ドラえもんのび太のDr.STONE   作:三柱 努

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銀河超特急その4

ドリーマーズランドを満喫するべく、レンタ・ロケットで西部の星へと飛び立つドラえもんと千空たち。

7人がそれぞれ搭乗したプロペラ機とヤのつく人の乗りそうな黒塗り車は、本星の大気圏を突破し宇宙空間へと飛び込んだ。

「おぉおおお! ヤベぇぞこれ! 気球なんか目じゃねぇ!」

「見ろ! 地面がもうあんなにも小さく。科学とはすこぶる素晴らしいな!」

「もうお空が真っ暗なんだよ!」

ガラスの向こうはもう宇宙空間。3700年を余裕で飛び越えた科学の景色に興奮を抑えられないクロムたち。

そんな中、千空は何とも切なげな顔で宇宙の暗闇を眺めていた。

「あれ? 千空ちゃん待望のロケットで宇宙旅行じゃないの?」

「ああ。呆気なさすぎてドン引きしてんだよ。百夜の野郎がISSに行くのに5年。リアルの発射に5,6時間。そいつが22世紀にゃ秒だぜ?」

科学技術の発展で21世紀人類の夢がコンビニ感覚に変貌したことを察したゲンは「あはは~だね~」と千空に合わせて苦笑いするしかなかった。

 

 

その後、西部の星へとたどり着いたドラえもんたち7人。

ロケット降り場で車から外に出ると、そこはもう異星というよりも、ただの荒野の町の光景であった。

「ここが西部の星なんだよ・・・西部って何?」

「だいたい俺らの時代より150年くらい前の、アメリカって大陸を開拓してた頃の事だよ~。未開の地で原住民やらライバルの開拓民と競って、科学技術を発展させながら住める地域をドンドン広げていった時代のこと」

「ほぉ、まるで千空や私たちじゃないか!」

「だな」

西部の星は星全体が19世紀のアメリカを再現し、射撃や乗馬、西部劇風のアトラクションを楽しめる星である。衣装も貸し出され、保安官やカウボーイ、貴婦人やインディアンなどの19世紀人になりきって楽しめる。

 

千空たちが到着して早々、この星のメインイベント『射撃大会』が開催されるところであった。

「よし。まずはコイツに参加すっか」

千空のノリノリの提案に、クロムたちは快諾する。

「おうっ! 千空が率先して奨めてくるっつうことは、科学イベントか!?」

「ククク。科学要素っちゃあ科学要素だが、それよかスゲェもんが見られるからな」

そう言って笑う千空は、そっとのび太の肩に手を回した。

 

 

その後、7人はイベント参加のためにホテルで衣装チェンジ。

『着せ替えカメラ』でテンガロンハットにダスターコート、ウェスタンシャツにジーンズ、ブーツと、保安官衣装に変身した。

「なるほど、これはめっぽう動きやすいぞ」

おしとやかさの欠片もないコハクのサマーソルトが炸裂し、動きやすさを確認した7人は射撃大会の会場へ。

大会のルールは早打ち的当て。銃弾6発で6個の空きビン・空き缶を撃ち、2発以上命中すれば合格だ。

「ねぇねぇ千空、拳銃ってなぁに?」

「司帝国に攻め込んだ時の戦車あっただろ? あれの小さい版だ」

スイカの無邪気な質問にスケールやら色々と間違っていながらも的確な説明をする千空。

「引き金っつうココを引きゃあ、銃口っつうココからまっすぐ銃弾が飛ぶ。正確に銃口が目標に向かってりゃ当たる。まぁ実際やってみりゃわかるが、手の小さな震えや反動で合わせた標準の通りに弾が飛んでくれるわけじゃねぇぞ」

「う~ん、難しいんだよ」

「撃ってみりゃ意外と簡単だってわかるさ。だがなこの銃って奴は本来、司が俺を殺したり、氷月が初見で撤退を決めたヤベェ殺人兵器だ。危ねぇから気ぃつけろよ」

千空の脅しにアワアワと震えるスイカ。

「そんな銃で遊んじゃうって・・・ちょっと不謹慎だよね~俺ら」

 

