問題児RTA - アジ=ダカーハ討伐チャート 作:チルドレン
「…んっ……ふぁぁ…」
『眠そうですね。といっても新しい
「……?そう、なの?」
『えぇ。ギフトカードを見たら分かると思いますよ』
姿だけが消えている若藻の声を聴きつつ、私は懐からカードを取り出して確認をした。
「…神性…というより、神格が消えた?」
『えぇ。あの神格はご主人様の強さを抑える為に付けた物です』
「……?」
私が首を傾げるのと同時に、私の身体から幾つかの道具が溢れた。
…それを拾おうとした瞬間、私の身体は大量の狐の尻尾に包まれ…私の身体は一瞬で気持ちよさに囲まれる。
「んんっ…」
「お待たせしました。エネルギー充電完了です♪……さて、ご主人様には幾つか言わなければいけない事があります」
「…?」
私が首を傾げるのと同時に、若藻は小さく苦笑する。
…それと同時に、私の身体がゆっくりと浮いてから…そのまま私をお姫様抱っこした若藻が嬉しそうに…けれど寂しそうな表情で私を見つめる。
「…貴女は私達にとっての神様です。枝分かれした無数の世界の一神教の主…それが今のご主人様です」
「……」
「けれどこの世界では違います。この箱庭で一神教は通用しない。…いえ、そもそも貴女の様な存在を世界は許さない。
何故なら貴女の起源はガーデニアの少女という“人間”だから。人が神になると言うのは観測されている世界ではありえない事なのです」
勿論、中国の皇帝という例外もありますが…という言葉を聞きつつも、私は若藻の言葉をしっかりと聞き続ける。
…もしこれを聞き逃したら、私はきっと後悔する筈だから。
「…だから。これだけは覚えて下さい」
「……」
「貴女はきっと、満足することなく消滅します。ガーデニアの少女に出会った天使と、本来は存在しない筈の悪魔に出会った貴女は…その身体が本来は耐えきれない量の霊格を持っています。そしてその力を知覚し、行使した時……」
その言葉の先を、彼女は言い辛そうにしていた。
…きっと、言ってしまえば何かが壊れてしまうと思ったのだろう。心優しい彼女だから、もしかしたら自分を傷付けると思ってるのかもしれない。
「…貴女の身体は己の力に耐えきれず……に、…」
優しく、若藻の頭を撫でながらそっか…と呟いた。
……私にそんな力が存在するとは思わなかった。何故なら記憶が無いからだ。
…そしてそれが、知覚していないという事だと理解できていた。
私の身体の奥底には沢山の枷があり、それを解除する度に私の身体はきっと崩壊するだろう。…でも、私の死程度で…人類が救えるのだろうか?
そんな考えを私は抱きながら……ふと、考えてしまった。
「…昔の私って、どんな感じだったんだろうね」
「……わからないです。……ねぇ、ご主人様。魔王になりましょう?今なら私の主催者権限も渡せます。私だって一端の玉藻前、魔王になるくらいちょちょいと…」
その言葉は、後悔を滲ませた一言だった。
…辛そうな表情を浮かべたまま、私の身体を抱きしめて……次の瞬間、私達の真後ろから少女の足音が聞こえた。
それと同時に私達は身体を反転させて、少女の姿を見つめる。……飛鳥が其処には立っていた。
「あら。漸く来たのね」
「……飛鳥?どうして此処に」
「御迎えよ。幾ら待っても来ない貴方達を、私が迎える事になったの」
「…」
その言葉に苦笑しつつもありがとうと飛鳥に微笑むと…飛鳥が小さく顔を逸らす。
「別に…それよりもさっさと行くわよ!」
「あ。まって、もう一個だけゲームしたい」
「…もう……私も付いて行っていい?」
「……長くなるかも?」
「承知の上よ。元々貴女のお姉さんと一緒に提出する予定だったから。ね?」
「…ん。わかった」
私の返事に若藻が苦笑しながら、ゆっくりと目的地は何処ですかと背中に指をなぞってくる。
そのくすぐったさに顔を緩めつつも、小さく頷いてから…呟く。
「じゃあ白夜叉のところへ、お願いできる?若藻」
「勿論です!この若藻にお任せくださいな!」
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「おや?今度は何の用かの?」
「……白夜叉に挑みに来た」
「ほう?それは知恵…」
「ううん。力で」
その言葉と同時に、冷気が私の身体を突き刺す。
世界が変わった訳じゃないし、白夜叉がギフトを使った訳でもない。
ただ。唯一度だけ私の身体を一度見つめただけだ。
「…ほう?それは挑戦か?それとも互いの命を懸けた決闘か?」
「勿論挑戦。命を懸けるのは……互いに難しいでしょ?」
「…ふふ。そうかそうか。……それでは少し、移動しようかの?」
そう言って手を叩くのと同時に、私達の身体は一瞬浮遊感を覚える。
…それと同時に私の身体がふらりとし…それを若藻に支えられた。
一応周囲を見渡すと、前回見た冷たい世界ではなく草原と川があり、暖かな太陽が空に昇ると木々が生え始めた。
「……今回は私も…」
「ううん。若藻の力は見せちゃ駄目。だから…」
「えぇ。其処で親の仇よりも睨んでるあの人を押さえつけておきますね?」
「……うん」
そういいながら去っていく若藻の背中から、目の前の白夜叉の方に目を向ける。
…戦力は十分。この地点のギフトゲームは“すべて頭に叩き込んである”。
どのゲームでも勝利は…
「…では、始めようぞ」
「………え?」
『ギフトゲーム名“太陽は何処にいる?”
