樹海に入れる特殊体質の少年(前世持ち)が愛する三ノ輪銀のためにいろいろ頑張る話   作:exemoon

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駆け引き

神樹に挨拶してから半月ほどたち、二体目のバーテックスが現れた。

 

何の因果か、また俺は樹海に入ってしまっている。

とはいえ、今回はそれなりの準備ができた。

それは、インカムや大型の双眼鏡だったりで、それほど特別なものではない。

しかし、インカムを勇者の三人にも着けてもらい、常時通話状態にすると、双眼鏡の力も相まって前回より格段に現場の状況が分かるようになった。

三人とは事前にこのような事態に陥った時、こちらから助言できる状態を作れるよう話を詰めておいたのだ。

なお、大赦からは指示は出てないので完全なスタンドプレーなのだが…

インカムを通して勇者たちの声が聞こえる。

なかなか以上に苦戦しているみたいだ。

 

今回、現れたバーテックスは、二十メートルくらいの天秤のような形をしていて、天秤の左右には分銅のようなものをぶら下げていた。

バーテックスは両手の分銅を振り回し、竜巻のような風の流れを巻き起こす。

三人とも風圧のせいでバーテックスに近づけない。

しばらくバーテックスを観察していると、中心部が台風の目のよう無風になっていることが分かった。

すると、頭頂部になら攻撃が通用する可能性は十分にある。

この状況なら最も有効なのは……

考えがある、と三人を一旦風の範囲外に出てもらう。

 

「鷲尾さん、聞こえる?」

 

『あ、赤嶺くん?ええ、聞こえるわ』

 

「風を避けて、奴の頭頂部を曲射することはできる?」

 

 

 

「斃れなさい……!!」

 

鷲尾さんが連続で弓を射かける。

矢の一部は風や分銅に引き付けられ命中しないが、流石のバーテックスも直上から来る矢の全ては回避できないらしい。

徐々に、頭頂部は崩れ、やがて、体の接続部が壊れ始める。

奴を取り巻いていた風が勢いをなくしていく。

 

「今よっ!」

 

「うん、いっくよー!」

 

「おっりゃああああああ!!」

 

バランスの崩れたバーテックスに三人が突撃していく。

俺の立てた作戦はこうだ。

鷲尾さんの弓による頭頂部から接続部の破壊。

そこで、奴のバランスが崩れたところで、三人で吶喊、撃破。

シンプルで難しい作戦だったが、どうやらうまくいったらしい。

今回の敵が分かりやすく攻めがたい敵だったのは、幸いだった。

これで、大赦に俺の有用性をアピールできる。

勇者のダイレクトサポートを俺の「御役目」とさせ、赤嶺の発言力も上げる。

そのための準備だったのだから。

 

やがて、鎮花の儀が始まり、樹海化が解除されていく。

俺がいたのは大橋記念公園の正面入り口あたり、突然現れた俺に周りの人々がぎょっとしている。

あとで大赦からフォローしといてもらおう。

とりあえず、ここからなら、三人が転送されるという場所も近いだろう。

さっさと合流しよう。

 

合流し、持って来ていた医療キットを使い、三人の怪我を手当てする。

しばらくすると迎えが着て、三人は学校に戻り、俺はまた検査を受けるため病院に行く羽目になった。

長く、退屈な検査。中々、辛い。

結局、異常も何もなしだったが、終わった時にはまた日が暮れていた。

 

「赤嶺くん、お疲れさま」

 

検査が終わると、待合室で安芸先生が待っていた。

どうやら、送ってくれるらしい。

それと、今後についての話もあるそうだ。

ようやくというべきか、早いというべきか。

 