そんな中で始まる射撃大会。

22世紀の大人や子供が挑戦していくのをジッと観察して銃の使い方を学ぶ58世紀のクロムたち。

「次の方!」

審査員に呼ばれ、まずは千空の挑戦である。

 

カンカンカンパンカンカンカン

 

命中1発失格

「ウソだろ千空! 科学の武器じゃねえのか!?」

「知識と実技は別だからな。しかもコイツ安全銃のくせに反動が本物並みっつうのは盲点だったな。エイムがブレまくって仕方ねぇ」

失格しながらも悔しそうな様子を見せない千空。

 

続くコハクは命中1発。クロム、スイカは命中ゼロで失格。スイカに至っては1発目の反動に驚いて尻餅をついて、観客から笑いが起こっていた。

「銃というものは、めっぽう難しいな」

「く~悔しいぜ。なんか、あとちょっと慣れてくれば当てれそうな気もするんだけどよぉ」

「こんなの手が震えちゃうんだよ」

「まぁ、筒状のモンの先をまっすぐ向けるなんて、科学王国じゃまだまだ非合理的な動きだからな」

残念な結果ながらもそれなりに楽しむことのできた3人。

次なる挑戦者はゲンであった。

 

ズキュン ズキュン バリン バン コン バリン ズキュン

 

命中4発合格

「おー! すげぇなゲン!」

ドヤァと笑うゲンを、まるで自分の事のように喜んで祝福するクロム。

「いや~、これでも手先の器用さには自信があるからね~。ゲーセンでガンシューティングとかもやってたし」

そう言って銃を手の中でクルクルと回し、かっこよくホルダーに収納するゲン。

「だがまぁ、このゲンの天下もすぐ終わるがな」

そう言ってニヤリと笑う千空に、ゲンもまた「真打登場だからね~」と笑い、後ろに控える眼鏡の少年に視線を向けた。

 

ゲンの次はドラえもんで3発命中合格。

そしてついに、のび太の出番となる。

列車でのび太たちを昔モンと言って馬鹿にしていた子供たちがヤジを飛ばす中、のび太は早打ち7発で・・・

 

バンバンバンバンバンバンバン カランカラン

 

のび太の射撃後にカランと転がる空き缶。「命中1発失格」との判定が下り、子供たちが嘲り笑う。

「せ、千空。こんなことが本当にできるのか?」

この光景に目をカッと見開いて驚くコハクに、「気付きやがったか?」と千空はニヤリと笑った。

命中は1発ではなかった。

のび太の放った銃弾は全弾、たった1つの空き缶に命中していたのだ。

しかも、最初に放った銃弾に弾かれ宙を舞う缶に、続けざまに残りの銃弾を撃ち込んでいた。

2弾目3弾目の衝撃で宙の同じ場所に漂っているわけではなかった缶を撃ち抜き続けるというという離れ業。

当然、文句なしの合格である。

「チートすぎんだろ。重力も空気抵抗も地球と同じじゃねぇ環境で、初見でこれをやるか普通?」

 

 

その後、保安官助手に任命されたドラえもん、のび太、ゲンは、町に現れた銀行強盗を追ってデスバレーという谷に向かった。

「3人とも行ってしまったな。私たちはこれから何をするのだ?」

「まぁとりあえずは散策だな。何も撃ち合いっこばかりが西部開拓時代じゃねぇ。他のアトラクションでも見て回るもよし、建造物の建築方法を見て技術を盗むもよし」

「それよりもゲンたちは大丈夫かな? 強盗って怖い人たちを追いかけに行って、スイカは心配なんだよ」

「どうなんだ千空? 3人とも無事に帰ってこれそうか?」

「それか他の参加者が先に手柄を立てて、3人とも何もせず帰ってくるかもしれんぞ?」

「いや・・・俺の予想では・・・・」

 

 

