ドラえもんのび太のDr.STONE   作:三柱 努

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※ 物語の都合上、独自設定として
1.千空たちの地球には漫画・アニメ・映画ドラえもんは存在するが、映画「ドラえもんのび太と銀河超特急」が存在しない
2.神さまシートにバックアップ機能を追加
を盛り込んでおります。



ドラえもんのび太と千空の銀河超特急
ドラえもんのび太と千空の銀河超特急 その1


22世紀で大人気の銀河ミステリー列車『銀河超特急』のチケットを苦労して手に入れたドラえもん。

のび太経由でいつものメンバーを誘い列車旅行を計画していたが、タイミング悪くスネ夫もまた“地上ミステリー列車”のチケットを手に入れ、のび太を除け者にして自慢している最中であった。

スケールで言えばスネ夫の完全敗北ではあるが、彼が負け惜しみに宇宙の怖さを指摘したため、危険を恐れた3人をのび太は誘うことができなかった。

ドラえもんは落胆していた。入手困難なチケットで個室を5つも取っていたのだ。

のび太と2人で貸し切りにするのもいいが、誰かを誘わないと勿体ない。

 

「じゃあさ、“あの人たち”を誘おうよ」

のび太の提案に首をかしげるドラえもん。そんな彼のポケットに無理やり手を突っ込んで、のび太は少し小さいカーペットのようなものを取り出した。

「グフッ、何するののび太くん、くすぐったいよ。って、なんだ神さまシートじゃないか」

それはドラえもんがのび太の夏休みの自由研究用に“地球”を作り出した時に使った道具であった。

「このあいだ、1日未来のボクたちが言ってたじゃないか。うっかりこの中の地球の人類を絶滅させちゃったって」

「そうだね。リセットはしたみたいだけど、生き残った人たちが150人くらいしかいなかったって」

「だからそのお詫びに、このツアーに呼んであげられないかな?って」

「う~ん、できなくはないよ。ボクもこの前、説明書を読んだんだけど、“バックアップデータ”のボタンを押すと、リセットした時に生まれたパラレルワールドに行けるみたいなんだ。だから、その150人しか人のいない世界に行って、事情を話して、何人かをコッチに連れてくることはできる」

ドラえもんはそう言って神さまステッキをポチポチと操作し、神さまシートの中から見える宇宙空間をワープ空間のような虹色に変えて見せた。

「はい、これで出来上がり。じゃあのび太くん、早速」

「やり直す前の世界へ、レッツゴー!」

こうして、バックアップされた側からしてみれば倫理観の崩壊しまくった機能を使い、ドラえもんとのび太は人類石化から3700年以上経過した自家製の地球へと降り立った。

 

 

大気圏を越えてすぐ、2人は自らの呑気さと罪の深さを思い知った。

山の峰に降り立ち周りを見回すドラえもんとのび太であったが、広がるのは鬱蒼としたジャングルと化した日本。2人が最後に見た時に栄えていた人類の文明の全てが失われ、人類の全てが朽ちた石像と化していた。

「これが・・・地球・・・未来のボクたちが絶滅させちゃった・・・」

「こんなところで生き残っている人たちが、本当にいるのかな?」

そう言って腕を組むドラえもんであったが、遠くに白い煙が昇っているのを発見した。

それは火山や山火事ではない、紛れもない人の痕跡である。

「行こう、のび太くん!」

タケコプターで煙の方角へと急ぐ2人。

 

そこには小さな集落があった。

湖の小島に橋を渡し、その上に木や藁で作った小さな家が並ぶ。

その近くで仕事をする人たちは植物や動物の皮で作ったような服を着て、仲良く楽しそうにしている。

「よかったぁ。平和な村があって」「そうだねドラえもん」

2人が微笑ましく村の人たちを見下ろしていると、その中の1人がドラえもんたちの姿を見つけたようで空を見上げて唖然としていた。

この原始時代には少し奇妙な“ハンチング帽”みたいな被り物を頭に乗せた若い男だ。

ドラえもんの経験上、“気球や飛行機の無い時代”に空を飛ぶ人間を見つけた人がどういうリアクションをするのか分かっていた。

「ドラえもんだ~!」

そうそう、こうやって叫んで人を化け物呼ばわりして驚く・・・

「「ん?」」

ドラえもんとのび太は顔を見合わせた。

 

