問い、美少女たちがエグい目に合うのを知っていたら君はどうする?
見過ごす? 見て見ぬふりをする?
それも正しい判断かもしれない。自身が危険な目に合うかもしれないなら、スルーするのも一つの手だろう。だが、それによって世界が滅んでしまうなら? 話は変わってくる。何としても救わないといけない。そう思わないだろうか?
俺はそう思う。世界が滅びたら俺も死ぬ。そして、家族や友達も・・・・・・
そうなったら大変どころではない。
だからこそ、決めたのだ。美少女であり、『魔装少女』たちを何としても救うと・・・・・・
俺の名前は、黒田十六夜。ごく普通の高校生のはずだった。
中学三年生の時に、何日も高熱を出し治った時に前世の記憶がよみがえった。
最初は、混乱も少しあったが前世とほぼ同じ世界観。現代日本に近いのですぐに、適応し普通に生活していた。しかし、ある時新聞を見ていると『七色町』と言う言葉を目にする。この町の名前には、聞き覚えしかなかった。前世であった大人気ライトノベルに存在した町だった。その後その街について色々調べ、ほぼ同じ設定であることに気づく。
俺は焦った。このラノベの世界は、
『魔装少女~シークレットファイブ~』
魔装少女達が活躍し世界を救うという王道的な物語だった。
これだけなら、焦る必要はないが問題はこの物語は世界滅亡を前提とした
ifルートが存在するのだ。
このルートはとにかく酷い。先ずこのルートはifとしてスピンオフ作品として発売されたものだった。
魔装少女達のあり得たかもしれない物語。キャッチコピーはこんな感じだ。俺も気になり読んでみたのだが、胸糞が悪い話のてんこ盛りだった。
少女たちが、殺され、男に弄ばれ、自我が崩壊、自殺。その他もろもろ
そんな話だった。これには、ファンも激怒。作者に非難殺到。
ネット炎上まで事態は大きくなった。
しかも、酷い目に合った後世界を守る者がいなくなり世界も滅亡と言う最悪以外の何物でもないのだ。本来のルートもifルートも『魔族』と呼ばれる侵略者が現れる。バッドエンドのほうでは既に彼女達は死んでしまっているので守護できるものも居ずに世界滅亡。どちらの世界もほぼ全く同じ設定であるが、『魔族』が侵略を始まるまでのストーリーだけが違う。
もしかしたら純粋な世界線と言う希望もあったのだが、もし違う場合どうなるのだろう。
そう考え始めたら、動かないわけには行かない。ただの凡人に何が出来るのかという不安と自身の身に何か起こるかもしれないという恐怖や不安で、メンタルがズタボロ。
幸いだったのが、主人公と学年が一緒と言う事だろうか。自身が持っている知識と年齢を比較して割りだすことが出来た。多少は動きやすい気もする。
ifルートが始まるのは、彼女達が魔装少女になる前であり力も何を持っていないただの女子高生の時。ifルートの最悪の部分を俺は回避すればいい。そうすれば元の『原作』の世界になりハッピーエンド。
世界と、彼女たちの運命を何とかして変えないといけない。そう思い俺は、この『皆ノ色高校』に足を踏み入れる。もしかしたら、世界の命運は俺にかかっているかもしれない。
――桜綺麗だな。
俺は、そんな事を考えていた。世界の未来何て大層な物が掛かっているかもしれないと言う事に対してに現実逃避をしたのかもしれない。
入学式と言う事もあり、桜が咲き乱れ綺麗な花弁も舞っている。
制服は赤を基調とした物だ。二度目の人生面白おかしく、楽しく充実していて、何処か気楽な学園生活を送りたい所なのだがこの世界の安全を確保するまで、それは無理だろう。
頼むから世界滅亡ルートの方でありませんように。ただひたすらに祈りつつ校舎内を歩く。大きな外観で清潔感もあり、設備も整っているいい学校だ。
まぁ、知っていたのだが。
取りあえず、一年の教室に向かう。誰もかれもが希望に満ちた顔をしていた。俺はそんな顔とは正反対だろうな。鏡を見なくてもすぐに分かってしまった。校内に入り新品の上履きに履き替え、廊下を歩み自身のクラスを見つける。
