幼馴染がVTuberを始めたら友人Aちゃんと呼ばれるようになった私の恋愛事情   作:yosshy3304

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第4話 読み聞かせ

「Aちゃんと遊びたいっ!」

「配信中に何を言い出すかあんたは!!」

 

コメント[Aちゃんの声助かる]

コメント[またリンちゃんが無茶言い出したぞ]

コメント[俺等もAちゃんと遊びたい]

コメント[リンちゃん今30時間超え配信終わった所なんだよなぁ]

コメント[ハイテンションリンちゃんw]

コメント[おっ、リンエーティティタイムか?]

 

リンの叫びに思わずツッコミを入れた結果、コメントの流れる速度が加速する。

 

「だってだって、もう2日も遊んでないんだよっ!」

「さっきまで無茶な配信してたからでしょうがっ!」

 

コメント[リンちゃんは配信中も遊びたいとのこと]

コメント[でも声が聞こえるという事はAちゃんもすぐ傍に居たという事で……]

コメント[遊んでやれよAちゃん]

コメント[俺等ももう少し配信見てたい]

 

流れるコメントに無責任なこというなと言いたいが、気を付けないといけないのはこの枠がリンの物であり炎上に気を付けなければいけない点。

 

「なにかAちゃんと勝負するの!」

「たくっ……」

 

コメント[幼児退行リンちゃんww]

コメント[するのっ!ww]

コメント[リンちゃん俺等の事忘れてるにワンチャン]

コメント[↑ワンチャンスと犬ちゃんに掛けてる?]

コメント[は?]

コメント[はぁ?]

コメント[はっ?]

 

寝不足によるハイテンションなのだろう、今のリンには何を言っても無駄だろう、さてどうしたものか。

 

「近頃、Aちゃん構ってくれないじゃんっ!! デートばっかりで、私にも構ってよーっ!!」

 

コメント[なにっ、デートだと!?]

コメント[失望しましたAちゃんのお気に入り登録止めます]

コメント[そりゃそうだ、彼氏ぐらいいるよな]

コメント[Aちゃんのチャンネル無いのにお気に入り登録止められてて草w]

コメント[草に草生やすなww]

コメント[オマエモナーww]

 

どうすればいいんだこんなの、と頭を悩ませている私に抱き着いてくるリン。

配信を切ってないからコメント欄は大盛り上がりで、リンの駄々を揶揄している。

ああ、そうだと思い出した。

 

「わかったわかった、遊んであげるから。」

「ほんと!」

 

リンがパァ…と喜色満面の様子を見せる。

 

コメント[よかったなリンちゃん、Aちゃんが遊んでくれるって。]

コメント[彼氏いるのに友達を優先してくれるAちゃんパブミ]

コメント[声で分かる大喜びのリンちゃん]

コメント[それも配信すんの?]

コメント[当然するよなぁ!?]

 

「ただし、一度配信切って、許可を取りなさい! ダメなら寝る事、良いわね!」

「はいっ!」

「許可取れたなら1時間後ぐらいにスタート、いいわね!」

「了解しましたっ! じゃあ皆、一旦落ちるねー!」

 

コメント[おつおつ]

コメント[また1時間後に]

コメント[お疲れ様でした、また来ます]

コメント[おっつー]

コメント[またねー]

コメント[乙リン!]

 

配信画面が切られ、リンの顔がこっちを見る。

 

「なになに? なんのゲームするっ?」

「先に許可取りなさい! で、あんたバイノーラルマイクあったでしょ、あれ出してきて?」

「バイノーラルマイク? なんで?」

「ゲームで使うからでしょ。ついでにお風呂も入って寝間着に着替えてきなさい。汗臭いあんたと遊びたくないわよ。」

「うっ、臭い? わかったお風呂入ってくる。」

 

スマホで多分マネージャーにだろう、電話しながらバスルームへと向かうリンを横目に溜息を一つ。

小夜の本棚に仕舞われたボロボロの絵本を取り出した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「こんリーン、さっきぶりだねぇ! 2次STARS3期生の鈴科リンと」

「いや、これ私も言わないといけない? 友人のAです。」

 

コメント[こんリーン]

コメント[待ってました]

コメント[こんリン]

コメント[ゲーム何するの―]

 

「そうそれ! まだ私もAちゃんに何するか教えて貰ってないの! 何するの?」

「ゲームの前に勝負しようと思って。」

「勝負?」

「そっ、私からすれば30時間以上寝てないリンをさっさと寝かしつけたい。あんたからすればまだまだ遊びたいでしょう?」

「当然だね。」

「だから勝負しましょう。出してきてもらったバイノーラルマイクを使って私が絵本を読んであげるわ。」

 

コメント[読み聞かせ!?]