すると男性の叫びに気付いた村の人たちも次々にドラえもんとのび太の姿を見上げ、手を振って挨拶をしてくるではないか。

「お~い。こっちこっち~」「久しぶり~」「う~む、あれも科学か。凄まじいな」

賑やかに歓迎ムードを漂わせる村人たちに招かれ、ドラえもんとのび太は村の中央あたりに降り立った。

「えっと、あの」「お久しぶりです、なのかな?」

自信なさげに腰を低くするドラえもんとのび太に対し、村人たちは誰もが笑顔で2人を迎える。

訂正しよう。先ほどのハンチング帽の男性だけは依然として目を見開いて驚いた表情のままだ。

「せ・・・・千空ぅ~!」

走り去る男性を見てドラえもんは「あの人どうしたんですか?」とつぶやくが、村人たちも「さぁ」と首を傾げる。

「よく来てくれた2人とも。前に千空が『この世界が消えるから二度と会えん』とか妙なことを言っておったが思い過ごしだったな」

「あれは怖かったんだよ~」

髭をたくわえた長老っぽい人が足元に転がるスイカを踏まないように前に出て、ドラえもんとのび太に握手を求める。

その言葉の意味を半分理解した2人であったが、「えっ? アハハ、いや~」と笑って誤魔化した。

すると3人の女性がサササと歩み寄り、ドラえもんとのび太を囲んだ。

「ね~、また前みたいなすっごく美味しいご飯作って~」「ラーメンより美味しかった“すぱげってい”ってやつ~」「おごっておごって~」

人生稀に見る美女からモテモテ具合に、鼻の下を伸ばしまくる2人。

 

こうして賑やかに村人たちにチヤホヤされる2人の元に、村にかかる橋の向こうから、これまた必死の形相で数名の男女が走って現れた。

「また来てくれたのかぁ! 千空よりヤベェ科学使いが!」

「羽京ちゃんそれジーマーで? エイプリルフールとかウソ800とかじゃなく?」

「はっはー! 息抜きにランニングもよかろう。自衛隊式の緊急訓練の一環だな。違うか?」

「おそらく違うかと」

「ん? あれはいつぞやの狸と眼鏡の少年ではないか?」

「ぜぇっぜぇっぜぇ」

1人死にそうになってはいたが、ドラえもんとのび太の姿を確認するや、うち2人が目を白くさせて驚き卒倒した。

 

 

 

「つまり、ぬか喜びのお詫びに来たってか? ほぉそりゃずいぶん唆る話じゃねぇか」

全員が落ち着いた頃、ドラえもんとのび太から事情を聞いたリーダー格の少年が、これまた話が早くて助かるスピードで状況を理解してくれた。

若干その顔は悪だくみでもしていそうな悪人面ではあったが、絶滅した人類を救済する策があるからと、その元凶たるドラえもんとのび太の罪を問わないことを約束してくれた。

「はぁ、よかった。一時は袋叩きにされるんじゃないかって心配したんだ」

「ククク。んなもんに興味はねぇよ。それよか興味があんのは・・・」

千空はそう言うと交渉スタイルのように手を合わせ、同時にその隣に立つゲンという男がズイと前に出た。

この2人は算段していた。ドラえもんから如何に多くの恐喝・・・ではなく強要・・・ではなく、協力を引き出そうか、と。

が、そんなこととは微塵も思っていないのび太は、サラッと本来の目的を口に出した。

「これで安心してミステリーツアーに誘えるね」

 

この言葉に“現代人組”と名乗る5人がピクッと動きを止めた。

「銀河超特急ってツアーなんですけど、個室を5つも予約したのに、誘う相手がいなくて困ってたんです。それで・・・」

ドラえもんの説明を待つ前に、5人は全てを察していた。

彼らの住んでいた21世紀の科学技術ですら未知の領域である22世紀の旅行に、58世紀の原始時代から参加できる夢のような話。

 

定員は5人

 

下手をしたら

 

戦争が起こる

 

「ちょっと~、ドラちゃんとのびちゃんは待っててね~」

そう言ってゲンは2人を村人たちに任せ、千空ら数名と共に離れて作戦会議に入った。

 

 

