問題児RTA - アジ=ダカーハ討伐チャート   作:チルドレン

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RTAの要らない全編イベントなので初投稿です。


エピローグ

時は進み、一週間程。

…目が覚めるのと同時に、私の身体は小さく寝返りを打つ。

今日は二度寝をしよう。折角のお休み、二度寝するには丁度良い日だ。

雨が降っていない今日は良い二度寝日和だと、小さく欠伸をしながら目を開け…

 

「ふふ。おはようご主人?」

 

金髪のメイドが居て、私は思わず目を伏せた。

…どうしてこうなった。とも思わなくもないが、そんな事は置いておくとしよう。

今日は二度寝をする日だ、例え誰が来ようとも私は二度寝を遂行しなければならない。

 

「…むぅ。可愛いメイドを放置して、二度寝を決め込むのか?」

「……」

「初日の熱いベーゼをした仲だというのに…寂しい物だ」

「…あれは事故」

 

そう言いながらゆっくりと起き上がれば…彼女は嬉しそうに微笑む。

どうやら二度寝は無理らしい。

折角の休みなんだから少しくらい二度寝したかったのだが…無理そうだ。

 

「ふふ。おはようだご主人。熱いベーゼにするか?それとも、リリが作った美味しい食事にするか?」

「…ご飯…の、前に…顔洗いたい」

「そうか。…キスはしないのか?」

「しない」

 

その事だけをきっぱりと言えば、小さく苦笑した彼女を見て…私は着替え始める。

…それを見た彼女は、小さく溜め息を吐いた後に…

 

「…毎日言っているが、その突然裸になるの、止めないか?」

「なんで?」

「襲われるかもしれんぞ?」

「…襲う?血でも吸うの?」

「……そういう事ではない」

 

その一言を聞きながら、私は彼女の助けを借りてゆっくりと着替える。

…そして着替え終わるのと同時に、彼女は嬉しそうに私の寝間着を持っていった。

 

「…本当にメイド業こなしてる…」

 

そんな事を考えながらも、私はゆっくりと部屋から出ていく。

…今日は確か、日銭を稼ぐ為に飛鳥がゲームをして、耀が黒ウサギと一緒に買い物、十六夜君は…読書だったかな?

そんな事を考えながら、尻尾を振っているリリちゃんを見て…私は小さく微笑んだ。

 

「あっ、九十九のお姉ちゃん!おはようございます!」

「おはよう。ご飯、耀が一杯食べてたら怒ってね?」

「……頑張ります」

 

リリのその言葉を聞いて苦笑しながら、私はご飯を食べ始める。

その間に、今日の狙い目のゲームが無いかとか…はたまた他愛のない話だったりとかしている時に…

 

「…あ、そういえば今日。ギフトゲームが中止になってしまったそうです」

 

そんな事を聞き、私は小さく首を傾げた。

それを見たリリは少しだけ嬉しそうに微笑んだ後…ドヤっとしながら話を続ける。

 

「実はですね?この辺り一帯で干ばつが来るそうです」

「そうなんだ。干ばつが来る…干ばつが来る?!」

「はい!詳しい事は黒ウサギのお姉ちゃんが教えてくれますが…魃って怪鳥が、やってくるそうです!」

 

その言葉を聞きながら、私はご飯を食べ進める。

…魃という怪鳥が襲ってきそうだから、取り敢えずゲームが中止って事だろうか?

それは困った。じゃあもう二度寝するしかないと私は悟りご飯を食べ終わる。

 

「それで、今日はどうするんですか?」

「二度寝しに行く。三人に任せれば何とかなりそうだし」

「…えぇ…魃を倒したりとか、しないんですか!」

 

その言葉を聞いて、私は小さく首を傾げた。

…確かに干ばつを倒す事は可能だろう。でも今から行っても絶対遅い。

 

「もう三人は行っちゃったんでしょ?それならしょうがないかなって」

「…むぅ…それじゃあどうする心算なんですか?」

「二度寝」

「ですからぁ……んむぅ…」

 

私の一言を聞いて少しだけ困った様な声を上げるリリを見て、私は小さく頭を撫でた。

少しだけ恥ずかしそうにするリリを見て小さく微笑みながら…優しく喉を撫でる。

 

「…ぁ…」

「知ってる?昨日は私、結構遅くまでゲームやってたんだよ?だから二度寝して当然だよね?」

「…そ、そうかもしれません…?」

「でしょ?」

 

そう言って私が手を振ると、リリの尻尾がしゅんとする。

…それを見て苦笑しながらも扉を開けようとすると…

 

「おやご主人。これから二度寝かな?」

「…どうして分かったの?」

「ふふ。昨日かなり夜更かしをしていたからな。まだ眠いのかと思ったのだ」

「……知ってたんだ」

「あぁ。メイドだからな」

 