『1年Aクラス』
教室のドアを開けると、中には既に何人もの生徒が楽しそうに話していた。教室の席の数と、今教室内の人数を比べると、俺はどうやらかなり遅めの到着らしい。しかし、そんなことはどうでもいい。俺は教室内を観察するうちに、人だかりの中にとある少女を見つける
――居た。主人公。
腰位まである銀髪、宝石のような青い目。顔面偏差値が余裕の満点。この世界の主人公であり、世界の希望。
銀堂コハク
既に彼女の周りには、沢山の人がいて入学初日にもかかわらず親しみが凄い感じられる。
「可愛い」
「女神だ」
「このクラスになれて、俺幸せだ」
俺は、自身の席に着く。周りの男子たちが目をハートにしていた。気持ちは凄い分かる、確かにかわいい。それでいて上品。男子の憧れを、ぶち込んだ完璧な女性とも言えるだろう。
俺が座ると、席の目に居た男子生徒が俺に話しかけてくる。
「なぁ」
「どうした?」
俺は返事をしながら、男子生徒の顔を見る。あちらは俺を誰かは知らないだろうが俺は知って彼を知っている。
「特に用はないけど、これから席も近いわけだし挨拶しておこうと思ってな。
佐々本太郎よろしくな」
「俺は黒田十六夜。よろしくな」
見た目は普通の男子高校生と言った感じの青年。佐々本太郎。別名エロ本博士。エロ本を常に持ち歩き、所有数は四桁に届くとも言われる。普通に考えれば引くが意外と人気投票でも上位であるのだ。
「俺たちこのクラスで、幸せだよな?」
「いきなりだな。否定はしないけど・・・・・・」
佐々本はコハクを見ながら鼻を下を伸ばしていた。俺もつられて再び、銀堂コハクを見るが少し頬が熱くなる。確かにかわいい。何度見てもかわいい
「あの子可愛いよな~。彼氏とか居るかな?」
「どうだろうな。ただ彼女が彼氏を作るとしたら、とんでもないイケメンじゃないとな。」
「俺や、お前じゃ厳しいな」
――こいつ、ぶっ飛ばしていいだろうか?
原作キャラだろうが関係ない。ほぼ初対面で失礼な事を言う彼をぶっ飛ばしたい。
確かに俺はイケメンではないがここまでドストレートに言われるとメンタルにダメージが来る。
「そうだな」
机の下で、左手で右手の疼きを抑える。俺は器がそこまで大きくない。器から怒りの水が零れそうだ。
「あーあ。何で俺達はフツメンなんだろうな」
「さぁな」
達は余計だな。そう言えば原作でもかなり、馴れ馴れしく思ったことを言うタイプだったな。
そんな事を考えていると教室の前のドアが開き教師が入ってきた。筋肉質の少しこわもての教師。六道哲郎。見た目通りただの教師ではない。彼の兄弟がこの町にある『血列団』と言うとんでもなく大きなヤクザの頭領であるのだ。
「お前たち席に着け」
中々強面の六道哲郎が言うと、皆ビビりながら素早く席に戻る。それを確認すると彼は話の続きを始める
「今日から、お前たちの担任となる六道哲郎だ。よろしく頼む。早速だが、今から今日の入学式の説明を行う。しっかり聞いておくように」
その後、淡々と入学式についての説明を受けて俺達Aクラスは、入学式が行われる体育館へと向って行く。この学校は各学年CからAクラスまでの3つで構成されている。全校生徒約300人ほどの高校だ。
原作では5人の魔装少女がおり、現段階で魔装少女になる可能性を秘めているのはこの高校に三人。残りの二人は、現在はいない。
酷い目に合うのはこの高校に居る、三人だ。
一年、銀堂コハク
二年、火原火蓮
二年、黄川萌黄
残りの二人についてはifルートが発売しなかった。炎上などの問題などもあったからだろうが・・・・・・
取りあえず注意を払うべきは、この三人。特に一番初めに、酷くエグい目に合う。
銀堂コハク。彼女が酷い目に合わなければ、普通の原作と言う事でハッピーエンド。そのまま俺は傍観に徹することが出来る。
しかし、違うならばどうなるのか思い出したくもない・・・・・・まぁ、今考えても仕方ない。
取りあえず今は入学式に集中しよう。