・ホストマスター側 勝利条件
・プレイヤーの屈服・及び殺害。
・プレイヤー側 勝利条件
・ 伝承をなぞり、太陽を無力化せよ
・ルール概要
一、風は身を固め、太陽は全てを動かす。
二、石を投げた男は、神に出会う。
三、
「おや。動かんのか?それならこっちから行くぞ?」
「っ!?」
振るわれた拳を、私は避ける余裕もなかった。
そのまま勢いよく吹き飛んだまま、私は頭から地面にたたきつけらた。
「…っ…ぎ…」
「これは力の試練だ。力こそが正義として働く。頭だけを回転させている暇はないぞ?」
「…っ…」
よろよろと立ち上がるのと同時に、私の身体は宙に浮き……そしてもう一度地面に転がされた。
「……っ……ふ……けほ…」
「っ!九十九さん!白夜叉!貴方」
「黙れ。これは彼女が受けた試練だ」
「っ!何が試練よ!こんなの唯の……っ!」
立ち上がって、目線だけで
『ギフトゲーム名“太陽は何処にいる?”
・ホストマスター側 勝利条件
・プレイヤーの屈服・及び殺害。
・プレイヤー側 勝利条件
・伝承をなぞり、太陽を無力化せよ
・夜叉の力と競い合い、己が力を証明せよ
・ルール概要
一、風は身を固め、太陽は全てを動かす。
二、石を投げた男は、神に出会う。
三、娘を殺された神は、一度走ることをやめた。
・宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの下、ギフトゲームを開催します。
“サウザンドアイズ”印』
襲い掛かる白夜叉の攻撃を一度受け止め、腕がおかしくなる事がわかりながら考えを加速させる。
“太陽は何処にいる?”という知らないゲームの都合上、試行錯誤で答えを求めるしかない。
まさか知らないゲームに当たるとは思わなかった。箱庭の世界は広い。
まずは勝利条件から考えようとしながら、私は態と体の力を抜いて吹き飛ばされる。
それと同時に私の身体は木に当たり…木は折れず私の身体はそのまま地面にもう一度叩きつけられた。
「……ふっ…っ」
身体を無理やり動かしながら、私は一歩踏み込みながら頭を回す。
伝承はルール概要に書かれている三つだろう。此処から太陽を無力化する伝承を考えなければいけない。
…一番目、風と太陽で思いつく伝承といえば北風と太陽。コートを着ればいいのだろうか?……違う気がする。帽子を被ればいいのだろうか?
「っ!」
「頭だけを回すなと言った筈じゃろう?」
拳を振り下ろした白夜叉に対して小さく息を吐きながらも、私は蹴りを入れる。
余裕綽々そうな笑みを浮かべた彼女が私の足を防ごうとした瞬間…
「なっ!?」
勢いよく吹き飛ばされ、私の目の前から一瞬で遠くの方に着地した。
そして私の姿を見て一瞬ぱちくりと目を瞬かせた後に……獰猛な笑みを浮かべてから呟いた。
「その霊格に疑問を覚えていたが……おんしのソレは………ふ、ふふ…ハハハハハハハ!」
「……?」
「“九十九”」
白夜叉が名前を呼ぶのと同時に、私の頬に何かが走る。
それが何かも考えず、私は瞬時にこの位置から離れ……私が先程までいた場所に生えていた木に傷が付いた。
「戦おうではないか。ギフトゲームも、陰謀も、何も関係なしに。拳と刀を。雷と焱を。互いにぶつけ合い、競い、そして認め合おうぞ」
「……」
「我は“太陽神”!この霊格が例え砕け落ちたとしても、この身は不滅である!」
「…太陽神……そっか」
その言葉に、私は回していた頭に浮かんだ解の答え合わせが出来…ゆっくりと笑みを浮かべた。
それと同時に私は白夜叉からの一撃を貰い、先程切られた木に向かって吹き飛ばされた。
そしてそのまま私の身体に馬乗りになった白夜叉がゆっくりと私の顔を覗き込んだ後に……うれしそうな表情を浮かべてからもう一度殴りつける。
「…っ!」
倒れたまま両手を握ってから右手で白夜叉を殴り、今度は白夜叉が木に対して打ち付けられる。
そのまま私が距離を取ろうと離れた瞬間、白夜叉が私の足を掴んでから一気に投げ飛ばした。
「っ!」