その言葉と同時に、私の身体を彼女が持ち上げた。

…小さく身体が震え、私が彼女の方を見つめると…彼女は小さく溜め息を吐いた後に…

 

「また、そういう事をしたんだな?」

 

小さく、怒る様な表情でこちらを見つめた。

…それを見て私が慌てるのを見て、少しだけ困った様に私を見た彼女は…

 

「さ。自分で身体を傷付けて遊ぶいけない子は、誘拐してしまおうかな?」

「…えっ?!レ、レティシア様、それっていった…」

「ちょ…リリの前で言わないでって…」

「それが嫌なら最初からしなければ良いだろう?それとも、バレなきゃしても良いって理論だったのか?」

 

その一言を聞いて、私は小さく目を閉じる。

…それを見た彼女は小さく私の頬を撫で…そして隠してある傷を優しく撫でた。

 

「…そんなにつらいのか?」

「違う。私が…皆の役に立ちたかったから…」

「……お前は役に立っているさ。ギフトゲームだって何時も勝っている。知識も大量に読み込んでいる…それなのに、お前はどうして其処まで…」

 

その言葉と同時に、私はレティシアの頬を優しく触った。

…それを見た彼女は小さく目を見開くが…私は気にせずにゆっくりと顔を近づけた。

 

「…お説教は嫌だな。御伽噺、聞きたい」

「……全く、御主人は……少し黒ウサギと話があるから、遅くなってしまうぞ?」

「うん」

「…何の話が良いか教えてくれ」

「…ヘラクレスのお話」

「あぁ。沢山持ってきてやろう。…だから…」

 

そう言って微笑んだレティシアが、私の身体を優しくベッドに置いてくれた。

…そして、私の頭を優しく撫でて…

 

「ゆっくり休んでくれ。あまり急ぎ過ぎると、良くないぞ?」

 

そう言ってから、部屋から出て行った。

 

                 *

 

「…という事で、ヘラクレスは12の功業を無事終わらせました」

 

その言葉と同時に、私は小さく拍手をする。

…何というか、昔からやって貰っている事と変わらない気がする。

ベッドの横に居るレティシアが本を閉じ、ゆっくりとこちらを見つめるのを見て…私は小さく微笑んだ。

 

「…ん。御三方が帰って来たな。私は下に行くがどうする?」

「……私はもう少し、こうしてる」

「それが良い。後で耀に伝えておこう」

「…どうして?」

「無茶したら伝えて欲しいって聞いていたからな。それじゃ、行ってくる」

 

その言葉と同時に出て行った彼女を見て…私は小さく溜め息を吐いた後に、イペタムを出す。

…そして、自分の腕に斬り込みを入れ…

 

「…ッ……ふ…ぁ…」

 

イペタムに血を吸わせ、それと同時に頭がくらくらとする。

…貧血状態…そんな事を考えながら私はギフトカードにイペタムを戻し…小さく息を洩らした。

 

「…」

「お姉ちゃん。いる?」

「っ!いるよ?」

 

その言葉と同時に傷口を袖に隠した私は、小さく声を掛けた。

それと同時にゆっくりと入って来た耀を見て…私は小さく苦笑する。

これは、バレているな…と。

 

「…ねぇ。今日はリリが和食を作ってくれるんだって」

「へ、へぇ…そうなんだ」

「それなのに、凄く一瞬、血の匂いがした。なんで」

「…あ、あー…魚じゃない?」

「今日は筍を使った天ぷらだって」

「……」

 

簡単に論破されてしまった。

…それと同時に、私の傷口から血が垂れ…ベッドに赤い染みを作っていく。

それを見た耀が更に視線を鋭くさせるのを見て…私は小さく苦笑した。

 

「…その、イペタムが大飯喰らいで…」

「毎日血を吸う程の?」

「……うん」

「捨てたら?」

「いや、その…捨てたら私が耀を守れなく」

「私が絶対に守る」

「…えっと…」

 

言い訳をしようとしても、出てこない。

…そして、血がダラダラと流れるのを見て…耀が小さく私の傷口を手当てし始めた。

 

「…馬鹿。無茶しないでって言ってるのに…」

「ごめん」

「…どっちがお姉ちゃんかわからない」

「そうだね。耀の方がお姉ちゃんかもね」

「それは嫌」

 

そう言って微笑んだ耀が、私の胸元に優しく飛び込んだ。

…それと同時に汗の匂いが、私を包む。

汗を掻いているのは疲れたからだろうか?