以下は彼らの話し合いである。

「俺が行くぞ!」

「僕だって行きたい!」

「おぉ、なんか知らねぇがヤバそうだな。俺も行きたい!」

「雰囲気だけだが、私も行ってみたいぞ!」

「スイカもなんだよ!」

5人の手が我先にと千空の顔を突くくらいに前に出る。

この旅行に同行するメンバーを科学王国民の、特に現代人組全員から募集してしまえば、選ぶ過程でもそうだが、いざ選ばれなかった者との間で今後の関係性に支障をきたすのは間違いない。

密かに話を進めてしまい、リーダーである千空に選定してもらったほうが後腐れが残らないのだ。

であるならば、その限られた中で自分の主張を推さない手はない。

アピール合戦。そう、これは戦争にならないようにするための合戦なのだ。

 

「だ~待て待て! ガキじゃねえだろオメーらは」

「そうだよ。第一みんな知らないでしょ? 宇宙って真っ暗で空気もないし、狂暴なエイリアンやブラックホールだってあるし。流れ星にぶつかったらジーマーで即死よ」

ゲンがネガティブキャンペーンで牽制するが、5人の熱意は留まるところを知らない。

そこに口を挟んだのは冷静な執事・フランソワであった。

「1つよろしいでしょうか? 我々の今置かれている状況、この旅に参加される方々は各々が“より大きな成果”を持ち帰っていただける方を選出するのが良いかと思われます。ただのご旅行感覚で行かれて何も得られず帰ってきたのであれば、皆様からの責め苦が待っていることでしょう」

フランソワの指摘により、合戦場に秩序が生まれた。

後で文句を言われないかと自身のアピールを見つめ直し、主張に慎重さが生まれたのだ。

 

「じゃあまずは枠の確認からいっちゃおうか~。まずは千空ちゃん固定メンバーでしょ? 残る4枠もよ~く考えなきゃいけないよ~」

ゲンが仕切るとロクなことにならないと皆が経験しているが、それでもこの話し合いに司会を設けるとすれば彼をおいて他に務まらないだろう。

「まずは反映枠ね~。旅行で見てきたものを科学王国の発展のために活かせるよ~って子がこれに当たるよ~」

「はっはー。ならば俺において他あるまい? 造船技術の吸収力を舐めるな!」

高らかに笑う龍水。選出間違いなしの実力を自負し、勝利宣言していた。

他のメンバーもそれには納得の表情を見せる。

が、そこに待ったをかけたのは誰あろう中立であるべき立場・司会のゲンであった。

「でもね~。現代人の視点から学ぶって、千空ちゃんで済む話なんだよね~」

「がっ・・・たっ・・・・」

ゲンの意見にぐぅの音も出ない龍水。

「ならゲン、なんでわざわざ反映枠なんて言い出すんだい? 千空に勝てる人間なんていないじゃないか」

「まぁ現代人の視点でって話ならね~。でもどう? 現代人以外の視点で22世紀の技術を見て学んでもらうのに打ってつけの人ってなったら?」

ゲンのニコッと(ニヤーっと)した笑顔に、その場にいた誰も彼もの目が1人の少年に注がれる。

「お、オレ?」

「たしかにな。クロムの吸収力は折り紙付きだ。科学王国発足時から見てきた私が言うんだから間違いない」

金髪の少女・コハクに太鼓判を押される鉢巻きの少年・クロム。

この提案に異を唱える者はいなかった。

 

「じゃあ次は交渉枠ね~。当然、21世紀の常識の通じない22世紀の旅行だから、どう動いたらいいかワケわかんないよね~。未来のツアーガイドさんとの交渉術を持った子じゃないと~」

ネチッこく言う必要も無い話に、誰もが「はいはい」と適当に相槌を打った。

「お次はボディーガード枠。宇宙人とバトったりしないだろうけど、地球とは勝手が違う宇宙に行くんだから、運動音痴の千空ちゃんとかが怪我しないように守ってくれる子が欲しいとこなのよ」

「なるほど。それならば私が適役であろう?」

「う~んたしかに。他の候補に僕とかマグマとか陽とかニッキーとかいるけど、千空とクロムと慣れ親しんだ人がいいよね。大樹もいいけど、すばしっこいほうが無重力空間で強そうだ」

こうして5人中4人の枠が埋まり、半ば諦めを見せる羽京と違い、徐々に焦りを見せるのは龍水。

 