川に落とされ、私の両腕の力が抜けていく。
血と手から零れた様々な物が私の血と一緒に流れていった。
「…っ!白夜叉!これ以上は!九十九が死んじゃう!」
「……ご主人様」
ゆっくりと、白夜叉が近寄ろうと立ち上がり、一歩歩くのと同時に……今までの空気が霧散した。
…そしてそのまま白夜叉が笑みを浮かべてから…そのまま私の身体を抱き上げた。
「……ふっ。結局知恵で解かれてしまったな」
「…ヒントいっぱい出してきた癖に」
「あれは友がくれたゲームだったからな。是非とも解いてほしいと思ったのだ」
「……じゃあやっぱり、これはイソップのなんだ」
私がそう呟くと、白夜叉が少しだけ驚いた様な表情でこちらを見つめた。
「ほう?…といっても流石にわかるか。やはり一つ目か?」
「うん。でも二つ目を誤解してた。最初は天岩戸の伝承かと思ったの」
小さく思い出すように、私は呟き続ける。
「でも、神様は神様としてちゃんと書いてあった。それを考えたら二番目も違うとわかった……斧を石と表現するのはちょっと狡いと思ったけど」
「あれは結構ギリギリとは言ってたな。斧と書いただけで材質は書いてないと立派な主張をしてたがな」
「…まぁ、それは放っておくとして……最後の三番目が正解ってわかったけど伝承が謎だった。イソップの童話で太陽の物を考えても出てこなかったし、私の知らない伝承かなって思ったけど…違った」
「ほう?」
白夜叉が嬉しそうな表情で私の頭をなでてくれる。
その暖かな手に微睡ながら、私は必死に口を動かした。
「“全部ギリシャ神話の神様が出てくる”という共通点が思い浮かんだ時に、白夜叉の太陽神ってヒントが聞こえたの」
「ほうほう」
「一つ目の物はアポロンとボレアスの物語。二番目は日本だと湖の女神様って書かれる事が多いけど実際はヘルメスだって聞いたの」
「そうじゃな。お主は詳しいの」
「そしたら三番目を考えるだけ。太陽で走るのを止めてしまったという事は思い浮かぶのは一つだけ。ヘリオスの神話」
ヘリオスは娘の死を悲しみ、一度太陽の車駕に乗らなかった事がある。そしてそれの神話を辿っていけば、答えは自ずと導ける。
「この世界の中にあるのは、あそこに生えているポプラの木と其処に流れている川。ポプラの木に傷が付いたときに、琥珀が出てきたのが分かったから頑張って握って川に流したの」
「……そうか」
…意識が朦朧とする。
ちょっと疲れてきちゃったのかもしれない。……でも、先に言わないと。
「…しろ、やしゃ」
「ん?なんじゃ?」
「……ないす、げーむ。とっても、たのしか、た」
そういいながらゆっくりと目を瞑る。
久しぶりの知らないゲームは本当に楽しかった。出来るなら、またやりたいな。
「…すまんの。これはあいつに言われてやった事なんだ」
「……い、つ?」
「飛鳥。頼めるか?」
「えぇ。勿論よ」
そう言って私の身体を優しく抱きしめてから、飛鳥がゆっくりと私の頭を撫でる。
そしてそのままゆっくりと歩く振動で眠ろうとした瞬間…
「なっ!?」
ぎゅっと私の身体が抱きしめられるのと同時に、空気感が変わった気がする。
それと同時に、急に私の身体がふわりと浮いて……そしてもう一度誰かに抱きかかえられた気がした。
そのまま、何かが飛んでくる様な音が聞こえ、私は目を見開いて瞬時に飛鳥を庇う様に身体を動かし…
「…あ」
私の肩に剣が突き刺さり、そして左腕ごと弾き飛ばされる。
…それと同時に私の視界がガクンと下に向くのと同時に…
「だから言ったじゃない。愛弟子なのは知ってるけど、今日連れてくるのは駄目って」
「…えぇ。申し訳…」
「いいわ。それよりも彼女を連れて行きなさい。“話される前に死なれたら生き返せないの”。
「はい。…フェイス・レス。連れて行って」
「……っ…………く…」
「フェイス・レス。返事は?」
「……はい。わかりました」
三人の、見知らぬ声が聞こえた。
-注:これより先はセーブ・ロード・リセットが出来ません-
思ったより考えるのが大変だったので失踪します。