、ドラモン、シズカールを操り、ノビタニヤンの前に並ばせた。
「やめろ、やめてくれぇ」
ノビタニヤンの懇願を嘲笑うように、オドロームは怪しい光を千空たちに向ける。
「ワシに歯向かう者は皆こうなるのだ」
光の帯が千空たちを包み、4人の体は一瞬にして灰と化した。
「そ・・・そんな」
だが、竜の汗を浴び、1度は生き返る体となった千空たちは、灰の中から再び元の姿を取り戻す。
「あ? 何だ・・・ここは」
「千空、私たちは一体・・・」
「あっ! あれは」
「妖霊大帝オドローム!」
目を覚ましてすぐの超展開に、驚き慌てふためくドラモンたち。
「みんな、駄目だ。逃げて!」
ノビタニヤンの必死の叫びを、オドロームは嘲笑う。
「こやつらに何ができる? 白金の剣士よ」
「ククク。ああ。何ができるか知りてぇ。そういう好奇心っつうのは立派だぜ」
この状況でニヤリと笑う千空を、オドロームは睨みつけた。
「この状況で、貴様なんぞに何ができる?」
「あ? お前をブチ殺すことができる」
千空の不敵な勝利宣言に、オドロームは高笑いした。
「面白い。このワシを倒せる唯一の武器が、そこの腑抜けが持つ白金の剣だと知らんようだな」
「白金・・つまりはプラチナだな。そいつを俺が“取り寄せ”てねぇとでも思ったか?」
そう言うと千空は自分の剣を引き抜いてコハクに渡した。
その剣は鉄とは異なる、白い光沢を放っていた。
「アホほど贅沢なプラチナ加工だ。琥珀、遠慮なく投げろ」
千空の言葉に「ああ」と、返事と同時に剣をオドローム目がけて投げつけるコハク。
「馬鹿め」
オドロームはそう言うと、持っていた杖を巨大な大木に変化させ、プラチナの剣を弾き返さんと伸ばした。
「残念。ビッグライト!」
千空はとりよせバッグから四角い懐中電灯を取り出すと、プラチナの剣に照射した。
その途端。巨大化したプラチナの剣がオドロームを一刀両断する。
「なっ!?」
「ククク。残念ながらお前が殺してくれたおかげで、夢ボケが覚めちまったぜ。今の俺は“ドラえもん”マニア歴20年以上の秘密道具マスターだ」
ドラえもんの事も、のび太の事も、秘密道具のことも全てを思い出した千空がニヤリと笑う。
が・・・
「馬鹿め」
オドロームもまた割れた体を復元させ、千空に笑い返した。
「あ?」
「ワシの弱点は白金の剣に宿る魔力のみ。模造品ごときが、夢の世界でワシに勝てるとでも思ったか!」
そう言うとオドロームは再び怪しい光を杖に宿らせる。
今度こそ万事休すか・・・そうドラモンたちが覚悟する。
「まぁ、だろうな。夢の世界ほど最強なモンはねぇよ。夢、ならな」
そう言うと千空はニヤリと笑い、とりよせバッグの中から人間の右手を取り出した。
「む?」
「これで終わりだ。オドローム」
そう言うと千空はオドローム目がけて、その右手を投げつける。
オドロームは怪しい光の帯を千空に向けて放った。
その右手は、光の帯を切り裂いて、一直線にオドロームの元へと飛び込んだ。
「ば、馬鹿な!」
右手の拳がオドロームの体を貫く。そして、オドロームの体中を走り回り、あらゆる部位を摘まみ上げていく。
「ぐぉおおおお」
右手に摘まみ上げられ、徐々に体が朽ちていくオドローム。
「こいつはな、夢特攻ゴリゴリのアホな道具。その名も、『夢確かめ機』様だ」
ついに、オドロームは倒れた。
その魔力とリンクした妖霊軍団も消滅し、世界に平和が訪れ。
ゲームクリアとなった。
ある朝、千空は目を覚ました。
「アホみてぇな夢だったな。ガキか俺は」
そう言うと千空のベッドを占領して眠る2人の妹、琥珀と瑠璃に布団をかけて、顔を洗いに部屋を出た。
ある朝、コハクは目を覚ました。
「・・・・変な夢を見たものだ」
そうつぶやくと布団を抜け出し、今日もまた巨大船ペルセウスの建造のために、準備運動を始めるのだった。