コメント[Aちゃんの読み聞かせ助かる。]

コメント[幸せの国はここか!?]

 

「それでリンが寝てしまえば私の勝ち。配信も切ってそのまま寝なさい。」

「じゃあ私が起きてた場合は?」

「その時はリンの勝ち。朝までだろうとゲーム付き合って上げる。」

 

やったーと声を上げるリンにさっそくバイノーラルマイクの準備をさせて、私は読み込んだボロボロの絵本の表紙を撫でた。

 

「はい、リンはここに頭を置く。」

「ひっざまくら、ひっざまくら。Aちゃんのひざまっくら」

 

コメント[Aちゃんの膝枕いいなぁ]

コメント[Aちゃんママ―、ぼくもー]

 

「準備はいい?」

「OK!」

 

コメント[待ってました]

コメント[ママ―、ぼくお眠なのー]

コメント[OK!]

コメント[寝落ちしないように気を付けて]

コメント[リンちゃんがんばえー]

コメント[俺達はまだまだ(配信)足りないぜ]

 

「陽だまり子猫」

 

ひだまりこねこ、日陰で生まれたこねこ、真っ黒い毛のこねこ、おめめぱっちりこねこ

 

木の影、壁の隙間、物と物とあいだ、壁に空いた穴

 

それがこねこの世界の全部

 

だけど好奇心旺盛なこねこはその安全な世界から一歩、また一歩、と前へと歩き出す

 

だけど怖いから、ニャーと鳴いてまた世界の中へ

 

ほら、友達のスズメがちゅんちゅん鳴いて遊びに行こうと誘いに来たよ

 

ひだまりこねこは、つられて陽だまりの中へ

 

チリンチリンと自転車、ビクッと驚いたこねこはまた世界の中へ

 

ほらもう自転車はいないよと子犬が駆け寄ってきた

 

ひだまりこねこは、つられて陽だまりの中へ

 

ブッブーと車のクラクション、ビクッと驚いたこねこはまた世界の中へ

 

だいじょうぶ、出ておいで、もう何も怖いのはいないよとユラユラひまわりが揺れる

 

こっちはあたたかいよとトカゲがひなたぼっこ

 

世界は広いんだよと風がビュービュー木々を揺らし

 

ぼくたちも遊びたいなと光がチカチカ弾ける

 

もう怖くない?

 

こねこは一歩一歩、そしてひだまりこねこになった

 

もう怖くないとニャーと鳴いて

 

チュンチュンとスズメとおしゃべり、ワンワンと子犬と追いかけっこ

 

ユラユラひまわりにじゃれつき、トカゲとひなたぼっこ

 

風とビュービュー広い世界を教えてもらい、ヒカリとチカチカ跳びはねた

 

あしたの冒険は何処に行く?

 

今日の冒険はどんなだった?

 

そうひだまりこねこはお母さんねことおしゃべりする。

 

今日の夢はきっと、きっと楽しい夢に、ち・が・い・な・い・ね。

 

「おしまい。」

 

コメント[ええ、はなしや]

コメント[読み聞かせ助かった]

コメント[コメント流れる速度遅くない?]

コメント[寝落ちった奴どれだけいるの?]

 

「ちなみにリンとの勝負の行方は……」

 

マイクを膝の上のリンの顔に近付ける。

スースーという規則正しい呼吸音。

 

「私の勝ちだね。だから配信終わりますよ。」

 

コメント[待って待って]

コメント[終わらないで―]

コメント[終わっちゃダメ―]

 

「流石にこのチャンネルはリンのチャンネルだから、枠主が寝ちゃった以上は続けられないかな。明日起きたらリンにお詫び配信させるから、今日は終わり。友人Aでした。ばいばーい」

 

コメント[あああ、ばいばい]

コメント[おつおつ]

コメント[お疲れ様でした。]

コメント[だろうねww]

コメント[結局今日はAちゃんしか喋ってない件]

コメント[おつおつ]

コメント[おつかれー]

 

配信を切って、熟睡する小夜のさらさらな髪の毛を手すきですきながら微笑む。

この物語の主人公はこねこ。

まるで私の様なこねこ。

前世の記憶があるから、余計な事を考えて自分の世界に籠る私の様。

十分広い世界に、温かい世界がまだまだあるよと引っ張って連れて行ってくれた小夜は、途中で出てくる子犬。

だから私は何だかんだと感謝して小夜の世話をやく。

だから今だけは、おやすみなさい。




出てくる童話は実際には存在せず、この小説様にでっち上げた物です。
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