一方

千空たち4人がゲンたちの成果予想をしていた頃、ドラえもんたちは強盗団のアジトへと辿り着いていた。

強盗団4人に他の保安官助手全員が返り討ちに遭っている。腕利きのガンマン4人を相手にゲンたちは3人。真っ向勝負は明らかに悪手だ。

「ドンブラ粉~!」

ドラえもんがポケットから取り出した粉を地面にふりかけると、地面はたちまち泥のようになり、3人は潜って移動できるようになった。

だが、ゲンだけは地面には潜らず、正面から接近することに決めていた。

「俺が囮になるから、ドラちゃんとのびちゃんで挟み撃ち。これでどう?」

「大丈夫なんですか?」

「これでもメンタリストだからね~。今回は命の危険も無いし。でも、ジーマーで一発勝負だから二人ともよろしくね~」

ヘラヘラと笑いながら本心を隠し、死地へと赴くゲンの姿を、のび太とドラえもんは『カッコいい』と憧れた。

 

 

ドラえもんとのび太はアジトの建物の両脇に潜むため先行した。

あとは頃合いを見て、アジトの門に隠れたゲンが囮になるだけ・・・そういう計画であった。

 

が、そこに思わぬ事態が。

強盗団の一人が不意に外に出てきてしまったのだ。

それに驚いたのび太は地面に潜りこむが、残されたテンガロンハットだけが不自然に地面に残される形に。

「ジ・・・ジーマーで!?」

不測の事態に焦るゲンは急いで帽子やコートを脱ぎ、保安官バッジを外して強盗団の前に姿を現した。

「あの~。ちょっといいかな~? 西部の星の職員さん? アトラクションのエリアは何処かな~? 俺、うっかり迷子になっちゃったんだけど~」

ゲンは迷子の客を装って強盗団に話しかけた。

「てめぇ、保安官助手だな? 他に仲間がいるんだろ? 話すか撃たれるか、どっちがいい?」

明らかに不自然な流れに、強盗団は騙されてくれなかった。

さらにその声に気付いた残りの強盗団も次々と外に飛び出してきた。

「ぇえええ? そっかぁ、悪役ロボットとか言ってたもんね~。プログラム通りに俺らを認識してんだ~、嘘が通用しないんだ~。ドイヒーじゃない?」

絶望に顔を引きつらせるゲンに強盗団4人の銃口が向けられる。

 

「待て! 僕が相手だ!」

 

その時、地面の中から颯爽と現れたのび太が、強盗団4人の背後から声を荒げた。

そして体を転がしながら瞬く間に4連撃、銃弾を強盗団に命中させ退治した。

不安定すぎる姿勢と、回転する視界、4人の男の殺気、仲間の窮地。

この不利すぎる条件で敵を秒殺するのび太の射撃センスに脱帽するゲンは、何処から褒めていいか分からずに口をパクパクさせた。

そして辛うじて、『えっ? のびちゃん、不意打ちでしょソコは・・・』と心の中でツッコミ、本当に顔を引きつらせたのだった。

 

 

その後、町に戻った3人に凱旋パレードが開かれた。

ノビ・ノビータは町の正保安官に任命。ドラえもんもまたそのパートナーとしてパレードの準主役に。

そしてゲンは・・・

「貴方は保安官の誇りであるバッジを捨てていますから失格です」

ドイヒーな結果に苦笑いするしかなかった。

 

 

その後、仲間たちの元に戻ったゲンにクロムたちが労いの言葉をかける。

「いや~、でもまぁのびちゃんの超人っぷりを生で見れたからオーケーよ」

「ククク。案の定だったな」

「マジで千空の言った通り。3人で悪者を倒して帰ってきて、ゲンだけが失格になったな」

感心するクロムに、ゲンは「えっ? さ、さっすが千空ちゃん」と苦笑いした。

「それで、この後はどうするのだ?」

「まぁそろそろ、この22世紀の遊び方も分かってきたとこだ。ドラえもんたちとは別行動と洒落込もうじゃねぇか」

そう言って千空はドラえもんとのび太の元に行き、別行動の旨を伝えた。

 

「で、次はどこ行くの? 千空ちゃん」

「ああ。候補は決まってる」

そう言って千空はニヤリと笑い、ガイドマップに次の目的地を表示させた。

 

「メルヘンの星だ」

 

『・・・・・・・何言っちゃってんの? この人は』

 

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