車の中で安芸先生の話を聞く。

内容は予想通り、俺に勇者のダイレクトサポートをさせるといった話だった。

また、場合によっては補給等の補助だけでなく、勇者の指揮、作戦立案等も権限として許されるらしい。

予想以上の大盤振る舞い、仕込んだ甲斐があった。

さしあたっては、次の襲来まで間があるため、勇者の連携を上げるための合宿を行うという。

その合宿に自分も同行させるらしい。

目的は勇者個々人の能力や性格傾向を深く認識させることで、状況の判断精度を上げさせること。

そして、勇者との信頼関係を醸成させ、連携を効率化すること。

そのほか、戦術や治療技術なども俺に学ばせる腹づもりらしい。

なるほど、これは好都合だ。

安芸先生は言ってないが、この合宿はおそらく俺の性能を試す場でもあるのだろう。

ならば、この合宿であらゆる期待を凌駕する結果を打ち出し、次の襲来を乗り切れば、俺の立場は盤石のモノにできる。

そうなれば、もう少し派手に動いても問題なくなる。

 

そんな俺の皮算用を知ってか知らずか、安芸先生は申し訳なさそうな顔をしている。

大方、勇者でもない只の子供を巻き込むことに抵抗があるのだろう。

まったく、この人は優しいな。

勇者のお目付け役であるのも辛いだろうに。

この人は信用できそうだ。

とりあえず、家に帰ったら合宿の準備をしなくちゃいけないな。

 

 

そうして、合宿初日。いつものように朝は三ノ輪家で過ごし、銀と共に家を出る。

そして、当然のようにトラブルに巻き込まれる。

自転車ですっころんだ子、道に迷ったお爺さん、持ってた書類をぶちまけた大学生らしきお姉さん。

毎度ながら、よくここまで巻き込まれるなと感心してしまう。

 

「いやー、やっぱ頼人の言った通り、かなり早めに出ててよかったな。何とか時間には間に合いそうだ」

 

「さすがにパターン読めてるから。大事な日ほどこういうの増えるし」

 

「いやぁ、いつもすみませんねぇ。旦那ぁ」

 

「もう慣れたし、嫌じゃないから気にしなさんな。女将さん」

 

芝居がかった口調でじゃれあっていると、気が付けば待ち合わせ場所のバスに到着していた。

待ち合わせ時間ギリギリだが何とか間に合った。

 

「お待たせ―。ふぅ、ぎりぎり間に合ったぁ」

 

「二人とも、おはよう。って園子ちゃんは寝てるのか」

 

バスに乗り込むと、鷲尾さんと園子ちゃんはもう来ていた。

園子ちゃんは鷲尾さんに肩を借りて寝てしまっている。

いつも思うけど、よく眠る子だな。寝る子は育つというけれど。

 

「遅いわよ、三ノ輪さん!…あれ、どうして赤嶺くんもここにいるのかしら?」

 

鷲尾さんが疑問の声を上げる。

どうやら、情報が行き渡っていないようだ。

銀には昨日直接話してたから忘れていた。

 

「ああ、正式に勇者のサポート役になったからね。自分も合宿に同行することになったんだ」

 

「そうだったのね…」

 

「あれ、お母さん、ここどこぉ?」

 

説明していると園子ちゃんが起きた。まだ寝ぼけてるみたいだけど…

鷲尾さんが呆れた顔をしている。

そういえば、三人の中で隊長が園子ちゃんに決まったのだとか。

十中八九、鷲尾さんは隊長は乃木さんだけど、自分が頑張ってまとめなくちゃとか考えているのだろう。

その一人で抱え込む傾向も、この合宿で何とかなってくれればいいのだけれど。

 

そうして、合宿は始まった。

ただ自分は同行しているとはいえ、三人と共に行動することは少ない。

一部の連携訓練と勉強以外は三人と行動を別にし、その道のプロから戦術や医療技術等の教授を受けている。

なので、個人的な会話ができるのは、寝る前くらいなものだ。

もっとも、自分の部屋は安芸先生と同室だったことに加え、その時間に俺は前回の戦闘レポートを纏めていたので、あまり話せなかったのだが…

この合宿で、他に変わったことといえば、俺の彼女たちの呼び方と端末をもらったことだろう。

 