「じゃあ最後の枠は・・・成長枠~。この旅行を通して成長できる子。誰かいるかな~?」

ゲンの流し目にフンと鼻を鳴らす龍水。

「俺を置いて他にいるまい? 探求心はイコール成長率のステータスだ」

金の力もあるとはいえ、幼い頃から人並外れたスピードでスキルを身につけまくった男に、誰も文句を言えない。そう誰もが思った。

「たしかに龍水ちゃんはチートレベルアップしそうだね~。でもね~、俺的にはスイカちゃんがオススメなのよ~」

ゲンの一言に凍り付く龍水の顔。そして急に話題に上ったスイカは、一瞬何の話をされているか理解が追い付かなかった。

「えっ? え~! スイカなんか龍水に勝てるとこなんて何一つ無いんだよ!」

謙遜するスイカに、ゲンが優しく笑いかける(ように見えた)。

「まぁゲームに例えちゃうとだけど。レベル上げの旅に連れてくキャラって、レベル20よりレベル1の子の方が、同じ時間でも“戦力になるまで上り詰めてくれた”感が違うのよ。そりゃ龍水ちゃんだってレベル爆上がりしそうだけど。スイカちゃんへの期待値って皆どう?」

ゲンに促され目を閉じる龍水。

無論、子供から旅行の機会を奪うのは大人げないという面もあるが、そこにスイカの成長に期待したいという“言い分”を並べられれば、応じざるを得ない状況だ。

 

 

こうして、5人の旅行メンバーが選出完了となった。

千空、クロム、ゲン、コハク、スイカの5人がドラえもんの前に並ぶ。

「って、お馴染みのメンツが残っただけじゃねぇか。科学王国立ち上げ時の」

「あらジーマーで? 驚きだね~」

「そういうのいいから。とりあえず千空に皆。土産話を待ってるよ」

「おうよ! 山ほどの科学の土産を持って帰ってやるよ!」

「じゃあドラえもんとやら、お願いするぞ」

「こちらこそよろしくお願いします。ハイ、どこでもドア~!」

ドラえもんがポケットに手を突っ込み、そのサイズから物質量的にありえないサイズの桃色の扉を取り出し、地面の上に突き建てる。

「では科学王国御一行様。どうぞ中へ」

ドラえもんに促され、扉をくぐる5人とのび太。

 

 

扉の先はまるでホテルのような広い空間であった。

「ここはどこなのだ?」

「僕らの客車ですよ。列車の中です」

「ジーマーで? 未来の列車って横幅広すぎでしょ・・・」

「うぉお! これが22世紀の科学ってやつか! スゲェ平らだ! 壁も床も磨いたみたくツルッツルじゃねぇか!」

「こんなに広い建物は初めてなんだよー!」

「この程度で驚いてんじゃねぇよ。体力持たねーぞ」

興奮する石神村民3人に現代人1名。千空は驚きを口には出していないが、あえてポーカーフェイスを装っているくせに心がウキウキしているオーラをバンバンに出していた。

「じゃあ皆さん、まずは部屋に荷物を置いてきてね。僕らは1号室から5号室まで使えます」

 

「・・・・・・・・・」

 

ドラえもんの一言にその場にいた6人は気付いた。

「いっけね~。5+2は7だった~」

ドラえもんとのび太がうっかりしていることを良いことに、しれっと5人も枠を入れたことをトボける千空に、そうとは気づかなかったクロム・コハク・スイカ、そしてドラえもんとのび太はズゴーとひっくり返るのだった。

 

 

「なぁ千空。部屋が足りないっつうなら、俺とお前はいつもみたく一緒の部屋でいいんじゃねえか?」

「ま、ハナッからそのつもりだ」

「なら私とスイカも一緒でいいぞ」

「皆さんがそれでいいならありがたいです。じゃあ僕は予約の部屋以上に人数が入っていいか、車掌さんに確認してきますね。たぶん大丈夫だと思うんですけど」

そう言って先頭車両に去っていくドラえもん。

 

 

こうして、紆余曲折あったものの無事にミステリートレインツアーに参加したドラえもんと千空たち。

彼らを待つのはどんなミステリー、ロマンス、サスペンス、アドベンチャーだろうか。

 

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