 

「…それで、今日はどんなことをしたの?」

「うん。お姉ちゃんが寝て起きて、女の子を侍らせてたぐらいにはね?」

「…ごめん」

「私達は干ばつの発生源の魃っていう…あ、そこら辺はリリから聞いたんだっけ」

「うん。それの所為で今日はギフトゲームが出来ないって聞いたよ」

「そうそう。黒ウサギはその干ばつを使って水を売りさばこうとしたんだけど…」

「売り捌く…」

 

その言葉に少しだけ苦笑する。

どうやら黒ウサギは割とあくどい商売に手を染めようとしたらしい。

…確かに、干ばつの時に水を売り…水樹の水の万能さに気付かせて定期購入させるのは良い手段だ。

勿論適正価格で販売しても良いし、少し高め位でも売れる物は売れるだろう。

 

「…まぁ、そういう手もあるか」

「……お姉ちゃんは、賛成だった?」

「うん。良い手段だと思うよ」

「…そっか」

 

私の一言に肩を落とした耀を見て、私は小さく首を傾げた。

 

「…えっと、続きを言うね?実はその時に……魃を倒しちゃって…」

 

その言葉を聞いて、少しだけ驚いた。

…倒せた事に驚いた訳じゃない、寧ろ十六夜君が居る時点で勝てる事は分かっていた。

寧ろ勝てなかったらそれこそ白夜叉案件だろう。

だからこそあまり心配はしていなかったが…まさか倒すとは思えなかった。

 

「…誰か、助けたかった?」

「っ?!な、何で分かったの?」

「お姉ちゃんだもん、それ位分かるよ」

「…で、でも…黒ウサギの作戦とか潰しちゃったし…」

「大丈夫。黒ウサギもそうできたらいいなって考えてただけで…それに助けたかったんでしょ?」

 

その言葉と同時に、耀が小さく頷いた。

…ならそれで良いと微笑みながら私は優しく頭を撫で…

 

「うん。人助けを出来る妹が居て私はとても幸せだ」

「…でも、私は魃を倒せなかった…ううん。もし一人だったら助ける事すら出来なかった」

 

その言葉と同時に、少しだけ悲しそうな表情を浮かべた。

…それを見て私は苦笑しながら…

 

「でも、前に比べたら十分成長したよ?」

「…え?」

「だって昔は、人と組む事なんてしなかったでしょ?友達になるのは動物ばっかだったしね?」

「……それ、は…」

 

その言葉を聞いて少しだけ冷や汗を掻く耀。

少しだけ面白そうに微笑みながら私が優しく耀を撫でると…耀は嬉しそうに私の膝に寝転がった。

 

「……」

「お姉ちゃん」

「………」

「お姉ちゃん…?」

「……ぁ、何?」

「…疲れてる」

 

意識が朦朧としてきた。

…血を流しすぎた、少しくらい休まないと…そんな事を考えながらも…それでも耀の前で絶対に弱いところを見せたくない。

 

「…耀…ご飯、食べないと…?」

「あ、そっか。そういえばそれで私が来たんだった…」

「…私は、いいや…ちょっと……ねむくて」

「え?でもリリが…」

 

その言葉を聞いて、私は小さく息を呑んだ。

…そっか、リリが頑張ってるんだ。

それなら少しぐらい食べないと…迷惑になっちゃうね。

 

「まってて。いま…おきるから…」

「大丈夫…?」

「耀。リリが呼んでるぞ」

「あ、待ってお姉ちゃんが…」

 

その言葉を聞いて、私は小さく目を閉じた。

…それと同時にレティシアが少しだけ嬉しそうな声で喋りながら耀を部屋から追い出した。

 

「…匂いが凄いな。何処まで切ったんだ?」

「……ちょっと、つらいくらい」

「輸血は必要か?」

「…いらない。がんばる…コトリバコは、じぶんのちじゃないと……だめ、だから…」

 

その言葉と同時に、ゆっくりとレティシアが私を抱きしめた。

それと同時に、私も抱きしめ返し…そしてゆっくりと微笑んだ。

 

「…コトリバコ、か」

「うん」

「……そんな事、しなくても良いんじゃないか?」

「わたしも、やくにたちたいから…」

「…言っただろう?お前は役に立っているんだ」

「もっと、やくに…たつ…の…」

 

私の一言と共に、意識がふわふわとする。

…それと同時に、レティシアが私の耳元で囁いた。

 

「……何をして欲しい?今なら何でもするぞ?」

「……つよく、つねって…」

「…」

「…わたしが、いきてるってのが…わかるから」

 

その言葉と同時に、私の腕に鋭い痛みが走る。

…そして、ゆっくりと…

 

「…ご主人は、マゾなのか?」

 

その言葉を聞いて…私は小さく微笑んだ。

…痛みは…少しだけ心地よい。

でも…それを言うのは少しだけ嫌だったから…

 

「…ちがう、よ?」

 

抓られながら、笑顔で微笑んだ。

…分かりやすい嘘を吐いた私は、小さく目を閉じた後に…

 

「…ぁ…ひかり、が…」

 

小さく、馬の嘶く声が聞こえた。




走者は一巻と二巻の間眠っているので失踪します。
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