連携訓練は勇者のみで行うものと自分が指示を出すものの二つに分かれている。

勇者のみの訓練は、戦闘における個々人の連携につなげるためのものであるが、自分が加わる方は、勇者たち三人が緊急時にどれだけ素早く、こちらの言葉に反応できるかという反射訓練的な側面が強い。

だが、自分が指示を出す際、今の呼び方ではコンマ数秒時間を取られる。

そこで、二人の名前も呼び捨てさせてもらうことになった。

園子は喜んでいたが、須美は少々慣れないようだった。

まぁ、須美は他の二人のことも未だ名字で呼んでいるくらいだから、仕方ないといえば仕方ないのだけれど。

 

あとは、大赦から勇者の使用する端末と同型のものが支給された。

勿論、勇者になる機能はないらしいが、代わりにこの端末を所持しておけば、戦闘終了後に勇者と同じ地点に転送されるらしい。

仕組みはよく分からないが、説明によると呪術的な力を勇者のそれとつなげることで、俺の体を勇者と同期させて転送させるのだとかなんとか。

どのみち、俺にとっては非常に助かる代物だ。

これで戦闘後のごたごたにも巻き込まれないし、銀たちの手当ても素早くできる。

そして、これは本格的に俺を使う気になったという大赦の意思表示でもある。

いいタイミングでもらえたものだ。

 

 

そうして、合宿最後の夜。

俺は部屋で安芸先生と向き合っていた。

このタイミングで聞かなければならないことがあり、時間を作ってもらったのだ。

 

「それで、そんなに改まって、聞きたい事って何かしら?」

 

「はい、単刀直入に伺います。バーテックスとは何ですか?」

 

そう、バーテックスがウイルスの海から生まれた謎の存在なのだとしたら、腑に落ちない点が多すぎる。

おそらく、大赦は何かを隠している。決定的な何かを。

 

「っ…………先日の授業でも言ったはずよ。ウイルスの海から生まれた人類の天敵です」

 

一瞬言葉に詰まるも、安芸先生は冷静に言葉を返す。

今の反応をみるに、何か知っているのは間違いないだろう。

勿論、彼女が真実を知っていたとして、当然、こんな子供に教えるはずもない。

そんなことは分かっている。

だが、今回の質問は答えを得るのが目的ではない。

 

「ええ、それでは質問を変えましょう。大赦は何を隠しているんですか?」

 

さて、ここからが肝心だ。

これでもう後戻りはできない。

これは賭けだ。

 

「隠すって……何を?」

 

なかなか尻尾は出さないな。

だが、それでいい。

 

「そうですね。例えば、ウイルスなんて存在しないとか?」

 

「――――――」

 

今度こそ、安芸先生の表情が凍った。

なにか、信じられないモノを見るような眼で俺を見つめてくる。

確定か。

半ば、ブラフだったが、仮説の一つが証明されてしまった。

 

「………何を馬鹿な事を言っているの?実際に、この四国は神樹様が作った壁に守られているのよ?ウイルスがなかったらそんなもの必要ないじゃない。」

 

駄目だ、安芸先生。

ウイルス説はこの四国ではもはや常識なんだ。

あなたはさっきの俺の言葉を一笑に付すべきだったんだ。

一瞬でも迷う時点で、その言葉は間違っている。

それに、壁を理由にするのは明らかなミスだ。

 

「ウイルス以外にもいるじゃないですか。バーテックスが」

 

「だから、バーテックスはウイルスの海から生まれ―――」

 

「―――天津神」

 

再び、安芸先生の動きが止まる。

二つ目の賭けも成功か。

 

「何故、そこまで……っ!」

 

「語るに落ちましたね」

 

人生で言いたい言葉ランキング三位達成。

こんな状況でも馬鹿な思考が走る。

 

「っ!赤嶺くん……あなたは………一体?」

 

ここまでで十分だな…これ以上、安芸先生の心労を増やすのは忍びない。

犯人が言うことじゃないけど。

 

「ごめんなさい、安芸先生。要するにそれなりの情報を自分は得られるんです。やろうと思えば、勇者の面々にこの話をすることもできる。でも、実際にするつもりはありません。その代わりに、もう少し情報が欲しいなぁって。あるんじゃないですか?過去の戦闘データ」

 

そう、この話をした目的は大赦にゆさぶりをかけて情報を引き出すため。

この情報は赤嶺の管轄でないため、秘密裏に入手することができなかったからだ。

合宿最終日を狙ったのは、可能な限り自分の価値を示しておきたかったからだ。

俺が、このように情報提供を迫った場合、大赦の取りうる手段は凡そ二つに絞られる。

取引か、俺を排除するか。

大赦はこの合宿を通して、自分と勇者の信頼関係や、俺自身の能力を把握しているはず。

そして、あの端末を俺に預けたということは、それなり以上に期待をしているということを示している。

また、現時点で俺を排除するのは、勇者のメンタルへ影響しかねないなど「御役目」に支障をきたす恐れがあり、おまけに、俺は赤嶺本家の長子だ。大赦からすると、俺の排除はリスクが高すぎる。

以上から、大赦が選ぶのは、取引の可能性が高い。

 

「勿論、安芸先生の一存では決められないということは分かっています。なので、この件を上につなげていただくだけで結構です。」

 

重要なのは、あくまで情報。先ほどまでの演出も、そう簡単に騙せる相手じゃないぞ、というある種の警告。

大赦に虚偽の情報を送るリスクを認識させるためである。

とはいえ、こちらのリスクも大きい。

最悪、赤嶺の情報管理能力が疑問視され、発言力が下がる恐れもある。

だが、上手くいけば、逆に俺の情報収集能力の高さなどが評価され、俺を大赦内に取り込む動きも起こるだろう。

まさしく、これは賭けだ。

 

「なぜ…この話を私に?」

 

「簡単な話ですよ。安芸先生は優しいから。あなたがあの三人を大切にしてくれていることは分かります。そして、現状あなたは勇者のお目付け役という大任を任されている。間違えなく、能力は高い。そんなあなたなら、この件を報告する上でも、少なくとも勇者の不利になるような立ち回りをしないと思いましたので」

 

安芸先生が信用に値する人間かどうかは、学校生活やこれまでの合宿を通して既に分かっている。

だからこそ、これほど早いタイミングで話をできた。

中々以上の賭けだけれど、やってみる価値はあった。

 

「それじゃあ安芸先生、自分はもう一度風呂に入ってきますので」

 

そう言って、部屋を出る。

彼女からの返事はなかった。

 

 

「はぁ……ちょっと疲れたな」

 

大したことはしていないのだが、流石に安芸先生みたいな良い人を追い詰めるのは心に来る。

無論、必要なことだとはわかっている。

それに大変になるのはこれからだ。

泣き言を言ってる暇はない。

ただ、無性に銀に頭を撫でられたい。

癒しが欲しい。

とはいえ、向こうは三人部屋だし、他の二人の前で甘える訳にもいかない。

仕方がないので、温泉で癒しを代用するという訳だ。

 

 

「あ~、いい湯だったー」

 

いやはや、本当にここの温泉は良き湯だった。

肉体的な疲れだけでなく、精神的にも幾分か癒される。

これなら、あの気まずい空間でもなんとか寝れそうだ。

とはいえ、やっぱり今は顔を合わせにくい、休憩所のベンチでコーヒー牛乳を飲みながら時間を潰す。

やはり、風呂上りはこの一杯が至福だ……

今、この旅館は貸し切りらしく、周りには誰もいない。

ついつい、ぼーっとしてしまう。

 

「どーしたー?頼人。こんなところでぼーっとして」

 

のんびりしていると、銀がやってきた。

片手にジュースを持っているところを見るに、飲み物を買いに来たらしい。

なんでこの子は俺が来てほしい時に来てくれるんだろう。

これ以上彼女にいかれちまったら日常生活にも支障をきたしそうなのに。

 

「ああ銀。いやぁ、なんていうか安芸先生とちょっとぎくしゃくしちゃってね…今は少し、部屋に戻りづらいんだ」

 

完全に自分が原因なわけだが、それを言うわけにもいかないのでぼかして説明する。

 

「ぎくしゃくって、安芸先生と?頼人~何かやらかしたのかぁ~?」

 

「ああ、音楽の方向性の違いで意見がぶつかってね」

 

そう言って、笑いあう。

お互い冗談めかして話してる、こんな時間が何よりも大切に思える。

ちょっと我慢できなくなって、つい我儘を言ってしまう。

 

「銀、ちょっと頭撫でて…」

 

「ん。久々に甘えん坊さんだな」

 

銀の腰に抱き着き、頭を撫でてもらう。

風呂に入るより、何百倍も癒されてしまう。

こうしていると、これからの不安だとか恐怖だとかが全て消えていく。

本当は戦っていない俺なんかより、銀の方が労わられるべきだと思う。

でも、どうしようもなく、この温かさの魅力に理性は打ち勝てない。

 

と、そこで小さな奇声が耳につく。

なんとなく嫌な予感がして、ゆっくりと声をしたほうへ顔を向ける。

すると、そこには物陰から顔をのぞかせる須美と園子がいた。

二人とも顔を赤くしており、特に園子の方はかなり興奮しているようだ。

 

「………………」

 

深呼吸して、ゆっくりと銀から離れる。

 

「なんだ?もういいのか?」

 

この事態に気が付いていないらしい銀が優しく声をかけてくる。

その優しさは嬉しいが、今はそれどころではない。

風呂に入って流れた汗とは別のそれが俺の背中を流れる。

頭がこの状況の打開策を必死で考えるが、今日はいつになくいい案が出ない。

 

「どうしたんだ、急に固まって…って…え!?須美!?園子!?」

 

銀も気付いてしまったらしい。

ばれて観念したのか二人も近づいてくる。

 

「ど、どこからご覧になってました……?」

 

恐る恐る尋ねる。

 

「えっとね~、ライ君がミノさんに抱き着いたとこから!」

 

残念。俺の冒険はここで終わってしまったらしい。

これまでの学校生活では常に完璧なイメージを保っていたというのに、こんなところで瓦解してしまうとは。

小学生は残酷だ。

これから俺は永遠に変態の名を背負って生きていかなければならないのだろう。

ちなみに、銀と須美は隣で真っ赤な顔して放心状態になってる。

かくなる上は買収しかあるまい。

 

「………何が欲しい?」

 

「二人のなれそめを聞きたいかなー」

 

うん。園子は駄目だ。無敵すぎる。

後は須美だが…

 

「ふっ、二人とも!合宿で何やってるの!」

 

と、そこで、須美が復活した。

真っ赤な顔で怒ってる。

お説教されるな流れだこれ。

 

予想通り、休憩室で俺たち二人は須美のお説教を食らった。

完全に銀は俺のとばっちりを食らってしまった形なので、罪悪感が半端じゃなかった。

不幸中の幸いだったのは、安芸先生がこの場にいなかったことだろう。

面白いことに、最初はがみがみ言っていた須美も、だんだん俺たちの話を聞きたがるようになり、最後にはただただ四人でだべっていた。

そうしているとなぜだか、みんなとの距離も近くなったみたいで、少しうれしくなる。

もしかしたら、俺は視野が狭まっていたのかもしれない。

こうして、みんなで過ごす時間も悪くない。むしろすごく良い。

それなのに、俺は無意識に彼女たちの人格を無視し、勇者としてしか見れていなかった。

銀だってただの女の子なのに、須美と園子がそうじゃないはずもないのに。

さっきなんて彼女たちを人質のように言ってしまった。

自分の醜さが嫌になってくる。

………これから頑張ろう。彼女たちのためにも。

 

こうして、合宿は終わりを告げた。

帰る前に銀と二人して、トラブルに巻き込まれてバスに遅れてしまったのはご愛敬だ。

 

 

 

 

 

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